ひとり万葉集巻2 -4ページ目

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03Oct
- 君に会わないまま秋になってしまった
  昼間は暑い日が続きそうですが、朝晩は過ごしやすくなりましたね。夏はどこに行ったのでしょう…[743]此頃風日異吹来野辺秋萩不見久為而このころのかぜはひにけにふきにけりのべのあきはぎみずひさにして此の頃の風は日に異に吹きにけり野辺の秋萩見ず久にしてこのまま秋も過ぎてしまうのかな。長らく君に会えないままに。いや、会わないままに…
01Oct
- 心の靄（もや）
  明け方まで雨だったのでしょうか。ベランダの手すりが濡れていました。東に見える若草山は低い霧雲に覆われていました。心が健康なら「あぁ、きれいだな」と思えるのでしょうが…[742]東野若草山乃尾根乃霧乎吾乃歎戸背子知可波あづまののわかくさやまのおねのきりをわがのなげきとせこのしるかは東野の若草山の尾根の霧を我がの歎きと背子の知るかは僕の心の中の靄のように思えてしまいます。朝から気分が重いです…
30Sep
- 君の心を知りたいけれど…
  今日の月の出は日付が変わる頃…曇ってます。待ってれば月は見えるかな…[741]久方天欝悒雲隠今宵月所見事無ひさかたのあまはいぶせみくもかくるこよひつきのみゆることなし久方の天はいぶせみ雲隠る今宵の月の見ゆることなし諒主（よしぬし）君への思いのようです。待っていてもどうにもならないのに、会いに行くと決心したのに…踏み出そうと決めたのに、踏み出せない僕自身がもどかしい。逢いたい…くるしい…
28Sep
- 彼との心の距離はとても離れているんだろうな
  甲斐のない片思いの恋、何の音沙汰も無いのは仕方がないことだよね。[739]験無恋雖渡吾背子乃便絶波敢無物鴨しるしなくこひわたれどもあがせこのたよりのたゆはあへなきものかも験無く恋渡れども我が背子の便りの絶ゆは敢へ無きものかもせめてまた夢に出てきてくれないかな…[740]念遠眷浦經遠見札床辺不去夢所見与もひとほみこひうらぶれぬとほみふだとこのへさらずいめにみえこそ思ひ遠み恋うらぶれぬとほみふだ床の辺去らず夢に見えこそ※遠見札とほみふだ：スマホ※あくまでも和歌調に詠むために、現代語を古語風な造語として扱っています。下記をご参照ください。※用語など本歌（元ネタ）～不詳・万葉集 11-2501待っていてもだめだよな。僕は諒主（よしぬし）くんに会いに行くと決めたんだから。でも…
26Sep
- 君に出会わなければ良かった
  幸か不幸か、僕は諒主（よしぬし）くんに出会った。当時、生きる気力を失った僕には唯一の喜びだった。けれどもすぐにその思いは絶対届かないものであると悟った。そして苦しみ続けて心身ともに病んでしまった。[407]吾妹兒尓戀乍不有者秋芽之咲而散去流花尓有猿尾わぎもこにこひつつあらずはあきはぎのさきてちりぬるはなにあらましを我妹子に恋ひつつあらずは秋萩の咲きて散りぬる花にあらましを～弓削皇子・万葉集 2-120君に出会わなければ良かった。過去は変えられないけどね…
25Sep
- 君のすべての仕草が愛おしい
  台車に乗って遊んでる姿「そうっスね～」って軽薄な相槌しゃがむとき少し内股になる[738]不逢事此日渡尓月渡念出鶴波背子振鴨あはぬことこのひわたるにつきわたりおもひいづるはせこがふりかも逢はぬことこの日渡るに月渡り思ひ出づるは背子が振りかもドロドロの作業着脱ぎ散らかした靴意味不明なダサいダンスボサボサの髪不精髭綺麗な歯並びそして、汗のにおい…全てが愛おしい
24Sep
- 君とのツーショット写真
  無いのです。撮っておけばよかった。いくらでもチャンスはあったのに…休職直前はあわただしくて、チャンスを逃してしまった。[737]吾背子絵描将取暇無後吾見乍将偲あがせこをえにかきとらむいとまなくおくるるあれはみつつしのばむ我が背子を絵に描きとらむ暇無く遅るる我は見つつ偲ばむ本歌（元ネタ）～物部古麻呂・万葉集 20-4327撮っておけば励みになったかな…それとも余計に悲しくなったかな…
