デューン 砂の惑星PART2
Amazon(アマゾン)

フランク・ハーバートのSF大河小説「デューン」を原作としたドゥニ・ヴィルヌーヴ監督による映画2部作の第2弾です。主演はティモシー・シャラメ、共演はゼンデイヤ、レベッカ・ファーガソン、オースティン・バトラー、フローレンス・ピュー、ジョシュ・ブローリン、デイヴ・バウティスタ、クリストファー・ウォーケン、レア・セドゥ他。
やっぱり劇場で観るべきだったなぁ…。
本作も前作同様、映像の美しさと迫力は文句なしに素晴らしいし、それだけで「娯楽映画」として充分過ぎるほど楽しめます。キャストも充実していますし。
それでも、原作未読の自分には、ストーリー自体は理解できても、この長大な作品を通して作者が描きたかった「テーマ」はほとんど全く分からず。そのあたりは原作を読めってことなんでしょうし、そもそも映画だけ観て、理解しようなんて思うこと自体がダメなんでしょう。
関連記事
実際の事件に着想を得た作品で、犬だけが仲間だった女装の男「ドッグマン」が語る壮絶な過去と、ギャングとの死闘を描いた、リュック・ベッソン脚本・監督によるバイオレンスアクションです。主演はケイレブ・ランドリー・ジョーンズ、共演はジョージョー・T・ギッブス、クリストファー・デナム、クレーメンス・シック、マリサ・ベレンソン、グレイス・パルマ他。
好きなところはいろいろあり。
劇画調で浮世離れした世界観は陳腐だけれど悪くはない。
エディット・ピアフ、マレーネ・ディートリッヒ、マリリン・モンローの使い方も、ちょっと分かり易過ぎて安易に感じるところはあるものの、かなり好み。
そして、ケイレブ・ランドリー・ジョーンズのハマりぶりは見事としか言いようがなく、その身体を張った演技は大いに賞賛したい。
が、ストーリー展開に無理があり過ぎる…。
描きたいものを強引に1本のストーリーにまとめたので、とにかく展開がぎこちなく、すっきりとしない…。要はご都合主義。
そもそも、犬を愛していると言いながら、犬を危険な目に遭わせ続けている主人公の根本的な姿勢に違和感が拭えなかった。
結婚20年、子宝に恵まれ、2人で始めたビジネスも成功し、周囲から「完璧なカップル」と見られていた夫婦の関係が、夫の秘密が明らかになったことで周囲も巻き込んで劇的に変わっていくさまを描いたインドのネット配信ドラマシリーズ全11話です。主演はサティヤディープ・ミシュラ、プリヤーマニー、共演はムリナル・ダット、ニティン・バティア、ミカイル・ガンディー、チャール・シャンカール、リアンヌ・テジャニ、ラジーヴ・クマール、アンモル・カジャニ他。
欧米ならとっくの昔に散々やり尽くした手垢のついた題材なので、ストーリーにさほど新鮮味はありません。ただ、結末だけはちょっと興味深い。時代遅れの悲劇的バッドエンドでもなければ、ハリウッド的ノーテンキなハッピーエンドでもないのは、中途半端に感じる人もいるかもしれませんが、インドの現状を考えると現実味はありました。もしかすると、単に続編を作る予定なだけなのかもしれませんけど (^^;;;
とにかく、欧米に比べてはるかに保守的なインドで、このような題材を扱う作品が比較的メジャーな形でリリースされているのはちょっと意外でしたが、作品の雰囲気からは、世の中の意識を変えるために敢えて積極的に制作されているように感じました。
ところで、自分にとっては、ストーリーそのものよりも、インドの富裕層のゴージャスな生活ぶりの方がとにかく印象的。まさに現代の「貴族」。
登場する女性たちは皆美しく、その衣装も煌びやかで目を引きますが、それ以上に印象に残ったのは主人公である夫を演じたサティヤディープ・ミシュラの衣装の数々。シックなスーツから、普通の人なら絶対に着こなせない派手なデザインのスーツ、インドの伝統的な衣装からプライベートでのラフな服装まで、どんな衣装も完璧に着こなしていて、これぞ「インドの都会で暮らす洗練された上流階級のイケてる中年男性」という感じ。サティヤディープ・ミシュラは1972年生まれで決して若くはないですし、身長も高いわけではないですが、スリムで頭身バランスが良いので、彼の衣装と着こなしを観ているだけでも充分に楽しめるドラマでした (^^)v
映画館で偶然出会って一夜を過ごしたカップル、4カ月前から浮気中のカップル、結婚に悩むカップル、3組6人の男女と、彼らの関係を描いた恋愛ドラマコメデイ映画です。出演はダイアン・キートン、リチャード・ギア、スーザン・サランドン、ウィリアム・H・メイシー、エマ・ロバーツ、ルーク・ブレイシー他。
これだけの充実したキャストを揃えて、どうしてここまでつまらない映画が作れるのか、それが最大の謎。
原作は舞台劇だそうで、確かにこの退屈なストーリーも、生のお芝居で、役者が達者なら、それだけで充分に楽しめたかもしれませんが、映像には不向き。
もちろん、ベテランの4人の俳優は芸達者だけあって、彼らの会話のやり取りにはそれなりに面白みはありましたが、本当にそれだけで、ストーリーは驚くほど凡庸で退屈。
