ファミリー (字幕版)
Amazon(アマゾン)

仕事人間だが、傲慢で自己中心的な性格の30代の女性が11歳の姪を預かったことで変わっていく姿を描いたコメディ映画です。主演はテイラー・シリング、共演はブライアン・タイリー・ヘンリー、アリソン・トルマン、ケイト・マッキノン、マット・ウォルシュ他。
あまりに手垢のついた題材なので、あらすじを読んだだけで観ようとは思わない人が多そう。
が、これが意外に新鮮な味付けでちょっとビックリ。
この手の題材で女性が主人公の場合、最終的には「恋愛をして、結婚をして、家庭を持つことこそが女の幸せ」とでも言うような古臭くて説教くさい話になることが多いですが、その要素は皆無。確かにこの女性主人公も、空手教室の先生とロマンティックな関係になりそうな雰囲気だけはありましたが、本当に雰囲気だけで具体的な描写やセリフは皆無。
また、男性が主人公の場合でも、これまでの仕事を捨てて、全く違う環境で一からやり直すといった、少々現実離れした結末になることが多いですが、それもなく、仕事も職場も変えず、同じ環境で同僚との関係を改善しようとするだけ。
さらに、主人公と生活を共にする子供の設定がとても今風。伝統的な「女の子らしさ」にどうしても馴染めず、かと言って男の子になりたいわけでもなく、同年代の子供たちとは少し違った趣味をしていて周囲から浮いている少女と設定しているのは興味深い。
そんなわけで「興味深い」点は多いのですが、ストーリー全体は基本的に既存の同様の題材の作品と大して変わらず、展開に意外性は全くないし、何と言っても、主人公のキャラクターに全く共感できないのは致命的。「そういう人間もいる」ことは理解できるものの、あまりに極端で嫌悪感しか抱けず。そもそもここまで極端にコミュニケーション能力が低いのに(その職種において)「仕事ができる」ってありえないですよ。
また、娘を過保護なまでに溺愛しながら、娘のことを全く理解していないどころか、知ろうともしない両親の「サイコパス的異常さ」にほとんど全く触れず、さらっと流してしまっているのも不満。
とにかく、総合的には「not for me」な映画でした。
筒井康隆さんの小説「大いなる助走」を原作とし、文壇にはびこる権威主義とそれに追随する人々が織り成す悲喜劇を描いたブラックコメディです。主演は佐藤浩市さん、共演は石橋蓮司さん、泉じゅんさん、蟹江敬三さん、小松方正さん、山城新伍さん、ポール牧さん、筒井康隆さん他。
ブラックコメディとしてよく出来てる!!
筒井康隆さん本人の経験が大いに反映されているだけあって極端な誇張表現の中にも現実味と説得力がありますし、明らかに本人を自虐したキャラクターで出演までしていて「思いの丈」をぶちまけているのが特に![]()
もちろん、内容が内容だけに老若男女、万人にお勧めできるものではありませんけどね (^^;;;
ただ、1980年代の映画なので、いつもながら若い女性の描き方が、分かりやすく「おっさんの妄想」って感じで、とにかく気持ち悪い。当時としてはこれが普通なんですけど、今の時代に観ると、その気持ち悪さがどうしても気になっちゃう。
殺人事件とその犯人を目撃した富豪の若い女性と彼女の護衛を任された妻子ある刑事の不倫を描いていた恋愛スリラー映画です。主演はトム・ベレンジャー、ミミ・ロジャース、共演はロレイン・ブラッコ、ハーレイ・クロス、アンドレアス・カツーラス、ジェリー・オーバック、ジョン・ルービンスタイン他。
1988年の日本での劇場公開時に観て以来、約37年ぶりに観てみました。
初見時は「雰囲気がいいだけでつまんない映画だなぁ」という印象しかなかったのですが、久しぶりに観ても感想は同じ。
ストーリーはとにかく支離滅裂。
犯人の言動が無茶苦茶すぎて筋が全く通っておらず、物語を展開させるために都合よく動くだけの駒って感じでシラけちゃう。しかも、主人公2人のキャラクターに魅力がないし。
