■40年前の今日×西武ライオンズニュース■
1985年(昭和60年)6月22日(日)
【東尾4安打完封10連勝 145与死球の日本新も】
○西武1-0近鉄●
登板条件は悪かった。
中9日、先発予定の6月18日、スライドした19日を雨で流した。
こんな時、投手はコンディションづくりに苦しむ。
東尾は「一度、頭をカラッポにしなきゃならんかった」。
そしてかすかな痛みがつづく右肩は、まだ全力投球を許してくれない。
「頭と顔と意地やろうねえ、オレを支えとんのは」遅い球を速く見せる工夫、変化球のコントロール、200勝投手の顔が効果的に働く。
味方の援護はたったの1点。
それも終盤の7回、西岡のスクイズでやっと取った点だ。
東尾は「シンドかったさ」と言ったが、緊張を楽しんでいるようにも見えた。
一番のピンチは4回一死一、三塁で打席に迎えた梨田をジロリとにらむと、お得意のスライダーで、二塁ゴロ併殺打に打ち取って切り抜けた。
6回以降、近鉄をパーフェクトに抑えた東尾は完封で無傷の10連勝。
今季三度目の完封だったが、面白いことに3試合ともスコアは1対0。
「点差に応じて投げるのが投手の醍醐味」とうそぶくエースだ。
また、初回にデービスにぶつけて通算145与死球。
日本新記録を更新したがこれも打者の内角を攻め続けた勲章だ。
「死球日本記録?セ・パ両リーグで表彰してくれんかなあ」完封劇にご機嫌だった東尾は相変わらず一言も二言も多く笑わせてみせた。
(藤井寺球場:観衆7千人)
【写真】
【上】強気の内角攻めが売りものの東尾は1回、デービスにぶつけて与死球の日本新記録。
【左上】にぎりはフォークボール。完封で無敗の10連勝
昭和60年(1985年)6月23日(日)付 報知新聞より一部抜粋