22Sep
- 月が沈まないようにできないものか…
  夕方の雨で十六夜月も見れないものかと思っていたのですが…見えてます。バッチリ！！[735]将留戸縄而将結也此月乎槍突美流可網而捕可とどめむとなわでゆはむやこのつきをやりつきみるかあみでとらふか留めむと縄で結はむやこの月を槍突きみるか網で捕ふか万葉の時代にも同じようなことを考えていた歌人がいましたよ。[736]夜干玉之夜渡月乎将留尓西山邊尓 <塞>毛有粳毛ぬばたまのよわたるつきをとどめむににしのやまへにせきもあらぬかもぬばたまの夜渡る月を留めむに西の山辺に関もあらぬかも～不詳・万葉集 7-1077この歌人は「関所」を作って止めようとしたのですね。
21Sep
- 「月が綺麗だね」って言ってみた
  中秋の名月ですね。かつて文豪・夏目漱石は「I LOVE YOU」を以下のように訳しました。「月が綺麗ですね」巻1-[613]月読尓清之物語乍見者悲茂二人之不在者つくよみにさやけしものとかたりつつみればかなしもふたりしあらねば月読つくよみに清さやけしものと語りつつ見れば悲しも二人しあらねば独り言です。悲しい。「オチ」を入れたつもりですがそうなってますかね…
20Sep
- 君とふたりで
  十四夜ですね。僕の家のベランダは東向きで夕刻に昇ってきた月を窓越しにでも見ることができるのです。[734]背屋戸物見尓月所見頃夜更往者独可聞寝せがやどのものみにつきがみゆるころよのふけゆけばひとりかもねむ背が屋戸の物見に月が見ゆる頃夜の更けゆけばひとりかも寝む諒主（よしぬし）くんの部屋の窓は西向き。だから窓越しに同じ時間に月を見ることはできないのです。一緒に見れたらいいのにな…
18Sep
- 君を思いながら吸う煙草は切ない味がする
  どんな頓服薬よりも心が安らぎます。煙がなびいていく方向を目で追っていくと、その先にあるのは遠い空。切ないなぁ…[733]背念情天煙立彼方面独見鶴哉せをおもふこころはあまにけぶりたちあなたおもてをひとりみつるや背を思ふ情は天に煙立ち彼方面を一人見つるや諒主（よしぬし）君を思うと、今でもやっぱり少し苦しくなります。そういうとき、ベランダで煙草を吸うのです。「君に会いに行く」と自分に言い聞かせながら。
17Sep
- 君がいないことはわかっているけれど
  君と通ったあの場所に行ってきた病院の帰りにちょっとだけ遠回りしてまだちょっと怖かったけれどもどうしてか行きたくなって[731]与背子来之白芭宿乎還左尓獨之往者涕具益茂せことこししらばのやどをかへるさにひとりしゆかばなみだぐましも背子と来し白芭の宿を帰るさに一人し往かば涙ぐましも※白芭しらば、宇山うやま：架空の地名本歌（元ネタ）～大伴旅人・万葉集 3-449[732]白芭乎従宇山乃坂乎独往背子之形乎見由茂鴨しらばをゆうやまのさかをひとりゆくせこがすがたをみむよしもがも久しぶりに通った白芭から宇山の坂そんな時間に君がいる訳ないけれどももう一度君の姿を見てみたい…いや、見に行こう
15Sep
- 僕は小さな一歩を踏み出した
  このままではいけないだから僕はある決意をしたそのための小さな一歩を踏み出した[730]足常母養子眉隠隠在吾今社出奈たらつねのははがかふこのまよごもりこもれるあれはいまこそいでなたらつねの母が養ふ蚕の繭隠り隠れる我は今こそ出でな※上の句は「序」です。3句からなる枕詞のようなもの毎日、昼間から浴びるほど飲んでいた酒を飲まなかった何年か振りの連続休肝日事故を起こして、そのあと立て続けに2回も車をぶつけたすっかり運転恐怖症になってしまった、あんなに得意だったのに…通院以外運転してなかったけど、久しぶりにドライブに出かけてみた緊張したほんの2～3時間なのにとても疲れたよけれども踏み出すことができたほんの小さな一歩を…