ただ、リドリー・スコット監督によるスタイリッシュな映像は美しいし、主演2人は美男美女。そこにスティングのカバーによるガーシュウィンの名曲「Someone to Watch Over Me」がかかるんですから、メロドラマとしての雰囲気はバッチリ![]()
つまり、「Someone to Watch Over Me」の長尺のミュージックビデオと思えば、これはこれでアリ。そう割り切って観るべき映画です (^^)
同性愛者であることを家族に告白せざるを得ない状況に追い込まれた青年を描いたイタリアのコメディ映画です。主演はジョサファット・ヴァーニ、共演はヴァレリア・ビレロ、フランチェスコ・モンタナーリ、モニカ・ゲリトーレ、ニニ・ブランチェッタ、ホセ・ダメルト他。
深刻な題材をイタリア映画らしい明るくカラッとしたコメディとして描こうというアイデア自体はとてもいい。
でも、ちょっと無理があったなぁ…。
主人公が家族に隠そうとする気持ちは理解できるものの、「家族に告白済みで受け入れてもらえてる」なんていう、すぐバレる嘘を恋人にまでつく必要があったのかがそもそも疑問。まず家族の前に恋人ともっとちゃんと話しておくべきで、家族に隠していることよりも、恋人に嘘をついている方がはるかに問題でしょう。
その上で、どういう結末になるのかと思っていたら、実は原題「Come non detto(気にするな)」が盛大なネタバレだったというオチは「まぁ、そんなもんかな」と思いつつも、肩透かしを食らった気分。悪くはないんだけど、安易だなぁと。
そこまで悪い出来だとは思いませんし、イタリア映画らしい人情コメディだとは思います。
ビル・クリントン米大統領の1992年の最初の大統領選をもとにした全米ベストセラー小説を原作とし、南部の州知事が大統領選に挑むために妻と「完璧な夫婦」を演じながら次々に襲ってくるスキャンダルを乗り越えようと奮闘するさまを描いた政界ドラマコメディです。主演はジョン・トラヴォルタ、エマ・トンプソン、共演はエイドリアン・レスター、ビリー・ボブ・ソーントン、キャシー・ベイツ、ラリー・ハグマン他。
クリントン夫妻をモデルにした大統領候補夫婦が主人公と思いきや、選挙スタッフとなった青年が主人公と言った方が正確。
ビル・クリントンの異常なまでの女好きの面を強調し、彼が如何に「クズ男」であるかを示しながらも、必ずしも彼を悪人として描いているわけではないのは印象的。
「大統領は一点の曇りもない清廉潔白な聖人でなければいけないのか?」
「そもそもそんな聖人などいるのだろうか?」
との問題提起は、陳腐ではありますが、この映画が公開された当時の現職大統領をモデルに、ここまで踏み込んだ内容の映画を、大スターを起用して制作したのは「さすがアメリカ」とは思います。
ただ、女性スキャンダルがどれだけ明るみに出ても何の影響も受けなかった大統領が登場し、社会の分断が極端に進んだ今の時代には、ちょっと古臭くも感じる映画でした。
互いに一目惚れして交際を始めたものの、それぞれが相手に隠している秘密のある男女の恋愛を描いたロマンティックコメディです。主演はミシェル・ラロック、ティエリー・ヌーヴィック、共演はキャロル・リシェール、ドミニク・グールド、マニュ・パイェット、エレーヌ・シュルジェール、エリザ・マイヨ他。
→ Wikipedia「Petits Secrets et Gros Mensonges」
フランスのテレビ映画として制作された本作。こんなストレートな軽いロマコメをテレビ映画として作っちゃうところが、いかにもフランスという感じ (^^)
ストーリーそのものは、終盤の展開にちょっと新鮮味はあったものの、基本的には王道中の王道。視聴者がロマコメに期待する通りの展開。
それでも、パリとモロッコで撮影された映像は視覚的に美しいし、当然ながら主演2人も美男美女。まさに「目の癒し」になる「眼福」な映画です (^^)v
ところで、相性のいい主演の2人ですが、実年齢ではミシェル・ラロックがティエリー・ヌーヴィックよりも10歳も年上!!
