Marc のぷーたろー日記 -35ページ目

「バチカンファイル−人類終末計画−」('23)

 

善良な死者が「復活」して生き返る近未来を舞台に、バチカンによる陰謀に気付いたために命を狙われることになった神父の姿を、PCの画面上の動画やテキストデータ、スマホのカメラで撮影した動画・映像で描いたホラーサスペンスです。主演はデイヴ・デイヴィス、共演はカーリ・ホール、ジュリアン・モーザー、エリカ・チェイス、クリステン・アリザ他。

 

全く期待しないで観たこともあってか、予想よりは楽しめました。

 

それでも、映像をPCやスマホの画面に限定する意味や効果はほとんどなく、奇を衒っただけとしか思えず。このストーリーなら普通に撮った方が良かったと思います。

 

また、「復活」の仕組みを一切説明しないなど、一貫して不条理劇のような内容なのはいいんですが、それを実写で長編映画にするのは無理があります。実写なら「世にも奇妙な物語」の1編のような20分から30分程度の短編、長編映画にするならアニメーションの方が、この題材とストーリーなら合っているように思います。

 

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「きっと、それは愛じゃない」('22)

 

多文化が共存するロンドンを舞台に、パキスタン移民2世で幼なじみの初恋の男性の見合い結婚を取材することにしたドキュメンタリー監督の女性を描いたロマンティックコメディです。主演はリリー・ジェームズ、共演はシャザド・ラティフ、シャバナ・アズミ、エマ・トンプソン、サジャル・アリー他。

 

純粋に「ロマコメ」として観れば悪くない。

 

陳腐ではあるけれども王道のストーリーに加えて、主演2人の役者としての個性や魅力も活かされているし。

 

また、現代のパキスタン文化の一端を垣間見ることができるのもグッド!

 

ただ、主人公2人のロマコメ以外の要素を綺麗にまとめすぎてしまったため、「そんなに簡単に決着がつく話なの?」とちょっとシラけちゃったんですよね…。

 

ロマコメらしいハッピーエンドを、1点のしこりも残すことなく「完璧にハッピー」なものにしたかったんでしょうけど…。

 

基本的には好みの内容なんですけど、それだけに終盤の「綺麗事」な展開で自分でも驚くほど急激に冷めちゃったのです。残念。

「Le Mari de mon mari(My Husband's Husband)」('16)

 

夫と別居中の2児の母が、夫が男性と交際していることを知って、何とか夫を取り戻そうと奮闘するさまを描いたフランスのコメディ映画です。主演はジュリー・ドパルデュー、共演はマティアス・ムレクス、ジェローム・ロバール、セドリック・シェヴァルメ、エヴリーヌ・バイル、ブノワ・ペトレ他。

 

Wikipedia「Le Mari de mon mari」

 

自らの浮気が原因で夫と別居しておきながら、未練がましい妻の身勝手さには呆れるし、その執着ぶりは狂気じみているので、冷静に考えれば、かなり怖い話なのですが、ジュリー・ドパルデューの持ち味を活かして明るく軽やかに描いていて気楽に観られるのはいいし、夫役のマティアス・ムレクスのほんわかした雰囲気も合っています。

 

また、ストーリー自体は一貫して予測可能で、陳腐と言えば、陳腐なのですが、こちらも安心して観られるという意味では悪くないかなと。

 

テレビ映画として制作され、スイスや本国フランスなどでテレビ放映された作品だそうで、確かにテレビドラマとして観るにはちょうどいい軽さではあります。でも、もうちょっと深みがあっても良かったかなとは思いますけど (^^)

「愛さずにはいられない」('97)

 

一夜限りの関係のはずだった男女が女性の妊娠をきっかけに結婚したものの、2人の間のカルチャー・ギャップなど現実の問題に直面していく姿を描いたロマンティック・コメディです。主演はマシュー・ペリー、サルマ・ハエック、共演はジョン・テニー、カルロス・ゴメス、トーマス・ミリアン、シオバン・ファロン、ジョン・ベネット・ペリー、ジル・クレイバーグ、アン・ベタンコート、スザンヌ・シュナイダー他。

 

Wikipedia「愛さずにはいられない (映画)」

 

結婚・妊娠という、通常のロマコメの「その後」をまず最初に持って来て、そこから始まるロマコメというのは、それ自体にさほど新鮮味を感じないけれども、おそらくこの映画の作り手はそこを肝だと思って作ったんでしょう。