13Sep
- 夢[2]～やっと会えたよ
  いっぱい話をして、楽しい時間を過ごしたけれど…[728]夢相百雖語苦狩不所触虚欲嘆いめのあひにももにかたれどくるしかるふれねばむなしほりしなげかむ夢の逢ひに百に語れど苦しかる触れねば虚し欲りし嘆かむ手を伸ばして君に触れようとしたどうしても届かない…目が覚めて、夢だとわかったとき、虚しさだけが残った…でもなぁ……[729]夢逢明朝虚狩今宵浮橋将渡曾念いめのあひのあくるあしたはむなしかるこよひもうきはしわたらむとぞもふ夢の逢ひの明くる朝は虚しかる今宵も浮橋渡らむとぞもふ夢でいいからまた会いたい…
12Sep
- 僕の心と体は恋ゆえに壊れていく…
  最近、日常的に行っている簡単なことの手順をよく間違えます。特にパソコンのキーボードの打ち間違いが多くなりました。簡単な文章の入力に時間がかかるようになってきました。[727]伊田何極太甚利心及失念戀故いでなにかここだはなはだとごころのうするまでおもふこひゆゑにこそいで何かここだはなはだ利心の失するまで思ふ恋ゆゑにこそ～不詳・万葉集 11-2400昼間から酒を飲み、朝起きたら手が震えています。愛すべき家族といることさえもストレスに感じるようになってきました。原因は明白です。諒主（よしぬし）くんに恋したからです。それが始まりでした。特に休職してからは、酒漬け・クスリ漬けです。やめた煙草も吸い始めてしまいました。相変わらず食事は「粥」と「豆腐の味噌汁」だけです。それ以上食べると、倒れてしまいます。僕の心と体は壊れていく一方です。もう「アル中」寸前です。すでにそうなっているかもしれません。正気を失いそうです。もう戻れません。くるしい
11Sep
- 夢[1]～若くして亡くなった友(2) 捨てられないもの
  とても仲良かった「Ｋ君」（以下、彼）は29歳の若さで亡くなりました。入院してから、たった１か月ほどのことでした。肝臓がんでした。彼と奥さん、僕と当時の僕の彼女の4人で、色んなところへ遊びに行きました、彼の自慢の四輪駆動車で。彼との思い出はたくさんありすぎて、ここには書ききれません。けれども、どうしても書いておかなければならないこと（僕自身のためですが）が1つだけあります。それは彼の形見のことです。[726]吾庭柴刈而花木本末刈幾許乏あがにはのしばをかるとてはなのきのもとすゑかるはここだともしき僕は親族から追放された身なので、親の形見さえも持ってません。もちろん、僕は彼の親族ではありませんので、形見分けなどは頂いていません。「結果的に」彼の形見になってしまったものがあるのです。我が庭の柴を刈るとて花の木の本末刈るはここだ乏しき彼の死後、彼の奥さん（以下、彼女）は様々な手続きや遺品の整理に追われていました。彼女は彼の四輪駆動車の処分に困ったようで、僕に相談してきました。当時僕は自動車関連の仕事もしていましたので。僕は彼女に「もう乗らないのであれば、解体証明で税金は止めることができる」とアドバイスしました。彼女の同意を得て、彼女と二人でスクラップ屋に彼の車を持ち込んで、ナンバープレートを外し、解体証明を書いてもらいました。土砂降りの雨の日でした。税金関係の手続きも無事完了し、彼の自動車の件は無事片付きました。それから数か月経ちました。とても恥ずかしい話なのですが、当時の僕の車のトランクの中はモノであふれてぐちゃぐちゃな状態でした。あるとき、たまたま気が向いてトランクの整理をしたとき、彼のナンバープレートが出てきたのです。思えばあのとき、渡さなかったのです。ナンバープレートの返納ならいつでも誰でもできるので、彼女の負担を考え、後日僕がやっておこうと思ったまま、忘れていたのです。彼女にそのことを言い出せないまま、何年も過ぎてしまいました。親族から追放された僕は思い出の品・人間関係をすべて断捨離しようと思い立ち、持ち物を整理し始めました。そのときです。ガレージの片隅から彼の四輪駆動車のナンバープレートが出てきたのです。あのとき、すぐに返納していれば、このようなことにはならかったでしょう。結果的に、意図せずそのナンバープレートが彼の形見になってしまったのです。そのナンバープレートは未だに僕の手元にあります。忘れられないよ…捨てられないよ…夢[1]若くして亡くなった友(1)～忘れられないこと
