「失踪 ~母が消えた日~」('24)
フロリダでテニスアカデミーを経営していた一家の母親が姿を消したことで、一家の秘密が次第に明らかになっていくさまを描いたミステリ・ドラマシリーズ全7話です。主演はアネット・ベニング、共演はサム・ニール、アリソン・ブリー、ジェイク・レイシー、コナー・メリガン・ターナー、エッシー・ランドルズ、ジョージア・フラッド他。
冷めた目で観れば出来の悪い陳腐なブラックコメディという感じですが、4人の子供たちがそれぞれ性格も違えば両親との関係も異なっているのを背景から描いているので説得力があるのが![]()
とにかく、この馬鹿馬鹿しい話をどこまで許容できるかは人によって大きく異なると思いますが、自分としては、この家族がこの後どうやって生活していくのかだけはかなり気になります (^^)
「恋するプリテンダー」('23)
シェイクスピアの戯曲「空騒ぎ」を下敷きに、互いの望みを叶えるために恋人同士のふりをすることになった男女を描いたロマンティックコメディです。主演はシドニー・スウィーニー、グレン・パウエル、共演はアレクサンドラ・シップ、ガタ、ダーモット・マロニー、レイチェル・グリフィス他。
「21世紀の今の時代にこれだけ王道のロマコメ映画が作られるなんて!!」と驚きつつも、「でも、こういうのもたまにはいいよね♪」となる映画 (^^)
ストーリー自体は本当に陳腐で、全てが予想通りにしか展開しません。
が、主演2人の個性や魅力を活かし切っていて、それだけで充分に楽しめます。
特に、わかりやすい「マッチョイケメン」であるグレン・パウエルが、今の時代には存在自体がギャグでしかないとの解釈で徹底しているのはとても今風で![]()
頭の中を空っぽにして気楽に観られる娯楽映画中の娯楽映画です (^^)v
「ダム・マネー ウォール街を狙え!」('23)
ウォール街で実際に起きた「ゲームストップ株騒動」を映画化したマネーウォーズコメディです。主演はポール・ダノ、共演はピート・デヴィッドソン、ヴィンセント・ドノフリオ、アメリカ・フェレーラ、ニック・オファーマン、アンソニー・ラモス、セス・ローゲン他。
→ Wikipedia「GameStopのショートスクイズ」
「大金持ちたちを庶民が一丸となってやっつける」
という物語としては面白いのかも知れないけれど、題材が「株」という時点で何となく「乗れない」。
映画としての出来は悪くないと思いますけどね。
終始シラけた気分で観ていたのですが、役者にはちょっと目を惹かれるものがありました。
主人公の妻役のシェイリーン・ウッドリーはちょっと観ない間にすっかり大人になっていてビックリ (@o@)
一番意外だったのはセス・ローゲン。普段なら主人公側の「庶民」役をやりそうなところを今回は珍しく「悪役」。何となく漂う「小物感」は合ってました (^^)
「騎兵隊」('59)
南北戦争中の北軍の騎兵隊を舞台に、隊を率いる大佐と隊に配属された軍医の少佐、2人の男の活躍を描いたジョン・フォード監督による西部劇映画です。主演はジョン・ウェイン、ウィリアム・ホールデン、共演はコンスタンス・タワーズ、アリシア・ギブソン、ウィリス・ボーシェイ、スタン・ジョーンズ他。
史実を元にしたフィクションで「北軍の英雄を描いた娯楽映画」としては充分な出来なのでしょう。少なくとも1959年当時であれば。
でも、今の時代に観ると、気になるところだらけ。
戦争を美化せずに、残酷さや虚しさを描こうとしているのはいいのだけれど、あまりに中途半端だし、結局は綺麗事にしか見えないのです。
全く必要のないヒロインを登場させ続ける不自然さをはじめ、当時のハリウッドの限界がよくわかる映画でした。
「秘密~許せない真実~」('23)
男性惨殺事件と、それに繋がる10年前に起きた青年の自殺事件の真相を描いたサスペンス映画です。主演はキム・ジョンヒョンさん、共演はキル・ヘヨンさん、パク・ソンヒョンさん、ユン・ドンウォンさん、ファン・サンギョンさん、チェ・チャンホさん他。
韓国映画らしい、容赦のない残酷で救いのない悲劇。
観る前からある程度予想はしていましたが、その予想を遥かに上回る悲惨な物語に言葉を失いました…。
ただ、意図的に曖昧に描くことで却って差別的に見えてしまうところがあり、そこははっきりと描いた方が良かったんじゃないかなぁと。そこだけが残念。
「毒親<ドクチン>」('23)
