Marc のぷーたろー日記 -32ページ目

「緑の夜」('23)

 

運命的に出会った2人の女性が社会の底辺から抜け出そうとするさまを描いた逃走犯罪劇です。主演はファン・ビンビンさん、共演はイ・ジュヨンさん、キム・ヨンホさん、キム・ミングィさん他。

 

輝国山人の韓国映画「緑の夜」

 

現代を舞台にしているし、現代の映画らしい演出ではあるのだけれど、ストーリー自体は1970年代の映画のよう。

 

だからと言って「古臭い」話ではなく、半世紀以上経った今でも、こういった状況にある女性は山のようにいる現実をまざまざと見せつけられ、ただただ切なく虚しい気分に。

 

救いはあるものの、結末は辛いもので、後味も悪く、この終わり方もまた1970年代の映画っぽく感じられた理由なのでしょう。

 

ただ、映画としての出来はイマイチ。

 

「逃走劇」のはずなのに全く緊張感がないのはダメ。もっとスリリングに描かなければ2人の女性の言動に説得力がないと思うのですが、この映画の監督はその点には全く興味がなかったようで、「感覚の違い」を感じるばかりでした。

「ハンテッド 狩られる夜」('23)

 

深夜のガソリンスタンドで謎のスナイパーに命を狙われた女性のサバイバルを描いたスリラーです。主演はカミーユ・ロウ、共演はジェレミー・シッピオ、J・ジョン・ビーレ、アレクサンダー・ポポヴィッチ他。

 

スリラーとしては充分な出来だとは思います。

 

ただ、今の時代にこういうタイプの話を作ろうと思うと社会問題を絡めないわけにはいかないのかもしれませんが、この映画に関して言えば、それがスリラーとしての効果を高めているとは思えず。絡めるならもっとガッツリ絡めるか、そうでなければさらっと流せばいいのに中途半端なままなので生煮え感でいっぱい。

 

そもそも犯人の手口自体が中途半端なのもダウン

 

ま、この手の映画で難しいことを考えるのは野暮なんでしょうけど。

「宝くじの不時着 1等当選くじが飛んでいきました」('22)

 

韓国軍兵士が偶然拾った賞金約6億円に当選したロトくじが風に乗って北朝鮮兵士の手に渡ったことから大騒ぎとなる南北の兵士たちを描いたコメディです。主演はコ・ギョンピョさん、共演はイ・イギョンさん、ウム・ムンソクさん、パク・セワンさん、クァク・ドンヨンさん他。

 

輝国山人の韓国映画「宝くじの不時着 1等当選くじが飛んでいきました」

 

後味は悪くないし、面白いっちゃ面白いんですけど、あまりにノーテンキで現実離れしていて、そこがどうしても気になっちゃったんですよね。題材が題材なだけに。

 

が、これが今の韓国の人々の「南北統一は実はそんなに難しくない(はず)」との強い願望の表れかと思うと、それはそれでちょっと切ないものがありますけどね。

 

ただ、このネタで2時間近い尺は無理があって間延び感は否めず。90分程度でさくっとまとめて終わらせた方が良かったんじゃないかなぁと思います。

「殺人鬼の存在証明」('21)

 

1978年から1990年にかけ、50人以上の子どもや女性たちを惨殺し、旧ソ連史上最悪の連続殺人犯とされる実在の殺人鬼アンドレイ・チカチーロをモデルに、連続殺人犯と彼を追う捜査陣が織り成す錯綜したドラマを、時系列をシャッフルさせながら描いたロシアのサスペンス映画です。主演はニコ・タヴァゼ、共演はダニール・スピヴァコフスキ、ユーリヤ・スニギル、エフゲニー・トゥカチュク他。

 

旧ソ連を舞台にしているので覚悟はしていましたが、中盤までは予想以上に過剰なマッチョイズムを見せられ続けてゲンナリ。

 

ただ、その間も微妙な違和感が常に付きまとい、それが終盤に明らかになる真相の伏線になっていたことが分かってからは一気に引き込まれてしまいました。

 

