Marc のぷーたろー日記 -22ページ目

「スクープ 悪意の不在」('81)

 

FBIによる情報操作によって殺人事件に関与している可能性があると報道された男性とその記事を書いた記者の女性を描いた、シドニー・ポラック監督の社会派ドラマ映画です。主演はポール・ニューマン、サリー・フィールド、共演はボブ・バラバン、メリンダ・ディロン、ルーサー・アドラー、バリー・プリマス、ジョセフ・ソマー、ドン・フッド、ウィルフォード・ブリムリー他。

 

Wikipedia「スクープ 悪意の不在」

 

メッセージ性は間違いなくあり、「価値のある映画」だとは思います。

 

ただ、主人公の男女の関係にしろ、うまく行き過ぎの結末にしろ、娯楽性という意味では「アリ」だとは思うのですが、シラけちゃったのが正直なところ。

 

もっとハードに、もっとリアルに描いても充分に娯楽性は確保できたと思うのですが、作り手がとても安易な方向に逃げたようにしか見えなかったのです。

 

好みの題材なだけに、ちょっと残念。決して悪い出来ではないんですが、期待値が高過ぎたようです。

 

「しあわせの百貨店へようこそ」('18)

 

1959年のシドニーを舞台に、百貨店のドレス売り場で働く女性たちの人生を描いたドラマコメディ映画です。主演はジュリア・オーモンド、アンガーリー・ライス、共演はレイチェル・テイラー、アリソン・マクガー、ライアン・コア、ヴァンサン・ペレーズ、スージー・ポーター、シェーン・ジェイコブソン他。

 

ストーリーそのものは、いろいろなことがうまく行き過ぎているし、21世紀の映画にしては古臭く感じる部分もありますが、悪人が全く登場せず、温かな空気で満たされた世界はとても心地よいです。しかし、だからと言って、ノーテンキに終始するのではなく、生きていれば悲しみや苦しみを抱えるのは当たり前であることもきちんと描かれており、その上で「それでも生きていく」という前向きなところもグッド!

 

また、当時のオーストラリアの労働者階級と、教養のあるヨーロッパからの移民の対比には、オーストラリア人のヨーロッパに対する憧れとやっかみという相反する感情がストレートに表れていて、そこに「オーストラリアの歴史」を垣間見られたのもグッド!

 

後味も素晴らしく、全く期待しないで観始めたのですが、本当に拾い物でした。

 

お勧め (^^)v

「ザ・ウォッチャーズ」('24)

 

M・ナイト・シャマラン監督の娘イシャナ・ナイト・シャマランの長編初監督作品で、森に迷い込んだ人間たちを毎晩監視する「ウォッチャーズ」を描いたサスペンスホラーです。主演はダコタ・ファニング、共演はオルウェン・フエレ、オリバー・フィネガン、ジョージナ・キャンベル他。

 

Wikipedia「ザ・ウォッチャーズ (映画)」

 

アイデアや雰囲気のある映像は悪くない。

 

でも、世界観の構築が雑過ぎて物語に入り込めず。

 

結末も呆気なさ過ぎて唖然としちゃったし。

 

M・ナイト・シャマランがプロデューサーを務め、自己資金で製作したそうだけれど、この出来で一般公開するなんて親バカが過ぎる。プロとして脚本と演出にもっと口を出すべきだったでしょう。あまりに稚拙な出来。

「サキュバス」('24)

 

マッチングアプリを通じて出会ったセクシーな若い女性に心を奪われたために恐るべき事態に陥っていく中年男性を描いたエロティックサスペンスです。主演はブレンダン・ブラッドリー、共演はロザンナ・アークエット、ロン・パールマン、オリヴィア・グレイス・アップルゲイト、レイチェル・クック他。

 

タイトルの「サキュバス(原題:Succubus)」とは、性行為を通じて男性を誘惑するために女性の姿で夢の中に現れる超自然的存在であるとの民間伝承がベースのあるので、そのあたりの基本的な知識がないとちょっと分かりにくい映画かも。

 

Wikipedia「サキュバス」

 

中世にまで遡る民間伝承をエロティックなサスペンスホラーとして映像化するにあたり、21世紀らしく、多くの場面がPCやスマホの画面上で展開するのは、アイデアとしては悪くない。映像としてはところどころに面白い見せ方がありましたし。

 

