2020年 日本・カザフスタン合作映画

監督・脚本:竹葉リサ エルラン・ヌルムハンベトフ

出演:森山未來 サマル・イェスリァーモア マディ・メナイダロフ

 

カザフスタンの美しい大草原の中の、小さな集落の中の更に小さな家に住む

少年オルジャスの家族に突然起きる非日常な出来事。

ノスタルジックでせつない余韻が残るヒューマンドラマです。

 

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美しく広がる大草原に朝日が昇り始める。

ポツンとある馬の厩舎に1台の馬運車が止まる。

 

ベッドで眠る少年オルジャス(マディ・メナイダロフ)。

小さな池で、彼氏と楽しそうに下着姿で水浴びしてる、金髪のロシア娘の美しい肢体を仲間たちと覗き見してる夢の中だったが、外からの馬の鳴き声に現実に戻される。

 

同じ部屋のもうひとつのベッドの妹ふたりは熟睡だ。

 

起きて外に出ると、母のアイグリ(サマル・イェスリァーモア)が父のオンダスンの作業を見つめている。

「起こしちゃった?」

オルジャスの頭を撫でるアイグリ。

 

馬運車には20頭の馬が乗せられた。

オンダスンが雇った村の男が「あの白いのは乗せないのか?」と聞く。

オンダスンは、「乗せない。オルジャスへの贈り物だ」

 

オルジャスはその言葉には反応せず、自分も市場に行きたいと父にせがむ。

オンダスンは優しく微笑みながら、

「母さんのトマトの収穫を手伝う約束だろ?」

「時計を持ってきてくれ」

 

オルジャスは部屋に戻り父の腕時計を手に取る。

父の唯一の腕時計はガラス面にヒビが入った物だが大切に使ってる腕時計だ。

 

オルジャスが時計を父に渡すといよいよ出発。

オンダスンはオルジャスの肩を抱き、雇った男ふたりの4人で輪になりしゃがみ込み、道中の安全を祈願して神に祈りを捧げ、そして行ってしまった。

 

小さくなっていく馬運車を見つめるオルジャス。

 

馬運車の運転は雇いの男でオンダスンは後部座席に座っているが、後部座席に積んだ段ボールから子猫の鳴き声がする。

運転手の男の家で生まれた子猫を市場で売ると言う。

5匹の中で、白い1匹を貰うことにしたオンダスン。

子どもたちへのお土産だ。

 

オルジャスの方は村のおじさんのベケジャンの運転するバイクでトマト畑に着きます。

オルジャスはバイクの後部座席に、母とふたりの妹はサイドカーの5人乗りです。

畑では既に村の女たちが作業を始めている。

※畑仕事は女たちが担当のようです※

 

皆、子連れで作業してて、戦力にならない幼児から下は簡素な一カ所に集められて

代表のひとりが面倒を見てるようです。

オルジャスとすぐ下の妹のサウレは大人と同じようにバケツを渡されトマトの収穫を始めます。

※学校には行けてないようですね※

 

     *

 

市場に着いたオンダスンたち、すぐに客が付き値段交渉になりますが余りにも安くて断ります。

運転手は子猫を売りに、オンダスンは朝食で馬運車を離れ、残ったひとりに交渉を任せます。

 

市場には、鶏・鴨・うさぎ・豚・牛などが売買されてて、闘鶏などもやってて、賑やかで活気に湧いてます。

※市場は男の世界のようで、少年はいても少女は皆無です。成人女性は僅かにいますが業者かも※

 

カフェで朝食のオンダスンですが、食べてる最中に「売れた!」と交渉役の男が呼びにきたので、慌ててパンを口にほおばりコーヒーで流し込み、放してた子猫を胸にしまい馬運車に向かいます。

 

子猫を売ってた運転手はまだ1匹も売れてないのに呼ばれたので、売るのを諦めてそのまま放置して馬運車に向かいます。

 

