2018年 日本映画

監督:瀬々敬久

脚本:相澤虎之助 瀬々敬久

ナレーター:永瀬正敏

出演:木竜麻生 東出昌大 寛一郎 韓英恵 山田真歩 大西礼芳 井浦新 山中崇

 

 

実際に実在した女相撲と無政府主義結社の「ギロチン社」を用いたフィクションですが、まぁ~良く出来てます。

色々と巧い!

ラストシーンも非常に良かった!!!

どっぷりと作品の中にのめり込めました。

惜しむらくは東出さんのモノローグがヘタクソなだけ!

 

 

この時代、女は生を受けた時から弱者です。

主人公のともよ(木竜麻生)も実姉が赤ちゃんを残し亡くなったので、代わりにともよが後妻に入りますが、夫の定生(篠原篤)は暴力でともよを支配します。

ともよの顔はいつも腫れててアザや傷が絶えません。

 

強くなりたい!強くなりたい!

そう思う日々に女相撲の興行が来ます。

お金は無いので帳壁の隙間から覗き見です。

 

強い女たちの取組に夢中になってると地震が起きます。

ーーー帝都から50km、関東大震災の余波ですーーー

 

その日もともよは定生に激しく暴行されます。

定生の目を盗んでひとり家を飛び出し、女相撲に駆け込みます。

 

そして【花菊】と命名され厳しい修行に励むのです。

 

 

ーー9月20日 大阪ーー

実業同志社の講演会の講堂で、理事の森本一雄(宇野祥平)に金銭をせびる「ギロチン社」のアナキストたち。

リーダーの中濱鐵(東出昌大)が屁理屈を並べ、同志は包丁をちらつかせます。

だが、森本はビビることもなく背を向け歩き出す。

肝が据わっているようで、本気で刺す度胸が感じられなかったのでしょう。

それでも急に振り返り、「2万円は無理だけど」といくらか渡し、「残りは今度」

と【男と男の約束】をします。

※何か企みがありそうですな※

 

このギロチン社、メンバーみんながどこかを首になってるので名付けた結社ですが、

活動資金は【リャク】(略奪のリャク)で、資本家たちにせびって集めてますが、

その殆どは酒と女に溶かします。

 

森本からリャクした金で早速遊女とベッドで戯れる中濱ですが、いいところで親友の古田大次郎(寛一郎)が飛び込んできます。

「大杉さんが・・・死んだ・・・」

 ーー何だと!?ーー

古田が手にしてる号外を奪い見ると

【甘粕憲兵分隊長 大杉栄を刺殺す】とある。

※甘粕事件です※

 

崇拝する【労働運動者】の大杉の死に復讐を決めるが、当の甘粕は逮捕されてるので、甘粕の17才の弟を殺害することに。

※弟関係ないじゃん!※

 

だが、包丁で襲いかかるもコッソリ警護してた警官に取り押さえられ失敗。

実はこの数日前にも紡績会社の重役を拳銃で撃つが、それは別人だったという誤射事件を起こしてた。

※どうも単細胞の集団らしい※

 

ーー10月16日 小坂事件ーー

銀行の行員が運ぶ現金を奪おうと襲撃するが、古田が誤って行員を刺殺してしまう。

しかも奪ったカバンの中の現金はたいした額ではなかった。

※計画性0の無能集団らしい※

 

そしてアジトがバレ、中濱と古田以外の殆どのメンバーが逮捕されます。

※ブレーンがいない結社だもんね※

 

梅毒でちんこが痛い中濱ですが、古田に皇太子暗殺を宣言します。

※↑ひとつも成功してない事実を顧みなさい!※

 

ふたりは大阪を逃れ東京に向かいます。

 

     *

 

稽古に励む花菊ですがつわりが起きます・・・

 

     *

 

ーー船橋ーー

在郷軍人会の飯岡(大西信満)が、同じ在郷軍人や農民相手に自警団は皇軍だと発破をかけるが、そこに警察署長の丸万(菅田俊)がやってきて「自警団は解散だろ!」と怒鳴ります。

震災から一ヶ月以上も過ぎて、朝鮮人虐殺で諸外国から批判が出てるというのに、

どんなに説明しても飯岡は朝鮮人や社会主義者の震災後の反乱がデマだったことを信じません。

※バカなんですね※

 

     *

 

この船橋で女相撲の興行が始まります。

宣伝で太鼓を鳴らしながら女力士たちが村中を歩きます。

みんな女相撲に興味津々です。

 

宣伝が終わると設営です。

花菊がノボリを立ててると、体の小さい小桜(山田真歩)がやってきて、

「月のものはきてる?」

うつむく花菊にアボカドのようなものをあげます。

※これが何なのか調べても分かりませんでした※

「子どもなんか堕しちまいな」

「面倒なんて捨てちゃえばいいのさ」

 

小桜が去ると、花菊は唐突に海の方に走り出し、しゃがみ込んでおしっこをします。

気が緩んだのか、小桜から貰ったソレをおしっこの水溜まりに落としてしまいます。

「あ゛ぁ゛~~~!!!」

その声に、近くで釣りをしてた古田大次郎が花菊を見ます。

 

古田と目が合い、慌てて逃げる花菊ですが、古田は花菊が落としたソレを拾って追いかけます。

※おしっこが付いてるけど※

が、逃げた先は海で、もう逃げ場のない花菊は古田に相撲でぶつかり倒します。

「何すんだよ!?」

花菊は夫が連れ戻すためによこした男かと思ってましたが違いました。

古田がソレを渡してくれたので、受け取り部屋へ戻ります。

その道中でソレを手で拭いて皮ごと食べます。

※おしっこは拭けば大丈夫な時代※

 

中濱は浜辺の家(空家?)で、亡き大杉栄に送る詩を書いてます。

彼の講堂での演説を回想しながら・・・

書き終えると部屋で寝てる村木源次郎(井浦新)と和田久太郎(山中崇)を起こします。

魚が釣れなかった古田も戻ったので、4人で女相撲を観に行くことにします。

 

中濱はエロ目的でしたが、裸じゃないので露骨にガッカリです。

女相撲はシャツとステテコの上からマワシなのです。

だが、思いのほか面白い勝負に盛り上がります。

花菊が出て、古田は熱く見つめますが花菊は負けてしまいます。

間に飯岡や丸万の妨害はありましたが、女相撲初日は大盛況で終わりました。

 

前日から泊まりで呑んで、女相撲に興じてすっかり気心が知れた村木はやっと本音を話します。

「我々の狙いは関東戒厳司令官・福田雅太郎だ。君たちと手を組もう」

【労働運動者】と【ギロチン社】の共闘です。

※福田雅太郎は甘粕事件の黒幕という説のある人です※

 

     *

 

取組が終わったあとも下っ端の力士たちは大忙しです。

全員のマワシなどの洗濯があるからです。

せっせとタライで手洗いです。

 

なのに、十勝川(韓英恵)はどこかへ行ってしまいます。

みんなの呼び声を無視して居なくなります。

何かと思えば、山で今日の観客の男に売春です。

それをコッソリ尾行した勝虎(大西礼芳)は目撃します。

勝虎だけではありません。

在郷軍人会の飯岡の手下の3人も目撃してたのです。

 

3人はスッキリした帰り道の男を藪に引きずり込み、竹やりで殺して財布を奪います。

十勝川とやりたい一心で大金を見せびらかして狙われたのでしょう。

※スッキリした後が不幸中の幸いですね※

 

     *

 

すっかり女相撲が気に入った中濱は古田を連れて、力士と地元名士の坂田(川瀬陽太)と飯岡が集まる旅館の宴席に強引に上がり込み、偽名を語り、女相撲を小説にするので十勝川関と花菊関に取材がしたいと言います。

 

親方(渋川清彦)が断っても、居座って酒まで呑む中濱に飯岡が詰め寄ると、たちまち退散して襖の裏に隠れます。

 

短気な飯岡のことを、興行主の坂田が、

「震災後は一緒に自警団を組んだが、こいつらバカだから朝鮮人も朝鮮人じゃない九州や東北から来た連中とかみんなぶった斬ってお縄だよ」

と暴露すると、飯岡は否定して出て行きます。

飯岡を追いかけ坂田も出て行き、ふたりを追いかけ親方もいなくなり、力士だけになると勝虎が揉め事を起こします。

売春の件です。

勝虎は十勝川の財布を奪い、中身を畳にぶちまけ、十勝川を罵ります。

 

何とか飯岡のご機嫌を直して、ふたりを連れて座敷に戻った親方は勝虎を叩きます。

勝虎は悔しくて泣きます。

勝虎を擁護したい妹分の最上川が、

「十勝川は朝鮮人だよ!違う言葉で喋ってるの小桜関と聞いたもん!ねぇ?」

小桜は「知らないね」ととぼけます。

 

ーー飯岡の目が光りますーー

 

中濱と古田は話の全てを聞いてしまうのでした。

 

     *

 

その夜、浜辺の家で中濱と古田は「銃より爆弾だ」などと物騒な話をしてますが、

物音がして警戒します。

現れたのは十勝川と花菊です。

 

4人で浜辺に出ますが、中濱は即2対2の別行動です。

中濱の狙いは勿論色っぽい十勝川です。

 

花菊は「男はみんな十勝川関が好きなの」

※古田がハズレ引いたと思ったんじゃないかの予防線かな※

※古田は最初から花菊オンリーよ※

 

十勝川は泣きながら朝鮮人としてこれまで辛酸を舐めてきた過去を話します。

中濱は日本人として全裸になり土下座して謝罪します。

 

花菊と古田の方は相撲の稽古です。

お坊ちゃんでひ弱な古田は花菊に勝てませんが、偶然の内無双で花菊を倒します。

「オラにそれ教えてくれ!!!」

 

     *

 

翌日は女相撲の宣伝行列に古田も加わります。

1枚1枚、中濱が手書きした宣伝ビラを古田が村人に配ります。

宣伝が終わると浜辺で太鼓叩いてみんなでダンス♪ダンス♪ダンス♪

明るく楽しいひとときで和気藹々です。

中濱と十勝川は急接近です^^

※でも中濱は梅毒※

 

突然そこに4人の警官が現れ小桜を呼びます。

小桜が立つと、身元を確認され手錠をかけられます。

亭主から捜索願いが出されてて、責任者の親方にも同行を求めます。

親方は行司役の三治(嶺豪一)に後を頼み警官に付いて行きます。

警官は小桜に、

「帰ったら亭主に詫び入れろ」

小桜は無視します。

「聞いてるのか!!!」

ーー私は頭なんか下げないよ!家なんか火ぃ付ければよかったーー

「何だと!?この非国民が!!!」

警官から暴行されます。

小桜はみんなの方を振り返り、

ーー上等だよ非国民!どうせ希望がないなら好き勝手生きな!!!ーー

みんなに向けて叫びます。

 

小桜に熱い声援が送られます。

 

※このシーンは衝撃でした。

 まだ女は男の所有物で人権がなかったんですね。

 家出したら逮捕ですよ!?非国民ですよ!?

