2018年 日・仏合作映画

監督・脚本:河瀬直美

出演:ジュリエット・ビノシュ 永瀬正敏 岩田剛典 美波 森山未來

   白川和子 ジジ・ぶぅ 田中泯 夏木マリ

 

奈良県の吉野の山が美しく、神木のような「モロンジョの木」を中心に広がるファンタジー映画 になり切れなかった惜しい作品

 

*~~~*~~~*~~~*~~~*~~~*~~~*~~~*~~~*~~~*

 

   山で狩猟中のマタギの男(田中泯)

   白い犬が追う先にいる鹿に向かって発砲する

   当たりはあった

   バサッ!という音の方に振り向くと顔色が変わる

 

     *

 

ーーー山中ーーー

山守の男・智(トモ・永瀬正敏)が木の伐採に精を出してる

 

     *

 

吉野に向かう電車に乗るふたりの女性。

中年の方はフランス人のエッセイストのジャンヌ(ジュリエット・ビノシュ)で、主に紀行文を書いている。

20数年振りに訪れる吉野の山々が見えてくると涙がこぼれる。

 

若い方はフランス人とのハーフの花(美波)でジャンヌの助手かな。通訳で同行。

 

     *

 

軽トラの荷台に白い紀州犬のコウを乗せて山道を走る智。

100mはありそうな長いトンネルを抜けて、盲目の老婆・アキ(夏木マリ)

の家に着くと荷台の薪を所定の場所に降ろす。

 

縁側に出てきたアキが「雨が降る」と言う。

智は空を見るが晴れている。

「そろそろじゃ・・・」

と意味深に微笑むアキ。

 

作業を終えると居間の囲炉裏を囲み、出されたよもぎ餅とお茶を頂く智。

「おまえ、いくつになった?」

ーー48ーー

「わしは1000年前の胞子が放たれた日に生まれた」

ーーなんじゃそれwーー

「いいか、今日は殺生はするな」

ーーなぜ?ーー

「そう決まってるのじゃ」

「明日の朝は春日神社にお参りに行け」

ーー毎日行ってるよーー

 

アキの家から出ると雨が降り出してきた。

 

翌朝、春日神社で参拝してると、ジャンヌと花が現れる。

この辺りで古くから伝わる「薬狩り」の風習のことや、「ビジョン」という植物について質問されるが智はどちらも知らない。

「ここで何年暮らしてますか?」

ーー20年ーー

「どうしてここに来たの?」

ーー疲れたから・・・ーー

ーーその草は何になるの?ーー

「ビジョンは人の苦痛や痛みを取ると言われています」

ーーどうやって?ーー

「わからない」

 

ジャンヌは神社の天井に近い隠れた襖絵に気付く。

かなり古そうな絵だ。

燃えた山に白い人魂のようなものが飛んでいる・・・

※胞子でしょうね※

 

ふたりはそのまま智の家まで付いて行きお邪魔させてもらう。

アキの家同様、暖炉や五右衛門風呂など薪が欠かせない小さい古民家。

秘密基地のような屋根裏部屋も素敵で、そこから眺める美しい吉野の山々の眺望に惹かれたジャンヌは暫くの滞在をお願いする。

 

ひとりと犬の暮らし、戸惑うも了承する智。

屋根裏部屋がふたりの部屋になる。

 

     *

 

   ーー山中ーー

   白い犬が走る

   そこには山守の岳(ガク・森山未來)の姿がある

 

     *

 

翌朝、外からの物音で目覚めたジャンヌは窓を開ける。

庭先で智が薪を割っている音だった。

ジャンヌが英語で色々と質問する。

智も英語が話せて、ふたりの会話は英語になる。

 

山守の智が山のパトロールに周ると、山がざわついている。

 

ジャンヌたちも山を探索する。

山のざわめきの中、幼い男の子の後ろ姿と、大きな池のほとりで抱き合う男女の

イメージが広がる・・・

 

山から山道に降りると、アキを乗せた軽トラと出会う。

「薬草に強い」とジャンヌたちにアキを紹介する智。

ジャンヌが車内のアキに挨拶すると、アキの顔を見て表情が変わる・・・

「あんただったんだね」とアキ。

※顔見知りですね※

 