オンダスンは現金を数え商談は成立。

3人の男たちの乗る車に付いていき、彼らの村まで馬を運びます。

 

     *

 

トマト畑では、遊び仲間のガニがオルジャスを誘いに来ます。

「ロシア娘が来てる!」

行きたいオルジャスですが、せっせとトマトの収穫をしてる母を見ると

すぐには言い出せそうにありません。

「先に行ってて、後から行く」

 

でも、行きたい気持ちが強くて母に「泳ぎに行きたい」と言います。

「バケツ5杯取ったらね」

一旦は諦めて作業に戻りますが、どうしても行きたいオルジャスはまた母にお願いし、「すぐ戻る」ことを条件に遊びに行きます。

 

     *

 

男たちの村に向かってるオンダスンたちですがトラブルが起きます。

先導してる男たちの車がエンストしてしまったのです。

 

オンダスンの運転手が降りて、男たちの車のエンジンを調べます。

 

時間がかかりそうなので、もうひとりの男は用足しでブッシュの方に行きます。

その後を付ける客の男のひとり・・・

 

馬運車で待ってるオンダスンのところにもひとりやってきます。

不穏な緊張感が走ります。

「馬が病気みたいだ」

オンダスンが馬運車から降りて馬の様子を見ると、あっという間に銃で後頭部を撃たれ即死します。

撃った男はすぐに死体をブッシュに引きずり運びます。

 

銃声で、エンストの原因を調べてた運転手の男は危険を察知しますが、隣で一緒に

いた男にナイフで刺され殺されます。

 

用足ししてた男は銃声に必死に走りますが、肥満が災いしてすぐに追いつかれ

ナイフでメッタ刺しにされます。

 

3人の死体は手近なブッシュにそれぞれ隠されますが、オンダスンの死体を隠してた男はオンダスンの腕時計に気付き、それも奪います。

※馬20頭と馬運車の金額は相当なもんでしょうね※

 

     *

 

オルジャスは「すぐ戻る」約束を忘れ、結局10人ほどの仲間と遊び呆けてしまい、

夕陽が傾きかけた頃、妹のサウレが母の使いで呼びにくるまで遊んでしまいます。

 

     *

 

同じ頃、オンダスタンの死体が隠されてる草原では羊が放牧されています。

羊飼いの男が子猫の鳴き声にブッシュを探します。

子猫と死体を発見します・・・

 

     *

 

畑から、ベケジャンのバイクで帰宅するアイグリたち。

バイクから降りてアイグリと妹たちは家の中に入りますが、オルジャスはベケジャンに止められて、母の手伝いをせず遊んだことをみっちりと絞られます。

 

ベケジャンが帰ると、母に言われオルジャスは外の発電機を発動させます。

部屋と外灯に灯りがともります。

次にタライで洗髪してるサウレのタオルを用意します。

※畑仕事に夕飯に子どもたちのお風呂、大忙しのアイグリです。オルジャスも手伝いが多く、日本の子に観せてあげたくなります※

 

外からは雷鳴が響きます。

アイグリは急いで洗濯物を取り込みに外に出ます。

※玄関出たら庭じゃなくて外です※

 

窓から母を見ると、強風で洗濯物を取り込むのも一苦労の様子です。

そこにパトカーが止まり、警官が降りて母に何か話しています。

警官は車に乗るような身振りをしてます。

不安になり玄関に向かうオルジャス。

母は青ざめた表情で、洗濯物を床に捨て、

「先に寝てて、すぐ戻るから」

パトカーに乗って行ってしまいました。

 

不安を抱えたオルジャスは、その晩は妹たちのベッドに潜り込み眠るのです。

 

ーーそして夢を見ますーー

廃墟の白い壁に炭でロシア娘の裸体を書きます。

その絵に向かって仲間たちとトマトを投げ付けるのです。

オルジャスはそれが楽しくて楽しくて笑顔いっぱいです。

※夢ですが、やっとオルジャスの笑顔が見れました※

 