 

とにかく、徹頭徹尾、全てが予想通りにしか展開しないので、よく言えば「安心して観られる」んですが、ここまで予想通りってのは…。

 

まぁ、単なる時間潰しに観る映画としては、これくらい中身がスカスカの方がいいんでしょうけどね (^^)

「シチリア・サマー」('23)

 

1982年のシチリア島を舞台に、2人の少年の出会いと初恋、そして彼らを待ち受ける過酷な運命を実話に基づいて描いた恋愛映画です。主演はガブリエーレ・ピッツーロ、サムエーレ・セグレート、共演はシモーナ・マラト、ファブリツィア・サッキ、アントーニオ・デ・マッテオ他。

 

映画では主人公2人は17歳と16歳の少年ですが、モデルとなった1980年にシチリアで起きた実際の事件では25歳の青年と15歳の少年。その変更点だけでも、かなり「意味」が違うものになっているので、あくまで実話から着想を得たフィクションと考えるべきでしょう。

 

それでも、やはり切なく悲しい…。

 

この映画で印象的だったのは、2人の主人公の家族がわかりやすく対照的に描かれていたこと。

 

一方は、愛にあふれる家族で、父親も伯父も愛情深い人物として描かれていますが、そんな2人が一転して冷酷非情な暴君となる衝撃…。

 

もう一方は最悪の家庭環境で、継父(正確には実母の恋人)は粗暴で残酷な男として描かれていますが、そんな彼にも「良心」があることが分かる結末。

 

人間の恐ろしさを描きつつも、一縷の救いも描いているのはグッド!

 

ただ、あまりに悲惨な話で、正直なことを言えば、もう二度と観たくはないです。

 

もちろん、歴史的な記録として、この映画が作られた意義は間違いなくありますし、1人でも多くの人に観て欲しい映画であることに変わりはないです。

「スローターハウス・ルールズ」('18)

 

スクールカーストによって厳しく支配される名門寄宿学校の落ちこぼれ集団の生徒たちと、森の中のガス採掘所から現れたモンスターたちとの戦いを描いた学園ホラーコメディです。主演はフィン・コール、エイサ・バターフィールド、共演はハーマイオニー・コーフィールド、マイケル・シーン、ニック・フロスト、サイモン・ペッグ、マーゴット・ロビー、ジョー・ハートリー他。

 

Wikipedia「スローターハウス・ルールズ」

 

イギリスらしい学園コメディを、ニック・フロストとサイモン・ペッグのゴールデンコンビによる「おバカコメディ」らしく撮った映画って感じ。

 

面白いことは面白いんだけど、いろいろな要素を詰め込みすぎた結果、全てが薄味になってしまい、観終わった瞬間に内容を忘れちゃいそうなほど (^^;;;

 

それに、主演の2人の身長差が役の設定に合っておらず、終始違和感があったのもマイナスポイント。

 

でも、観ている間は勢いだけで充分に楽しめるし、何も考えずに気楽に観られる娯楽コメディとしては、これでいいんじゃないかなという気も (^^)

「モーテル」('07)

 

寂れたモーテルに泊まらざるを得なくなった離婚間近の夫婦が、残忍な殺人ビデオの標的にされる恐怖を描いたホラースリラー映画です。主演はルーク・ウィルソン、ケイト・ベッキンセイル、共演はフランク・ホエーリー、イーサン・エンブリー、スコット・G・アンダーソン他。

 

Wikipedia「モーテル (映画)」

 

設定もストーリーもどこかで観たことがあるような陳腐なもので、中身は全くないのですが、それでも充分にハラハラドキドキさせてもらいました (^^)v

 

ただ、最も印象に残ったのは内容ではなく、1950年代から1960年代のヒッチコック映画のようなタイトルバックでしたけどね (^^)

「MONSTER モンスター」('14)

 

19世紀末の米国で実父と継母を斧で惨殺した容疑で逮捕された実在の女性リジー・ボーデンを描いた伝記テレビ映画です。主演はクリスティナ・リッチ、共演はクレア・デュヴァル、ビリー・キャンベル、スティーヴン・マクハティ、サラ・ボッツフォード、ハンナ・アンダーソン、グレッグ・ヘンリー、ショーン・ドイル、ジョン・マクラレン他。

