COME TRUE/カム・トゥルー 戦慄の催眠実験
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人間が見ている夢を映像でモニタリングする実験に参加した被験者たちに起こり始めた奇妙な現象を描いたサスペンスホラーです。主演はジュリア・セーラ・ストーン、共演はランドン・リブロン、カーリー・リスキー、クリストファー・ヘザリントン、テドラ・ロジャース、ブランドン・ヴァンダーウェイン他。
好みの題材なので、それなりに楽しめましたし、オチは想定内で全く驚きはなかったものの、そのオチ自体は悪くないです。
が、このオチに持っていくなら、それまでの描き方には違和感あり。
このオチなら、完全な1人称の物語であるべきで、実際、終盤までは主人公を中心に描かれていたのに、急に研究員の男性視点に変わってしまったのはダメ。この物語の構造全体を否定することになっちゃう。
そういう細かいところへの配慮がないと、ご都合主義の展開とオチにしか見えなくなっちゃうってことに作り手の誰も気が付かなかったのかなぁ…。好みの題材と話だっただけに残念。
ただ、そもそもこの題材だったら長編ではなく、30分程度の短編の方が良いと思います。
自然豊かな高原に位置する長野県の町を舞台に、グランピング施設建設計画によって町の平和が脅かされていくさまを描いた、濱口竜介監督によるドラマ映画です。主演は大美賀均さん、西川玲さん、共演は小坂竜士さん、渋谷采郁さん他。
題材自体は昔からよくある陳腐なもの。
ところが、既存の作品とは全く異なるアプローチで見せるところに濱口竜介監督の非凡さを感じます。
とにかく、主人公の父娘の存在感と説得力が見事。
父を演じた大美賀均さんは俳優ではなく、本来はスタッフだそうですが、よくぞここまでハマる人を見つけたと感心するばかり。
温厚で穏やかでありながら、「この人を絶対に怒らせてはいけない」と思わせる凄みがあり、物語自体は淡々としていながら常にピンと張り詰めた緊張感を漂わせていて![]()
また、娘役の西川玲ちゃんは単に可愛らしい少女というのではなく、神秘的な雰囲気があり、何か「この世の者ではない」と感じさせるものがあります。
そんな2人が演じる父娘のラストシーンはあまりに唐突なので、一瞬、何かを観落としてしまったのかと思ったほどですが、これは確かに観終わった後に観た人同士で語り合いたくなるエンディング。
安易で綺麗事なオチをつけず、観る者に深く考えさせる結末は、好みの分かれるところではあると思うのですが、僕は大いに気に入りました。今もまだいろいろと考えてしまうし、考え続けたいです。
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第2次世界大戦時の実話をもとに、撃沈した船の遭難者たちを救助し、彼らを安全な港まで運ぶため敵の支配海域突破に挑んだイタリア海軍潜水艦の運命を描いた戦争ドラマ映画です。主演はピエルフランチェスコ・ファヴィーノ、共演はマッシミリアーノ・ロッシ、ヨハン・ヘルデンベルグ、パオロ・ボナチェッリ、シルヴィア・ダミーコ、アルトゥーロ・ミュゼッリ他。
→ Wikipedia「コマンダンテ・カッペリーニ (潜水艦)」
確かに「美談」だし、それを知ることができたという意味では観て良かったと思っています。
が、登場人物たちの心情が詩のようなモノローグで延々と語られるのにはゲンナリ。イタリア人の嗜好なのかもしれませんが、クドすぎて耐えられず…。
ストーリーそのものや映像自体は悪くなかっただけに、好みとかけ離れた見せ方に、ただただ「not for me」としか感じられない映画でした。
不妊治療クリニックを経営する女性医師が、患者や夫の連れ子である娘の存在を通して自身の人生を見つめ直すさまを描いたノルウェーのドラマシリーズ全8話です。主演はピヤ・シェルタ、共演はヤコブ・セーダーグレン、オラ・G・フルセット、マリアン・ホーレ、サラ・コラーミ、アーネ・スクムスヴォル、エルレ・エストラート他。
不妊治療の光と影、特に影の部分にフォーカスし、「ビジネス」化の問題や法的・倫理的問題を絡めつつ、子供の命を救うためなら何でもする親の姿など、理屈では割り切れない人間の心を丁寧に描いていて、観応えがありました。
ストーリーそのものに意外な展開は特になく、生殖医療に関しても既に知っている内容ばかりでしたが、それらを組み合わせてうまくまとめ上げたという印象。
結末も「あぁ、やっぱり」という感じで意外ではなかったのですが、そもそも、何が「正しい」か「正しくない」かを簡単に判断できる話ではないので、観ている側に「あなたならどうする?」という問題提起としてはいいのかなと思います。
主人公たちの「身勝手さ」に感情移入しづらい部分はありつつも、それでも同じ状況や立場で、同じ権限や能力があれば、自分も同じことをしてしまうかもと思わせるだけの説得力はありました。
裕福な家庭出身の白人青年と、奔放なシリア移民2世の青年を描いたオランダの青春ロマンティックコメディです。主演はヨシャ・ストラドフスキー、マジド・マルド、共演はイェニー・アリアン、タニャ・ジェス、メロディ・クラヴァー、ナズミエ・オラル他。
→ Wikipedia「Just Friends (2018 film)」
2人の主人公の一方の母親は酷い人種差別主義者。
もう一方の母親は保守的。