 女性の参政権が昭和21年ですからね、たった100年前でこんなにも虐げられる     女たちです。

 希望がないって台詞が刺さりました※

 

     *

 

警察署内では飯岡が署長の丸万に詰め寄ります。

女相撲に出入りしてる男たちは主義者に違いないし、力士の中には朝鮮人もいると。

朝鮮人と社会主義者は殺しても構わない危険思想の飯岡ですが、愛國精神からなので無碍にもできません。

「暴動作業は治まってるんだ!」

「退役軍人が調子に乗るな!」

「朝鮮人殺しだって・・・自警団は先棒を担いだだけだ・・・そうだろ?」

※歯切れが悪いですね※

 

     *

 

「思い出した!旅館で署長と一緒にいたのは正力松太郎だ!!!」

ーー朝鮮人や社会主義者の噂を流した?ーー

「役職が変わったから虐殺の尻拭いでもやらされてるんだろう」

 

古田は正力を「殺る」と言い、「正力なんて小物だ!」と止める中濱を振り切り

駅に向かいます。

中濱も付いて行きます。

 

駅のホームでは、汽車に乗った正力を丸万たちが見送り、発車する汽車に頭を下げ、頭を上げた時に汽車に乗ってる中濱と古田に気付き慌てます。

ふたりはコッソリ汽車に乗り込んでたのです。

 

古田は正力の座席の前で携帯してる鞘付きの小刀を出しますが、汽車が急停車して古田はバランスを崩し倒れます。

丸万たちが汽車に乗り込んできたので慌てて逃走します。

 

でも、実は命拾いをしたのは古田の方でした。正力も古田が現れた時に刀を出していたのです。

 

※この人たちに作戦を練るという考えはないのでしょうか?全てが行き当たりばったりです ※

 

     *

 

稽古中の力士たちのところへ手下を連れた飯岡が現れ十勝川を拉致します。

警察はさっき来て何事もなかったのに、警察の許可は取ってると飯岡は言い張ります。

女たちは抵抗しますが、三治と坂田は力士たちを制止して十勝川は乱暴に連れて行かれてしまいます。

 

花菊はコッソリと部屋を抜けて十勝川を探します。

十勝川は格子のある拷問部屋のような建物で激しい拷問を受けていました。

「本当はおまえら鮮人が火をつけ回ったんだろ!?」

「井戸に毒を入れた!そうだろ!?」

どうしても朝鮮人のせいにしたい飯岡です。

 

花菊は中濱たちに助けを求めに浜辺の家に行くと、正力殺害に失敗したふたりが戻ってきます。

そのまま十勝川救出に向かいますが、危険なので花菊は部屋へ戻します。

 

そしてつるはしで襲撃し、十勝川を奪還して逃げますが、弱ってる十勝川を支えてるのですぐに追いつかれます。

 

中濱は押さえ付けられ、飯岡は怖気付いた手下に中濱の首を刎ねるよう日本刀を渡します。

 

十勝川は中濱を助けるために「天皇万歳」を唱え続けます。

拷問でも断固拒否した「天皇万歳」を泣きながら叫びます。

飯岡たちも「天皇万歳」を唱えて、何とか難を逃れることができました。

 

花菊は興行に間に合い、内無双で初めて勝ちました。

 

急ぎ拷問部屋の方へ向かうと、飯岡たちは逮捕され警察に連行されています。

「十勝川は!?」「みんなは!?」

 

浜辺の家に行くと、

「おーーーい!」

海の向こうに手漕きボートに乗った3人が花菊を呼びます。

「オラ勝ったぞーーーーー!!!」

古田は「万歳」を言ってくれましたが、

「なんでオラだけ除け者なんだ・・・」

下腹部からの不正出血が足に伝わります。

花菊は海に入り、血と赤ちゃんを流します。

 

     *

 

ーー大正13年ーー

逮捕された4人はこの年の恩赦で釈放され農業に勤しんでますが、飯岡だけの姿はありません。

 

     *

 

中濱と古田は朝鮮に渡ってましたが、爆弾購入費の千円という大金を騙し取られてしまい、金を作りに日本に帰ることにします。

 

そして、男と男の約束を果たして貰うべく、再び実業同志会理事の森本の前に現れます。

森本は、今日のところはといくらか渡し、「寿司でも取ろうか」と言い、

まんまと通報され中濱は逮捕されます。

※この人はホント色々足りない!※

 

     *

 

ーー7月1日ーー

アメリカでは排日移民法が施行。

日本に対する排斥運動が始まる。

飯岡は教師になっており、児童たちに愛國精神を徹底的に教育していた。

 

     *

 

玉岩興行は地方から地方への巡業の旅です。

花菊はだいぶ強くなりました。

 

巡業先の宿屋の夜、十勝川の話題になります。

「十勝川、この土地でいなくなったんだね」

※てことは船橋ですね※

 

花菊も力士になって一年が経ちました。

古田たちと出会った土地で、古田の夢を見ます。

夢から覚めると涙が溢れてます。

 

朝の稽古中に警察が来ます。

署長は丸万から水島に代わってました。

風紀の乱れがないよう釘を刺します。

 

その日の取組に花菊は負けますが、

「強くなったな」

と古田は褒めます。

※普通に古田いるじゃんw※

十勝川のことを訊くと、一緒に朝鮮に行こうと誘ったが下関で別れてそれきりだと。

 

「もう会えないかも知れないけど元気でな」

古田は同志の倉地(荒巻全紀)と去りました。

 

それを見つめる三治の姿があります。

 

     *

 

古田と倉地はひと気のない場所で手作り爆弾を投げて威力を試します。

改良の余地はありますが爆発しました。

 

     *

 

部屋では花菊が親方に詰問されます。

三治が親方に主義者と会ってたことを親方に報告したのです。

三治は警察に通報するべきだと言います。

長い物には巻かれようと。

「今更こんな時代遅れなことで面倒はごめんだ」

なんて余計なことまで口走り、親方に飛び蹴りされてボコられます。

 

勝虎が仲裁に入りますが、

「勝虎と一緒になりてーならそう言え!」

実は三治と勝虎はいい仲だったのですが、親方は気付いていたのです。

「一緒になりてーーーー!」

三治は叫びます。

 

そんな揉め事の最中に、

「すいません。うちのもんがこちらで世話になってるそうで」

花菊の夫の定生が現れます。

 

凍り付く花菊ですが、部屋を去ることにします。

それは古田を守るためです。

自分がいなくなれば警察への通報がうやむやにできるからです。

 

三治も勝虎に出て行こうと迫ります。

 

     *

 

定生との帰り道、雨が降り建物の軒下で雨宿りしますが、そこに古田が現れます。

「花菊!どこに行くんだ!」

定生は古田を引っ叩きますが、手のひらには蚊が潰れてます。

それを古田に見せてニッコリ笑いますが、目は笑っていません。

 

夜、空家のようなところに泊まり3人で酒を呑みます。

普段酒を呑まない古田は潰れて爆睡します。

すると、定生が花菊を襲います。

抵抗して噛みつきますが、定生の暴力に勝てず犯されます。

 

翌朝、古田が目覚めるとふたり共いません。

慌てて外に出ると、花菊が水場で陰部を洗っています。

顔は腫れてアザだらけです。

 

「何をした・・・」「花菊に何やった!?」

 

ーー自分の嫁やって何が悪い!ーー

 

古田は定生に殴りかかりますが、お坊ちゃんでひ弱な古田が百姓の定生に勝てるわけもなく、逆にボコボコにされます。

止めようとする花菊も軽く飛ばされます。

 

「オラ強くなりたい!!!」

 

花菊の泣き叫びが響きます・・・

 

     *

 

その頃、十勝川は娼婦になってました。

客が眠ると財布から金を盗み逃げます。

 

     *

 

ボロボロの古田ですが、ふたりの後ろを付いて行き、

「花菊を返せ!」「花菊に相撲をやらせろ!」

そしてまたボコられます。

 

「花菊好きだーーー!!!」

※うん❤ 知ってたよ♪※

「好きな女ひとり守れないで何が革命だ!!!」

更に定生にボコられます。

 

ついに古田は最後の手段、懐から爆弾を出します。

定生は驚いて逃げ出しますが、定生に向けて爆弾を投げます。

爆風で打撃を受けた定生は倒れます。

 

古田は定生を背負い、医者に連れてくと言いますが、花菊は古田が捕まることを心配します。

 

「女大関の道を目指せ!」

※女相撲の最高位は大関です※

「今度いつ会えるか分からない」

「一生会えないかも知れない」

「けどな、俺が死ぬ時は必ずおまえのことを思い出してやるよ!」

 

古田は定生に選択肢を与えます。

●花菊を諦めるなら医者に連れてく

●諦めないなら放置

定生は医者を選びます。

 

「行け!行って相撲を続けるんだ!!!」

 

花菊は泣きながら部屋に向かって走り出します。

 

     *

 

勝虎と三治は部屋を出ました。

が、勝虎は迷っています。

どうなるかも分からないのに部屋を出たことに・・・

相撲を捨てることに・・・

 

そして、やはり「部屋に帰る!」と、三治に背を向け走り出します。

 

三治が追いかけますが、勝虎の意志は変わりません。

後ろから抱きつく三治を投げ飛ばします。

 

三治は手のひら程の石を手に取り、再び追いかけ勝虎を襲います。

 

頭から血を流し倒れた勝虎の頬を叩き、

「俺は悪くない・・・」と去ります。

 

逃げた三治は、返り血を浴びているのですぐに巡回の警官に捕まります。

 

勝虎は泣きながら立ち上がります。

泣きながら歩きだします・・・

痛みが襲いしゃがみ込みますが、また立って歩きだします・・・

帰りたい!帰りたい!

部屋へ帰りたい!

 

勝虎は部屋の前まで着きましたがついに力尽きました・・・

 

     *

 

勝虎の遺体が樽に入れられる時に花菊は戻りました。

 

空からは涙雨が降ります。

 

警察がやってきます。

三治の証言で部屋を捜索すると言うのですが、親方が一喝します。

「帰れ! ここは神聖な土俵だ!!!」

力士たちは稽古用の丸太で入口を塞ぎます。

 

通り雨が過ぎると、親方は火と塩で土俵を清めます。

太鼓が鳴ります。

大関が土俵入りします。

 

勝虎の弔いです。

 

関脇がイッチャナ節を歌い出します。

土俵の周りを力士たちが踊ります。

 

警察は帳壁の破壊を始めます。

侵入してきた警官たちに女たちが応戦します。

 

署長の水島が日本刀を抜いて土俵に上がり、土俵に刀を刺すと、

花菊は署長をぶちかましでふっ飛ばさせます。

次に苦戦してる仲間の警官をぶちかまし、そのまま別の警官をぶちかまします。

 

花菊強い!怒りの花菊!花菊爆発!燃える花菊!

 

はぁ~♪ イッチャナ~♪ イッチャナ~♪

 

     完

 

エンドロールで社会主義者たちのその後が流れますが、興味のある方はWikipediaで調べてみて下さい。

中濱鐵は【中浜哲】で出てきます。

29歳で刑死です。

 

私が巧いな思った点なのですが、花菊と恋仲になった古田大次郎は25歳で刑死しますが、処刑の時に菊を抱いて死んだと中浜哲のWikに書いてあって鳥肌立ちました。

劇中で、

「俺が死ぬ時は必ずおまえのことを思い出してやるよ!」

と言った通り、菊を抱いて死んだんですよ。

 

本当の意味は、菊は皇室の紋なので「道連れにしてやる」らしいですが・・・

 

つまり!この脚本は、古田大次郎の最期に合わせて、ともよの四股名は「花菊」になったってことですよ。

こんな見えない部分から脚色してくるの凄くないですか!?

 

ラストシーンのイッチャナ節で大乱闘も最高でした!

朝鮮人だけじゃなく、日本の女の歴史も長いこと、特に江戸時代くらいから奪われ蔑まれてきたわけで、劇中でも「くぅ~~~~!」となるところが随所随所にあったから、このラストの乱闘は痛快でした!

 

イッチャナ節って良いですね~♪

この民謡(なの?)のチョイスも最高でした!

 

女相撲とギロチン社の融合、ホント上手に仕上げてて脚本素晴らしい!

ギロチン社が全てに於いて行き当たりばったりなので、東京へ行くと大阪を逃げたのに、結局船橋に、もう何も感じない自分がいましたもん。

 

最後に、私の中の名シーンを紹介させて下さい^^

大西礼芳さんの泣きのシーンです。

それぞれの事情を抱え、女ゆえの辛さ、悔しさ、痛み、哀しみ、

この作品の全ての女たちの涙を代表して表現したと言っても過言ではない見事な演技でした。

 

滝のように泣けました。

 

死に顔も良かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

2023年 日本映画

監督:森達也

出演:井浦新 田中麗奈 永山瑛太 東出昌大 木竜麻生 ピエール瀧 豊原功補

 

千葉県の現在の野田市で実際に起きた事件で、香川県の行商団15人が朝鮮人に間違えられて9人(お腹の赤ちゃんを合わせると10人)が虐殺された事件です。

被害者が被差別部落出身ということで声を出すことに躊躇し、長いこと闇に埋もれたとされています。

 

この映画は史実を用いたフィクションなのでリアリティには欠けますが、亀戸事件、提岩里事件、水平社宣言など、他にも後世に伝えるべき史実を加えてる点は評価に値しますが、色々と惜しい作品です。

 

村の中での性が乱れてて、東出さんがふたりの女性の間男だったり、嫁と舅がデキてたり、井浦さんが性的不能で妻の浮気を見てたり。

この辺丸ごと要らないのでは?

 

その分、亀戸事件の方をもう少し丁寧に掘って欲しかった。

妻と幼い子の家族構成で、殺されたのがひとりだから一瞬ですが甘粕事件かと思いました。

亀戸事件を知らない人だと、この部分は意味不明な上に、

平澤計七は銃剣で腹部を刺されて殺害されたとされてますが、劇中では全裸で首を斬られるので余計「???」でしょう。

なぜ全裸にしたんでしょう?