そのまま荷台に乗り、アキの家に向かうトンネルに入ると、一発の銃声音を回想するジャンヌ・・・

 

アキの家には様々な薬草が作られている。

お茶もそのひとつだ。

ジャンヌたちとお茶を囲み、

「1000年に1度の時が近付いてる」

「やっと会えたな」

アキの言葉に涙を流すジャンヌ。

 

 

翌日、智が山から帰ると花がいない。

「祖母に会いに行った」「バスの時間があるから智によろしく」

とのこと。

そしてふたりきりになった途端、ジャンヌが智に迫る。

※さすがフランス人※

※中年同士の絡みはやたら生々しい※

 

ーーーふたりが結ばれた早朝、アキが長く住んでた家に深々と頭を下げてトンネルの向こうに消えていくーーー

 

智とジャンヌがアキの家に行くと、雨戸がされ玄関扉に施錠がされている。

 

ーーーアキはモロンジョの木に触れて山の声を聴くーーー

ーーーそして踊り出すーーー

ーーーアキに合わせて木々が風を舞うーーー

ーーーすると、アキの目が見えるようになるーーー

 

夜、ジャンヌは智に語る。

ビジョンの周期は997年。

ジャンヌの計算が正しければ、次の胞子が放たれるのはこの秋から冬にかけて。

つまり、まもなくだと。

 

そしてジャンヌは一旦帰国する。

※なぜ???※

 

ーーージャンヌは回想するーーー

池のほとりで抱き合うジャンヌと岳。

ジャンヌは茶色い「おくるみ」に包まれている。

その「おくるみ」に包まれた赤子にキスする自分を・・・

 

     *

 

ジャンヌがいなくなって、山は赤く色付き秋を迎えていた。

コウが激しく吠え智を呼ぶ。

そこには二十歳そこそこの青年が倒れていた。

足を滑らせ捻挫したらしい。

 

青年・鈴(リン・岩田剛典)との暮らしが始まる。

まるで親子のように山の仕事を教える智。

寡黙で殆ど喋らない鈴に優しく接する智。

※智・岳・鈴、みんな一文字で、トモ・ガク・リンの2語に意味あるのかな?※

※智も山に導かれて、何かしら岳と繋がりがあるのか?※

 

そんなある日、ジャンヌが戻ってくる。

鈴を見て、すぐに屋根裏部屋にいくと、そこはもう鈴の部屋になっていた。

夕飯は男ふたりで仲良く作っている姿に不満顔のジャンヌ。

訊けば鈴との暮らしは1ヶ月にもなると言う。

 

その夜は久し振りのメイクラブ。

※このシーン必要か!?ホント要らないし気持ち悪い!※

※おっさんとおばさんの絡みマジ要らない!!!※

そして騎乗位で絶頂を迎えるジャンヌに見えたのは智ではなく岳の顔だった。

※智かわいそ~・・・※

 

行為を終え、智の腕枕で岳との愛を回想するジャンヌ。

※好きな男の腕の中でも、違う男の夢を見る~♪のジュディ・オングの「魅せられて」状態※

 

岳に抱きしめられ、岳が囁く・・・

ーージャンヌ 夜の音 聴こえる?ーー

「あなたの心臓の音がする」

ーー匂いは?ーー

「匂いは想像して感じるものよ」

※あら、ここは素敵だわ※

※夜の匂いなんて考えたこともないもの※

 

中年男女がハッスルしてる時、鈴は外に出て月を見ていた。

そして、涙を流す鈴・・・

ふと振り返ると、窓の向こうの半裸のジャンヌと目が合う・・・

 

早朝、智はコウを繋いである紐が切れてコウがいないことに気付く。

屋根裏を見ると鈴もいない・・・

 

     *

 

ーーー鈴は山にいたーーー

モロンジョの木の声を聴く鈴・・・

 

白い胞子が飛び交う中、トンネルの向こうに消えていくコウ・・・

 

     *

 

山中を、鈴とコウを呼びながら必死に探す智だが見つかることはなかった・・・

 

     *

 

ジャンヌはひとりでモロンジョの木まで来たがそこに鈴はいない

モロンジョの木に触れながら岳を回想する・・・

ーー愛ってなんだと思う?ーー

ーー好きと愛の違いは?ーー

岳の囁き・・・

ジャンヌの中にはずっと岳がいる・・・

※ちなみに会話は英語です※

 

