海斗 編
セルタワーに入った二人だったが、なぜか敵が襲ってこない。
拍子抜けな状態だったのだが、通された最下層の部屋に
一際でかい悪魔がいて、
手招きをしていた。
軍神オーディン
「よくきたな。待っておったぞ。」
招かれたわけでもないので、少し戸惑いはしたが、
相手には敵意はないようだ。しばらくの沈黙の後、
海斗
「・・・・・なぜおれがくることを知っていた。」
軍神オーディン
「な~に、隣りの娘さんがちょくちょくうちの建屋に
侵入しては、帰っていったので、少しばかり気には
なってな。こちら側も偵察に向かわせた次第でな。
聞けば、我の副官が持つ銃に興味があるそうでは
ないか。」
海斗
「あぁ、それが目的で殴り込みにきてやったのに、
何がどうなったのかはしらねーが、とんだ拍子抜け
だったのは、幸いなんだがな。」
軍神オーディン
「おい、あれを持ってこい。」
オーディンがそういうと奥から、銃をもった女性悪魔
が姿を見せた。
精霊のような、それでいて水のような悪魔だが、
これがまた美しく、それに見とれていた海斗に
嫉妬したリリムがこう言った。
小悪魔リリム
「カイト・・鼻の下延びてるよ・・ふ~んだ。」
リリムの言葉に我に返った海斗だが、その手に持つ
銃を見て、こう言った。
海斗
「ば、ばかやろ~、あの銃にみとれてたんだよ。
女の悪魔なんかみてね~しよ。
(かなり美人だから・・少しは・・あれだが)」
小悪魔リリム
「ふ~~~ん。まぁいいけどさ、ところで、オーディン
のおじさん。なんで海斗と私がくるのに、わざわざ
ここまで招いたのさ、わたしらは、その銃を
奪いにきたんだよ。」
軍神オーディン
「そのようではあるのだが、こちらにも事情というものが
あってな。まず、この銃だが、そもそもわしら悪魔には
この銃を扱えんのだ。どうやっても
引き金を引いても弾を込めようにも弾を入れる
場所すらない。この銃みたいな武器が珍しいので、
持ってはいるのだが、これでは宝の持ち腐れでな。
少々困っておる。しかも最近はイケブクロからの襲撃も
あってだな。兵隊の数も減っておって、手助けが欲しい
ところへ、おまえさんたちがここにくるっていうので、
どうにかならんものかを相談したかった次第なのじゃ。」
海斗
「銃に弾を入れる場所がないだと。
ちょっと見せてくれないか。
別に横取りして逃げよ~ってわけじゃねぇ。」
軍神オーディン
「おぃ、渡してやれ。」
オーディンがそういうと、美しい悪魔がコクリと頷いて、
海斗の前に銃を差し出した。
海斗
「ん~~。銃のような、どっちかっていうとライフルみたい
なものだが、口径がやけにでかいな。大砲・・とまでは
いかないが、ここに弾を入れるのか・・まさか大砲の
ように・でも、あれだな。そうなると発射させるものが
見当たらねェ。引き金を引いても何も反応しねぇし、
これは誰かの玩具だったのかもな。
形は珍しいが使えねェものには興味はねぇな。
ほら、返すぜ。」
海斗が銃を返そうとしたその時、一匹の悪魔が部屋に
駆け込んできた。そして悪魔がオーディンにこう告げた。
セルタワーの悪魔
「オーディン様、先ほど我が建屋の1階に、昨晩きて
いた連中と同じ風貌の輩が数名入ってまいりました。
いかが致しましょうか。5名ほどの集団の
ようですが、戦力は不明です。
軍神オーディン
「招かれざる客め、我が城から排除するのみ、応戦じゃ、
イクブクロ風情の悪魔にこの城を空け渡せはせん。
海斗とやら、悪いが奥で休んでてくれぬか。
少し妙な厄介事ができてしまったのでな。」
海斗
「あぁ、それはいいんだが、この銃、どうすんだよ。」
軍神オーディン
「すまないが、急な用なのだ。その銃はしばしお主に
預けておくぞ。どうせ弾もでないものだ、問題ないだろう」
海斗
「なにがあったんだ?」
軍神オーディン
「悪魔にも勢力争いのようなものがあってだな。
イケブクロから妙なやつらが、我の城に侵入したらしいのじゃ、
じゃから懲らしめてやらんといかん。」
海斗
「なんだ、そんなことか、ちょうど俺らも暇なんで、
加勢してやんよ。」
軍神オーディン
「いやいや、すでにお主らは客人じゃ、客人に・・しかし、
手助けが欲しいとは思っておるが・・・よいのか?」
海斗
「いいぜ、戦闘なしでここまでこれたんだし、ちょっと体を
慣らすのもいいかと思ってたところだしな。
運動がてらいってくるぜ。この銃も
ちょっと確かめてみたいことがあるから借りてくぜ。」
軍神オーディン
「あいわかった。では、宜しく頼むぞ海斗どの。」
海斗とリリムはオーディンの兵隊たちと上の階層へ