嫁と舅のシーンも、死にゆく舅の顔におっぱいくっ付けるとか、サービスカットのつもりなのかも知れませんが、裸になる・させる意味が全く感じられなかった。

この辺が無ければ、教育的観点からも子どもたちにも推奨出来る作品となったかも知れません。

 

木竜さんの女性記者も、木竜さんは何も悪くないですが、大正12年に社会部の記者が女性で、現代っ子のようにポンポン物が言えるのに違和感でした。

部長上司にキッパリと反論・・・出来るものかしら・・・

森監督曰く、リベラルな社風の設定らしいですが映像からは分かりません。

【女のくせに~草分けの女性新聞記者たち~】て本があるのですが、中々レアな時代なので、記者は新米青年で、福田村事件に関わる中で一皮剥ける設定の方が入り込めたかなと思いました。
 

正義感が強く、朝鮮飴の行商の女の子を助けようと自警団には口の利けない妹と嘘を吐き、結局バレて女の子は殺されますが、木竜さんが無傷なのも不自然に感じました。

あんな狂った鬼畜たちが、妹と嘘吐いた女記者を生かしておくかしら。

 

15人の行商団の構成は良かったです。

家族・親族の関係性が良く表現されてて、助け合って行商し、上の者が下の者をきちんと教育する。

葬儀の列には道を譲り、頭を下げて通り過ぎるのを待つなど、ちゃんと愛が感じられました。

 

13歳の少年信義が行商に出発する時に少女からお守りを渡されます。

「きっとあんたを守ってくれる日がくる」

そして信義は6人の生存者のひとりになりますが、せっかく序盤でこんなシーンがあるのだから、中盤に回想シーンと終盤にお守りに想いを馳せるシーンがあっても良かったんじゃないかな。

水平社宣言のメモがお守りの中に入ってるのに気付きますが、ここで回想欲しかったな。

少女の凜とした強さが伝わる良いシーンだったので残念です。

 

臨月の妊婦が2歳くらいの娘を抱いて利根川に追い詰められるシーンは苦しかった・・・

「この子だけは!」「この子だけは!」

そんな懇願など通用しない。

日本男児は弱い者イジメが大好きだもの。

娘の方から竹やりで刺し殺し、

「鬼やーーー!」

「みんな鬼やーーー!!!」

最期の叫びが耳に残ります・・・

 

そして、針金で拘束されてる6人(ひとりは赤ちゃん)にもいよいよ最期の時がきます。

自警団のひとりが日本刀を抜きます。

殺される前に行商団のひとりがお経を唱えると、他の4人も唱えます。

お経は途中から【自己他の心得】【水平社宣言】になります。

その気迫に、日本刀を抜いたものの尻込みする自警団の長老。

※序盤で暗記の勉強をみんなでしてますが『じこたの心得』と言ってるので『自己     他』で漢字をあてましたが違うかも※

 

そしてついに刑事が証明書を持って現れます。

「その人たちは日本人だ!」

「今すぐ縄を解きなさい!」

 

村人の男は、御国を守るために、村を守るためやったのに・・・と泣き崩れます。

妻は夫を抱きしめ「あんたは十分力を尽くしたよ」と慰めますが、

観てるこっちは冷ややかです。

何、被害者ぶってんの? 国や村のせいにしてんじゃねーよ!

非常に白けます。

 

6人の命は助かりました。

 

警察に保護され、9人が亡くなったことを刑事が信義に伝えますが、信義は「10人だ」と言います。

※10人です※

信義役の生駒星汰くんが作品通して素晴らしい演技でした。

この子が随所随所で重要な役でした。

 

最後は絶望の表情で高知の村に帰りジ・エンドです。

 

森監督は、

「条件が重なり善良な人が善良な人を殺す」と語ってましたが、

まず当時の日本男児は善良ではないです。

朝鮮人を迫害して差別して、木竜さんが新聞記者だと言えば「女のくせに」

 

男尊女卑、女性蔑視、士農工商穢多非人

 

行商団の親方(永山瑛太)が芯を喰ってましたが、

「朝鮮人なら殺してもええんか!?」

 

他方で、行商団側も、

「ワシらと朝鮮人、どっちが下かな?」

「ワシらが上じゃ!」

の台詞でも分かるように、被差別部落の人々にも差別意識はあって朝鮮人が最下層を暗示してます。

 

朝鮮人が平気で惨殺されたのは、人とすらも扱われなかった絶対的身分制度の最下層という土台があったからでしょう。

道徳的観念の欠片もない当時の日本男児が善良なんてとても思えません。

 

森監督は福田村の村人は善人で、パニックに踊らされた、ある意味被害者に仕立てたかったのでしょうがそれは無理がありますね。

頭の悪い鬼畜集団ですよ。

 

別地域のことを書きます。

     *

東京と神奈川に挟まれた川崎市でも虐殺とは無縁ではありませんでした。

関東大震災の被害をまとめた冊子によると、紡績工場で自警団に朝鮮人3人が殺害され、1人が重症。

海岸では朝鮮人1人が殺害されました。

 

一方で、朝鮮人労働者を雇っていた親方が暴徒から朝鮮人を匿ったり、新田神社に小屋を設け、約180人の朝鮮人を保護し、自警団が押しかけても守った記録が残ってます。

 

警察から「朝鮮人暴動に備えて出動せよ」と指示されたという団員の日記も残ってます。

 

なぜ東京と神奈川に挟まれた川崎市で虐殺被害が少なかったのか?

※川崎も神奈川ですが、新聞記事原文のままで書きます※

当時の川崎は人口が少ない田舎で、「朝鮮人が放火した」というデマでパニックになった東京と横浜と違い、火災が極めて少なかったことが影響してるとみられてます。

     *

最初こそパニックになり暴徒化した民衆がいたので4人の方々の命が奪われましたが、火災や毒などの被害がないことで、冷静に客観視でき沈静化が早かったのでしょう。

 

福田村は火災や毒はありましたか?

しかも事件が起きたのは9月6日です。

6000人が虐殺されたのは9月1日の震災後3日間、9月4日までに集中してます。

 

朝鮮人でもない日本人の行商団をパニックで殺害するにはだいぶ遅すぎませんかね。

パニックに便乗したストレス発散の快楽殺人の可能性もあるんじゃないかと思ってしまいます。

祭りみたいな感覚です。

自分たちも東京みたいに朝鮮人狩りでヒーローになりたかった心理が働いたのではないかしら。

Wikipediaによると【柏市史】には「ことあらばと待ち構えてたとしか考えられない」

とあります。

もう知らない誰かが来たら殺る気満々だった村人たちが浮かびます。

単純なパニックとは思えなかったのが率直な感想でした。

 

あと、虐殺のきっかけが赤ちゃんをおんぶした女が鉈で親方の頭をカチ割るのも飛びすぎです。

 

●村人の性が乱れてる

●女性記者

●女が鉈で親方の頭をカチ割る

この辺が作品のリアリティを落としてると思いました。

 

最後に加えさせて頂きますと、

生き残った6人は安全のために6日間警察で保護され、信義は同じ年頃の子どもがいる刑事の自宅に招かれ、優しくされたことをその後も感謝してたそうです。

 

讃岐に帰り、もう一度千葉に行って被害を訴える話もありましたが、周りは「殺されるかも知れない」と止め、断念したそうです。

 

22歳の行商団員が残した手記は裁判を起こすために書いたのだろうとご遺族は推測してます。

 

被害に遭われた行商団の皆さま、虐殺された多数の方々のご冥福を心よりお祈り申し上げます。

 

 

 

 

 

 

 

 

2017年 韓国映画

2019年 日本一般公開

監督:イ・ジュニク

出演:イ・ジェフン チェ・ヒソ キム・インウ 松田洋治

 

史実に基づいた作品ですが、政治の裏側の見えない部分はかなり脚色されているでしょう。

韓国だけで235万人の観客動員数は、それだけ反日感情の強さが感じられてしまいます。

 

ネット上で「民度」が高い低いなんて言われますが、日本人の民度も中々ですよ?

寧ろ「日本人は民度が高い」って誰が言い出したんだ。

人間の根底に民族など関係なく、自分よりも立場が低い相手にはどこまでも残酷になれて、同じ日本人の中でも士農工商穢多非人というカーストは存在し、命の尊さが論じられるようになったのなんて歴史的にはつい最近ですよ。

 

この作品は大正12年9月1日の関東大震災で、朝鮮人が放火したとか井戸に毒を入れたというデマで、官・民が6000人以上もの朝鮮人を虐殺した「関東大震災朝鮮人虐殺事件」がベースになってますが、虐殺人数には諸説あり、虐殺は無かったという説もあるようですがそれは考えられません。

朝鮮人と思われ行商人9人が惨殺された福田村事件や本庄事件などがありますから。

 

自分にも妻や子や家族がいて、民族が違うからと平気で殺せるなんて鬼畜の所業ですが、私はそもそも戦後になるまでの日本の家族愛には疑問を持っておりまして、

まずは男尊女卑で妻は奴隷のようなもんです。

子どもは労働力で、女の子なら身売りされ、男の子なら丁稚奉公。

娯楽がないから子作りが楽しみ。

結果子沢山。

食えない時なら口減らし。

 

江戸時代の三従の教えから、女が幸せを感じるのは難儀な時代が長く続いたと思ってますし、男でも農家の次男坊以降は結婚すら出来ず男色に走るしかなかったなんて説もあります。

 

大正12年の時代背景は、朝鮮は日本の植民地にされ、土地を没収された人々は日本か満州に流れたそうで、大正11年(1922年)関東大震災の前年で関東一円には約11000人の朝鮮人が在住してました。(震災の年は統計なし)

犠牲者には中国人や社会主義者も含まれてますが、6000人以上の虐殺とはなんと恐ろしい数でしょうか。

「皆殺し」にするくらいの勢いが感じられる数です。

 

 

物語の始まりは、乞食のようなボロを着た朴烈(パク・ヨル)が人力車に裕福そうな男を乗せて走ります。

 

ーー私は犬ころであるーー

ーー空を見て吠えるーー

ーー月を見て吠えるーー

ーーしがない私は犬ころであるーー

 

目的地に到着すると、客の男は僅かばかりの小銭を地面に放り投げます。

お金が足りないと言うと、文句があるなら半島に帰れ!とパクは蹴られ続けます。

 

ーー私は犬ころであるーー

 

     *

 

金子文子がアナキストが集まるおでん屋のジンウに、この詩を書いたのは誰か訊きます。

文子はアナキストの冊子に書かれた「犬ころ」の詩にすっかり魅了されたのです。

「この辺で一番の不逞鮮人のパク・ヨルだ」

なんて話をしてたら、人力車を引いて当の本人が現れる。

文子が挨拶すると、

「日本人か?」

とジンウに耳打ちします。

「微妙だな」

※文子は9才から17才まで朝鮮で暮らしてるので「微妙」なようです※

 

文子はパクに伴侶がいるか確認し、独り者だと知ると同居を迫ります。

「私もアナーキストです♪」

 

若く美しい文子にスケベ心も沸いたパク。

ふたりはおでん屋の二階で暮らし始め、文子はおでん屋の女給をしながらパクたちの活動を支えるようになります。

 

そんな中、関東大震災が発生します。

 

幸いにもおでん屋は倒壊しませんでしたが、ほうほうの体でおでん屋に辿り着いたジンウによると、皇居には対応を迫る民衆が集まり今にも暴動が起きそうだと。

反皇室の文子はワクワクしますが、パクは天皇とその周辺が黙ってるわけがないと不安がよぎります。

 

周辺では火災で爆発も起きてます。

 

     *

 

会議室には国の上層部が集まり対策会議です。

皇居や靖国神社には乞食のような連中が群がっているという情報です。

内務大臣の水野錬太郎は、

「暴動が起きる前に戒厳令を敷くべきだ。朝鮮人が井戸に毒を入れ放火をしてる」

と言い切ります。

 

皇居や靖国で暴動が起きる前に、民衆の関心を朝鮮人に向ける作戦なのです。

 

そして、官憲が民衆に不逞鮮人に対処するよう指示し、男たちは自警団を組み朝鮮人狩りを始めます。

皇居や靖国に群がってた人々の意識は完全に朝鮮人狩りに移行します。

 

ーー15円50銭ーー

これが言えないと殺されるのです。

朝鮮人が発音しにくい言葉だそうです。

まだ幼い少女も竹やりで惨殺されます。

 

     *

 

おでん屋に警察が来ます。

警察も躍起になって不逞鮮人の確保に回ってます。

パクたちは文子と一男を残し警察に捕まる道を選びます。

自警団だと殺されるからです。

 

世田谷警察の牢に留置されますが、自警団に追われた朝鮮人が逃げ込んできて、

「牢に入れてくれ!殺される!」

そう言われてもパクたちは入れらてる立場なのでどうすることも出来ません。

 

男はパクたちの目の前で署内に押し入った自警団に殺されます。

警官の発砲でようやく撤退です。

※実際に本庄警察では自警団が警察署を襲い、鍵を盗み、収容されてた朝鮮人の虐殺      事件が起きてます※

 

     *

 

内務大臣の水野は報道統制を指示します。

「日本人が朝鮮人を虐殺」の記事を、真逆の「朝鮮人が日本人を虐殺」

「朝鮮人が放火」「朝鮮人が井戸に毒」「朝鮮人が強姦」

どんどん煽らせます。

 

「朝鮮人なんか殺しても構わん」

と言ってた水野ですが、すでに死者6000人の報告に顔色が変わります。

「3日で6000人は多いな・・・」

そこまで多いと諸外国からの追求が予想されるので、今度は火消しです。

 

反日リストから首謀者に仕立て上げる人物としてパク・ヨルが選ばれます。

 

水野はでっちあげの革命の筋書きを作ります。

パクが上海から入手した爆弾で大官暗殺を企てるという筋書きです。

※パクが朝鮮人を先導して放火や毒を投げ込み、日本人はそれに抵抗して殺してしまった不可抗力による虐殺。パクは革命を起こそうとしてたという筋書きですね※

 

     *

 

留置場のパクたちのところに文子と一男が現れます。

日本人のふたりは危険がないので置いてきましたが、ふたりは「アナキストです」と出頭したのです。

 

文子は女なので隣の牢にひとり入れられます。

 

ところが、パクだけが牢から出され市ヶ谷刑務所に移送されます。

 

そこにも文子たちは追いかけます。

パクをひとりにはさせません。

 

パクは水野の大官暗殺の筋書きを、自ら皇太子暗殺と話を大きくします。

大逆罪は死刑以外はないにも関わらず。

文子も自分こそが主導したと言います。

 

他の者たちは知らない事として、パクと文子以外は釈放されます。

 

     *

 

大逆罪で早く死刑にして、暴動の全ての責任をパクに擦り付けて決着させたい水野ですが、ことは簡単に進まないことに焦り出します。

 

     *

 

なぜパクと文子はでっちあげの筋書きに乗ったのでしょうか?