近年韓国で大きな社会問題となっている「毒なる親」を題材に、母娘の愛憎と葛藤を描いたミステリードラマ映画です。主演はチャン・ソヒさん、共演はカン・アンナさん、チェ・ソユンさん、ユン・ジュンウォンさん、オ・テギョンさん他。
観る前から覚悟はしていましたが、それでもただただ辛い話だった…。
かなり極端に見えますが、周囲からは見えていないだけ、または当事者が自覚していないだけで、この程度に酷い「毒親」は世界中どこにでもいるんじゃないかと思えて仕方ないのです。
肉体的な虐待に比べると「見えにくい」精神的な虐待をどうしたら周囲が気づけるのか…。特に被害者が「優等生」の場合は一段と「見えにくい」だけに深刻。
今言えることは「親だからと言って絶対に敬愛しなければならないわけではなく、親との縁を切る選択肢もある」ってこと。
とにかく、あまりに悲惨な話なので、観る人の中には刺さりすぎて精神的なダメージを受けてしまう人も少なくないはず。その意味では「要注意」な映画です。
「同窓会」('24)
高校の同窓会の後、会場となった豪邸で起きた殺人事件の謎を描いたコメディミステリです。主演はリル・レル・ハウリー、共演はビリー・マグヌッセン、ジリアン・ベル、ジェイミー・チャン、マイケル・ヒッチコック、ニーナ・ドブレフ、ダイアン・ドーン、チェイス・クロフォード他。
コメディとしてはそれなりに「笑えた」けれど、ミステリとしては雑だなぁ…。
確かに筋は通っているし、共犯者については納得も行くのだけれど、殺人犯については見せ方がダメ、ミステリとしては反則。その人物が犯人なら、もっと伏線を張らなきゃダメでしょう。
トリックがあまりに単純なので謎解きの説明を聴いても頭を使うことはないし、気楽に観られるという意味では、これはこれでいいんでしょうけど。
「蛇の道」('24)
黒沢清監督が自身の映画「蛇の道」('98) を、フランスを舞台に翻案してセルフリメイクしたリベンジ・サスペンスです。主演は柴咲コウ、ダミアン・ボナール、共演はマチュー・アマルリック、グレゴワール・コラン、西島秀俊、青木崇高、スリマヌ・ダジ、ヴィマラ・ポンス他。
フランスを舞台にして、復讐を手伝う塾講師の男性を女性精神科医に変更したという大きな違いはあるものの、ストーリー自体はオリジナル作品とほぼ同じ。
その一方で、改変には良かった点も悪かった点も。
まず、悪かった点。オリジナル作品の良さは90分に満たない短い尺で一気に突っ走ることで、ストーリーそのものにある強引さや不自然さを気にならなくさせている点にあると思うのですが、30分近く尺を伸ばしたことで、どうしてもストーリーの雑さが気になってしまうのです。また、西島秀俊さん扮する患者のエピソードも意図は分からないではないですが、はっきり言って不要。
良かった点は復讐を手伝う男性を精神科医の女性に変更したこと。まず精神科医に設定したことで娘を殺された父親との出会いや彼が信頼して相棒にする経緯に説得力が増しましたし、何より女性にしたことで復讐を手伝う動機にしろ、その冷酷さにしろ、一段と「恐ろしさ」を感じさせる存在になっています。
一方、「ラスボス」の位置付けを変更した点は、主人公である父親の「罪」をさらに明確にする意図があり、悪くない改変ではあるのですが、見せ方があまりよくない。この結末に持ってくるなら、もうちょっと伏線があっても良かったんじゃないかなぁと思えてなりませんでした。
とは言え、主演の2人はもちろん、印象的な脇役に名優マチュー・アマルリックが出演しているなど、キャストも充実していますし、概ね「よく出来たリメイク」だとは思います。
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「TALK TO ME トーク・トゥ・ミー」('23)
刺激を求めて降霊の儀式を繰り返していた少女の恐怖体験を描いた心霊ホラーです。主演はソフィー・ワイルド、共演はアレクサンドラ・ジェンセン、ジョー・バード、ミランダ・オットー、オーティス・ダンジ他。
→ Wikipedia「TALK TO ME トーク・トゥ・ミー」
ホラー映画としてとても評価が高いのは納得。本当によくできてる。
ただ、僕がホラー映画に求めている「爽快感」「開放感」がなく、観終わった後には不快感しか残らず…。
もう二度と観ることはないと思います。