実在の殺人鬼をモデルにしているとは言え、あくまで着想を得ただけのフィクションのはずですが、いわゆる「有害な男らしさ」の罪深さを描いた作品と解釈すると、いまだにマッチョイズムに支配されているロシアでこのような映画が作られたのは評価に値します。とは言っても、監督のラド・クヴァタニアはジョージア出身らしいので、ちょっと割り引いて受け取る必要はありそうですけどね。

 

初の長編監督作品ということもあってか、トリッキーな作りにこだわり過ぎるあまり、必要以上に分かりにくく、一貫性に乏しくてバランスが悪いなど、完成度がイマイチなのは残念ですが、それでも「終盤は」かなり楽しめました。

「Point Defiance」('18)

 

人里離れた山の中の邸宅で1人で暮らしている男のもとに問題を抱えた弟がアフガニスタンでの兵役から戻って来たことで兄弟の秘密が明らかになっていくさまを描いたサイコスリラー映画です。主演はデレク・フィリップス、共演はジョシュ・クロッティ、ローレン・エレイン、サラ・バトラー、スティーヴン・スワドリング他。

 

もったいない…。

 

思いっきり好みの題材。

 

主人公とその弟を演じた2人の役者も役に合ってる。

 

が、それらを充分に活かし切れておらず、ただ分かりにくいだけの作品にダウン

 

それでなくても、この題材は好みが分かれ、「後出しジャンケン」だとか、「反則」だとか言われやすいので、それだけに説得力のある見せ方をするのが作り手の腕の見せ所のはず。が、まったくもって力及ばず。

 

アイデアは悪くないんですよ。

 

ただ、主人公の「自宅軟禁」をはじめ、時系列の件など、様々な点が中途半端に放置されたままなので、観終わった後にまったくスッキリしないのです。この手の題材は、パズルのピースが最後にカチッとハマるところに快感があるのに、全然ハマらずにバラバラのままなんですから。

 

おそらく真面目に映像化すると2時間を悠に超える尺になってしまうので、編集の結果としてこうなったのかもしれませんし、そもそも全3話くらいのミニシリーズ向きの話なのかもしれませんが、それにしても、もうちょっと何とかならなかったのかなぁと。

 

ただただ残念。

「Big Boys」('23)

 

14歳の大柄なぽっちゃり少年の一夏の淡い恋を描いた青春コメディドラマ映画です。主演はアイザック・クラスナー、共演はドーラ・マディソン、デヴィッド・ジョンソンⅢ、エミリー・デシャネル、タージ・クロス、マリオン・バン・キュイク他。

 

Wikipedia「ビッグ・ボーイズ」

 

「思春期を迎えた少年の淡い初恋」なんて手垢の付きまくった題材ですが、今の時代だからこそ可能になった設定がとても新鮮な雰囲気に。

 

主人公が縦にも横にも大きい文字通り「big boy」であること自体は映画の主人公として珍しくないものの、よくある漫画チックな「オタクで冴えない」というタイプとは異なり、誇張のない自然な少年像がむしろ新鮮。

 

また「初恋」とは言っても、本当に「淡い」もので、もはや「恋」とも呼べないような可愛らしいもの。「憧れ」に「恋心」をまぶしたようなイメージ。

 

そして何と言っても、主人公の少年がほのかに想いを寄せる相手が、今までにないタイプで、この設定が本作を既存の同様の作品とは大きく異なる新鮮なものにしています。

 

とにかく、この映画を観て勇気づけられる同年代の男の子はきっといるはず。その意味でも本当に意義のある作品だと思います。

「Elijah's Ashes」('17)

 

何もかもが正反対の腹違いの兄弟が急死した父イライジャの遺灰を埋葬するための旅を描いたロードムービー・コメディです。主演はアリ・シュナイダー、ライアン・バートン=グリムリー、共演はトニ・シャーリーン、クリスティーナ・チャンシー、マット・クレイグ、ケイシー・グラフ、パイパー・ギリン他。

 

もう8年も前の映画なので今とはちょっと違うとは思いますが、アメリカの田舎の保守的な白人男性の愚かしさを極端に分かりやすく描いていて、面白いと言えば面白いのですが、ここまで行くと「バカにしすぎじゃない?」とちょっとひいてしまいます。

