■40年前のゴールデンウィーク×西武ライオンズニュース③■
1985年(昭和60年)5月5日(日)
【また金森だ 今季2本目逆転サヨナラ3号】
○西武13X-11阪急●
両軍毎回の計33安打、24得点の乱打戦は西武に軍配。
西武は初回に田尾、秋山、伊東のタイムリー安打で一気に5点を先制し、2回は金森2号ソロ本塁打で6-0とした。
5回にも田尾の2号本塁打などで3点を追加し、6回にも1点を追加し二桁10点目をあげた。
だが先発・東尾が5回途中5失点で降板、西武が試合の主導権を完全に握れないでいると流れは阪急へと傾く。
東尾の後を託された黒原、永射、森の西武救援陣は阪急の反撃を止めることができずに5回以降は毎回失点を重ね前半のリードを使い果たした。
ついに8回に10-10の同点に追いつかれ、9回には逆に1点リードを許し10-11となった。
楽勝ムードの展開から一転「大逆転負け」が頭をよぎり始めた9回裏西武最後の攻撃。
勝利の女神は最後までどちらに微笑むかを悩んでいたような展開が待ち受けていた。
先頭の伊東が四球で出塁すると広岡監督は代打の切り札・大田を指名。
大田は二塁ゴロで併殺かと思われた瞬間、併殺をあせった阪急・福原が打球をそらし無死一、二塁とチャンスは広がった。
だが次打者・石毛の打席中に二塁ランナーの伊東が牽制で刺されてしまう痛恨のミス。
そして石毛はレフトへフライを打ち上げてしまう…。
イージーフライと見えた打球を阪急・吉沢が打球を見失って二塁打に。
一死、二、三塁となり一気に西武サヨナラ勝ちのチャンスへと変わった。
この場面で打席に立つのは4月25日ロッテ戦で延長10回にサヨナラ本塁打を打っている金森だった。
金森は阪急・山沖の投じた初球の真ん中高めストレートに「大根切り」でバットを振り下ろすと、ライト芝生席に打球ははずんだ。
乱戦に終止符を打つサヨナラ3号。
最大6点差あったリードを守り切れず、9回表に阪急にひっくり返されシーンと静まり返っていた西武ベンチがお祭り騒ぎになるのも無理はなかった。
試合後インタビューで勝負強さの秘訣を問われた金森は「勝負強さなんてない。自分で強いんだ、強いんだと思い込もうとしているから」と言ってみせた。
この試合、NHKが全国中継していたが、サヨナラ劇は放送終了後で「(石川県に住む)父ちゃん喜んだのになあ」と悔しがりながらも周囲を笑わせた。
(西武球場:観衆4万6千人)

【写真】逆転サヨナラホーマーした金森。今季2度目の快挙に万歳。
※昭和60年(1985年)5月6日(月)付 報知新聞より一部抜粋