ミシェル・ラロックが実年齢よりも若く見えるし、逆にティエリー・ヌーヴィックが実年齢よりも落ち着いた雰囲気で貫禄があるので、むしろ彼の方が年上に見えてしまうほど。
また、ミシェル・ラロックの明るい雰囲気はロマコメ向きなので意外性はないですが、ティエリー・ヌーヴィックはどちらかと言えばシリアスな役が多いので、こんな王道のロマコメで「王子様」キャラを演じていたのはちょっと意外。でも本来のルックスの良さを活かしていて![]()
とにかく、過度な期待をせず、難しいことを考えずに観るべき映画でしょう (^^)v
フランス国王ルイ15世の公の愛人ジャンヌ・デュ・バリーの波乱の人生を描いた伝記映画です。監督・共同製作・共同脚本・主演はマイウェン、共演はジョニー・デップ、バンジャマン・ラヴェルネ、ピエール・リシャール、メルヴィル・プポー他。
「希代の悪女」として描かれることの多いデュ・バリー夫人を21世紀的視点で好意的に描こうという意図は分かるし、どう見ても史劇が似合わないマイウェンが演じているところにも、その意図が表れていると思います。
が、ストーリーも演出も単調で「物語」として全く面白くないんですよ…。
もうちょっと面白くできたんじゃないかなぁと思うのですが、それでも、シャネルが制作した衣装の華やかさは間違いなく観応えがありますし、「公妾や当時の宮廷の習慣などを分かりやすく紹介する動画」としては興味深く観ることができました。結局、それ以上でもそれ以下でもなかったかな…。
2015年のスペイン映画「暴走車 ランナウェイ・カー」のハリウッドリメイクで、息子と娘を学校に送り届ける途中で車に爆弾を仕掛けたとの脅迫電話を受けた父親が、子どもたちを守るために奮闘する姿を描いたアクション映画です。主演はリーアム・ニーソン、共演はノーマ・ドゥメズウェニ、リリー・アスペル、ジャック・チャンピオン、エンベス・デヴィッツ、マシュー・モディーン他。
既にドイツで「タイムリミット 見知らぬ影」('18)、韓国で「ハード・ヒット 発信制限」('21) としてリメイクされている作品。いずれも未見ですが、これだけリメイクされていれば期待値は上がってしまいます。
が、
普通…。
面白くなくはないし、娯楽映画としては充分な出来だとは思うのです。
でも、あまりにあっさりと解決しちゃって拍子抜け。
真犯人が狡猾なようでいて、爪が甘いし、呆れるほど間抜けだし。
それに、リーアム・ニーソンは10年くらい前なら本当に役にハマっていたと思うんですが、流石に70歳を過ぎて、この役はかなり無理があります…。
同性愛者であることを隠している子持ちの既婚男性と、既婚男性ばかり好きになってしまう男性の不倫の恋を描いた恋愛ドラマ映画です。主演はスコット・ベイリー、ダリル・スティーヴンス、共演はアダム・クレシュ、リチャード・ローソン、キーリー・レフコヴィッツ、アン・ウォーカー、シェーン・ジョンソン、ジェイ・ヒューグリー、スティーヴン・ボウマン、アル・サピエンザ他。
→ Wikipedia「From Zero to I Love You」
同性愛者であることを自覚しながら、その事実を受け入れられずに異性愛者のふりをして生活をしている人は少なくないので、確かにリアルな題材ではあります。それを軽いタッチでラブコメとして描くこと自体は悪くないのですが、それが妻子のある既婚男性となると話は別。
どんなに軽いタッチで描いても、全く落ち度のない配偶者を裏切り、子どもたちに辛い思いをさせる不倫の恋は、どうしても軽い気持ちでは観られないですし。
そんなわけで、この題材と設定を既存のラブコメのテンプレートに当てはめた「ミスマッチ」が最後までしっくり来なかったのです。
スコット・マクファーソンによる戯曲「マーヴィンの部屋」をマクファーソン自らの脚本で映画化した作品で、長年絶縁状態にあった姉妹が姉の白血病をきっかけに再会したことで生まれる新たな家族の絆を描いたドラマ映画です。主演はメリル・ストリープ、ダイアン・キートン、共演はレオナルド・ディカプリオ、ロバート・デ・ニーロ、グウェン・ヴァードン、ヒューム・クローニン、ハル・スカーディノ、ダン・ヘダヤ他。
これだけの豪華キャスト、しかも作品としてもそれなりに評価されている作品なのに、これまで存在すら全く知らなかった作品。たまたま目に入ったので観てみました。
充実したキャストのおかげで、比較的ありがちなストーリーであるにもかかわらず、上質な人間ドラマを見せてもらった気分。
ただ、この物語の「その後」を考えると、複雑な気分に。
確かに家族としての絆は取り戻せたのでしょうが、それだけでこれから向き合うことになる様々な苦難を本当に乗り越えられるとは到底思えないですし、そこを敢えて描かないことで、この物語が単なる「綺麗事」に見えちゃうんですよ…。
そればかりが気になってしまい、「感動のエンディング」のはずが、「バッドエンディング」にしか見えなかったのです。