部屋に朝陽が射す頃、外からクラクションが鳴り響きます。

すぐに目覚めるオルジャス。

窓から見るとベケジャンおじさんです。

「お母さんはどこ?」

それには答えず「すぐに妹たちを起こせ」

 

ベケジャンのバイクに乗ってると、村の集会所に沢山の男たちが集まっています。

その集会所を素通りして、到着したのはベケジャンの家でした。

 

バイクの音でベケジャン夫人が出てきて、門を開け末っ子の幼いアイシャを抱き上げ、子どもたちを中に誘導します。

ベケジャンはそのままどこかに行きます。

※ベケジャンちは木ですが塀も門もあり立派な自宅です※

※トマト畑はベケジャンが地主かも?※

 

ベケジャンが集会所に着くと、まず外門に立ってる男たちと握手を交わします。

そこに警官が来てオンダスンの親戚を呼び、オンダスンの「所持品」を渡します。

ーーー白い子猫ですーーー

親戚のおじさんは子猫をオルジャスにとベケジャンに子猫を渡します。

 

     *

 

ベケジャン家では、ようやく子どもたちが朝ご飯です。

妹たちは空腹なのでモリモリ食べますが、母のことが心配なオルジャスは食べる気になれません。

夜には帰ってくると言ってた父は帰宅せず、母はパトカーに乗ってそれきりです。

 

大人たちは忙しくしてて、ベケジャン夫人も食事が終わったら食器を洗うよう

オルジャスに言いつけると出かけて行きました。

オルジャスは窓から出かけていくベケジャン夫人を見て閃きます。

「アイシャを見てて」

サウレにアイシャを頼み、ベケジャン夫人の後を付けます。

 

ベケジャン夫人の行き先は集会所でした。

集会所の前にはバイクに座ったベケジャンがいて、オルジャスはベケジャンにすぐ見つかってしまいます。

「オルジャス!こっちへ来い!」

また怒られそうだとモジモジしながら行くオルジャス。

案の定「家から出るな!」と注意され、「お父さんからのお土産だ」と子猫を渡されます。

 

村の男に呼ばれたベケジャンは、更に「どこにも出かけるな!」と釘を刺しバイクでいなくなりました。

 

怖いベケジャンがいなくなり、オルジャスは子猫を胸に隠し、集会所の敷地に潜り込みます。

誰もオルジャスを気に留めません。

集会所の中に入りますが、そこにも大人が大勢いますが気に留める人はいません。

大人同士の話に夢中です。

 

奥へ奥へと進むと、行き止まりの小部屋の真ん中に、顔以外は白い布に包まれた父の遺体と、遺体を囲む大人たちの中に母を見付けました・・・

母と目が合いますが、オルジャスはショックでそのまま走り去り、走って走ってひたすら走って池のほとりで座り込みます・・・

 

ベケジャンおじさんちに戻ったのは日が暮れる頃でした・・・

部屋で遊ぶ妹たちを悲しげに見つめます。

父が死んだことは言わず、子猫は「拾った」ことにしました。

 

ーーー夢の中ーーー

いつもの仲間に

「あの女の絵描ける?」

と聞かれ、「うん」と答えるオルジャス。

絵が描ける壁までみんなで走る。

走ってるとオルジャスを呼ぶ声がする・・・

「明日はお葬式に行くのよ」

 

 

     *

 

乗合バスの中で木片を彫る男(森山未來)

馬の形をしてます

 

     *

 

翌日の葬儀

イスラム教での儀式は男たちだけで、女たちは離れた所で見てます。

オルジャスも大人の男たちに交じって儀式に参加して祈りを捧げます。

 

埋葬は男たちだけです。

妻でも女たちはここでお別れ。

男たちはトラックと徒歩で集会所から消えて行きました。

 

