後見人等の報酬額はどのくらいなのでしょうか?
後見人等の報酬額は、家庭裁判所が報酬付与の審判により決定します。
後見人等の報酬額にはおよその目安はあるものの、実際にいくら支払われたかについての統計的な数字が公表されたことは今までありませんでした。
そんな後見人等の報酬について、最高裁判所が、現在、実態調査を実施しているそうです。
令和4年9月27日、成年後見制度利用促進専門家会議 第1回成年後見制度の運用改善等に関するワーキング・グループが開催されました。
この会議のテーマは、「適切な報酬算定に向けた検討及び報酬助成の推進等に関すること」です。
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この会議において、最高裁判所が全国の家庭裁判所に対して行っている「後見人等の報酬の実情調査」の趣旨、調査対象事件、調査項目、スケジュールの説明がありました。
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最高裁判所は、現在の財産の多寡を主要な考慮要素として報酬を算定する考え方から、後見人が実際に行った事務の内容や負担の程度等を考慮して報酬を算定する考え方へ変更するという方向性を示しています。
ただ、この新しい報酬算定の考え方では、本人の財産額が少なくても事務の内容や負担が重い事案については、審判書に記載された報酬額は高くなるけれども実際には本人から報酬を受領できないことになり、まさに「絵にかいた餅」になってしまうことが想定されます。
そのため、新しい報酬算定の考え方を実務に導入するには、併せて報酬助成の推進を図る必要があると主として専門職から強く主張されてきました。
そこで、最高裁判所としては、後見人等が報酬を受け取ることができない事案の実情を把握して、今後の適切な報酬の算定に向けた検討及び報酬助成の推進等に活かすため、今回の実態調査に乗り出したということのようです。
この調査によって、報酬が受け取れていない事案のうち、回収見込みがないために報酬付与の申立て自体をしない事案の概要については把握できますが、報酬付与がされたものの現実に回収できなかった事案の概要についてまでは把握できないとのことです。
報酬が受け取れていない事案の全容を把握できるわけではありませんが、報酬を受領できずに後見業務を行っている後見人等の苦労の一端が明らかになるのであれば、この調査は意味があると思います。
そして、この調査の結果が報酬助成の拡充につながるといいのですが…
この調査の結果は、令和5年2月21日開催の第3回ワーキング・グループで報告される予定です。
(東京ジェイ法律事務所 司法書士 野村真美)
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