ところで、ベテラン4人は撮影当時全員が既に70代。役の設定上は60代半ばから後半くらいの設定のようですが、4人の中で実年齢で一番若いウィリアム・H・メイシーだけが実年齢相応に見えるのに対し、他の3人、特にスーザン・サランドンの若々しさは驚異レベル。美魔女どころの騒ぎじゃないです (^^)
大統領の犯罪を目撃した宝石泥棒が「絶対的な権力」に戦いを挑む姿を描いたサスペンス映画です。製作・監督・主演はクリント・イーストウッド、共演はジーン・ハックマン、エド・ハリス、ローラ・リニー他。
気楽に観られる娯楽映画としては面白かった。さすがイーストウッド (^^)v
ただ、現実味を考えると、シークレット・サービスのやり方があまりに雑で「どうせやるならもっと巧妙にやらなきゃダメだろ」と突っ込みたくなることの連続でしたけどね (^^;;;
シューベルトの名曲「死と乙女」をモチーフにした、ブロードウェイの同名戯曲を原作とし、1組の夫婦とその妻の運命を変えた1人の男、3人による戦慄の一夜を描いた、ロマン・ポランスキー監督による心理サスペンスです。主演はシガニー・ウィーヴァー、共演はベン・キングスレー、スチュアート・ウィルソン他。
原作は戯曲。この3人の配役で生の芝居を観たかったなぁというのが正直な感想。舞台ならもっと心にガツンと響いたと思えてならないのです。
映画の出来が悪かったわけではなく、ストーリーそのものよりも役者の演技を堪能すべき内容でしたし、舞台ならどういう見せ方になるかが比較的容易に想像できてしまったので、どうしても「舞台だったら」という邪念が入ってしまったのです。
アウシュビッツ収容所の隣で淡々と暮らすドイツ人一家の日常を描いたドラマ映画です。主演はクリスティアン・フリーデル、ザンドラ・ヒュラー、共演はラルフ・ハーフォース、サッシャ・マーズ他。第96回アカデミー賞で国際長編映画賞と音響賞を受賞しています。
予想以上に恐ろしい映画でした。
原題「The Zone of Interest」を含め、タイトルが示すように無関心さの恐ろしさを描いた作品ではありますが、「無関心」というよりも、主人公一家が完全に「麻痺」していることが恐ろしい…。
壁の向こうが阿鼻叫喚の地獄であることは「音」や「匂い」から容易に分かるはずなのに、それらを全く気にしない異常さ。
収監されているユダヤ人から略奪した宝飾品などを当然のように自分のものにして喜ぶ異常さ。
その異常さは無関心というよりも、それが当たり前という「慣れ」から来る感覚の「麻痺」。人間とはここまで堕ちてしまう生き物なのかと暗澹たる気持ちに…。
また、ドイツ人の「真面目で合理的」な気質の悪い面が強調されているのも印象的でした。
父親からの虐待によるトラウマを抱えている青年が、父親の遺した家で同居することになった男に徐々に精神的に支配されていくさまを描いたサイコスリラーです。主演はジョニー・ボーシャン、共演はマイク・マニング、シェリー・シェパード、アシュリー・マーレイ、ダミアン・ディアス他。
サイコスリラーとしては悪くない出来だと思うのですが、この手の題材の作品に共通している「子供時代に性的虐待を受けた人間は犯罪者になる可能性が高い」とでも言いたいように見える内容にどうしても釈然とせず。
エンドクレジットで作り手側のコメントとして、
虐待は何百万人もの人々に影響を与えている問題です。この映画の制作チームは、身体的、精神的、またはその他の虐待を受けたことがあるすべての人を支援しています。私たちはこの映画で描かれている暴力行為を一切容認しません。これらの問題は私たちにとって非常に重要なので、このプロジェクトがこれらの問題の重要性を高めるのに役立つことを願っています。
と謳っていますが、それならば何故こんな映画を作ったんでしょう? わざわざこんなことをコメントするなんて詭弁もいいとこ。
この映画では、子供時代に虐待を受けた人物を2人登場させ、対照的に描くことで、こういった指摘に応えられるようにしているつもりのようですが、犯罪被害者に対する偏見を助長しかねないことに変わりはなく、「配慮しているフリ」をしているだけにしか見えないのです。
これからの時代にこの手の題材を扱う場合は、もっと慎重に脚本を書いてほしいと願うばかりです。
吉田修一さんの同名小説を原作とし、介護施設で起きた殺人から、いくつもの闇が暴かれていく様を描いたヒューマンミステリーです。主演は福士蒼汰さん、松本まりかさん、共演は福地桃子さん、近藤芳正さん、平田満さん、根岸季衣さん、財前直見さん、三田佳子さん、浅野忠信さん他。
原作は未読なものの、好みの題材なので期待して観始めたのですが、表現の仕方があまりに自分の生理に合わず、気持ち悪くて中盤以降はシラけた目でしか観られませんでした。
言いたいこと、描きたいことはよく分かるんです。
ただ、セリフ、演技、演出があまりに分かりやす過ぎて逆に「作り物」にしか見えず。あれだけ狂ってたら日常生活もまともに送れないレベルでしょう。
これは出来が悪いという意味ではなく、単に僕の「生理」に合わないというだけなのですが、とにかく視聴自体が苦痛でした。同じ話でも小説のような文字だけの表現であれば違和感なく受け入れられたと思うんですけどね…。