【大和生活法】
第十七:エキスパートになるための知識技術を修めているか。
ここで突然、安岡氏はカタカナを用いたのはなぜなのか?
ちょっぴり疑問に感じてしまいました。
同類語で、「スペシャリスト」が浮かびますが、
スペシャリストは、ある分野のいち部分にだけ詳しい人のことであって、
スペシャリストはエキスパートの中に一握りです。
つまり、ここで挙げる「エキスパート」とは、
ある特定の部門を学んだ「専門家」とは違い、
ある特定の分野に関して知識があるというだけではなく、
圧倒的な経験値があり、
それを活かすことができる熟練者のことをいいます。
新術理やアイディアを生み出すとはどういうことなのか、
武術家の甲野氏によると、
⚫︎ オリジナリティーがあるか
⚫︎ 人の役にたつかどうか
の2つがポイントで、このポイントを「発想」と意味付けるには、
「妄想」にも目を向けていくと理解しやすいと説明してくれています。
つまり、
オリジナリティーがあって、人の役に立つ妄想を「発想」と呼び、
オリジナリティーが無く、人の役に立たない発想を「妄想」と呼ぶと。
「発想」と「妄想」は本質的には同じものなのですが、
「妄想」は確実に「発想」の完成度を妨げます。
しかし、「妄想」がなければ、「発想」も生まれにくく、
切っても切れない関係性なことも想像できますね。
私の1例を挙げると、つまり
私はヨーガについては「スペシャリスト」ですが、
ハンモックヨガについては、「エキスパート」ということになります。
なぜ私が「エキスパート」に成り得たのか、
私は11年前、ヨーガという一定の専門知識(先駆者が定めた規定値)を習得したのちに、
(私がヨーガを習得しようとした経緯についてはまた長くなりますので、
機会があればお話します。)
その知識を通じて、先ずは周りの友人たちへ身体的なアプローチとしての
からだやこころを解放させるための方法を伝え始めました。
しかしマットの上でのヨーガをヨーガ初心者の方々へ伝え始めてすぐに、
私は違和感を感じ始めてしまいました。
「私が伝えたいことが上手く伝わらない」
では私が伝えたいことって何?
不都合な動き(いわば初心者には出来ないヨガのポーズ)を繰り返して不都合なこころを乗り越えながら、都合が良いからだとこころを探す
よりも、
都合が良い動き(誰にでもできるポーズ)を行うことで都合が良いこころを通じて
不都合なからだとこころと向き合う
ことを行いたいと思ったのです。
それにはどうすれば良いのか。
「妄想」を巡らせました。
その「妄想」は、ハンモックという運命的な出逢いを導くことになりました。
ハンモックに初めて乗った瞬間、これだ!
このハンモックを通じてならば、私が伝えたいことが叶う筈だ
と勝手な「妄想」が膨らみました。
そこにプラスされる、「根拠のない自信」(苦笑)が加わり、
そこから毎日毎日、ハンモックを体感することに明け暮れ、
ハンモックをあらゆる場所に吊って過ごす
ハンモックの高さと揺れを変えてみる
ハンモックで食事をする
ハンモックで仕事をする
ハンモックを編む
ハンモック・・・・etc
そこに加えて、ヨーガの技術更新のためにひたすら練習に明け暮れ、
ハンモックヨガという「発想」に至ったという流れで、
言わば誰に頼まれた訳でもない、
完成されるかも、成功するかもわからない実態のない身体理論を
黙々と追求し続け始め、
それを世間に明確に伝えようとしたことが、
「発想」を生み出すに至ったということですね。
すぐに完成に至ったわけではないことは私が一番知っています。
勿論、失敗当然。不安や迷いや妄想は日常茶飯事。
期待を追い払い、ひたすら繰り返す。
舞踊家 飯田氏に出会った4年前、はっきりと言われたことがあります。
「いったん全てを手放してみろ」
そのとき、私は「発想」を始めて約5年目であり、
すでにある程度のハンモックヨガとしての技術が安定し、
クラスも側から見れば安定を見せていたころでした。
私はその言葉を頭で分かっていても、
そのとき実際に「手放す」ことは出来ませんでした。
自ら全てを失うにはあまりにも恐怖があったのです。
しかし、自然と「手放す」ことになっていったのには
後々になって気がつくことになります。
「エキスパート」でい続けるには、
夢や希望や使命感や恐怖や不安に囚われないでいることが重要。
今の今でもハンモックヨガは完成したとは微塵にも思っていません。
なぜなら、世の中に向けて私が「発想」しているハンモックヨガの思想やポーズは、
そのときのクラスや参加する方々を通じ、毎回形を変えて存在するものだからです。
上達とは、
「できる姿を見せたいか」
「できるようになりたいか」の違いである。
-上達論 第百向上心-
私の周りには、たくさんの「エキスパート」が存在します。
特定の専門技術の取得のみならず、その技術を用いて新しい技術を生み出している人
誰にでも人には「発想」可能な能力を備えていると私は信じています。
エキスパートになるための心構えや如何にぞ
ここからゆっくり考えてみると、
ご自身なりの方法が見つかるかもしれません。
それでは、また明日♪
万菜美