朝鮮人虐殺の真実を世界に暴露するためです。

 

裁判には世界からも記者が集まりました。

大官暗殺でなく、皇太子暗殺にしたからです。

裁判という舞台で、ふたりは伝えたいことを見事に演説しました。

ふたりは裁判を利用したのです。

自分の命と引き換えに・・・

 

ふたりには死刑判決が下されますが、文子は笑って万歳を繰り返しました。

 

ところが、天皇からの恩赦で無期懲役に減刑されると文子は自死します。

 

パクは22年後の1945年に釈放され、翌年祖国に帰ります。

1989年に勲章を授与されます。

 

     完

 

物語はここで終わりますが、パクさんを調べたら、朝鮮は1945年に植民地から解放されたのに、今度は南からアメリカ、北からソ連に侵攻されて南北に分断され、

パクさんは北朝鮮で処刑されるという、最後まで歴史に翻弄された人生だったんですね。

勲章授与は死後ということになります。

 

文子の死は他殺説もあり、私も他殺を疑ってます。

こんなに自己主張も自己顕示欲も強い人が遺書も残さず自死するかしら・・・

パクを心底愛してるから一緒に死刑になる道を選び、パクと生き、パクと死ぬ覚悟があるのにパクを残して死ぬかなと。

 

まあ、獄中で書いた自伝が遺書代わりとか、遺書は廃棄されたとか、他の事情も考えられますが、劇中の文子を見る限り、この人は出所後の社会主義活動をパクに発破をかけるとこまで視野に入れて、未来を見据えるタイプじゃないかと思いました。

 

それにしても、この映画は日本人役も韓国人がされてるのですが、水野も含め

韓国の俳優さんの演技力の高さと日本語の上手さには脱帽です。

日本語が話せることが前提でも、加えての演技力ですもん。

韓国芸能のレベルの高さが伝わります。

そんな中に、なぜか松田洋治さんがいるんです。

見た目はすっかり初老ですが、声はアシタカのままでしたw

 

韓国映画なので、日本の悪行を大袈裟に脚色してそうですが、やってること自体は大筋で事実でした。(説も含めて)

 

気になったので、関東大震災朝鮮人虐殺事件に関連する作品をこの後もいくつか紹介させて頂きます。

主演の木村拓哉さんのスケジュールがいっぱいで続編が撮れないとか。

 

原作は読んでませんが、ドラマ面白いですよね(^^)

 

でも、唯一残念なのは木村拓哉さんなんですよ・・・

元アイドルだけあって実年齢より若々しいのに、更に実年齢より上の年齢を演じるって、

白髪にしても隠せない若さじゃありません?

なんか、これじゃない感を覚えるのです(^◇^;)

 

続編でようやく森山未來さんがフィーチャーされそうなのにお預け喰らっちゃうんですよ。

殺人犯から正義のヒーローまで、クズ人間から聖人(声だけど)まで、人間からシカやネコまで、何でもこなせる森山未來さんの殺人犯を非常に楽しみにしてる私としては、

いっそ主演変えちゃば???

 

金田一耕助だって色んな人がやってるし、孫の金田一少年も色んな人がやってるし?

 

じゃ、だったら誰がいいか!?

 

堤真一さん‼️

イメージするだけもハマってる!と思います(^^)

年齢もほぼ原作に近そうだし。

重厚感が増すと思うんですよね。

 

ま、現実は天下の木村さまの予定が空くのをひたすら待つことになるのでしょうが、

続編をお待ちしてます。。。

 

私は死刑廃止論者ではありません。

寧ろ逆の方です。

何の落ち度も無い相手の命を私利私欲で奪ったヤツなど人数に関係なく死刑にしろと思ってますし少年法すら要らないと思ってます。

 

でも、それは100%の事実のみに対してです。

 

【疑わしきは被告人の利益に】

のはずなのに、この事件にはそれが機能しませんでした。

 

司法の正義を問う「袴田事件」に於いても、やり直し裁判でまさかの死刑判決ですよ?

戦後79年経ったこの時代に!!!

まだお偉いさんたちの縦社会は継承されてるんだと思ってしまいました。

 

【そして死刑は執行された】~袴田事件について想う司法の正義とは~ 

 

 

映画の中で死刑囚・林眞須美の夫の健治が、検察から

「眞須美にヒ素を盛られ殺されそうになったと言え」

と強要されたと暴露します。

 

その検察官に突撃取材してて、名前は伏せてるのに顔は出してるんですよ。

周辺にいた関係者も含めて。

勿論回答は拒否してましたが、これ大丈夫なの!?

そういう職種の人には肖像権とかないのかしら???

 

まるで死刑に導いた検察官のようですが、実は突撃取材はこの人だけじゃないんです。

当時の警察官や二審で死刑判決を出した裁判官などのお宅にも・・・

 

この二村監督自身も行き過ぎた取材で捕まり、示談で不起訴になったそうです。

 

この映画は健治さん(顔出しOK)と長男さん(顔出しNG)がストーリーテラーですが、健治さんて当時はキツイ目付きで反社っぽい顔付きでしたが、今は片麻痺で車椅子生活です。

色々削ぎ落されたのか?随分顔付きが優しくなってました。

 

保険金詐欺をしたのは自分が主導で、その手口など語ってました。

左麻痺なので口が曲がってて、左の方に唾液が零れそうになりますがトークは上手です。

どこまで真実か分からないくらいに。

 

そして、詐欺師にありがちな魅力的なトーク力で、眞須美が10回ヒ素を盛ったとされる泉さんの家に訪ねるのですが、泉さんは還暦の歳なのに介護状態でしたが健治に文句の一言も言いませんでした。

※そう誘導してるようにも取れるトーク力です※

 

林眞須美の弁護士に言わせると、10回もヒ素を盛って生きてるということは、逆に殺す気はなかったと。

 

この健治さん、凄いメンタル強いです。

鋼のメンタルです。

保険金詐欺は勿論ですが、泉さんを使った「通し」の麻雀賭博や、おいちょ株の賭博で負けが込んで、一旦家に帰り金庫から500万持って1000万にしたことや、

眞須美の母親が死んだ保険金1億5000万の内、4000万を競輪で溶かしたとか、

まぁ~、お金に関するとんでも話が出てくる出てくる・・・

 

借金で闇金に追われて保険金かけられて殺されそうな人は、健治に相談して高度障害で済む安全なヒ素の量を教えて貰った方がいいと思ってしまいました。

ヒ素マスター健治ですもん。

 

話好きで、トークスキルも高く、

そのトーク力に若い頃はモテたんじゃないかしらね。

 

私が心配したのは長男さんです。

YouTubeで加害者側の家族の、当時子どもだった人がどう育ったかの動画を見ましたが、親がした犯罪に子どもは関係ないのに、「親」という後ろ盾を失い、更にその後ろ盾が「犯罪者」となると、壮絶なイジメを受け、施設の職員すらもそれに加担したと・・・

 

長男さんの部屋の酒の空缶の多さとか、見たことないようなタバコの吸い方とか・・・

心配になりました。

 

自殺した長女さん含め、子どもたちの人生は過酷なことだったでしょう。

 

私が映画を観るまで知ってた和歌山毒物カレー事件は、

犯人は二女説

犯人は林家と不仲の近所説(このお宅にもヒ素があった)

林眞須美がカレー鍋に毒を入れたと言ったはす向かいの家の子の証言が合致しない

後の鑑定で林家のヒ素とカレーのヒ素は成分が違った

和歌山県警は裁判が始まる前に林眞須美を犯人とする異例の本を出版した

 

真偽不明も含めてこのくらいです。

 

1番重要なのは、ヒ素の成分が別物ってとこですよ!

科学的データもありました。

 

ということは、一緒にカレー鍋の見張りをしてたが故に犯人説が出てしまった当時中学2年生の二女さんにはほぼ不可能でしょう。

どこからかヒ素を入手出来る歳ではないですよね。

 

林眞須美なら大人ですし、ヒ素は確かに泉さんに対して使ってたので可能性はあります。

 

はす向かいの家の高校生の証言ですが、このお宅からだと眞須美の姿は見えないんです。

見えるのは二女の姿です。

この高校生は、最初は1階から見たと証言しましたが、1階からだと障害物で殆ど見えないことが分かり、後から2階から見たと証言を変えてるんです。

(こんな重要な証言に勘違いってあります?)

 

鍋から白い煙が見えた証言も、ドライアイスで白い煙を出す検証実験を行いましたが、煙が目視できる距離ではなかったのに、更にそれをレースのカーテン越しに見てるという不思議さです。

 

この高校生の証言の信憑性は事実に値するのでしょうか?

この子は今、どんな気持ちでいるのでしょう?

事実でないなら今からでも詫びないと、人殺しの判決に加担した自分を生涯引き摺るんじゃないかしら・・・

まともならね。

 

近所説と和歌山県警が出版した本については触れてませんでした。

 

 

この事件は、メディアも警察も、「犯人は林眞須美に違いない」「林眞須美でなければいけない」そんな風潮に流されて、司法自体も冷静で客観的な判決から遠ざかった思い込みがあったように感じます。

 

命はひとつしかありません。

冤罪の可能性が極めて高い、いえ、冤罪の可能性が少しでもあるなら死刑の判決はあってはならないのが【疑わしきは被告人の利益に】のはずなのです。

 

そうは言っても、この事件で林眞須美死刑囚に同情が集まらないのは、やはり保険金詐欺で

何億ものお金を騙し取り、贅沢な暮らしに明け暮れてたからだと思います。

 

「楽しく保険金詐欺をやってただけなのに」

そう言った健治に反省の色など感じられずです。

1億5000万円の大口だけも3本!それだけで4億5000万円ですよ😱

 

泉さんは10回ヒ素を飲まされたので、泉さんだけでも10本の保険金詐欺です。

還暦で介護状態って、めっちゃヒ素の影響じゃん!?

と思いますよ(−_−;)

 

この当時の保険会社って甘かったんですね。

ひとりの人間が10回も保険金受け取れたってことですもんね。

「楽勝だった」そうです。

 

いったい総額でいくら詐欺したんでしょうね。。。

 

これがあるから、冤罪だと考えてる人は大勢いても、大きな波は生まれないのかな?

私には冤罪かどうかの真実は分かりませんが、その可能性が割と高いので、死刑判決は破棄にすべきが正しい司法ではないかと思ってます。

 

この映画で世論が動いてくれることを願います。

横浜シネマリンて小さい映画館なので、この映画の上映は1日1回です。

40席くらいあるのかな?

