展覧会に行って来ました。


池大雅は文人画、南画で有名ですが、七歳にて書の神童といわれ、早熟の画家で二十代から活躍。
でも日本では85年ぶりの個展なのですね。


第1章 天才登場―大雅を取り巻く人々

大雅・涌蓮・売茶翁像 三熊思孝 自賛 3幅対 天明6年(1786)
池大雅は丸顔で人の良さそうな風貌であること(気難しいかと思ってました)

しかし才能は豊富で、七歳で書を学び始め、萬福寺十二世・杲堂元昶から「神童」とまで称されました。
その後15才で扇屋を開いて、生計をたてていました。しかし最初はなかなかうまく行かなかったそうです。
しかし、交友範囲も広くて、大和郡山藩の重臣だった柳沢淇園とは早くから、支えられて活動してきました。

池大雅居室図
制作拠点を絵に残すとは、あまり見たことないですね。部屋は三畳だったとか。

張仲景像 池大雅 高芙蓉 1幅 寛延2年(1749)
旅先の金沢で描いたもの、そうなのです、旅先で目にした自然を実感に基づく風景、真景図が、以降の画業の主要テーマや、作品に大きな役割を果たします。

竹石図 池大雅 宮崎筠圃 1幅 江戸時代(18世紀)
笹の葉の切れ味が鋭い

売茶翁像 池大雅 月海元昭(売茶翁) 1幅 江戸時代(18世紀) 出光美術館
売茶翁は出光美術館で見たことあるかも。
60才越えて京都でお茶売って生活していたらしい。

葛の葉図(狸図) 池大雅 白隠慧鶴 1幅 江戸時代(18世紀)
白隠の賛って(笑)薄くて読めませんでした。

山水図 池大雅 悟心元明・終南浄寿 1幅 宝暦元年(1751)
遠近法がよく効いています。

第2章 中国絵画、画譜に学ぶ
単なる町絵師だった大雅、手本にしたのは以下の2つ。

芥子園画伝 初集 5冊 中国・康熙18年
(1679)序
八種画譜 8冊 宝永7年(1710)刊 京都国立博物館

渭城柳色図 池大雅筆 新潟・敦井美術館(通期展示)
若き頃の作品。
送別の品として贈ったもの。

風雨起龍図 池大雅 1幅 延享3年(1746)
水中から、スケール感が素晴らしい。
実物は龍がバッチリ見えました。

他にはこんな作品気に入りました。

竹梅双清図 池大雅 伊藤蘭嵎 1幅 延享2年(1745)
濃淡がポイント。

赤壁舟遊図 池大雅 1幅 寛延元年(1748)
遠景に誘導する構図です。

高士訪隠図屏風 池大雅 6曲1隻 寛延3年(1750) 京都府(池大雅美術館コレクション)
細かさが気になりました。

実に多彩です。

第3章 指墨画と様式の模索
柳沢淇園らが実践した指墨画は、本来即興性の強い、パフォーマンスアートのようですが、これを本格的に様式に取り込んだとのこと。

慧遠庵居・陶淵明陸修静図屏風 池大雅 6曲1双 江戸時代(18世紀)
大きな屏風まであるのには驚きです。

指墨山水図 池大雅 終南浄寿 1幅 延享2年(1745) 山種美術館
山種美術館で見てみたいです。

寒山拾得図 池大雅筆 当館(前期:4月7日~30日展示)
この頭の髪の毛は指で描いたので、指紋が見られます。

雪月花図 池大雅 1幅 江戸時代(18世紀)
絹本に差墨

幽渓釣艇図 池大雅 1幅 江戸時代(18世紀) 脇村奨学会
葦を爪で描いてます。これが完成形だと言われてます。

僊山楼居図 池大雅 1幅 江戸時代(18世紀) 千葉市美術館
パターン、色彩。

第4章 大雅の画と書

四季山水図巻 池大雅 1巻 宝暦5年(1755) MOA美術館

五君咏図 池大雅 6幅対 江戸時代(18世紀)
漫画っぽいです。

観音図 池大雅 自賛 1幅 江戸時代(18世紀)
観音信仰していた事が分かります。

騰雲飛濤図 池大雅 自賛 2幅対 江戸時代(18世紀)
荒波、出雲旅行にて見た景色。

第5章 旅する画家-日本の風景を描く
京都から、江戸、そしてさらに北へ。
日本の富士山などを中国南画風にアレンジし、賛も中国の漢詩にまでしていたこと
時より出てる真景とは、写実のことです。