急いで移動していった。多分、アジトにも襲撃してきた
やつらだろうと思い、イケブクロとシブヤで
なにかがおきているってことだと感じていたので、
海斗にとってみれば他人事ではない。
小悪魔リリム
「かいと~~、やっぱこの前の連中のナカマだよね~~。
うちらのアジトも大丈夫かな~~~」
海斗
「そういわれればそうだな。お前 たまにはいいこと
いうじゃね~か。これをとっとと終わらせてアジトに戻るぜ。」
小悪魔リリム
「りょーか~~い。」
セルタワーの1階層目にいたのはやはり、
先日、シブヤ109を襲撃してきたイケブクロの連中に似ている、
しかし今回は少しかわっていた。
パンクスに加え、大きな悪魔まで連れているからだ。
しばらくしてからオーディンの兵隊とそのイケブクロの
連中で、戦闘が始まった。海斗にとってみれば、どっちを倒し
ていいかわからない状態だったので、
リリムと目を見合わせて、
海斗
「どの悪魔を倒せばいいのか見分けつかないぞ、
しかたね~パンクス野郎だけを倒すか。オーディンの兵隊に
はいなかったしな。」
小悪魔リリム
「めんど~だから、全員ビリビリさせてもいい?」
リリムは何も考えずに、20m範囲にいた戦闘中の連中全員
に向かって、雷光玉を放り投げた。
海斗
「お、おいおい、あちゃ~~無茶なやつだな~」
ずっど~ん という電撃音とともに、範囲内にいた連中が
感電死か感電状態になってしまう程で、ショック状態を引き起こす
雷系魔法でも、このような上級魔法を扱える程のリリムなのでした。
海斗
「やるじゃねーか。ちょっとおまえを見直したぜ。」
少なくとも、パンクス連中は倒せるとふんだ海斗は感電状態の
パンクスを、ライフルで狙い撃つ、正確な射撃が範囲外
から放たれた。ショック状態中でも
あったため、身動きできずに倒されていくパンクスたちでした。
小悪魔リリム
「そ~~れ~~ もういっちょ~~。」
調子づいたリリムが、特大の雷光玉を違う戦闘エリアにいた
連中に放つ、先ほどよりも威力が高いのは、リリムが高揚
しているせいなのか、近くにいても
かなりやばいくらいの影響力を帯びていた。
ものの数分で、かたがついた時に、海斗には試しておきたい
ことがあった。
海斗
「リリム。さっきの雷光玉つくれるか?」
小悪魔リリム
「ん?いいよ。まってて・。」
そういうと先ほどの特大雷光玉を作ってみせた。
海斗がおもむろに先ほど借りた銃を手に引き金を引いた。
すると、リリムの帯電していた電撃を瞬く間に吸収し、
その折に手元のカウンターが0から100と表示された。
海斗
「やはりな、こいつはそういう武器なんだな。
弾を込めるのではなく外部から吸収させて弾にするって
ことだ。」
小悪魔リリム
「へ~~~。カイトあったまい~~。その銃でわたしの
さっきの雷光玉をだせるのかな~~ ねねねね
やってみせてよ~」
海斗
「多分だいじょうぶだろう。やってみせてと言われても、
お前がハッスルしたおかげで倒す相手がいなくなっち
まったからなぁ。
だから今回は、おあずけだな。」
小悪魔リリム
「ちぇ~~ ケチ~。」
海斗
「リリム!わり~がもう1回つくれるか?さっきの」
小悪魔リリム
「ん~~ いいけど・・・」
そういうが、さっきのとはかなり小さい雷光玉を作って
見せた。海斗が銃で引き金を引くと雷光玉が吸収される。
そして銃身側面にあるゲージカウンターのメモリには
150と表示がされたのです。
海斗
「さっきの半分だな。怠けやがって・・しょーがねーな~。」
小悪魔リリム
「だって つまらないんだもん。」
海斗
「仕方ねぇ じゃぁ少しだけ使ってみせてやる。」
海斗が壁に向かって銃の引き金を引く・・しかし
何もおきなかった。
海斗
「ん。おっかしいな。そっか吸収モードなんだな。
ってことは・・」
海斗が銃を調べていてラッチされた個所を変更する音がした。
カチッっと音がして銃の引き金を引くと今度は銃身先から
ビリリリリっと一直線に電撃の光線がでたのである。
海斗
「まぁこんなもんだな。」
小悪魔リリム
「お~~~~~。やった~~!!。
使えたね。でもわたしの雷光玉よりも威力ちっさくな~い?」
海斗
「あぁ、それはそうだろういまのカウンタが149だからお前
のさっきの雷光玉の1/50の威力だからな。
パワーレンジ調整もあるかもしれね~な。
あとは、種類別に電撃以外のものが吸収できればいいんだ
がな。おぃリリム!お前電撃以外は魔法使えるのか?」
小悪魔リリム
「むり~~」
海斗
「まぁそんなこったろうと思ったぜ。ま、安心しろ!