※102席でした※

ほぼ満席でした。

興味を持ってる人たちはちゃんといるので、長男さんの慰めになってくれたらと思いますし、長男さんには堂々と幸せな方向を進む選択をして欲しいと切に願います。

 

あなたは何も悪くないのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2020年 日本・カザフスタン合作映画

監督・脚本:竹葉リサ エルラン・ヌルムハンベトフ

出演:森山未來 サマル・イェスリァーモア マディ・メナイダロフ

 

カザフスタンの美しい大草原の中の、小さな集落の中の更に小さな家に住む

少年オルジャスの家族に突然起きる非日常な出来事。

ノスタルジックでせつない余韻が残るヒューマンドラマです。

 

*~~~*~~~*~~~*~~~*~~~*~~~*~~~*~~~*~~~*

 

美しく広がる大草原に朝日が昇り始める。

ポツンとある馬の厩舎に1台の馬運車が止まる。

 

ベッドで眠る少年オルジャス(マディ・メナイダロフ)。

小さな池で、彼氏と楽しそうに下着姿で水浴びしてる、金髪のロシア娘の美しい肢体を仲間たちと覗き見してる夢の中だったが、外からの馬の鳴き声に現実に戻される。

 

同じ部屋のもうひとつのベッドの妹ふたりは熟睡だ。

 

起きて外に出ると、母のアイグリ(サマル・イェスリァーモア)が父のオンダスンの作業を見つめている。

「起こしちゃった?」

オルジャスの頭を撫でるアイグリ。

 

馬運車には20頭の馬が乗せられた。

オンダスンが雇った村の男が「あの白いのは乗せないのか?」と聞く。

オンダスンは、「乗せない。オルジャスへの贈り物だ」

 

オルジャスはその言葉には反応せず、自分も市場に行きたいと父にせがむ。

オンダスンは優しく微笑みながら、

「母さんのトマトの収穫を手伝う約束だろ?」

「時計を持ってきてくれ」

 

オルジャスは部屋に戻り父の腕時計を手に取る。

父の唯一の腕時計はガラス面にヒビが入った物だが大切に使ってる腕時計だ。

 

オルジャスが時計を父に渡すといよいよ出発。

オンダスンはオルジャスの肩を抱き、雇った男ふたりの4人で輪になりしゃがみ込み、道中の安全を祈願して神に祈りを捧げ、そして行ってしまった。

 

小さくなっていく馬運車を見つめるオルジャス。

 

馬運車の運転は雇いの男でオンダスンは後部座席に座っているが、後部座席に積んだ段ボールから子猫の鳴き声がする。

運転手の男の家で生まれた子猫を市場で売ると言う。

5匹の中で、白い1匹を貰うことにしたオンダスン。

子どもたちへのお土産だ。

 

オルジャスの方は村のおじさんのベケジャンの運転するバイクでトマト畑に着きます。

オルジャスはバイクの後部座席に、母とふたりの妹はサイドカーの5人乗りです。

畑では既に村の女たちが作業を始めている。

※畑仕事は女たちが担当のようです※

 

皆、子連れで作業してて、戦力にならない幼児から下は簡素な一カ所に集められて

代表のひとりが面倒を見てるようです。

オルジャスとすぐ下の妹のサウレは大人と同じようにバケツを渡されトマトの収穫を始めます。

※学校には行けてないようですね※

 

     *

 

市場に着いたオンダスンたち、すぐに客が付き値段交渉になりますが余りにも安くて断ります。

運転手は子猫を売りに、オンダスンは朝食で馬運車を離れ、残ったひとりに交渉を任せます。

 

市場には、鶏・鴨・うさぎ・豚・牛などが売買されてて、闘鶏などもやってて、賑やかで活気に湧いてます。

※市場は男の世界のようで、少年はいても少女は皆無です。成人女性は僅かにいますが業者かも※

 

カフェで朝食のオンダスンですが、食べてる最中に「売れた!」と交渉役の男が呼びにきたので、慌ててパンを口にほおばりコーヒーで流し込み、放してた子猫を胸にしまい馬運車に向かいます。

 

子猫を売ってた運転手はまだ1匹も売れてないのに呼ばれたので、売るのを諦めてそのまま放置して馬運車に向かいます。

 

オンダスンは現金を数え商談は成立。

3人の男たちの乗る車に付いていき、彼らの村まで馬を運びます。

 

     *

 

トマト畑では、遊び仲間のガニがオルジャスを誘いに来ます。

「ロシア娘が来てる!」

行きたいオルジャスですが、せっせとトマトの収穫をしてる母を見ると

すぐには言い出せそうにありません。

「先に行ってて、後から行く」

 

でも、行きたい気持ちが強くて母に「泳ぎに行きたい」と言います。

「バケツ5杯取ったらね」

一旦は諦めて作業に戻りますが、どうしても行きたいオルジャスはまた母にお願いし、「すぐ戻る」ことを条件に遊びに行きます。

 

     *

 

男たちの村に向かってるオンダスンたちですがトラブルが起きます。

先導してる男たちの車がエンストしてしまったのです。

 

オンダスンの運転手が降りて、男たちの車のエンジンを調べます。

 

時間がかかりそうなので、もうひとりの男は用足しでブッシュの方に行きます。

その後を付ける客の男のひとり・・・

 

馬運車で待ってるオンダスンのところにもひとりやってきます。

不穏な緊張感が走ります。

「馬が病気みたいだ」

オンダスンが馬運車から降りて馬の様子を見ると、あっという間に銃で後頭部を撃たれ即死します。

撃った男はすぐに死体をブッシュに引きずり運びます。

 

銃声で、エンストの原因を調べてた運転手の男は危険を察知しますが、隣で一緒に

いた男にナイフで刺され殺されます。

 

用足ししてた男は銃声に必死に走りますが、肥満が災いしてすぐに追いつかれ

ナイフでメッタ刺しにされます。

 

3人の死体は手近なブッシュにそれぞれ隠されますが、オンダスンの死体を隠してた男はオンダスンの腕時計に気付き、それも奪います。

※馬20頭と馬運車の金額は相当なもんでしょうね※

 

     *

 

オルジャスは「すぐ戻る」約束を忘れ、結局10人ほどの仲間と遊び呆けてしまい、

夕陽が傾きかけた頃、妹のサウレが母の使いで呼びにくるまで遊んでしまいます。

 

     *

 

同じ頃、オンダスタンの死体が隠されてる草原では羊が放牧されています。

羊飼いの男が子猫の鳴き声にブッシュを探します。

子猫と死体を発見します・・・

 

     *

 

畑から、ベケジャンのバイクで帰宅するアイグリたち。

バイクから降りてアイグリと妹たちは家の中に入りますが、オルジャスはベケジャンに止められて、母の手伝いをせず遊んだことをみっちりと絞られます。

 

ベケジャンが帰ると、母に言われオルジャスは外の発電機を発動させます。

部屋と外灯に灯りがともります。

次にタライで洗髪してるサウレのタオルを用意します。

※畑仕事に夕飯に子どもたちのお風呂、大忙しのアイグリです。オルジャスも手伝いが多く、日本の子に観せてあげたくなります※

 

外からは雷鳴が響きます。

アイグリは急いで洗濯物を取り込みに外に出ます。

※玄関出たら庭じゃなくて外です※

 

窓から母を見ると、強風で洗濯物を取り込むのも一苦労の様子です。

そこにパトカーが止まり、警官が降りて母に何か話しています。

警官は車に乗るような身振りをしてます。

不安になり玄関に向かうオルジャス。

母は青ざめた表情で、洗濯物を床に捨て、

「先に寝てて、すぐ戻るから」

パトカーに乗って行ってしまいました。

 

不安を抱えたオルジャスは、その晩は妹たちのベッドに潜り込み眠るのです。

 

ーーそして夢を見ますーー

廃墟の白い壁に炭でロシア娘の裸体を書きます。

その絵に向かって仲間たちとトマトを投げ付けるのです。

オルジャスはそれが楽しくて楽しくて笑顔いっぱいです。

※夢ですが、やっとオルジャスの笑顔が見れました※

 

部屋に朝陽が射す頃、外からクラクションが鳴り響きます。

すぐに目覚めるオルジャス。

窓から見るとベケジャンおじさんです。

「お母さんはどこ?」

それには答えず「すぐに妹たちを起こせ」

 

ベケジャンのバイクに乗ってると、村の集会所に沢山の男たちが集まっています。

その集会所を素通りして、到着したのはベケジャンの家でした。

 

バイクの音でベケジャン夫人が出てきて、門を開け末っ子の幼いアイシャを抱き上げ、子どもたちを中に誘導します。

ベケジャンはそのままどこかに行きます。

※ベケジャンちは木ですが塀も門もあり立派な自宅です※

※トマト畑はベケジャンが地主かも?※

 

ベケジャンが集会所に着くと、まず外門に立ってる男たちと握手を交わします。

そこに警官が来てオンダスンの親戚を呼び、オンダスンの「所持品」を渡します。

ーーー白い子猫ですーーー

親戚のおじさんは子猫をオルジャスにとベケジャンに子猫を渡します。

 

     *

 

ベケジャン家では、ようやく子どもたちが朝ご飯です。

妹たちは空腹なのでモリモリ食べますが、母のことが心配なオルジャスは食べる気になれません。

夜には帰ってくると言ってた父は帰宅せず、母はパトカーに乗ってそれきりです。

 

大人たちは忙しくしてて、ベケジャン夫人も食事が終わったら食器を洗うよう

オルジャスに言いつけると出かけて行きました。

オルジャスは窓から出かけていくベケジャン夫人を見て閃きます。

「アイシャを見てて」

サウレにアイシャを頼み、ベケジャン夫人の後を付けます。

 

ベケジャン夫人の行き先は集会所でした。

集会所の前にはバイクに座ったベケジャンがいて、オルジャスはベケジャンにすぐ見つかってしまいます。

「オルジャス!こっちへ来い!」

また怒られそうだとモジモジしながら行くオルジャス。

案の定「家から出るな!」と注意され、「お父さんからのお土産だ」と子猫を渡されます。

 

村の男に呼ばれたベケジャンは、更に「どこにも出かけるな!」と釘を刺しバイクでいなくなりました。

 

怖いベケジャンがいなくなり、オルジャスは子猫を胸に隠し、集会所の敷地に潜り込みます。

誰もオルジャスを気に留めません。

集会所の中に入りますが、そこにも大人が大勢いますが気に留める人はいません。

大人同士の話に夢中です。

 

奥へ奥へと進むと、行き止まりの小部屋の真ん中に、顔以外は白い布に包まれた父の遺体と、遺体を囲む大人たちの中に母を見付けました・・・

母と目が合いますが、オルジャスはショックでそのまま走り去り、走って走ってひたすら走って池のほとりで座り込みます・・・

 

ベケジャンおじさんちに戻ったのは日が暮れる頃でした・・・

部屋で遊ぶ妹たちを悲しげに見つめます。

父が死んだことは言わず、子猫は「拾った」ことにしました。

 

ーーー夢の中ーーー

いつもの仲間に

「あの女の絵描ける?」

と聞かれ、「うん」と答えるオルジャス。

絵が描ける壁までみんなで走る。

走ってるとオルジャスを呼ぶ声がする・・・

「明日はお葬式に行くのよ」

 

 

     *

 

乗合バスの中で木片を彫る男(森山未來)

馬の形をしてます

 

     *

 

翌日の葬儀

イスラム教での儀式は男たちだけで、女たちは離れた所で見てます。

オルジャスも大人の男たちに交じって儀式に参加して祈りを捧げます。

 

埋葬は男たちだけです。

妻でも女たちはここでお別れ。

男たちはトラックと徒歩で集会所から消えて行きました。

 

アイグリは男たちが見えなくなっても、まだその方向を見つめています。

そのアイグリに近付く女・・・

背後からアイグリに言います

「あんたのせいだ!」

「この疫病神!」

アイグリは振り返り、女の頬を強く叩きます。

別の女もアイグリに

「早く消えちゃいな!」

「消えな!!!」

とアイグリに掴みかかります。

その女も叩きます。

結構強いアイグリです。

 

他の女たちが引き離し仲裁します。

アイグリの方にはベケジャン夫人が割って入ります。

「私が話をつけるから怒らないで」

 

     *

 

墓地では埋葬が終わりました。

オルジャスは一番最後に父のお墓にお別れしました。

 

     *

 

乗合バスから男が降りました。

その辺のおじさんふたりに挨拶しながら握手し、オンダスンの家を尋ねます。

「昨日亡くなったオンダスンかい?」

男の顔色が変わり、家を教えてもらったのにお礼の言葉も言えません・・・

 

男は集会所から遠く離れた木陰で集会所の様子を見ます。

埋葬から戻ってきたトラックの荷台から少年が飛び降り、母に抱き着きます。

それを見るとその場を去ります。

 

     *

 

アイグリとオルジャスはサウレたちの待ってるベケジャン家に戻りますが、仲裁してくれたベケジャン夫人の慰めにも息が詰まり、ひとりで外に出てしまいます。

歩いて歩いて川の前で立ちすくむアイグリ・・・

 

ひとりになりたいのでしょう。

 

でも、心配なオルジャスが後を付けてました。

「お母さん、おうちに帰ろう。アイシャが泣いてるよ・・・」

母の手を握ります。

母が川に飛び込みそうで怖かったのでしょう・・・

 

     *

 

夜、子どもたちが寝静まり、

アイグリとベケジャン夫人は今後のことを話します。

借金の返済方法はベケジャンが考えてくれたそうです。

アイグリはここには住めないから、村を出てイトコの住むセーリックの村に引っ越すと言います。

「ここにいても村八分にされるからそれがいい・・・」

 

バイクのエンジン音に、オルジャスはぼんやりと目覚めます。

アイグリは外に出ます。

ベケジャンはこれから牧場に行くから門を閉めろとアイグリに言います。

アイグリはセーリックの村への引っ越しを手伝ってと頼みます。

了承するとまたバイクで出かけて行きます。

 

アイグリが門を閉めると、「アイグリ」と呼ぶ声がします。

ーー誰?ーー

暗闇から姿を現した男は「カイラートだ」と名乗る。

 

