Marc のぷーたろー日記 -23ページ目

「落下の解剖学」('23)

 

人里離れた雪山の山荘で起きた、男性の不審な転落死事件をめぐる複雑な真実を描いたサスペンス映画です。主演はザンドラ・ヒュラー、共演はスワン・アルロー、ミロ・マシャド・グラネール、アントワーヌ・レナルツ、サミュエル・タイス他。

 

Wikipedia「落下の解剖学」

 

派手な演出は一切なく、ドキュメンタリー映画のような淡々としたタッチで2時間半もの尺がありながら、張り詰めた緊張感と、出演者の説得力のある演技のおかげで、最後まで目が離せませんでしたが、観終わってみると、話としては大して面白くもなく。

 

ただ、ストーリーそのものや事件の真相云々よりも、事故や自殺の可能性も充分ある上に、そもそも物的証拠も目撃者もなく、明確な動機もないのに、状況証拠だけで検察が起訴するのはフランスも日本と同じなんだなということが一番印象に残りました。

「キャッシュアウト」('24)

 

貸金庫を襲撃したものの、銀行に立てこもるはめになった強盗団の運命と、貸金庫に隠されていた「宝」の行方を描いたクライムアクションです。主演はジョン・トラヴォルタ、共演はクリスティン・デイヴィス、ルーカス・ハース、クエヴォ、ノエル・グーリーエミー、ナタリー・ユラ、アレックス・ハート他。

 

「いつものトラヴォルタ主演のB級映画」だと分かっていたので、映像のチープさやストーリーのテキトーさは想定内のはずでしたが、その予想をはるかに下回る酷過ぎるオチにダウン

 

いくらB級映画だからって、このオチはないでしょう。テキトーにもほどがある。

 

この脚本でどうして制作にGOサインが出たんだろ? それが最大の謎。

 

ただ、ドローンを使ったと思われるカメラワークには何箇所か「おっ!!」と目を引かれるものがあり、それだけはグッド!

 

屋外のシーンだけでなく、屋内でも同様のカメラワークがあり、それはかなり新鮮味がありました。

「ブリーディング・ラブ はじまりの旅」('23)

 

長年疎遠だった父娘が、ドライブの旅を通じて関係修復を試みるさまを描いたドラマ映画です。主演はユアン・マクレガー、クララ・マクレガー、共演はキム・ジマー、デヴィン・マクダウェル、ヴェラ・ブルダー他。

 

視聴はかなり苦痛だった…。

 

主人公の父娘にしろ、父親の現在の妻にしろ、父親の元妻で娘の実母にしろ、主要な登場人物がことごとく「それはダメでしょ…」ってことばかりするんですから…。

 

それらの言動を個々に見れば、「良くはないけど、仕方ないか…」と割り切れるものではあるのですが、そういった言動が延々と続くと、いくらなんでも「嘘っぽい」となっちゃう。

 

ただ、終わり方だけは良かったので、後味は悪くなく、そのおかげで、それまでの苦痛もかなり和らぎました。でも、もう二度と観ることはないと思います (^^;;;

「クワイエット・プレイス:DAY 1」('24)

 

音に反応して襲いかかる「何か」にほとんどの人間が殺されて荒廃した世界でサバイバルに挑む家族を描いたサスペンスホラー「クワイエット・プレイス」シリーズの前日譚となるスピンオフ作品です。主演はルピタ・ニョンゴ、共演はジョセフ・クイン、アレックス・ウルフ、ジャイモン・フンスー他。

 

Wikipedia「クワイエット・プレイス:DAY 1」

 

流石に同じネタで3作目ともなると、多少「飽き」も感じてしまうのですが、これまでの2作のような「家族」を主人公にせず、ありがちな「女性を守って男性が死ぬ」結末でないなど、新鮮な味付けをしているのがグッド!

 

ルピタ・ニョンゴとジョセフ・クインの演技も説得力があり、娯楽映画として良くできている作品でした。

 

関連記事

「デイ・アフター・トゥモロー・ウォー」('21)

 

超越的存在に支配が委ねられた未来を舞台に、巨大な壁に囲まれた都市で自由を奪われた生活を余儀なくされている人々の姿を描いたグアテマラのディストピアSFです。主演はセシリア・ポラス、共演はフアン・パブロ・オリスラゲル、アルバロ・サゴーネ、アレクサンデル・アルサーテ、メルセデス・アリビラガ、アレックス・ラモス、ヨランダ・コロナード他。

 

グアテマラの現代史をモチーフに、中南米から北米への不法移民を食い物にする悪徳ブローカーという今現在の問題を絡めた舞台設定は確かに「興味深い」です。しかし、グアテマラの現代史を深く知る人であれば「行間」をいろいろと読み取れるのかも知れませんが、そうでない自分にはよくある普通のディストピア映画としか思えず。確かに胸の痛む話ではあるんですが…。

 

「近未来SF」になどしないほうが良かったんじゃないでしょうか?