が、物語としてはまとめ方が雑で消化不良。観終わった後の満足感がとても低いのです。もうちょっと脚本を練って欲しかったなぁ…。

 

良いところはそれなりにあるので残念。

 

ところで、主演のブレンダン・ブラッドリーは、こういうダークな作品よりも明るいコメディの方が向いてる顔だと思う。線が細そうな顔をしてるのに、脱いだらバッキバキに鍛えたマッチョで、そのギャップには笑っちゃいましたが、それもコメディなら活きるんじゃないかな。

 

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「炎上 4Kデジタル修復版」('58)

 

三島由紀夫さんの小説「金閣寺」を原作とし、国宝の寺に放火した青年僧の苦悩と葛藤を描いた、市川崑監督による犯罪ドラマ映画です。主演は市川雷蔵さん、共演は仲代達矢さん、中村鴈治郎さん、中村玉緒さん、新珠三千代さん、北林谷栄さん他。

 

Wikipedia「炎上 (映画)」

 

原作は昔読んだきりで細かいところはすっかり忘れてしまっていますが、それでも「世界観」「空気感」はかなり原作のイメージ通りという印象。

 

中でも、本作が初の現代劇主演作となった市川雷蔵さんのハマりぶりがグッド!

 

観る前は「金閣寺」は金色であることに意味があるので、敢えてモノクロで撮ったことに疑問を感じていたのですが、実際に観てみると、小説を読んでいる時と同様の「イメージとしての金閣寺」を再現するには、むしろモノクロの方が相応しいと思うようになりました。市川崑監督が相当にこだわっていた点だったようで、それは大いに納得。

 

ただ、そもそも原作自体、さほど思い入れがあるわけでもなければ、好きな話でもないので、この映画も特に好きにはなれなかったんですけどね (^^;;;

 

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「SALAAR/サラール」('23)

 

架空の都市国家を舞台に、王位継承争いに巻き込まれた王子のために立ち上がった幼なじみの親友を描いたインドのアクション映画です。主演はプラバース、共演はプリトヴィラージ・スクマーラン、シュルティ・ハーサン、ジャガパティ・バーブ、イーシュワリ・ラーオ、シュリヤー・レッディ、ボビー・シンハー他。

 

Wikipedia「SALAAR/サラール」

 

何じゃこりゃ?!

 

同じプラバース主演の大ヒットシリーズ「バーフバリ」('15, '17)」を現代劇でやろうしたのかもしれませんが、これなら「バーフバリ」の方が数万倍面白いです。

 

プラバースは漫画の登場人物みたいな容姿なので、普通の人間の役はできませんし、現代劇となると、こういう現実離れした世界観で現実離れした役にするしかないのは理解できるので、それ自体は悪くないのです。

 

でも、これはヒドいブー

 

最初の1時間のテンポの遅さでまずダウン

 

ようやく物語が本格的に動き始めたと思ったら、結局は登場人物と背景の紹介に過ぎず、「本編」は続編。要は3時間も長大な予告映像を見せられただけ。

 

また、登場人物が無駄に多いので、主人公のキャラクターが充分に描けておらず、プラバース本人の魅力だけで押し切るテキトーさブー

 

続編を観ないことには評価はできませんが、今のところ続編をどうしても観たいと思えるほどの「引き」はこの長大な「予告編」には全くなく、本当にプラバースの「容姿の魅力」以外に何も観るべきところがありませんでした。

 

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「シビル・ウォー アメリカ最後の日」('24)

 

内戦が勃発した近未来の米国を舞台に、首都ワシントンに向かうジャーナリスト陣の視点から米国の混乱を描いた戦争アクションです。主演はキルステン・ダンスト、共演はワグネル・モウラ、ケイリー・スピーニー、スティーヴン・マッキンリー・ヘンダーソン、ソノヤ・ミズノ、ニック・オファーマン他。

 

Wikipedia「シビル・ウォー アメリカ最後の日」

 

批評的にも興行的にも成功した作品なので、ちょっと期待して観てみました。

 

現実に米国で起きている社会の分断を想起させる題材でありながら、「保守vsリベラル」の分断を内戦の原因とせず、また実際には連合するなどあり得ない州同士を連合させるなど、意図的に「現実離れ」した設定にすることで、政治的に中立のように見せるアイデアは悪くない。

 

