平成歌謡
静かな日曜の夜
そちらは雨ですか
発信画面を開いては
かけるかどうか迷っている
時間が経ち過ぎ待機画面
また呼び出しての繰り返し
優柔不断で時間が過ぎる
零時前
駆け込みの限界に
かけました
緊張で目が回り
慌てて耳にあて
深呼吸しながら繋がるのを
待つ
長く呼び出して
あの無愛想な低い声が
受け止めた
起きてたくせに眠そうな声で
「どうした」って聞いて
煙草に火を点ける音がして
息を吐いてから
軽く
笑う
はじめて歩いた日は
あれは冬のある日。
参加劇団の公演のスポンサー取りに商店街を回るという事になった。
まったく無関心だった彼以外の人には気持ちバレバレだった私は周りのお姉さん方のお取り計らいにより、彼と二人で出掛ける事に。
と言っても、自力で交渉を頑張った記憶など全くなく、
思い出せるのは…とても寒かったという事と、自販機でおしるこを買ってもらったのと、「好きな人とかおらんの。」と聞かれた事しか覚えていない。
彼にしてみればきっとからかう意味合いで、子供扱いする事でその場を繋いだのだろうが、
私は
今も昔も肝心な事がはっきり言えない私は
心の中で精一杯「目の前のあなたですが。。」と。うじっとしていた記憶がある。