09Sep
- 夢[1]～若くして亡くなった友(1) 忘れられないこと
  思い出の品・人間関係をすべて断捨離した僕とて、心までは断捨離できません。忘れられないこともあるのです。それは仲良かった「Ｋ君」（以下、彼）のこと。1年ほど前のことです。彼が夢に出てきたのです。夢の中で彼も含めて当時の仲間たちと楽しく騒いでいたのです。その彼は若くして亡くなりました。巻1-[476]不念尓皆之咲乎夢見而過去共波弥年放おもはぬにみながえまひをいめにみてすぎにしどちはいやとしさかる思はぬに皆が笑まひを夢に見て過ぎにしどちはいや年さかる本歌1（元ネタ）～大伴家持・万葉集 4-718本歌2（元ネタ）～柿本人麻呂・万葉集 2-211当時、彼の入院した病院は僕の仕事場でもありました（医療関係者ではありませんが）ほぼ毎日病室に見舞いに行きました。日に日に弱っていくのです。そのうち彼は自宅療養することになり、会うこともなくなりました。ほどなくして、彼の訃報を聞きました。真夜中、仕事のため連泊で北陸地方に向かう道中のことでした。仕事はキャンセルできなかったので、翌日北陸での仕事が終わってから、通夜のためトンボ帰りです。悲しみのあまり、涙も出なかったことを記憶しています。入院してから、たった１か月ほどのことでした。190㎝の大男が最期は体重40㎏だったそうです。享年29歳、肝臓がんでした。忘れられないよ…夢[1]若くして亡くなった友(2)～捨てられないもの
08Sep
- 秋らしくなってきましたね
  秋風が諒主（よしぬし）くんの便りを運んできてくれないかなぁ…なんて、ありもしないことを考えてしまいます。[725]秋気成朝風曽与吹者公乃便波届奴物可あきげなるあしたのかぜがそよふかばきみのたよりはとどかぬものか秋気なる朝の風がそよ吹かば君の便りは届かぬものか待っているだけではいけませんよね。外に出ていかなければ。けど今はまだ気力が無い…
07Sep
- また彼を思う苦しい一日が始まる
  当たり前のように毎日夕刻には日が暮れて、当たり前のように夜は明ける。毎日、毎日、考えることは同じ…[723]茜刺日西渡而此宵波何時明而亦日将暮あかねさすひはかたぶきてこのよひはいつとかあけてまたひくらさむあかねさす日は傾きてこの宵はいつとか明けてまた日暮らさむ諒主くんを思う日々は当たり前のようにやってくる。忘れられるときはくるのだろうか…[724]茜刺此夕映尓沈日乃念波何時鹿絶流物可波あかねさすこのゆふばえにしずむひのおもひはいつかたゆるものかはあかねさすこの夕映えに沈む日の思ひは何時か絶ゆるものかは日は暮れてしまうように忘れられるときはくるのだろうかけれども、当たり前のようにまた朝は来る。そしてまた諒主くんを思う日々。う～ん、忘れられないなぁ…
05Sep
- 万葉集の「ヘン」なうた[9]
  何をやらかしたのでしょうね、この歌を詠んだ人は…気になります。[722]奈我波伴尓己良例安波由久安乎久毛能伊弖来和伎母兒安必見而由可武ながははにこられあはゆくあをくものいでこわぎもこあひみてゆかむ※私訳です↓汝が母に嘖られ我は行く青雲の出で来我妹子相見て行かむ～不詳・万葉集 14-3519それにしても気になります。「題詞」・「注」の記載がないので、背景は不明です。「青雲の」というシャレた表現をするところを見ると、詠人の歌のセンスがうかがえます。昔は歌詠むのが上手い人はモテたという話を聞いたことがあります。ひょっとしたら、この人はプレイボーイだったのかも。浮気したのがバレたのでしょうか？単なる僕の推測ですが…皆様はどう思われますか？