 

Wikipedia「リジー・ボーデン」

 

有名な事件のようですが、全く知らなかったので、それを知ることができたのは良かったけれど、それだけかな…。

 

確かにクリスティナ・リッチの持ち味とも言える「不気味さ」は活きていますし、面白くなかったわけではないんですけどね。

 

尺の制限もあってか、主人公の描き込みが足りないように感じてしまったのは大きいです。単なる「モンスター」として描くのであれば、これでもいいのかもしれませんけど、物足りなさは否めず。

「Golpe de Sol(Sunburn)」('18)

 

海辺の洒落た別荘で休暇を過ごしている長年の友人同士の4人の男女のもとに、共通の友人から10年ぶりに会いに来るとの連絡が届いたことをきっかけに、4人の間に生まれる緊張を描いたドラマ映画です。出演はリカルド・ペレイラ、オセアナ・バシリオ、ヌーノ・パルダル、リカルド・バルボサ、ラファエル・ゴメス、カルロス・オリヴェイラ他。

 

Wikipedia「Golpe de Sol」

 

不思議な映画。

 

面白いか、面白くないかと訊かれれば、間違いなく「面白くない」映画。

 

「物語」の体(てい)をなしておらず、もったいぶってるだけで、何も解決しなければ、何も進展しない。ただ、現状と過去を指差し確認するだけの話。

 

が、主人公である4人の関係が新鮮。

 

単なる長年の友人であるだけでなく、4人の関係は性別や性的指向を越えて、「愛し合っている」仲。その一方で、10年ぶりに再会することになる男性を4人それぞれが愛しており、10年前に全員が「捨てられた」にもかかわらず、4人が4人とも彼への想いを強く残している…。つまり、4人は互いに愛し合う仲であると同時に、1人の男性を共有、もしくは奪い合うライバルでもあるという関係。

 

映画が進むに連れて、その特異な関係が徐々に明らかになっていくのですが、それ自体は観ていればすぐに分かるので、驚きはありません。それでも、そもそもそういう関係を設定すること自体が現代的でとても新鮮に映ったのです。

 

さらに、演じる4人の俳優が美男美女ばかりで、しかも映画の中の設定では4人とも社会的に成功しているセレブのようなキャラクター。恋愛の相手に困ることは全くないであろう4人を、10年以上に渡って恋愛感情で精神的に縛り続ける男って、もはや「悪魔」のレベルなんじゃないかと思ってしまいます (^^;;;

 

とにかく、こういった4人の関係の特異性を楽しむ映画であり、物語そのものは実はどうでもいいのでしょう。

「受験地獄」('82)

 

西村京太郎さんの1979年の同名短編小説を原作とし、東京大学の入学試験に遅刻しそうになった浪人生が起こした事件とその後を描いたサスペンスドラマです。主演は太川陽介さん、共演は神保美喜さん、平田昭彦さん、倉田まり子さん、岩本多代さん、生井健夫さん、大木隆介さん他。「火曜サスペンス劇場」のインターネットのランキングで「もう一度見たい作品」の1位に選ばれたこともある作品です。

 

Wikipedia「受験地獄」

 

2014年に三浦春馬さん主演でリメイクされた「殺人偏差値70」は観ていますが、こちらは未見。評価の高い作品だけに期待して観たのですが、確かに出来はいいです。

 

もちろん、今となってはありとあらゆる点が「古臭い」ですし、今の時代には全く通用しない話ですが、1970年代から1980年代にかけて社会問題にもなっていた「受験戦争」の過酷さをリアルタイムに知る者としては、かなり現実味のある内容に感じました。最後の主人公の行動は青臭い綺麗事で好みじゃなかったですけどね。

 

また、サスペンスドラマとは言っても、後に粗製濫造される「2時間サスペンス」とは異なり、「心理サスペンス」に徹しているのもグッド!

 

その上で、リメイク版の「殺人偏差値70」での改編内容を考えると、時代の変化に合わせるために相当に苦労したんだろうなということは理解できましたが、あまりに改変し過ぎて「変な方向」に行っちゃったのは残念。少なくとも「殺人偏差値70」を観るくらいなら、時代背景を理解した上で本作を観た方が「日本の現代史」の一端を垣間見ることができるという意味でも価値があると思います。