 

こういう「上から目線でバカにする」姿勢が、保守層からリベラルが嫌われる理由だってことがよく分かりますし、むしろそういうリベラルの「根性の悪さ」を描いた映画と読み替えることもできるかもしれません。

「響け!情熱のムリダンガム」('18)

 

インド伝統音楽の打楽器「ムリダンガム」に魅せられた青年が、さまざまな困難を乗り越えながら一流の奏者を目指す姿を描いた音楽青春ドラマ映画です。主演はG・V・プラカーシュ・クマール、共演はネドゥムディ・ヴェヌ、アパルナー・バーラムラリ、ヴィニート、ディヴィヤダルシーニ、スメッシュ他。

 

Wikipedia「響け!情熱のムリダンガム」

 

ストーリーそのものは「ムリダンガム」を題材にしていることを除けばかなりありきたりで予想通りにしか展開しません。

 

が、背景に今も根強く残るカースト制に基づく身分差別の問題があることで、表現自体はあっさりで軽めにもかかわらず、かなり重めな印象。

 

さらにそこに「伝統と革新」というテーマも加えることで、ストーリーに厚みが生まれています。

 

ただ、ストーリー展開にぎこちないところが多く、もうちょっと自然な流れにできなかったのかなぁというのが正直な感想。

「チャーリー」('22)

 

つらい過去から他人を拒絶して生きて来た孤独な男性が、ラブラドール犬「チャーリー」とともに南インドからヒマラヤまで旅するさまを描いたインドのロードムービーです。主演はラクシット・シェッティ、共演はサンギータ・シュリンゲーリ、ラージ・B・シェッティ、ダニシュ・サイト、ボビー・シンハー他。

 

Wikipedia「チャーリー (2022年の映画)」

 

インド映画らしい大仰な演技とベタな演出であざとく泣かせにきているのが見え見えなのが気にならないと言ったら嘘になりますが、それでもこれは泣

 

一度でも犬を飼ったことがある人なら泣くに決まってる泣

 

とは言っても、この内容で2時間40分もあるのは流石に長過ぎたかな (^^;;;

 

もちろん、そのおかげで1人と1匹の関係をじっくり味わうことができたのは事実ですけどね。

 

それに、動物保護協会の女性職員が無駄に美女なので、主人公と恋愛関係にでもなるのかと「危惧」していましたが、そんな要素がほぼ全くなく、一貫して「孤独な男と孤独な犬のラブストーリー」になっていたのはグッド!

 

また、悪徳ブリーダーによる近親交配(による遺伝子疾患)や虐待といった問題にも踏み込んでいるのもグッド!

 

気軽に観られる尺ではないですが、犬好きにはお勧めしたいです (^^)v

「コヴェナント/約束の救出」('23)

 

アフガニスタンの戦場で友情の絆を結んだ米軍曹長と現地通訳の男同士の約束を描いた、ガイ・リッチー監督による戦争ドラマ映画です。主演はジェイク・ギレンホール、共演はダール・サリム、ジョニー・リー・ミラー、アントニー・スター、アレクサンダー・ルドウィグ他。

 

Wikipedia「コヴェナント/約束の救出」

 

ガイ・リッチーがこういう映画を撮るんだという意外性にまず驚き。

 

そして、表現としてはかなり荒唐無稽な娯楽アクション映画になっている一方で、米国がアフガニスタンで犯した「大罪」を赤裸々に描いているメッセージ性の高さにも驚き。

 

米国入国ビザを「餌」にアフガニスタン人通訳を自分たちに都合よく使っていながら、その多くを見捨て、見殺しにして来た事実はもっと大きく語られるべき。しかし、ビザをもらえて米国に入国できたとしても、今の極端に右傾化が進んでいる米国でアラブ系の人々が幸せに暮らせる保証はなく、この映画の結末が皮肉にしか見えないのは本当に悲しい…。

 

とにかく、通訳を演じたダール・サリムの存在感とカリスマ性がこの映画の出来と「格」を大きく上げたことは間違いないでしょう。