言葉に詰まるアイグリ。

「突然いなくなって8年間どこにいたの!?」

ーー事情があって連絡できなかった・・・ーー

「何しにきたの?」

ーー息子に会いにきたーー

「もうあんたの子じゃないわ。あんたのことも覚えてない」

ーー俺のことは黙ってる。一目会えれば十分だーー

「オルジャスに会いたいなら明日の引っ越しを手伝って」

 

アイグリは部屋に戻りますが、この様子をオルジャスは窓から見てました。

※会話までは聞こえてないと思います※

 

翌朝、厩舎で寝泊まりしたカイラートは身支度を済ますと、ふと何かに気付いたように厩舎の張りに手を伸ばし袋を取り出します。

中には銃が隠してあり弾を確認します。

※カイラートはなぜ銃の隠し場所を知ってたのでしょうか?この厩舎は元々カイラートの物だったのではないでしょうか?※

 

その銃を馬鞍にしまうと、トラックで引っ越しの作業をしてるベケジャンとアタケントの丘で合流する打ち合わせをして、厩舎の16頭の馬たちを一斉に解放して馬を誘導します。

馬も引っ越しです。

※群れを成して走る馬と誘導するカイラートの乗馬姿は美しく格好良いです※

 

馬飼のカイラートを引っ越しで雇ったそうですが、オルジャスはカイラートが気になって仕方ありません。

 

牧草地帯では馬を休憩させます。

その間はカイラートは木彫りをします。

木彫りの完成はもう少しです。

 

カイラートがアタケントの丘に着くとアイグリたちは既に到着してて、アイグリは焚き火を起こし夕飯の準備、ベケジャンはテントの準備です。

今夜はここで野宿です。

妹ふたりは子猫と遊んでいます。

 

オルジャスは到着したカイラートの元に近寄ります。

「馬に乗るか?」

ーーうん!ーー

馬から降りて、オルジャスを抱き上げ馬鞍に座らせると、手綱を引いてキャンプ地から離れると手綱を離します。

オルジャスはとても上手に走り出します。

「上手いな」

ーーお父さんが教えてくれたのーー

 

寂しげな表情になるカイラートです・・・

 

 

 

夜も更け、子どもたちはテントでお眠りですが、オルジャスは大人たちが気になってテントの隙間から覗きます。

焚き火を囲んでますが、カイラートは木彫りをしてて何を話すでもありません。

※日々の生活にいっぱいなのか、アイグリは無口で笑顔もありません※

 

ベケジャンが先にテントに戻るとふたりになりますが沈黙が続きます。

やっとアイグリが口を開きます。

「今までどこにいたの?」

ーー刑務所にいたーー

「何をしたの?」

カイラートは答えません。言えないことのようです。

※殺人かも!?※

「連絡できなかったの?」

ーーおまえたちに危害が及ぶ危険があったーー

ーーだから手紙さえ書けなかったーー

「死んだと思ってた」

ーー死んだも同然だーー

「絵はまだ描いてるの?」

ーー気が向いたらーー

 

アイグリがテントに戻ってくるのでオルジャスは寝たフリをします。

※オルジャスにふたりの会話は聞こえているのでしょうか?そんな距離とは思えませんが、自然の中で暮らしてると耳がいいとか?※

 

 

翌朝、オルジャスは父からの贈り物の白い馬に乗って草原を走ります。

カイラートは馬上でオルジャスを見守ります。

今日はオルジャスは馬でカイラートとセーリックの村に向かうのです。

 

ふたりで出発し、丘の上まで登りますが、丘から下を見下ろすとトラックが動いていません。

「カイラートおじさん!トラックが動いてないよ!」

 

トラックに行くとエンストです。

セーリックの業者に連絡が必要です。

「20km先の食堂で電話を借りて連絡しよう」

アイグリがセーリックのイトコの番号のメモをカイラートに渡します。

オルジャスも行きたがります。

「本人が行きたいなら」とアイグリ。

カイラートとオルジャスは食堂に向かって馬を走らせます。

 

途中、バスの停留所のベンチで休憩を挟みます。

オルジャスの為でしょう。

※有名なこのシーンですね※

※よく似てて本当の親子のようです※

 

特に会話はありませんが、ここでカイラートはポケットから馬の木彫りを出してオルジャスにあげます。

オルジャスはお礼を言い、色を塗ってもいいか聞きます。

「絵が好きなんだって?」

うんと頷くオルジャスに「何か描いてくれ」

 

オルジャスは停留所の壁に、落ちてる炭でサラサラと馬の絵を描きます。

才能があると褒めるカイラートに、

「おじさんも木彫りの才能があるよ」

カイラートは苦笑します。

 

食堂に着くと、オルジャスに外で待つよう言い、カイラートは店内に入り電話を借ります。

 

素直に外で待ってると、ひとりの男が歩いてきて店内に入ります。

オルジャスは男がしてる見覚えのある腕時計に気付きます。

 

男は常連なのか、店員の名前を呼んで自分を探しに来た人がいないか確認し、席に着いてビールを頼みます。

電話をしてるカイラートを気にしてキャップを深く被り直します。

 

そう、こいつはオンダスンを殺害して腕時計を奪った男です。

 

店員のアイジャンがビールを運ぶと男はアイジャンの尻を触り手を叩かれます。

 

オルジャスは店内に入り、カイラートの側に寄りもう一度腕時計を確認します。

男はカイラートたちを気にしてます。

電話が終わると、オルジャスは「あれ、お父さんの時計」

同じ型を疑いますが、ガラス面のヒビの形からお父さんのだと断言します。

 

カイラートが男を見ると、男もこちらを見てます。

袖を伸ばして腕時計を隠します。

が、静かに立ち上がり、カイラートと睨み合いながらポケットから何を出す仕草をします。

 

そこに、店員のアイジャンが「そういえば・・・」

とフロアに出てきた瞬間、男はポケットから取り出した銃を発砲します。

カイラートは瞬間、オルジャスに覆い被さり弾から逃げられましたが、アイジャンは撃たれて倒れました。

 

他の店員ふたりが出てきて警察だ救急車だのパニックのドサクサで男は逃走します。

オルジャスの白い馬を奪って、馬で逃走です。

 

カイラートも馬で男を追います。

片手で手綱を操り、片手で馬鞍に隠してた銃を取り出し男を狙います。

 

馬に当たらないよう十分に狙いを定めて発砲します。

一発で男を仕留め、男は馬上から転落します。

馬は無事です。

 

その様子に驚き立ち上がるふたりの男たち。

オンダスンの仲間ふたりを殺害した男たちです。

彼らはこの草原で馬を放牧してましたが、それはオンダスンから奪った馬でしょう。

20頭程の群れです。

 

ひとりは背を向け逃げ出し、ひとりはカイラートに向かって銃を構えます。

そして発砲するとカイラートは馬ごと倒れます。

※これ森山さんご本人です!凄い!※

 

カイラートはジャンパーの右胸辺りが鮮血に染まって倒れてます・・・

男は銃を構えたままカイラートに近付きますが、死んだように見えたカイラートは男よりも早く、一瞬で男を撃ち倒します。

 

その銃声で最後のひとりが振り返ります。

逃げたと思った男はバッグにしまってた銃を取りに走ったのです。

銃を持つとカイラートに向かって歩き出します。

 

カイラートは息も途切れ途切れですが立ち上がり、弾を詰めながら歩き出します。

 

向かい合うふたり。

そして、ほぼ同時に撃ち合い、互いに倒れます。

※西部劇のようです※

※このシーン格好良くて痺れました※

 

馬たちは銃声に逃げ出しますが、本能なのか群れで走り去って行きました。

 

静かになった草原に羊の群れが放牧されます。

 

 

     *

 

 

ーーセーリックの村の朝ーー

オルジャスは朝起きて、リビングの扉を開けます。

リビングテーブルではおしゃれなワンピースを着たお母さんと、白いシャツのカイラートおじさんが、眩しい光の中で紅茶を飲んでます。

 

ふたりは優しい表情でオルジャスを見つめます。

 

そんな夢を見てるオルジャスのベッドの側のチェストには、白く塗られた馬の木彫りが置かれています。

その木彫りの横にヒビの入った腕時計を置く黒いシャツの男・・・

部屋の扉を閉める音でオルジャスが目覚めます。

すぐに腕時計に気付きます。

腕時計を手に取り、窓から外を見ます。

そして外に出ると乗合バスが走り出します。

バスの中には黒いシャツのカイラートが乗ってます。

 

腕時計を見つめるオルジャス。

この時計を持ってきたのはカイラートおじさんだと察します。

会いたかった・・・

話したかった・・・

そんな顔で、またバスを見つめます。

 

「オルジャス、家に入りなさい」

お母さんの声で、家に入ろうとしますが、振り向いてまたバスを見ます。

 

バスは豆粒くらいに小さくなって、やがて見えなくなりました。。。

 

  

     完

 

*~~~*~~~*~~~*~~~*~~~*~~~*~~~*~~~*~~~*

 

この映画を観ると、効果音的に使われがちな音楽って要らないなって思ってしまいます。

静かに進むから人の動きが感じられるし、観疲れしないのかなと感じました。

 

細かい部分の考察についてはこちらをどうぞ↓

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あらすじはこちら↓↓↓

【オルジャスの白い馬】~あらすじ~ 

 

 

大好きな作品で、30回以上観てるかしら。

こちらも今月一杯でU-NEXTから消えるので、DVD買わなくちゃ!と調べたら

DVDにもBRにもなってなくて非常にショックです・・・

今月中にしっかりと脳裏に焼き付けておかないと!

 

日本とカザフスタンの合作映画で、ロケはオールカザフです。

このカザフスタンの大草原や湖、空や光の美しさときたらもう~❤️

 

色々と細かい説明はないので謎な部分はありますが、そういうお国柄で大陸的なんだと思ってます。

カザフの遊牧地帯の暮らし振りを、物を知らない私は時代背景が古い設定かと思いましたが、念のため調べてみたら現在もそういう地域があるみたいです。

 

物語の進み方や間の開き方とか、日本映画とは全然違うので、合作といってもほぼカザフ映画って印象です。

色んな材料を詰め込まないシンプルな魅力と、ノスタルジックでせつない余韻を残してくれる秀逸な作品ではないかしら。

 

主演は森山未來さんですが、カザフ人のカイラート役です。

オルジャスはカイラートの子ですが、森山さんに似てる子を上手くチョイスしたもんです。

でも、顔だけで選ばれたのではありません。

辛抱や不安が多い生活で、常に母を気遣う不安な心情をズキズキくるほど表現してくれましたし乗馬が巧い!!!

森山さんも、遠目は本人か分かりませんが、かなりの確率でご本人が手綱を握ってました。

片手で手綱、片手で銃で馬を乗りこなしてる姿にはたまげました。

言語はカザフ語で、セリフは耳で聞いて覚えたそうですが、しっかりネイティブでした。

役に対する没入力は神憑り的な方です。

※米粒みたいに小さいシーンでも落馬シーン以外の乗馬は全てご本人だと監督が仰ってました。乗りこなしがホント格好いい!※

 

 

ーーーそれでは考察ですーーー

8年前、カイラート(森山未來)は妻のアイグリ(サマル・イェスリァーモア)と

幼いオルジャス(マディ・メナイダロフ)を残し失踪します。

実は刑務所に入ってて、家族にも危険が及ぶかも知れず手紙も書けなかったと。

この理由は謎のままですが、馬と関係はあるんだろうなとは思っています。

そして、それはオルジャスの継父のオンダスンとベケジャンも関係してると推測してます。

 

アイグリと再婚したオンダスンが住んでる家と厩舎は元々はカイラートの物だったのは、一晩厩舎で寝て、起きてから手際よく準備して、隠してた銃の在り処を知ってるシーンで理解しました。

 

8年前、カイラートは20代後半です。

その歳で結構な大きさの厩舎を構えたとなれば、多少危ない橋を渡っていたかも知れません。

家は小さくてボロですが。

それに協力してたか同じ仲間だったのがオンダスンとベケジャンで、参謀はベケジャンかな。

カイラートは村に着いた時、まずオンダスンの家を探します。

ベケジャンも8年振りなのに何も掘ろうとしません。

失踪の理由が(死も含めて)ある程度予想できる関係性だったから。

 

オンダスンの家を尋ねた時、オンダスンの死に衝撃を受けますが、更に教わった住所が元の自分ちだったので、声も出ないほどになり、アイグリがオンダスンと再婚したことを理解したのではと思います。

 

そして、投獄は裏稼業相手の危ない馬の取引に失敗かな。

(殺されそうになって相手を殺したとか重症を負わせたとか)

手紙も書けなかったのも、看守がトラブルになった相手組織に売るかも知れないから。

 

戻らないカイラートに、取引は失敗し死んだと思ったベケジャンは、残されたアイグリとオルジャスの生活を守る為に独身のオンダスンをアイグリと再婚させた。

それは厩舎の馬たちの世話のこともあるから。

オンダスンは実子以上にオルジャスを大切に育てました。

そこにはカイラートとの強い関係性が感じられます。

ベケジャンもまたアイグリたちを強くサポートしてました。

 

 

次の謎は、アイグリが村の女ふたりから「疫病神」と罵られるシーンです。

ズバリ!あのふたりはオンダスンと共に殺されたふたりの男たちの妻でしょう。

 

オンダスンの遺体は子猫の鳴き声で偶然発見されました。

恐らく、イスラム教は遺体がないと葬儀もあげられないのではないでしょうか?

