「アルティメット・ハルマゲドン 堕天使を撃て」('24)
謎の男から人類を滅ぼそうとたくらむ大天使ミカエルから世界を救えと命じられた元米海軍兵を描いたファンタジーアクション映画です。主演はジョシュ・バーデット、共演はキューバ・グッディング・ジュニア、ランディ・クートゥア、デニース・リチャーズ、マイケル・テイ他。
重い厨二病を患った中学生が書いたような雑でテキトーな脚本をそのまま恥ずかしげもなく映像化しちゃう神経の図太さには呆れるよりも感心しちゃうけれど、ジョージアの首都トビリシを舞台にしたロケシーンだけは雰囲気があって![]()
「マンティコア 怪物」('22)
空想のモンスターを生み出すゲームデザイナーの内気な青年が、いつしか自分の心の闇に思いも寄らぬ怪物を宿らせていくさまを描いた心理サスペンスです。主演はナチョ・サンチェス、共演はソエ・ステイン、アルバロ・サンス・ロドリゲス、アイツィベル・ガルメンディア他。
オカルトファンタジーのようなものを想像していたら、全然違った (^^;;;
現実的な心理サスペンスで、ストーリー自体は比較的分かりやすいし、あり得る話だなぁとは思います。
それでも、この映画の作り手がこの映画を通して何を描きたかったのかが分からず。
「人間の心の闇」を描きたいのだと思いますが、それにしては描写が中途半端だし、エンディングも「それでいいの?」と言いたくなるし。
結局、主人公のような人をどうしたいの? 断罪したいの? 救いたいの?
イマイチ、どこにピントを合わせているのか分からない映画でした。
「コンセント/同意」('23)
自らの小児性愛嗜好を売りにした背徳文学の人気作家で当時50歳だったガブリエル・マツネフと14歳で性的関係を結んでいたヴァネッサ・スプリンゴラが、30数年の歳月を経てその実態を暴露したベストセラー小説「同意」を映画化したドラマ映画です。主演はキム・イジュラン、共演はジャン=ポール・ルーヴ、レティシア・カスタ、エロディ・ブシェーズ、ジャン・シュヴァリエ他。
ただただ悍ましい話でした。
マツネフが少女を「籠絡」する手法があまりに巧みで、こうやって騙された少女たちは大勢いるであろうことが容易に想像できてしまって寒気がするばかり。
確かに14歳くらいで知識や教養がある「賢い」子供たちは周囲の同年代の子供たちが幼稚に見えてしまうでしょうし、年上の「成功」している大人に憧れ以上の感情を抱くのは理解できます。マツネフはその感情を悪用し、自分を「崇拝」する「信者」、というよりも「奴隷」になるように「洗脳」していたわけです。
そしてさらに悍ましいのは、親を含めた周囲の大人たちが、マツネフの悪行を知りながら、それを止めるための努力をほとんどしていないこと。当時は問題の深刻さを社会が充分に認識していなかった時代でしたし、警察に通報しても深く捜査してくれる時代ではなかったとは言え、もうちょっと何とかならなかったのかと思えてなりません。
ヴァネッサ・スプリンゴラが告発したことでようやく司法も動いたそうですが、「被害者」本人が声を上げて実情を詳らかにしない限り、告発できないというのは本当に残酷な話。それでもマツネフが存命中に告発できたのだけは(たとえ時効で司法に裁かれることはなかったにしても)本当に良かったと思います。
とにかく、観応えがありました。
「チャイコフスキーの妻」('22)
19世紀ロシアの天才作曲家チャイコフスキーの妻として、これまで「世紀の悪妻」との悪評を被ってきたアントニーナを彼女の視点から描いた伝記ドラマ映画です。主演はアリョーナ・ミハイロヴァ、共演はオジン・ルンド・バイロン、フィリップ・アヴデーエフ、ユリア・アウグ、ナタリア・パブレンコワ他。
ただただ切なく虚しい話だったなぁ…。
アントニーナのことは既に色々と知っていましたので、この映画で新しく知ったことはほとんどないのですが、映像で見せられると一段と彼女の哀れさが際立ちます。
「愛とは執着である」との言葉通りの生き方しかできなかった女性は彼女に限った話ではないですが、その多くが一般的に「最初は確かに何らかの愛があった」のに対して、彼女に関しては最初から一方通行の愛であり、チャイコフスキーが世間体を保つために彼女の気持ちを利用しただけなのは、ただただ悲しい…。
最後の最後まで「少なくとも表向きには」チャイコフスキーとは愛し合っていたと言い続け、チャイコフスキー本人を貶めることがなかった彼女は、チャイコフスキーにとって、結果的には「都合の良い妻」だったのは皮肉。
映画としては舞台劇調の演出が、「インフル病みのペトロフ家」('21) のキリル・セレブレンニコフ監督らしい「こだわり」なのは分かりますが、ちょっと邪魔でノイズになっていたのは残念。好みの問題なので好きな人は少なくないでしょうが、自分には微妙に合いませんでした。
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「リアリティ」('23)
2017年に起きた、米国家安全保障局(NSA)で働く女性が国家機密を漏洩させた「リアリティ・ウィナー事件」で、その女性の自宅にFBI捜査官が訪問してからの1時間半弱を再現した舞台劇を映画化したサスペンス映画です。主演はシドニー・スウィーニー、共演はジョシュ・ハミルトン、マーチャント・デイヴィス、ベニー・エレッジ、ジョン・ウェイ他。