そんな2人の母親が主人公2人の仲を引き裂く物語のように見せておきながら、そうは全くならないというのは、現実の世界で考えれば悪くないのだけれど、「物語」としてはちょっと肩透かしと言うか、「綺麗事」感は否めず。
まぁ、難しいことを考えずに、気楽に観ればいいんでしょうけどね。
大学入学を目前にした新入生が、先輩や同輩たちとばか騒ぎに興じて青春の門をくぐり抜けるさまを描いた、リチャード・リンクレイター監督による青春コメディです。主演はブレイク・ジェナー、共演はゾーイ・ドゥイッチ、グレン・パウエル、ワイアット・ラッセル、オースティン・アメリオ他。
→ Wikipedia「エブリバディ・ウォンツ・サム!! 世界はボクらの手の中に」
スポーツで奨学金をもらって大学に進学するのはよくある話だけれど、考えてみると、大学生を主人公にした青春映画で、そういうスポーツ選手の大学生を主人公にしたものってあまり観た記憶がなかったなぁと。
自分とは縁遠い世界の話でしたが、それが逆に新鮮で、本当に馬鹿馬鹿しい話なのに最後まで飽きることなく楽しむことができました。
学生時代に野球部で活躍したというリチャード・リンクレイター監督だからこそ作れた映画という感じ。映画的な誇張はあるにしても、その「空気感」には説得力があって、1980年当時の大学の運動部の世界を垣間見たような気分を味わうことができました (^^)
実話をもとに、囮捜査官として偽の殺し屋に扮することになった大学講師を描いたブラックコメディです。主演はグレン・パウエル、共演はアドリア・アルホナ、オースティン・アメリオ、レタ、エヴァン・ホルツマン他。
観る前は、もっとハイテンションのドタバタコメディなのかと思っていたのですが、やはりリチャード・リンクレイター監督作品だけあって、かなり落ち着いたムード。それが逆にブラックコメディとしての可笑しさを増福させている感じ。
どういう結末を迎えるのかと思いきや、これまた「何じゃこりゃ!?」ではあるのだけれど、ローテンションなおかげで妙に笑える (^O^)
予想以上に楽しめました (^^)v
「マッドマックス」シリーズ第5作で、前作「マッドマックス 怒りのデス・ロード」('15) の準主人公だった女性戦士フュリオサの過去を描いたアクション映画です。主演はアニャ・テイラー=ジョイ、共演はクリス・ヘムズワース、トム・バーク、チャーリー・フレイザー、ラッキー・ヒューム、ジョン・ハワード、アリーラ・ブラウン他。
「マッドマックス」シリーズらしいクレイジーさで、今回も面白かったし、キャストも予想以上に合っていて良かったのだけれど、延々とほぼアクションだけで2時間半というのは流石に長過ぎ (^^;;;
前作の尺は2時間で、映画というよりもテーマパークのアトラクションのような迫力で一気に突っ走り、観終わった後に強烈な疲労感があったのですが、今作は疲労感を抱く前に飽きちゃいました (^^;;;
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英国の人気作家アンソニー・ホロヴィッツの同名小説をホロヴィッツ自ら脚本を担当して映像化した作品で、同じホロヴィッツ原作の「カササギ殺人事件」('22) の続編となるミステリシリーズ全6話です。主演はレスリー・マンヴィル、共演はコンリース・ヒル、ティム・マクマラン、アレクサンドロス・ログーテティス、ダニエル・メイズ、ウィル・チューダー他。
前作と比べると、主人公が事件の謎を追うことになるきっかけにちょっと無理があるし、謎解きそのものにも少々釈然としない部分がありましたが、それでも気楽に観られる娯楽作品として充分に楽しめました (^^)v
前作同様の構成が今回も効果的で、是非とも同じ構成でさらにシリーズ化して欲しいです (^^)
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脚本家・山田太一さんの1987年の同名小説を原作とし、12歳の時に交通事故で亡くなった両親と再会する40歳の脚本家男性を描いたファンタジードラマ映画です。主演は風間杜夫さん、共演は片岡鶴太郎さん、秋吉久美子さん、名取裕子さん、永島敏行さん他。
大昔に観て以来、久しぶりに観てみました。
記憶していた以上に主人公が自分の心情のほとんど全てをモノローグで語っていて「こんなに分かりやすかったんだ」というのが一番の印象。
それ以外の感想は大昔に観た時と全く同じ。
亡くなった両親との邂逅と別離は本当に心が動かされるのだけれど、名取裕子さん演じる謎めいた女性「ケイ」に関しては「う〜む」としか思えず。
伝統的な日本の幽霊譚としては定番で、男性にとって「都合が良過ぎる女」というキャラクター設定もいいんですけど、若くてゴージャスな美女である時点で説得力がなく、ミスキャストとしか思えないのです。同じ美女でも地味で薄幸そうな見た目でなきゃダメでしょ。
また、お盆の文化に基づいたしっとりと落ち着いた物語だったのに、終盤で急に「スプラッタホラー」のようになってしまうのは、この映画が元々「夏休みのゾンビ映画」との企画から始まったことに起因するのは分かりますが、それにしても、それまでのシーンとトーンが違いすぎて違和感しかありません。
というわけで、初めて観た時と同様、「傑作」でもあり、「ヘンテコ作品」でもある、不思議な映画との感想は今回観ても変わりませんでした。
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