そして、日本と違いカザフは遺体の捜索をしてくれないんじゃないかしら?

オンダスンの遺体発見現場とふたりの遺体はそう離れた距離じゃないのにね。

 

オンダスンの馬の売買を手伝った夫が殺され、オンダスンの遺体は帰ってきたのに自分たちの夫の遺体は帰ってこない。

だから葬儀もあげられない。

妻にしたら「疫病神」と罵りたくもなるかもです。

 

それ以前にカイラートが失踪してオンダスンとの再婚が忌み嫌われるベースにはあったかも知れませんね。

 

 

 

最後の謎

カイラートは2発も撃たれてなぜ元気?

 

まず、オルジャスが朝起きてリビングでアイグリとカイラートがお茶してるのは完璧に夢です。

夢の中のカイラートは白いシャツで、実際のカイラートは黒いシャツだから。

ただ、夢って現実と直結してること多いじゃないですか?

ライオンに襲われる夢でうなされて起きたら猫が顔に乗ってたとか。

 

実際にカイラートは取り戻した腕時計をオルジャスが寝てる側に置きました。

だからそんな夢を見たんでしょう。

 

そして、私も初見は撃たれたのになんでこんなに元気なの!?

になりましたが、あれ、日が経ってるんですよね。

引っ越したセーリックの村ですが、室内はすっかり生活環境が整ってましたし、

木彫りの馬も白く塗られてました。

 

どこかで治療して回復してからセーリックの村にやってきたという、

とても単純な謎でした(;^_^A

羊の放牧風景が流れたので、羊飼いが発見したのでしょう。

食堂の方には救急車も警察も到着しますし。

正当防衛で簡単に無罪なお国柄なのかな?

 

 

それにしても、セーリックに引っ越してからの家の立派さ!

壁も真新しく塗り替えてて、元の村とは雲泥の差ですよね。

 

馬の殆どを売ったんじゃないかしら?

盗まれた馬もカイラートが何とかして。

それで借金も完済して。

 

馬飼は男の仕事。

30数頭もの馬の世話をアイグリは出来ないし、オルジャスは子どもです。

でも、乗馬は得意ですから数頭ならオルジャスでも面倒見れます。

亡き父からの贈り物の白い馬と数頭残して殆ど売ったかと。

将来、オルジャスも馬飼になるかも知れませんし^^

 

カイラートは去りましたが、きっとどこかで馬飼の仕事先を見付けて草原を駆け巡るんじゃないでしょうか^^

たまにフラッとオルジャスの前に現れたりしながら。

 

そんな、その後のことも想像したりして楽しめる作品でした^^

あと、「オルジャス」って名前の響きが格好良い。。。

 

【追記】

8月31日配信終了となってたのに継続してました。

30日も31日も最後だからと観ましたが、この作品は心底私にマッチするようで、

配信終了にならなくて良かったです^^

 

【追記】2025/8/23

男3人で市場に出発する前にイスラム式の祈りをあげますが、最後が「アーメン」になってますが翻訳の間違いですね。

「アーミン」と言ってるのが正しいようです。

 

 

 

 

 

2018年 日・仏合作映画

監督・脚本:河瀬直美

出演:ジュリエット・ビノシュ 永瀬正敏 岩田剛典 美波 森山未來

   白川和子 ジジ・ぶぅ 田中泯 夏木マリ

 

奈良県の吉野の山が美しく、神木のような「モロンジョの木」を中心に広がるファンタジー映画 になり切れなかった惜しい作品

 

*~~~*~~~*~~~*~~~*~~~*~~~*~~~*~~~*~~~*

 

   山で狩猟中のマタギの男(田中泯)

   白い犬が追う先にいる鹿に向かって発砲する

   当たりはあった

   バサッ!という音の方に振り向くと顔色が変わる

 

     *

 

ーーー山中ーーー

山守の男・智(トモ・永瀬正敏)が木の伐採に精を出してる

 

     *

 

吉野に向かう電車に乗るふたりの女性。

中年の方はフランス人のエッセイストのジャンヌ(ジュリエット・ビノシュ)で、主に紀行文を書いている。

20数年振りに訪れる吉野の山々が見えてくると涙がこぼれる。

 

若い方はフランス人とのハーフの花(美波)でジャンヌの助手かな。通訳で同行。

 

     *

 

軽トラの荷台に白い紀州犬のコウを乗せて山道を走る智。

100mはありそうな長いトンネルを抜けて、盲目の老婆・アキ(夏木マリ)

の家に着くと荷台の薪を所定の場所に降ろす。

 

縁側に出てきたアキが「雨が降る」と言う。

智は空を見るが晴れている。

「そろそろじゃ・・・」

と意味深に微笑むアキ。

 

作業を終えると居間の囲炉裏を囲み、出されたよもぎ餅とお茶を頂く智。

「おまえ、いくつになった?」

ーー48ーー

「わしは1000年前の胞子が放たれた日に生まれた」

ーーなんじゃそれwーー

「いいか、今日は殺生はするな」

ーーなぜ?ーー

「そう決まってるのじゃ」

「明日の朝は春日神社にお参りに行け」

ーー毎日行ってるよーー

 

アキの家から出ると雨が降り出してきた。

 

翌朝、春日神社で参拝してると、ジャンヌと花が現れる。

この辺りで古くから伝わる「薬狩り」の風習のことや、「ビジョン」という植物について質問されるが智はどちらも知らない。

「ここで何年暮らしてますか?」

ーー20年ーー

「どうしてここに来たの?」

ーー疲れたから・・・ーー

ーーその草は何になるの?ーー

「ビジョンは人の苦痛や痛みを取ると言われています」

ーーどうやって?ーー

「わからない」

 

ジャンヌは神社の天井に近い隠れた襖絵に気付く。

かなり古そうな絵だ。

燃えた山に白い人魂のようなものが飛んでいる・・・

※胞子でしょうね※

 

ふたりはそのまま智の家まで付いて行きお邪魔させてもらう。

アキの家同様、暖炉や五右衛門風呂など薪が欠かせない小さい古民家。

秘密基地のような屋根裏部屋も素敵で、そこから眺める美しい吉野の山々の眺望に惹かれたジャンヌは暫くの滞在をお願いする。

 

ひとりと犬の暮らし、戸惑うも了承する智。

屋根裏部屋がふたりの部屋になる。

 

     *

 

   ーー山中ーー

   白い犬が走る

   そこには山守の岳(ガク・森山未來)の姿がある

 

     *

 

翌朝、外からの物音で目覚めたジャンヌは窓を開ける。

庭先で智が薪を割っている音だった。

ジャンヌが英語で色々と質問する。

智も英語が話せて、ふたりの会話は英語になる。

 

山守の智が山のパトロールに周ると、山がざわついている。

 

ジャンヌたちも山を探索する。

山のざわめきの中、幼い男の子の後ろ姿と、大きな池のほとりで抱き合う男女の

イメージが広がる・・・

 

山から山道に降りると、アキを乗せた軽トラと出会う。

「薬草に強い」とジャンヌたちにアキを紹介する智。

ジャンヌが車内のアキに挨拶すると、アキの顔を見て表情が変わる・・・

「あんただったんだね」とアキ。

※顔見知りですね※

 

そのまま荷台に乗り、アキの家に向かうトンネルに入ると、一発の銃声音を回想するジャンヌ・・・

 

アキの家には様々な薬草が作られている。

お茶もそのひとつだ。

ジャンヌたちとお茶を囲み、

「1000年に1度の時が近付いてる」

「やっと会えたな」

アキの言葉に涙を流すジャンヌ。

 

 

翌日、智が山から帰ると花がいない。

「祖母に会いに行った」「バスの時間があるから智によろしく」

とのこと。

そしてふたりきりになった途端、ジャンヌが智に迫る。

※さすがフランス人※

※中年同士の絡みはやたら生々しい※

 

ーーーふたりが結ばれた早朝、アキが長く住んでた家に深々と頭を下げてトンネルの向こうに消えていくーーー

 

智とジャンヌがアキの家に行くと、雨戸がされ玄関扉に施錠がされている。

 

ーーーアキはモロンジョの木に触れて山の声を聴くーーー

ーーーそして踊り出すーーー

ーーーアキに合わせて木々が風を舞うーーー

ーーーすると、アキの目が見えるようになるーーー

 

夜、ジャンヌは智に語る。

ビジョンの周期は997年。

ジャンヌの計算が正しければ、次の胞子が放たれるのはこの秋から冬にかけて。

つまり、まもなくだと。

 

そしてジャンヌは一旦帰国する。

※なぜ???※

 

ーーージャンヌは回想するーーー

池のほとりで抱き合うジャンヌと岳。

ジャンヌは茶色い「おくるみ」に包まれている。

その「おくるみ」に包まれた赤子にキスする自分を・・・

 

     *

 

ジャンヌがいなくなって、山は赤く色付き秋を迎えていた。

コウが激しく吠え智を呼ぶ。

そこには二十歳そこそこの青年が倒れていた。

足を滑らせ捻挫したらしい。

 

青年・鈴(リン・岩田剛典)との暮らしが始まる。

まるで親子のように山の仕事を教える智。

寡黙で殆ど喋らない鈴に優しく接する智。

※智・岳・鈴、みんな一文字で、トモ・ガク・リンの2語に意味あるのかな?※

※智も山に導かれて、何かしら岳と繋がりがあるのか?※

 

そんなある日、ジャンヌが戻ってくる。

鈴を見て、すぐに屋根裏部屋にいくと、そこはもう鈴の部屋になっていた。

夕飯は男ふたりで仲良く作っている姿に不満顔のジャンヌ。

訊けば鈴との暮らしは1ヶ月にもなると言う。

 

その夜は久し振りのメイクラブ。

※このシーン必要か!?ホント要らないし気持ち悪い!※

※おっさんとおばさんの絡みマジ要らない!!!※

そして騎乗位で絶頂を迎えるジャンヌに見えたのは智ではなく岳の顔だった。

※智かわいそ~・・・※

 

行為を終え、智の腕枕で岳との愛を回想するジャンヌ。

※好きな男の腕の中でも、違う男の夢を見る~♪のジュディ・オングの「魅せられて」状態※

 

岳に抱きしめられ、岳が囁く・・・

ーージャンヌ 夜の音 聴こえる?ーー

「あなたの心臓の音がする」

ーー匂いは?ーー

「匂いは想像して感じるものよ」

※あら、ここは素敵だわ※

※夜の匂いなんて考えたこともないもの※

 

中年男女がハッスルしてる時、鈴は外に出て月を見ていた。

そして、涙を流す鈴・・・

ふと振り返ると、窓の向こうの半裸のジャンヌと目が合う・・・

 

早朝、智はコウを繋いである紐が切れてコウがいないことに気付く。

屋根裏を見ると鈴もいない・・・

 

     *

 

ーーー鈴は山にいたーーー

モロンジョの木の声を聴く鈴・・・

 

白い胞子が飛び交う中、トンネルの向こうに消えていくコウ・・・

 

     *

 

山中を、鈴とコウを呼びながら必死に探す智だが見つかることはなかった・・・

 

     *

 

ジャンヌはひとりでモロンジョの木まで来たがそこに鈴はいない

モロンジョの木に触れながら岳を回想する・・・

ーー愛ってなんだと思う?ーー

ーー好きと愛の違いは?ーー

岳の囁き・・・

ジャンヌの中にはずっと岳がいる・・・

※ちなみに会話は英語です※

 

     *

 

薪割りをしてる智を縁側で見つめるジャンヌ。

そこにコウの亡骸を抱いた鈴が帰ってきた。

「・・・何でだよ・・・」

コウの死に泣き叫ぶ智・・・

 

ジャンヌは鈴に、

「こうなることが分かっていたの?」

涙を流す鈴。

※鈴にはあの月の日、コウの未来が見えたんでしょうね※

※モロンジョの木にコウの行方を尋ねていたのでしょうか※

 

     *

 

ーーー池に佇むジャンヌーーー

あなたなの? 私を束縛するのは?

私の魂をここにとどまらせようとするのは

ビジョンではなくあなたなの?