アイグリは男たちが見えなくなっても、まだその方向を見つめています。

そのアイグリに近付く女・・・

背後からアイグリに言います

「あんたのせいだ!」

「この疫病神!」

アイグリは振り返り、女の頬を強く叩きます。

別の女もアイグリに

「早く消えちゃいな!」

「消えな!!!」

とアイグリに掴みかかります。

その女も叩きます。

結構強いアイグリです。

 

他の女たちが引き離し仲裁します。

アイグリの方にはベケジャン夫人が割って入ります。

「私が話をつけるから怒らないで」

 

     *

 

墓地では埋葬が終わりました。

オルジャスは一番最後に父のお墓にお別れしました。

 

     *

 

乗合バスから男が降りました。

その辺のおじさんふたりに挨拶しながら握手し、オンダスンの家を尋ねます。

「昨日亡くなったオンダスンかい?」

男の顔色が変わり、家を教えてもらったのにお礼の言葉も言えません・・・

 

男は集会所から遠く離れた木陰で集会所の様子を見ます。

埋葬から戻ってきたトラックの荷台から少年が飛び降り、母に抱き着きます。

それを見るとその場を去ります。

 

     *

 

アイグリとオルジャスはサウレたちの待ってるベケジャン家に戻りますが、仲裁してくれたベケジャン夫人の慰めにも息が詰まり、ひとりで外に出てしまいます。

歩いて歩いて川の前で立ちすくむアイグリ・・・

 

ひとりになりたいのでしょう。

 

でも、心配なオルジャスが後を付けてました。

「お母さん、おうちに帰ろう。アイシャが泣いてるよ・・・」

母の手を握ります。

母が川に飛び込みそうで怖かったのでしょう・・・

 

     *

 

夜、子どもたちが寝静まり、

アイグリとベケジャン夫人は今後のことを話します。

借金の返済方法はベケジャンが考えてくれたそうです。

アイグリはここには住めないから、村を出てイトコの住むセーリックの村に引っ越すと言います。

「ここにいても村八分にされるからそれがいい・・・」

 

バイクのエンジン音に、オルジャスはぼんやりと目覚めます。

アイグリは外に出ます。

ベケジャンはこれから牧場に行くから門を閉めろとアイグリに言います。

アイグリはセーリックの村への引っ越しを手伝ってと頼みます。

了承するとまたバイクで出かけて行きます。

 

アイグリが門を閉めると、「アイグリ」と呼ぶ声がします。

ーー誰?ーー

暗闇から姿を現した男は「カイラートだ」と名乗る。

 

言葉に詰まるアイグリ。

「突然いなくなって8年間どこにいたの!?」

ーー事情があって連絡できなかった・・・ーー

「何しにきたの?」

ーー息子に会いにきたーー

「もうあんたの子じゃないわ。あんたのことも覚えてない」

ーー俺のことは黙ってる。一目会えれば十分だーー

「オルジャスに会いたいなら明日の引っ越しを手伝って」

 

アイグリは部屋に戻りますが、この様子をオルジャスは窓から見てました。

※会話までは聞こえてないと思います※

 

翌朝、厩舎で寝泊まりしたカイラートは身支度を済ますと、ふと何かに気付いたように厩舎の張りに手を伸ばし袋を取り出します。

中には銃が隠してあり弾を確認します。

※カイラートはなぜ銃の隠し場所を知ってたのでしょうか?この厩舎は元々カイラートの物だったのではないでしょうか?※

 

その銃を馬鞍にしまうと、トラックで引っ越しの作業をしてるベケジャンとアタケントの丘で合流する打ち合わせをして、厩舎の16頭の馬たちを一斉に解放して馬を誘導します。

馬も引っ越しです。

※群れを成して走る馬と誘導するカイラートの乗馬姿は美しく格好良いです※

 

馬飼のカイラートを引っ越しで雇ったそうですが、オルジャスはカイラートが気になって仕方ありません。

 

牧草地帯では馬を休憩させます。

その間はカイラートは木彫りをします。

木彫りの完成はもう少しです。

 