そこまで期待はしてね~からいいさ。」
小悪魔リリム
「え~~ わたしだってレベルがあがれば、氷結魔法だって
使えるようになるはず・・・だもん。」
海斗
「ほ~~~~。それは期待したいな。で、いったいいつに
なったらそのレベルってのはあがるんだ?」
小悪魔リリム
「ん~~~わっかんな~~い。」
海斗
「・・・・・・天然やろ~~め。」
まぁいいさ。とりあえずオーディンのところまで戻るか。」
小悪魔リリム
「は~~い。」
しばらくして、オーディンの兵隊たちと共に、オーディンの
広間まで登っていき、襲撃してきたやつらを始末したという
報告をしたのでした。兵隊たちからは
二人の活躍で早々に掃討ができたと報告を受けた
オーディンは大層ご機嫌だったのです。
軍神オーディン
「いやいや、お客人、すまなかった。
このような争い毎に付き合って頂いて。」
海斗
「たいしたことね~から、いいって。」
軍神オーディン
「しかし、その銃の秘密を解き明かすとは、流石、
儂が見込んだだけのことはある。
よければその銃をもらってはくれんか。」
海斗
「ん。いいのか?使えるぜこの銃は、どこで製造されたのかは
わからんが、詠唱なしに魔法が打ち込める銃なんて滅多に
ないからな。それを俺にくれるってのか?」
軍神オーディン
「ただでというのは逆に気が引けるじゃろうから、そうだな、
これならどうじゃ、今後儂と同盟を組むのじゃ、同盟の証として
その銃をお前さんに譲る
ということなら問題ないじゃろう。」
海斗
「そういうことなら、とくに異論はねぇな。
そうなるとセルタワーも自由に出入りできるってことだし、
俺にとっては願ったり叶ったりってところか。」
軍神オーディン
「まぁそうはいっても、先ほどのようなごたごたしたことが
最近多いからの。あまり悠長にはしておれんのはあるのだが。
お互いの有益の為にこの
シブヤを拠点とする者が手を組むということで、よいかな。」
海斗
「あぁ、ヨロシクたのむぜ。今日はちっとアジトに早く戻らねェと、
ひょっとしたら向こうにも新手がいっているかもしれねぇからよ。
急いでるんだ。
つもる話はまた今度でいいか?」
軍神オーディン
「そういうことなら、あいわかった。気を付けて帰られよ。
おぃ 客人をお送りしなさい。」
数名の兵隊とともにセルタワーを下り、後にした。
アジトに戻る二人だったが、特にこちらには被害はなかったようだ。
魔力吸収の銃を手に入れた海斗はかなり機嫌がよく、
鼻歌まじりに銃の手入れをしていた。
小悪魔リリム
「カイト~~。銃ばかりさわってないでさ~、
わたしと遊ぼうよ~。」
海斗
「ん~~わりぃわりぃ。こいつがめっちゃ可愛くみえちまってよぉ
ついな~♪」
小悪魔リリム
「(へんたいガンマニア)ふ~~ん」
海斗
「おめぇ 今なんか心の中で変なこといったか?」
小悪魔リリム
「え!?、ばかだな~~ そんなわけないじゃないか~。」
海斗
「一応いっとくが、俺の新しい相棒はこの銃な、ペットはお前だ」
小悪魔リリム
「ふぇ~~~ん わたし銃に負けるんだ!
・・・かなし~~い。訴えてやる~
悪魔協会に訴えてやる~~。」