「フューチャー・ウォーズ」('22)

 

人類絶滅が迫る2555年から、地球を救うために現代にやって来たタイムトラベラーの奮闘を描いたフランス・ベルギーのSF映画です。主演はフロラン・ドラン、エンヤ・バルー、共演はアルノー・デュクレ、ラファエル・デクラック、スリマヌ=バティスト・ベルン、マチュー・ポッジ、オドレイ・ピロー他。

 

中学生が書いたとしか思えない陳腐で幼稚な脚本なのは予想通りなので別にいいのですが、世界観をはじめとして、全てが雑過ぎダウン

 

あまりに雑過ぎて突っ込む気力も失くすレベル。

 

それでも、深刻な話を過剰なまでにコミカルに描いて陰鬱さを徹底して排除しているとか、物語の決着の付け方は悪くなかったんですけどね…。

 

もともとはフランスではカルト的人気のWebドラマだったそうですが、フランス人とのセンス(≒こだわるポイント)の違いを感じるばかりでした。

「サウンド・オブ・メタル~聞こえるということ~」('19)

 

両耳の聴力を失うと診断されたロックバンドのドラマーの男性を描いたドラマ映画です。主演はリズ・アーメッド、共演はオリヴィア・クック、ポール・レイシー、ローレン・リドロフ、マチュー・アマルリック他。

 

Wikipedia「サウンド・オブ・メタル 〜聞こえるということ〜」

 

想像していた内容とはだいぶ違っていて驚きましたが、微妙な違和感も。

 

中盤までは、障害を扱った作品として比較的普通の話。

 

ところが、中盤以降の展開、特に作り手が描こうとしているポイントが新鮮。邦題で加えられたサブタイトル「聞こえるということ」が実は本作のテーマだったのです。

 

ただ、その意図は分かるものの、どうしても引っかかるところがあって、イマイチすっきりしない…。

 

「聞こえないこと」は障害ではなく、個性であり、治すものではないとの主張は、それを絶対の正義のようには描いていないし、そういう考え方があるのも理解はできるものの、コミュニティに属する人たちは全員が本当に納得しているんでしょうか?

 

また、そもそも、保険もきかず、高額の費用がかかる手術に対して、その結果がどうなるかを事前に全く確認しない主人公にも不自然さを感じてしまいます。

 

健聴者が一般的に抱いているであろう価値観とは違うものを見せようという作り手の意図は分かるし、観ている者にも主人公と同様の「聞こえにくい状態」や「聞こえない状態」を体験させる演出もいいとは思うのですが、釈然としないもやもやばかりが残る映画でした。

「ある閉ざされた雪の山荘で」('24)

 

東野圭吾さんの同名ベストセラー小説を原作とし、舞台の主役を決める選考合宿のため、ある山荘に集まった7人の役者たちが、次々と姿を消していく事件の謎を描いたミステリ映画です。主演は重岡大毅さん、共演は間宮祥太朗さん、中条あやみさん、岡山天音さん、西野七瀬さん、堀田真由さん、戸塚純貴さん、森川葵さん他。

 

Wikipedia「ある閉ざされた雪の山荘で」

 

原作は未読なのでどこまで原作通りなのかはわかりませんが、配信で観るにはちょうどいい映画という感じ。映画館に足を運んでまでして観るほどのものじゃない。

 

最初から一貫して不自然でぎこちない無理のある話で、それ自体が伏線になっているのはすぐに分かってしまうので、結末に驚きはなく。

 

物語の構造的面白さはあるけれど、本当にそれだけ。キャラクター造形は安易で、その描写も薄っぺらく、観終わった後に本当に何も残らないのです。

 

また、主人公が感動した演技を具体的に見せてしまう演出はダメ。

 

ありきたりかも知れませんが、こういう主観的なものは無音にするなどしてぼやかすべき。少なくとも実際に映像化されたものは見ている方が恥ずかしくなるレベルの演技で「これのどこに感動できると言うのか?」としか思えませんでしたから。

 

こんなわけでダメなところばかり論いましたが、単なる時間潰しの娯楽作品としては、これでも充分なのかなとは思います。

「禁忌島」('24)

 

南太平洋に浮かぶポリネシアを舞台に、正体不明の島民たちに襲われたサーフィン仲間の女性たちのサバイバルを描いたフランスのスリラー映画です。主演はアデル・ギャロワ、共演はマリー・ザブコヴェック、マリリン・リマ、オーレリアン・ルコワン他。

 

人里離れた地に遊びにやって来た余所者が次々と殺されて行くというホラー映画の定番設定を使いつつも、そこにフランスがかつてポリネシアで犯した罪だとか、白人の傲慢さといった要素を加えて「深み」を与えようとしたのでしょうが、その加え方も描き方もことごとく間違っていて、単に不謹慎なだけの映画に。

 

そもそもスリラーとして全然面白くない。

 

登場人物たちの言動も不自然でツッコミどころしかないし、この脚本でよく予算が付いたなぁとしか思えませんでした。

「ディア・ファミリー」('24)

 

ノンフィクション作家・清武英利さんによる実録小説を原作とし、心臓疾患がある娘を救うため人工心臓開発に全力を注ぐ父親を描いたドラマ映画です。主演は大泉洋さん、共演は菅野美穂さん、福本莉子さん、新井美羽さん、川栄李奈さん、有村架純さん、松村北斗さん、光石研さん他。

 

Wikipedia「ディア・ファミリー」

 

観る前は、予告編のイメージもあって、もっとあざとく泣かせようとする映画なのかと思っていたのですが、そのあたりはかなり控えめで、そのおかげもあって、心に突き刺さるというよりは、心に沁みるストーリーになっていたのはグッド!

 

比較的よく知られた話なので、特に意外な展開もなく、予想通りの展開しかしませんが、大泉洋さんのハマりぶりと説得力のある演技のおかげで最後まで目が離せませんでした。

 

個人的には川栄李奈さんが演じた長女のキャラクターが魅力的で強く印象に残りました (^^)