箕山瀑布図 池大雅 自賛 1幅 延享元年(1744)
箕面の滝です、一度行った事があるかも。
漢詩の自賛、これが大雅の特徴です。敢えて中国風にするやり方。

陸奥奇勝図巻 池大雅 1巻 寛延2年(1749) 九州国立博物館
松島を描いてます。

浅間山真景図 池大雅 自賛 1幅 江戸時代(18世紀)
西洋銅版画を見て制作。

 芳野山図 池大雅 自賛 1幅 江戸時代(18世紀) 公益財団法人川端康成記念會
桜が見られます。

三岳紀行図屏風 池大雅 8曲1隻 宝暦10年(1760) 京都国立博物館
これ、旅した山のスケッチと、旅の支出メモが屏風に貼られています。今で言うとレシートかお小遣い帳か。

倣董太史富岳図 池大雅 1幅 江戸時代(18世紀)
富士山を中国風に描いています。彼にかかれば、富士山でさえ中国テイストに。

富士十二景図(1,3,5,6,8,11,12月) 池大雅 7幅 江戸時代(18世紀) 東京藝術大学
 富士十二景図(2,4,7,10月) 池大雅 4幅 江戸時代(18世紀) 滴翠美術館 
これらは奥様のために描いたらしいです。

富岳・終南山・早發白帝城図 池大雅 自賛 3幅対 宝暦13年(1763) 千葉市美術館
中国の名勝と富士山を並べております。

日本十二景図 池大雅 12幅対 明和2年(1765)
写真的でした。

これ以外にも多々あります。
が、ひとつだけ挙げると
東山図 池大雅 高芙蓉 1幅 江戸時代(18世紀) 山種美術館
これも山種美術館で見たみたい。

第6章 大雅と玉瀾
玉瀾は、奥様です。書や絵画を嗜まれていました。
夫婦で一つの作品を共作したり、山雅が玉瀾の絵に賛を書いたりしていたようです。

墨菊図 徳山玉瀾 池大雅 1幅 江戸時代(18世紀)

離合山水図・書 徳山玉瀾筆・
池大雅書 12幅対 江戸時代(18世紀)

夫婦二人、画風似てました。

第7章 天才、本領発揮-大雅芸術の完成
蘭亭曲水・龍山勝会図屏風 池大雅 自賛 6曲1双 宝暦13年(1763) 静岡県立美術館

大雅様式の完成形


重文 瀟湘勝概図屏風 池大雅 6曲1隻 江戸時代(18世紀)

五百羅漢図 (部分)池大雅 8幅 江戸時代(18世紀) 萬福寺
楽しそうな雰囲気がしました。生き生きとしている、版本に無いもの。

洞庭赤壁図巻 池大雅 自賛 1巻 明和8年(1771) 京都国立博物館
赤壁は絵になります、ドラマチックと言うか。

点数も多くてかなり堪能し、ラストは疲れたかな、と思ってたら

国宝《十便十宜図》のうち「釣便図」が見られ前回サントリー美術館では見逃していたので、小さな作品ながら、大変癒されました。

国宝作品は三点は四十代で描いたのは何となく分かりました。早熟、でも完成は少し後、冒険していたのでしょうか。

162点、屏風もあり、書もあり、京博の平成知識館を目一杯使われてました。

後期はトーハクより、楼閣山水図屏風が来ます。これはパンフレットにもあるけれど、素晴らしい感じです。




京都国立博物館 平成智新館
~5月20日