あくまで「今の米国で内戦が起きたら」という、言ってみれば「世にも奇妙な物語」のような不条理劇として舞台を設定し、その上で内戦の悲劇だけはリアルに描くアイデアもいい。

 

評価が高いのは納得。

 

ただ、2時間程度の尺に収めるには無理のある題材で、全体として表面的で薄味に感じてしまったのも事実。テレビミニシリーズにした方が良かったんじゃないかなという気もします。

 

また、その「表面的で薄味」なせいで、中途半端なブラックコメディに見えてしまった部分もあり、そこはシリアスに振るか、コメディに振るか、どちらかはっきりさせた方がいいと思います。

「WEEKEND ウィークエンド」('11)

 

2人の青年が互いの悩みや恋愛観を赤裸々に語り合う親密な週末を描いた恋愛ドラマ映画です。主演はトム・カレン、クリス・ニュー、共演はジョナサン・レース、ローラ・フリーマン、ロレト・マレー他。

 

Wikipedia「ウィークエンド (2011年の映画)」

 

有名な作品であるにかかわらず、これまで機会がなくて観ていなかったのですが、ようやく観ることができました。

 

多くの人が既に指摘していますが、同じアンドリュー・ヘイ監督の後の作品「異人たち」('23) が、山田太一さんの小説「異人たちとの夏」を原作としつつも、そこに本作のエッセンスをうまく加えてアレンジした作品であることがよく分かります。

 

ただ、本作は会話シーンがあまりに多く、そこがちょっとクドく感じられたりもしたのですが、それでも、対照的な性格の2人の青年が、考え方の違いから衝突することもありながら、ごく自然に強く強く結びついていくさまは胸に迫るものがありました。特に、強がって生きている青年が最後になって溢れ出してしまった感情にはグッと来ましたし、一方の控えめに生きてきた青年が彼にとっては思い切った行動を取るなど、2人の変化の描き方も見事。

 

安易なハッピーエンドでもなければ、救いのないバッドエンドでもなく、切なくも温かみのある結末は余韻があってグッド!

 

もっと早く観ておけばよかったと激しく後悔しました。

 

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「クリーンアップ 最強の掃除人」('24)

 

犯罪の現場を清掃する業者の4人組が、大金の入ったケースの争奪戦に巻き込まれるさまを描いたクライムアクションです。主演はジョナサン・リス・マイヤーズ、共演はアントニオ・バンデラス、メリッサ・レオ、スウェン・テメル、エカテリーナ・ベイカー、コナー・ミューレン他。

 

映画館ではなく、配信で観るんであれば、これでも充分かなと思わなくてもないけど、いくらなんでもテキトー過ぎ。

 

いわゆる「オフビート」な犯罪コメディをやりたかったのは分かるものの、とにかく全てが雑過ぎて話にならない。緩けりゃいいってもんじゃないでしょ。

 

コメディなのに滑りまくっていて全く笑えない。

 

サスペンスなのに緊張感がなさ過ぎてハラハラもドキドキも全くない。

 

アクションなのにスピード感がなさ過ぎて迫力が全くない。

 

これらの欠点は分かっていて敢えてやってる感じもしますが、いずれにせよ、ことごとく失敗してる。

 

この出来で何故OKになったのか謎。

 

お蔵入りにすべきレベル。

 

それにしても、アントニオ・バンデラスとメリッサ・レオの2人は何故こんな映画に出たんでしょ?

「フィリップ」('22)

 

当局の検閲を受けた短縮版が1961年に出版されたものの、すぐに発禁処分となり、2022年になって無削除版が刊行された、レオポルド・ティルマンドの自伝的小説を原作とし、第2次世界大戦中にユダヤ人であることを隠して復讐に挑む孤独な青年の運命を描いたポーランドの歴史ドラマ映画です。主演はエリック・クルム・ジュニア、共演はヴィクトール・ムーテレ、カロリーネ・ハルティヒ、ゾーイ・シュトラウプ、サンドラ・ドルジマルスカ他。

 

心揺さぶるストーリーだということは頭で理解できているのに、これっぽっちも響かず…。

 

「復讐」の仕方が姑息でセコいので主人公に全く共感できなかったのは大きい…。中途半端なメロドラマも陳腐でシラけるし。

 

さらに、これだけ危ない橋を渡ってるのに、何故か主人公だけが無事に切り抜けられてしまう都合の良さも釈然とせず…。

 

最初から最後までただただ「not for me」な映画でした。