     *

 

薪割りをしてる智を縁側で見つめるジャンヌ。

そこにコウの亡骸を抱いた鈴が帰ってきた。

「・・・何でだよ・・・」

コウの死に泣き叫ぶ智・・・

 

ジャンヌは鈴に、

「こうなることが分かっていたの?」

涙を流す鈴。

※鈴にはあの月の日、コウの未来が見えたんでしょうね※

※モロンジョの木にコウの行方を尋ねていたのでしょうか※

 

     *

 

ーーー池に佇むジャンヌーーー

あなたなの? 私を束縛するのは?

私の魂をここにとどまらせようとするのは

ビジョンではなくあなたなの?

 

     *

 

リンの部屋にお茶を持ってジャンヌが入る。

ベッドに座る鈴の隣に座り、ビジョンのことを鈴の耳元で囁き始めるジャンヌ。

 

1000年に1度のビジョンを私たちは体験する

1000℃の熱と共にビジョンは現れ 人の痛みを消す

人の脳には遺伝子レベルで攻撃性が残ってる

戦争や殺戮を繰り返すのは人間だけ

多分ビジョンは人間に似てる

創り出す力と壊す力

自らの滅亡と共にメッセージをよこすのかも

本能のままに・・・

 

そして鈴の耳にキスをする

※キモッ!※

 

     *

 

ーーージャンヌは池のほとりに佇んでいるーーー

 

     *

 

   岳が鹿に向かって猟銃の狙いを定めている

   白い犬が鹿を追う

   銃声が響くが、それは岳のものではない

   マタギの顔が絶望に変わる

   激しく泣き崩れるマタギ

 

     *

   

   池のほとりで岳と抱き合いながら妊娠したことを伝えるジャンヌ

   深く 深く 愛し合うふたり

   池の向こうに夕陽が沈んでいく

   完全に沈んでしまったことを

   夕陽が【死んじゃった】と表現するジャンヌ

 

   ーー死 また生き返る きっとーー

   

   そして、ひとり山で出産するジャンヌ

   いつも岳が包んでくれた「おくるみ」で赤子を包み

   「ジュテーム」とキスをする

   そのまま赤子はアキに連れていかれ

   産んだばかりの我が子に「さよなら」するジャンヌ

 

     *

 

   アキは「おくるみ」を別の物に変えて、

   ある家の縁側に赤子を置き去りにする

   老婆が気付き夫を呼ぶ

   そして「鈴」と名付けて育てる

   仏壇には岳の遺影がある

   ※岳の実家だったんですね※

 

     *

 

鈴がモロンジョの木に着くと、「おくるみ」を巻いた岳が踊っている

そしてアキも踊っている

鈴も踊りだす

 

岳の踊りで炎が発生する

 

ジャンヌも現れる

ビジョンが現れる時がきたのだ

 

山は炎に包まれ火事になる

炎の中で舞う3人

 

春日神社に参拝してる智も煙に気付き駆け付ける

その途中、コウの声がハッキリと聞こえた

 

現場に着くと鈴が炎に包まれている

「リーン!!!」

「水!」「水!!!」

慌てる智にジャンヌが言う

「水は要らない・・・ビジョンが生まれるのよ」

 

炎は周辺の木々を燃やし尽くし、アキは燃え尽きて消え

鈴の命も消えた

「おくるみ」に包まれてた岳だけは生きていて、それを鈴にかける

 

炎が消え、鈴を抱き上げるジャンヌ

鈴にかけられた「おくるみ」は岳と愛し合ったそれだと気付くジャンヌ

この子は我が子だと知る

 

燃え尽きた木々からは胞子が飛び交い、奇跡が起きる

 

息を吹き返し目覚める鈴

「母さんなの?」

 

優しく微笑むジャンヌ

 

ジャンヌが岳を見ると、岳は笑顔で森に消えていった

 

胞子は目覚ましい勢いで山を再生させる

 

「山は・・・賑やかだよな」

 

ーーなんて美しい・・・ーー

 

     完

 

 *~~~*~~~*~~~*~~~*~~~*~~~*~~~*~~~*~~~*

 

色々と勿体無い映画ですね。

 

不満が多い感想・考察はこちらです↓