九州に昔ながらの伝統菓子が多い理由は「砂糖」と深い関係があります。
奈良時代に初めて砂糖が薬(喉)としてもたらせて以降、ポルトガルとの貿易をきっかけにその量は徐々に増え、18世紀に入ると、オランダ船や中国船によって盛んに輸入されるようになり、最盛期の頃は、現代の金額にしてざっと約24億円もの莫大な量の取引が行われていたといいます。
江戸時代、日本で貿易の拠点となっていた長崎に陸揚げされた砂糖は、主に長崎から小倉を結ぶ「長崎街道」を経て京、大坂、江戸へと運ばれて行きました。このため、比較的砂糖が手に入りやすかった街道筋で、古くから甘い菓子が盛んに作られるようになったということです。
(そんなわけで長崎街道は、別名「砂糖の道=シュガーロード」とも呼ばれています。)
街道筋にお菓子をたどってみると、先ずは長崎の「かすてら」、そして佐賀に入ると牛津宿の「小城羊羹」や「丸ぼうろ」等、ボーロはポルトガル語でケーキを意味するそうですが、九州の小麦と砂糖が出会うことで今までになかった美味しいお菓子が次々に生まれていくわけです。
ちなみに、佐賀県は菓子大国で、森永製菓や江崎グリコの創業者は佐賀県出身です。
今回目に留まったのも、佐賀の伝統菓子「逸口香(いっこっこう)」
嘉永年間、唐の国(中国)より伝えられ、「唐饅」(とうまん)と呼ばれていた逸口香。優れた香りを口の中で楽しむということから名づけられたと言われているそうです。天火で焼く際に、中の黒砂糖が溶け外皮にくっつき、中が空洞になっているのが特徴、黒砂糖の甘さと生姜との独特の風味がくせになる味わい。乳製品を使っていないためもちろん脂質控えめ、日本茶、中国茶にはもちろん、紅茶、特に濃いめのミルクティーにもぴったりかと思います。
ちなみに、長崎にも「いっこっこう」というお菓子がありますが、こちらは「一口香」と書きます。
形ももっと膨らんだ感じで餡なしとか…(実際に食べたことはありません)
実は「いっこうこう」と聞いて、真っ先に思い浮かんだのは、最近はまっていた中国歴史ドラマ「後宮の涙」に出てくる可愛い女官ちゃんの大好物「一口酥(いっこうそ)」でした。
中国でクッキーの原型になった菓子と言われているものなので、もしかしたらつながりがあるのかもしれませんね。
「後宮の涙」すでにDVD化されいます。いわゆる女子の出世モノですが、お茶を飲むシーンがとても美しく、白磁の話なども出てきてなかなか興味深い内容でした。
私もティーインストラクターの先輩からすすめられて見たのですが、かなりはまりました(笑)
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