カイラートがアタケントの丘に着くとアイグリたちは既に到着してて、アイグリは焚き火を起こし夕飯の準備、ベケジャンはテントの準備です。

今夜はここで野宿です。

妹ふたりは子猫と遊んでいます。

 

オルジャスは到着したカイラートの元に近寄ります。

「馬に乗るか?」

ーーうん!ーー

馬から降りて、オルジャスを抱き上げ馬鞍に座らせると、手綱を引いてキャンプ地から離れると手綱を離します。

オルジャスはとても上手に走り出します。

「上手いな」

ーーお父さんが教えてくれたのーー

 

寂しげな表情になるカイラートです・・・

 

 

 

夜も更け、子どもたちはテントでお眠りですが、オルジャスは大人たちが気になってテントの隙間から覗きます。

焚き火を囲んでますが、カイラートは木彫りをしてて何を話すでもありません。

※日々の生活にいっぱいなのか、アイグリは無口で笑顔もありません※

 

ベケジャンが先にテントに戻るとふたりになりますが沈黙が続きます。

やっとアイグリが口を開きます。

「今までどこにいたの?」

ーー刑務所にいたーー

「何をしたの?」

カイラートは答えません。言えないことのようです。

※殺人かも!?※

「連絡できなかったの?」

ーーおまえたちに危害が及ぶ危険があったーー

ーーだから手紙さえ書けなかったーー

「死んだと思ってた」

ーー死んだも同然だーー

「絵はまだ描いてるの?」

ーー気が向いたらーー

 

アイグリがテントに戻ってくるのでオルジャスは寝たフリをします。

※オルジャスにふたりの会話は聞こえているのでしょうか?そんな距離とは思えませんが、自然の中で暮らしてると耳がいいとか?※

 

 

翌朝、オルジャスは父からの贈り物の白い馬に乗って草原を走ります。

カイラートは馬上でオルジャスを見守ります。

今日はオルジャスは馬でカイラートとセーリックの村に向かうのです。

 

ふたりで出発し、丘の上まで登りますが、丘から下を見下ろすとトラックが動いていません。

「カイラートおじさん!トラックが動いてないよ!」

 

トラックに行くとエンストです。

セーリックの業者に連絡が必要です。

「20km先の食堂で電話を借りて連絡しよう」

アイグリがセーリックのイトコの番号のメモをカイラートに渡します。

オルジャスも行きたがります。

「本人が行きたいなら」とアイグリ。

カイラートとオルジャスは食堂に向かって馬を走らせます。

 

途中、バスの停留所のベンチで休憩を挟みます。

オルジャスの為でしょう。

※有名なこのシーンですね※

※よく似てて本当の親子のようです※

 

特に会話はありませんが、ここでカイラートはポケットから馬の木彫りを出してオルジャスにあげます。

オルジャスはお礼を言い、色を塗ってもいいか聞きます。

「絵が好きなんだって?」

うんと頷くオルジャスに「何か描いてくれ」

 

オルジャスは停留所の壁に、落ちてる炭でサラサラと馬の絵を描きます。

才能があると褒めるカイラートに、

「おじさんも木彫りの才能があるよ」

カイラートは苦笑します。

 

食堂に着くと、オルジャスに外で待つよう言い、カイラートは店内に入り電話を借ります。

 

素直に外で待ってると、ひとりの男が歩いてきて店内に入ります。

オルジャスは男がしてる見覚えのある腕時計に気付きます。

 

男は常連なのか、店員の名前を呼んで自分を探しに来た人がいないか確認し、席に着いてビールを頼みます。

電話をしてるカイラートを気にしてキャップを深く被り直します。

 

そう、こいつはオンダスンを殺害して腕時計を奪った男です。

 

店員のアイジャンがビールを運ぶと男はアイジャンの尻を触り手を叩かれます。

 

