第五十八番 仙遊寺 第五十九番 国分寺
第六十二番 宝寿寺 第六十三番 吉祥寺
この日は三泊四日で来ていた人たちが昼食が終わったら帰る日でもありました。
四苦八苦しながらの苦しい午前中の参拝が終わり、昼食になった時、たまたま席がなく男性の相部屋の人たちと食事を同席することになりました。
ツアー当初、若い男性が二人参加していましたが、一人はツアー日程を消化し帰路につきました。残るもう一人の若いかたは最後の四国八十八ヶ所結願の寺までの参加でした。
※四苦八苦とは『肉体の苦しみである「四苦(生老病死)」に、四つの心の苦しみを合わせて「八苦」となる。』
この一人残った若い方から昼食の際、大変心ある接待された。
※お茶や箸などを持ってきたりかいがいしく接待をいただいた。
そんな二週間のツアー日程の中で、人が入れ替わり立ち替わり流動しながら当初の参加者が少なくなっていく中で、この若い方がバスの中で持ってきた本がたまたま目につきました。
この若い方の数冊の本は世界で代表されているような経営の本ばかりを持っていたようでした。
この若い方は、人生の壁にぶつかって迷いの道に入ったと感じました。
自分の選んだ本などを読んでいても「心はここにあらず」というように私には見えました。
なぜなら、どこかとても迷いの中必死に何かを求めている、探しているのがとても良くわかりました。
※大企業複数での三十年弱の提携関係、接待関係。経営者としての経験が私自身の苦しみや大企業の役職役員の苦悩とどこかだぶっているようにも思えたので、これは経営、人生などに対するある種特有の深い壁と迷いだろうなと分かっていました。
この若い方は、私が夫が仏教徒で奥さんがキリスト教のご夫妻に写真を撮ってもらうようになると、よく私たちのそばにいて、なんかいつも見られている、交わす会話を聞いているという感じでした。
私になにか話したいんだけど、話せないというような感じにも見えましたが、私自身も写真を撮ることに精一杯だったので、いつもなら声をかけたと思うのですが、巡礼中はこの若い方にどうしても声をかける余裕がありませんでした。
ですが、これがご縁なのかもしれません。
私は、この時の若い方に素直な心ある昼食の接待を受けてから、なんだか「四国八十八ヶ所」からこの若い方に人生の道を切り開けることを教えてあげなさいと言われているような思いがどんどん強くなってきました。
そして、また午後の参拝の途中、バスの待つところまでの苦しい山道を歩いているとき、私はいつものようにみんなから少し遅れて歩いていると、この若い方も私の前にいたり後ろにいたりしていました。
そして、やっぱりこれはご縁なのかなとつくづく思いながら、運動不足の体でゼエゼエハアハアしながらみんなから遅れまいと歩いていました。
この時は、歩いていて特に苦しかったです。
そして、少し遅れていたのでまわりに人は私とこの若い方ともう一人のツアー参加女性がいましたが、女性に「ちょっとこの方と二人で話があるから先に行ってください」と言って先に行ってもらい、あらためてこの若い方と時間を取りました。
なぜなら、この時、私はなにか強い力によってこの若者に声をかけなければと思ったからです。
私はこの若い方に昼食に心ある接待を受けたお礼がしたいと言うと、若い方は「そんな事気にしないでください」と言ったが、私は若い方に向かって『今から私が言うことは、四国八十八ヶ所が言ったと思って下さい。今あなたがお読みになる本は、
「一番が中国の三国志」
「二番が松下幸之助の自伝」
「三番が今世界の第一線で世界の人々に認められて活躍しているユニクロの社長の経営学」
をお読みになってはいかがですか』と話しました。
それに対して、なにか若い方が話そうとしましたが、私はさえぎって「この本を読んで道が開けたら四国八十八ヶ所に向けてコップ一杯の水を置いてお礼を言って下さい。これはあなたに四国八十八ヶ所からの贈りものです」と言って立ち話をしていましたが、だいぶみんなから遅れていたので、私は若いかたに「みんなが心配するから先に行ってほしい」と言ったが、私の運動不足のゼエゼエハアハアがいつもより激しいので、若い方が心配して行こうとしないので、ちょっと怒鳴ってしまいました。
「すぐに追いつくから先に行ってください」と私は言って先に行ってもらいましたが、どういうわけかとってもこの時は苦しかったです。
やっとの思いでバスのところについたとき、みなさん複雑な心境でじっと私を見ていました。
※この若い青年と何を話したんだろうと、興味津津のなかにも複雑さが見てとれましたので、私は何食わぬ顔でいつもの後ろの方の席につきました。
そして、この若い方から翌日声をかけられました。
「昨日はありがとうございます。教えて頂いた本はどこにあるか分かりましたが、松下幸之助の本がどこへ行けば手に入るか分からない」というので、私は中学時代に母から「松下幸之助の本を読め」とお金を渡され近所の本屋数件に行ったが近所にはなく、電車に乗って大きな本屋へ買いに行ったので、私は若い方に「大きな本屋さんへ行けば売っています」と教えると、若い方は嬉しそうに私に何度もありがとうございますとお礼を言った。
この時、この若い青年は何かとても吹っ切れたように心も体も軽くなったように感じました。
この若い方は、四国八十八ヶ所を打ち終わったところで終わりでした。ツアー最後の高野山の宿まではいませんでした。
そして数日後の、最後の四国八十八番結願を打ち切って別れを告げました。
この時別れたのはこの若い方一人だけでした。
残った私たちは、この方一人を見送ってからツアー日程通り高野山に着き、無事に四国八十八ヶ所を打ち切れたお礼の参拝をした後、宿坊のところでバスを降りた時、とても驚くことがありました。
それは、帰ったはずのあの若い方が嬉しそうに力強く体全体で手を振っていた。
若い方は、なにかに目覚めたように凛々しく心の声が聞こえてきました。
空海様に「ありがとうございます」とお礼を言わずには帰れなかったと聞こえてきました。
私はこの時、この方は人生の道を切り開ける何かをしっかり掴みとったと見ました。
こんな苦しい日々も全てバスの中では笑い話となり、和気あいあいと楽しくなっていました。
分もわきまえず大変偉そうな生意気なことを言ってすみませんでした。これからもどうぞよろしくお願いいたします。
ホテル:今治国際ホテル
クリーニングサービス:※有料


