非常に映像を意識した作りになっているので原作が舞台劇というのは意外。むしろ、この内容を舞台でどうやって表現していたのか興味が湧きます。
題材が題材だけに、政治色があるのは仕方ないのですが、それでも映画自体は比較的中立な視点で描かれており、リアリティ・ウィナー本人を必要以上に擁護もしなければ、糾弾もしていないのは![]()
また、罪の大きさに対して刑が重すぎる点については、観る側に「あなたはどう思いますか?」と問うスタンスなのも良いと思います。
ただ、背景を何も考えずに、純粋に1本の映画(北米ではテレビ放映)として観ると、取り立てて「面白い」わけではなく、「丁寧に再現したな」くらいの感想しかないんですけどね (^^;;;
「ウエディング・ゲスト 招かれざる客」('18)
花嫁を誘拐してパキスタンからインドに連れ出す仕事を請け負ったものの、想定外の事態によって花嫁と共に逃亡生活を送ることになった男を描いたサスペンス映画です。主演はデヴ・パテル、共演はラーディカー・アープテー、ジム・サルブ、ハリシュ・カンナ他。
タイトルだけ見るとよくあるロマコメっぽいですが、全然違う (^^;;;
ただ、逃亡劇を描いたサスペンスにしては追手の影が全くないので緊張感はないし、全体として抑揚がなく、予想通りの結末も含めて、ストーリーそのものに面白さはないです。
それでも、パキスタンやインドの異国情緒感、デヴ・パテルのハマりぶりだけで、何となく飽きることなく最後まで観られちゃう。少なくともデヴ・パテルのファンなら充分に楽しめると思います。
「デヴ・パテルのアイドル映画」ってことなんでしょう (^^)v
「Four」('12)
米国の劇作家クリストファー・シンの処女作である1998年の同名戯曲を原作とし、独立記念日の夜を過ごす2組のカップルを描いた恋愛ドラマ映画です。出演はウェンデル・ピアース、エモリー・コーエン、アヤ・ナオミ・キング、E・J・ボニーリャ、ヨロンダ・ロス、リアム・ベンツヴィ、キャスリン・メイズル他。
原作が1990年代末に書かれた作品なので、現代の感覚からすると、ちょっと古臭く感じる部分もありますが、郊外の平凡な町で暮らす平凡な人々が抱えている孤独や不満、欲望などを赤裸々に描いており、普遍性のあるストーリーではあります。
また、演じる4人の俳優も好演しており、その点は観応えがあります。
が、映画全体としては、ちょっと物足りない。舞台劇であれば、同じ内容でも生の演技で充分に楽しめると思うのですが、映像作品としてはインパクトが弱く感じられてしまうのです。
ところで、最近ではぽっちゃり気味の個性派俳優のイメージがあるエモリー・コーエンですが、当時まだ20歳くらいだった本作では、あどけなさの残る可愛らしい少年のようで、10数年の月日の長さを思いっきり感じてしまいました (^^;;;
「お母さんが一緒」('24)
三姉妹が親孝行のために母親を連れ出した温泉旅行の行く末を描いたコメディ映画です。主演は江口のりこさん、内田慈さん、古川琴音さん、共演は青山フォール勝ちさん他。
ここまで姉妹同士の仲が悪く、しかも3人とも母親を嫌っているのに、どうして家族旅行をすることにしたのか謎でしたが、結局は、孝行したいと思うほどには母親を愛しているし、三姉妹も所謂「喧嘩するほど仲が良い」関係であるというオチは、悪くはないのですが、僕の好みではありませんでした。
三姉妹のキャラクター造形にしろ、その3人によって語られる両親の姿にしろ、コメディとして誇張はあるにしても、現実味があり、その生々しさのせいで観ている間はただただしんどく、家族全員が互いに完全に縁を切った方がいいとしか思えなかったのです。
「九十歳。何がめでたい」('24)
直木賞作家・佐藤愛子さんのベストセラーエッセイ集「九十歳。何がめでたい」「九十八歳。戦いやまず日は暮れず」を映画化したコメディ映画です。主演は草笛光子さん、共演は唐沢寿明さん、藤間爽子さん、木村多江さん、真矢ミキさん他。
エッセイの映像化作品ではありがちなので観る前から予想はしていましたが、エッセイを映像化した部分は面白いのに、それ以外の「追加」部分がノイズ。とにかく陳腐で退屈。
エッセイ集をそのまま映像化しても「映画」にはならないので、「物語」にするために色々「足す」のは分かるんですけど、もうちょっと工夫が欲しかったです。
「シャドーランド」('24)
高齢の元大統領を執拗に悩ませ続けている悪夢に秘められた陰謀に気付いた精神科医を描いたスリラー映画です。主演はジョン・ヴォイト、マートン・チョーカシュ、共演はローナ・ミトラ、フィリップ・ウィンチェスター、ショーン・マグワイア、アレクサンダー・カリム他。
一般的にこの手の映画では、精神科医の方が大活躍すると思うのですが、最終的には陰謀のターゲットである元大統領が最も活躍するという、往年の大スターであるジョン・ヴォイトのための「接待映画」としか思えない内容 (^^;;;
キャストはそれなりに充実しているのに漂いまくるB級感は、映像のチープさのせい。もうちょっと照明や撮影を工夫すれば、だいぶマシになったんじゃないかなぁと思えてなりません。
シリアスなスリラーのつもりで作ったけれど、いろいろと間違ってコメディになってしまった映画と思えば、充分に面白いと思います (^^)