 

     *

 

リンの部屋にお茶を持ってジャンヌが入る。

ベッドに座る鈴の隣に座り、ビジョンのことを鈴の耳元で囁き始めるジャンヌ。

 

1000年に1度のビジョンを私たちは体験する

1000℃の熱と共にビジョンは現れ 人の痛みを消す

人の脳には遺伝子レベルで攻撃性が残ってる

戦争や殺戮を繰り返すのは人間だけ

多分ビジョンは人間に似てる

創り出す力と壊す力

自らの滅亡と共にメッセージをよこすのかも

本能のままに・・・

 

そして鈴の耳にキスをする

※キモッ!※

 

     *

 

ーーージャンヌは池のほとりに佇んでいるーーー

 

     *

 

   岳が鹿に向かって猟銃の狙いを定めている

   白い犬が鹿を追う

   銃声が響くが、それは岳のものではない

   マタギの顔が絶望に変わる

   激しく泣き崩れるマタギ

 

     *

   

   池のほとりで岳と抱き合いながら妊娠したことを伝えるジャンヌ

   深く 深く 愛し合うふたり

   池の向こうに夕陽が沈んでいく

   完全に沈んでしまったことを

   夕陽が【死んじゃった】と表現するジャンヌ

 

   ーー死 また生き返る きっとーー

   

   そして、ひとり山で出産するジャンヌ

   いつも岳が包んでくれた「おくるみ」で赤子を包み

   「ジュテーム」とキスをする

   そのまま赤子はアキに連れていかれ

   産んだばかりの我が子に「さよなら」するジャンヌ

 

     *

 

   アキは「おくるみ」を別の物に変えて、

   ある家の縁側に赤子を置き去りにする

   老婆が気付き夫を呼ぶ

   そして「鈴」と名付けて育てる

   仏壇には岳の遺影がある

   ※岳の実家だったんですね※

 

     *

 

鈴がモロンジョの木に着くと、「おくるみ」を巻いた岳が踊っている

そしてアキも踊っている

鈴も踊りだす

 

岳の踊りで炎が発生する

 

ジャンヌも現れる

ビジョンが現れる時がきたのだ

 

山は炎に包まれ火事になる

炎の中で舞う3人

 

春日神社に参拝してる智も煙に気付き駆け付ける

その途中、コウの声がハッキリと聞こえた

 

現場に着くと鈴が炎に包まれている

「リーン!!!」

「水!」「水!!!」

慌てる智にジャンヌが言う

「水は要らない・・・ビジョンが生まれるのよ」

 

炎は周辺の木々を燃やし尽くし、アキは燃え尽きて消え

鈴の命も消えた

「おくるみ」に包まれてた岳だけは生きていて、それを鈴にかける

 

炎が消え、鈴を抱き上げるジャンヌ

鈴にかけられた「おくるみ」は岳と愛し合ったそれだと気付くジャンヌ

この子は我が子だと知る

 

燃え尽きた木々からは胞子が飛び交い、奇跡が起きる

 

息を吹き返し目覚める鈴

「母さんなの?」

 

優しく微笑むジャンヌ

 

ジャンヌが岳を見ると、岳は笑顔で森に消えていった

 

胞子は目覚ましい勢いで山を再生させる

 

「山は・・・賑やかだよな」

 

ーーなんて美しい・・・ーー

 

     完

 

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色々と勿体無い映画ですね。

 

不満が多い感想・考察はこちらです↓

 

 

 

あらすじはこちら↓

【Vision】破壊と再生のファンタジー~あらすじ~ 

 

初めて観た時は意味不明でした。

理解するのを放棄してましたが、今月(8月31日)でU-NEXTから消えるので、自分なりに解釈しておこうと何度も観返しました。

 

気になるところが沢山あるのですが、私が鍵だと思ったのは「おくるみ」です。

 

20数年前、岳(ガク・森山未來)とジャンヌ(ジュリエット・ビノシュ)は深く愛し合い、ジャンヌは山で赤子を産みます。

その赤子をくるんだ「おくるみ」は、それまで山で岳と愛を深め合う度に使われてた茶色くてゴワゴワした布らしくない素材感で、非常に年季の入った物です。

調べたら、木の間伐材から作られた「木糸」なるもので生地が作れるようなので、

木で作られた「おくるみ」なのかな。

 

そして、「ビジョン」が現れるのに欠かせない物なのが最後に分かります。

 

それを岳に与えたのは勿論1000年生きてるアキ(夏木マリ)しかいません。

 

この物語は時系列が曖昧過ぎて、わざとそうしてるにしても酷いんです。

 

で、岳とジャンヌは、岳が生きてる時に出会って、マタギに誤射され岳は死んだと

思わされる描写なのですが、それだと辻褄が合わない部分が数々出てくるので意味不明になるのです。

この「おくるみ」は聖なる物で、かなり古い物です。

人間の岳が持ってるのは不自然です。

 

そして、ジャンヌがここまで「ビジョン」に拘るもの不自然なのです。

ジャンヌが「ビジョン」について細かいことまで知ってるのは、それを教えた人物がいて、それは岳しかいないのですが、人間の岳がそこまで知ってるはずがありません。

 

マタギは確かに鹿を撃ちました。

岳はマタギが撃った方向にはいません。

左方向で死んだのです。

岳もマタギと同じ鹿を狙って猟銃を構えてました。

「殺生をしてはいけない日」に殺生をしたので、山の怒りに触れ岳は命を落とし、

マタギは自分が殺したと苦しむことになったのかと。

「今日は殺生はするな」

とアキが智に言ってたのはこの伏線かなと。

人間には知り得ない「殺生してはいけない日」が山には存在してるのです。

 

そして、岳を再生させたのがアキで、再生に必要なのもこの「おくるみ」です。

最後、鈴(リン・岩田剛典)が死んで再び生き返る時に、それまで岳が持ってた「おくるみ」が鈴に渡ってましたから。

 

ジャンヌと出会った時、すでに岳は山の精霊だったのです。

 

そう考えると、ジャンヌが「ビジョン」に拘り、「ビジョン」に詳しいのも納得できます。

 

アキから岳に渡った「おくるみ」は、岳から一旦ジャンヌに渡ります。

ジャンヌとお腹の赤子を守る為に。

そして、赤子を包み、再びアキの元へ赤子と共に戻ります。

赤子は別の「おくるみ」に包まれ、岳の両親に預けられ鈴として育てられます。

「おくるみ」はアキから再度岳に渡り「ビジョンの舞」で使われ、最後は鈴を再生させ鈴の物になります。

 

岳の両親ですが、結構な年寄りで、孫というよりひ孫に見えるので、岳が死んだのはもっと前なんじゃないかな。

回想シーンは何度も出ますが、ジャンヌが回想してるとは限らないんですよ。

岳が死んだ時にその場に居たと思えないジャンヌが回想するにしては鮮明過ぎます。

ジャンヌが回想してるとしたら、それは岳が植え付けた「ビジョン」なのではないかしら。

 

鈴がモロンジョの木の声を聴いたり、コウの死を予知できたのも精霊とのハーフだからです。

 

愛するジャンヌが妊娠しても親に紹介したり実家に連れて行かず、いつもふたりが過ごすのは山の中。

老夫婦の人間の岳という息子はとうに死んでいるからです。

出産もひとりで山の中。

産んですぐにアキに連れて行かれるも素直にさよならができたのは、岳から赤子は山の子だから使者に渡すようコントロールされてたから。

ジャンヌは岳が精霊だと知っていたか感じていたのかも。

 

赤子を産み、ジャンヌの役目も岳の役目も終わり岳は消えます。

ビジョンで再び会う時まで・・・

 

「ビジョンの舞」で炎に包まれ1000年生きたアキは役目を終え消滅します。

次の1000年を司るのが鈴と岳です。

鈴もまた、胞子が放たれた日に一度死に再生したので、アキの役割は鈴でしょう。

 

こんな感じで着地しようと思います私は。

 

白い犬のコウも精霊だと思います。

岳が人間の頃から生きてますから。

コウの役目は鈴を智に導くこと。

役目を終え、トンネルの向こうに消えて行きます。

トンネルは生と死の境目。

現実とビジョンの境目です。

 

 

それにしても、なんていうか・・・

雑ですね・・・

カメラ割なのか筋立てなのか・・・

 

ラストなんかホント駄目。

炎に包まれても「おくるみ」に守られてる岳は当然生きてるのですが、

次のカメラ割で鈴も「おくるみ」握ってて意識はない。

「あれ?2枚になったん?」

で、今度は手ぶらで森に消える岳

「あ、岳が鈴に渡したのか」

この間が雑なのよ!

ここ、もうワンクッション入れないとダメよ。

 

あと、ジャンヌが肉食すぎて引く

中年同士の絡みは生々しくて気持ち悪い!

何を見せられてるんだ?

という気になるし、中年のおばさんが二十歳そこそこの鈴の耳元で囁き、更に耳にキスするとか・・・キモ!!!

 

あと、一般人の話も要らないし、「トマトときゅうりが大嫌い」も要らない。

 

この辺削れば、もっと丁寧なファンタジーになったんじゃないかしら?

 

そして、夏木マリさんは凄かった!!!

もう怪演です!

あれは他の演者さんが食われてもおかしくないけど、さすがの永瀬さんとビノシュさん、負けてませんでした。

夏木さんと森山さんの絡みが「舞」しかなかったの残念でした。

「舞」良かったなー

「大地の舞」って感じだった。

森山さんがキーマンで炎を起こすのですが、実に素晴らしかったです。

邪魔そうな「おくるみ」の使い方も。

でも、岩田さんもダンサーなんですよね?

ほぼ踊りが無いって勿体無いなと。

森山さんが凄過ぎてカットされたのかな?

 

演者さんは素晴らしかったです^^

 

【追記】

「おくるみ」に目を付けたのは鋭い視点じゃないかと自画自賛してましたが、「おくるみ」の流れを追いかけて写メしてたら新たな謎と遭遇しました。

ホント、この脚本は曖昧で雑です。

作り手の独りよがり感が強い!

 

岳がジャンヌを優しく包む茶色い「おくるみ」

 

赤子を包み(赤ちゃんは見えませんが)アキが連れて行きます。

 

 

あれ!?鈴がマフラーにしてるのは!?

動揺する私😱

再確認じゃ!ε=ε=ε=ε=ε=ε=┌(; ̄◇ ̄)┘

 

赤子(鈴)の「おくるみ」は別の物です。

 

でも、青い「おくるみ」の下に茶色い「おくるみ」のようなものが一瞬見えます。

てか、鈴があのマフラーをしてるということは、どう考えてもここしかありえませんよね。

 

「ビジョンの舞」で岳が美しく「おくるみ」を振り回します。

 

鈴の首にも「おくるみ」が!

 

「ビジョンの舞」が終わり、愛おしそうに「おくるみ」を抱きしめます。

ジャンヌと鈴を抱きしめるように。

 

鈴の手にも「おくるみ」が握られています。

 

ジャンヌは鈴の「おくるみ」に、それはかつて自分が産んだ子を包んだそれだと気付き、

鈴が我が子であることを理解します。

 

そして、その時の「ビジョン」が「おくるみ」を通して鈴に送られます。

だから鈴は目覚めてすぐに「お母さんなの?」と訊いたのです。

※この謎が解けたーーーーー!!!※

 

微笑みながら山へ消えていく岳ですが、「おくるみ」がマフラーになってましたね。

私の見落としでした。

 

「おくるみ」は産まれくる我が子の為にふたつに切られたんでしょう。

聖なる物なので切ってもいい感じに育つんですよきっと。

 

鈴は捨てられた時に包まれてた「おくるみ」が親を探す手掛かりなので、山に導かれた時から持ってたんですね。

 

所々間違ってても、大筋で合ってると思うので、これでVisionの考察は終わりにします(^^)

理解が深まると中々良い作品だと思えるようになりましたw

 

【追記】

配信終了だったのに継続されてました。

理由は分かりません。

 

 

公開初日に鑑賞したあと、U-NEXTで原作買いました。

何冊かあるのかと思ってたらたった1冊しかないんですね。

よく、このたった1冊を映画にしようと思ったなー

多分、そんな有名でもないと思うし?

そんなあんずちゃんを発掘した誰か凄い!

 

私は前回買ったマスコットとかキーホルダーを身につけて、毎日あんずちゃんと一緒

を堪能してますw

 

うちのネコも化け猫になって欲しい\(//∇//)\

 

で、16年の時を経て7月14日からコミックDAYSで連載開始ですって!

現在進行形であんずちゃんが見れるなんて嬉し過ぎる♪

早速2話まで読んできましたw

 

今日のあんずちゃんも面白く観てきましたが、U-NEXTの映画割引って上限があって、私暫くチケット買えないんだって(^◇^;)

500円引き大きいもんね。

 

今日はららぽーと横浜が1300円の日なので行ってきました(^^)

 

映画館の割引の日って混むから避けてたけど、U-NEXTの割引が復活するまで割引デーを

チェックして行こうと思います(^^)

あんずちゃんグッズは3種類に減って、今日はクリアファイル買いました。

マスコットもキーホルダーも買っといて良かった♪