家庭裁判所における後見人等の報酬算定の運用が変わるようです。
後見人等の報酬額は、家庭裁判所において報酬付与の審判により決定されます。
この後見人等の報酬算定の運用については、後見制度の利用者(の親族)と後見人等の双方の立場から、これまで様々な不満が出ていました。
全国の各家庭裁判所での検討、専門職団体との協議、利用者団体のヒアリング等を経て、報酬算定の運用変更の方向性が固まったようです。
令和5年7月27日、成年後見制度利用促進専門家会議 第4回成年後見制度の運用改善等に関するワーキング・グループが開催されました。
この会議のテーマは、「適切な報酬算定に向けた検討及び報酬助成の推進等に関すること」です。
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この会議において、最高裁判所から、後見人等の報酬算定の運用についての今後の方向性が以下のとおり示されました。
変更のポイントは、次の2点です。
①身上保護事務について報告対象とし、報酬算定へ反映する
②財産管理事務に関する報酬算定を一部見直す
最高裁判所は、従来から、現在の財産の多寡を主要な考慮要素として報酬を算定する考え方から、後見人等が実際に行った事務の内容や負担の程度等を考慮して報酬を算定する考え方へ変更するという方向性を示していました。
今回、公表された運用変更の方向性も、ベースには上記の考え方があると思われますが、現在との乖離がより少ない、より実現可能なものとなっていると思われます。
利用者(の親族)の立場からは、
「本人の財産が高額だからという理由で、たいして仕事をしていない(ように見える)後見人等が高額な報酬をもらうのはけしからん」
後見人等の立場からは、
「仕事(特に専門性を活かした仕事)に対して正当な報酬をもらえていない」
というのがそれぞれの不満の核心と思われるので、
その双方の不満に一定の配慮をした運用変更と評価できるのではないでしょうか。
とはいうものの、本人の財産額が少ない場合に、後見人等が本人から報酬を受領できず、ただ働きになってしまう可能性があるという状況は変わりません。
報酬助成のより一層の推進を図る必要があるでしょう。
この後見人等の報酬算定の運用変更は、令和7年4月開始を予定しているとのことです。
報告書式も見直されるとのことですので、後見実務に大きな影響を及ぼすことになるでしょう。
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