オルジャスは店内に入り、カイラートの側に寄りもう一度腕時計を確認します。

男はカイラートたちを気にしてます。

電話が終わると、オルジャスは「あれ、お父さんの時計」

同じ型を疑いますが、ガラス面のヒビの形からお父さんのだと断言します。

 

カイラートが男を見ると、男もこちらを見てます。

袖を伸ばして腕時計を隠します。

が、静かに立ち上がり、カイラートと睨み合いながらポケットから何を出す仕草をします。

 

そこに、店員のアイジャンが「そういえば・・・」

とフロアに出てきた瞬間、男はポケットから取り出した銃を発砲します。

カイラートは瞬間、オルジャスに覆い被さり弾から逃げられましたが、アイジャンは撃たれて倒れました。

 

他の店員ふたりが出てきて警察だ救急車だのパニックのドサクサで男は逃走します。

オルジャスの白い馬を奪って、馬で逃走です。

 

カイラートも馬で男を追います。

片手で手綱を操り、片手で馬鞍に隠してた銃を取り出し男を狙います。

 

馬に当たらないよう十分に狙いを定めて発砲します。

一発で男を仕留め、男は馬上から転落します。

馬は無事です。

 

その様子に驚き立ち上がるふたりの男たち。

オンダスンの仲間ふたりを殺害した男たちです。

彼らはこの草原で馬を放牧してましたが、それはオンダスンから奪った馬でしょう。

20頭程の群れです。

 

ひとりは背を向け逃げ出し、ひとりはカイラートに向かって銃を構えます。

そして発砲するとカイラートは馬ごと倒れます。

※これ森山さんご本人です!凄い!※

 

カイラートはジャンパーの右胸辺りが鮮血に染まって倒れてます・・・

男は銃を構えたままカイラートに近付きますが、死んだように見えたカイラートは男よりも早く、一瞬で男を撃ち倒します。

 

その銃声で最後のひとりが振り返ります。

逃げたと思った男はバッグにしまってた銃を取りに走ったのです。

銃を持つとカイラートに向かって歩き出します。

 

カイラートは息も途切れ途切れですが立ち上がり、弾を詰めながら歩き出します。

 

向かい合うふたり。

そして、ほぼ同時に撃ち合い、互いに倒れます。

※西部劇のようです※

※このシーン格好良くて痺れました※

 

馬たちは銃声に逃げ出しますが、本能なのか群れで走り去って行きました。

 

静かになった草原に羊の群れが放牧されます。

 

 

     *

 

 

ーーセーリックの村の朝ーー

オルジャスは朝起きて、リビングの扉を開けます。

リビングテーブルではおしゃれなワンピースを着たお母さんと、白いシャツのカイラートおじさんが、眩しい光の中で紅茶を飲んでます。

 

ふたりは優しい表情でオルジャスを見つめます。

 

そんな夢を見てるオルジャスのベッドの側のチェストには、白く塗られた馬の木彫りが置かれています。

その木彫りの横にヒビの入った腕時計を置く黒いシャツの男・・・

部屋の扉を閉める音でオルジャスが目覚めます。

すぐに腕時計に気付きます。

腕時計を手に取り、窓から外を見ます。

そして外に出ると乗合バスが走り出します。

バスの中には黒いシャツのカイラートが乗ってます。

 

腕時計を見つめるオルジャス。

この時計を持ってきたのはカイラートおじさんだと察します。

会いたかった・・・

話したかった・・・

そんな顔で、またバスを見つめます。

 

「オルジャス、家に入りなさい」

お母さんの声で、家に入ろうとしますが、振り向いてまたバスを見ます。

 

バスは豆粒くらいに小さくなって、やがて見えなくなりました。。。

 

  

     完

 

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この映画を観ると、効果音的に使われがちな音楽って要らないなって思ってしまいます。

静かに進むから人の動きが感じられるし、観疲れしないのかなと感じました。

 

細かい部分の考察についてはこちらをどうぞ↓