成年後見とマイナンバーカード | 成年後見日記

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成年後見人に就任した場合、ご本人がすでにマイナンバーカードを持っている場合と持っていない場合があります。

 

すでに持っている場合、ご本人が管理が可能であれば、ご本人に管理していただくことになります。

 

しかし、施設に入所していたり、病院に入院していたりして、ご本人による管理が難しい場合、後見人はやむを得ずそのカードの引継ぎを受けて、金庫等で管理することがあります。

 

まだマイナンバーカードを持っていない場合、マイナンバー通知カードや個人番号通知書についても、上記と同じ扱いがなされていると思います。

 

後見人としては、今まではマイナンバーカードの取得の必要性がないことから、取得を行っていないことがほとんどではないでしょうか。

 

そんな中、令和5年4月27日に、健康保険証を廃止してマイナンバーカードに一本化するマイナンバー法など関連法改正案が衆議院を通過しました。

 

この改正法が成立すれば、政府は令和6年秋に保険証を廃止する方針であるとのことです。

 

カードを持たない人が保険診療を受けるには、新たに発行する「資格確認書」が必要になるそうです。

コチラ

 

保険証が廃止されたら、保険診療を受けるには、マイナンバーカードを取得するか、資格確認書を取得することが必要になります。

 

しかし、被後見人が健康保険証一体型のマイナンバーカードを取得するには、様々な問題点があります。

 

その問題点について、「マイナンバーカードと健康保険証の一体化に関する検討会」において検討がなされ、令和5年2月に「中間とりまとめ」が公表されています。

コチラ

 

問題点には、①取得手続、②管理方法の2点があります

 

①の取得手続ですが、現在でも、後見人が本人に代わってマイナンバーカードを役所で受領することはできますが、通常よりも必要書類の準備に手間がかかり(施設長の証明の必要がある場合等)、とても煩雑です。

 

この点について、上記の「中間とりまとめ」では次のとおり記載されています。

「役所に出向くことが困難であるとして代理交付の活用ができるケースを従来より幅広く拡充・明確化する。あわせて、出向くことが困難であることを示す「疎明資料」について、入手が容易・費用がかからないもので対応できるよう緩和するとともに、困難であることが推定される一定の場合(例:成年被後見人、中学生以下の者、75 歳以上の高齢の方)には実質不要とし、より柔軟に代理交付の仕組みを活用することができるよう本年度中を目途に自治体向けの事務処理要領を改訂する。 あわせて、本人確認書類や顔写真証明書類の作成主体の拡充・明確化についても検討し、申請手続の負担軽減を図る。」

 

これを見ると、政府としても何等かの対策を講じてくれるようですので、現在よりも取得が容易になることと思われます。

 

また、②の管理方法ですが、本人が施設に入所している場合、健康保険証の原本を施設に預けている場合があるかと思います。

その場合、一体化後はマイナンバーカードを施設に預けることになるかと思いますが、この点については躊躇する後見人が多いのではないでしょうか。

 

この点について、上記の「中間とりまとめ」では次のとおり記載されています。

「マイナンバーカードの管理について施設等が本人に代わって入所者のマイナンバーカードを管理することに不安の声が聞かれた一方で、施設入所者等も、マイナンバーカード1枚で医療機関・薬局を受診等することにより、患者本人の過去の医療・健康情報に基づいた医療を受けるというメリットを活用いただく機会を保障する必要がある。 医療機関・薬局の受診等の際にマイナンバーカードを第三者に預けることや、施設入所者のマイナンバーカードの管理の在り方などについて、取扱いの留意点等を整理した上で周知し、安心して管理することができる環境づくりを推進する。 (具体例)・ 法定/任意代理人が被代理人のマイナンバーカードを管理する場合 ・ 施設長が施設入所者分のマイナンバーカードを管理する場合 (後略)」

 

これを見ると、政府としても何等かの対策を講じてくれるようですので、後見人としては、その対策を注視しつつ、健康保険証一体型マイナンバーカードの取得について検討することになると思われます。

 

マイナンバーカードと健康保険証の一体化は、後見業務にも大きな影響がありますので、今後も随時このブログで取り上げていきたいと考えています。

 

(東京ジェイ法律事務所 司法書士 野村真美)

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