〜登場人物〜
香織:パンダの中学時代からの友人。
27歳の時、老舗割烹料理屋の次男である次郎と結婚。
その後、不育症と義母の言動に悩まされていたが
それから7年、不育の不安と闘いながらついに第一子が誕生。
九条一郎:長男で次郎の兄 35歳
九条 次郎:次男で香織の夫 33歳
九条京子:3人兄弟の末っ子。香織の理解者でもある。
九条克子:夫の母、つまり香織にとっては義母。曲者。
…と思っていたが、その過去は…。
小田切麗子:長男一郎の妻 36歳
地域で有名な小田切病院のご令嬢。妊娠中に一郎の不倫が発覚。
小田切麗子の父:小田切病院の総院長
美和:一郎の不倫相手、看護師と曲者の資格を持つ。
美和の両親 商店街で小さなコロッケ屋を営む。
克子
「ちょっとあんたたち本当に
頭が悪すぎる。」
美和が話せば話すほど
克子のイライラは増す。
香織はずーっと
何も発せないままだが、
今回の件では本当に
この義母克子に対しての
自分の見方が
どんどん変わってゆくのがわかる。
一郎のバカさも露呈するのだが
それでも克子がどれだけ
戦ってくれているのか。
凄い人だと思った。
美和
「…頭が悪いって…
そんな言い方…」
克子
「だってそうでしょう?
あのね、あなたは
分かっていらっしゃらないようだから
言いますけど
料理人はね、値段関係なく、
様々な食材に触れて
食すことも修行なのよ。
うちが料亭なんだから
目でも舌でも勉強するために
数万円のコース料理を
食べることだってあるわよ!」
美和
「……」
克子
「それにね、
お知り合いばかりのお店でも
割り引いてもらったりしないのは
その職人さんへの敬意よ。
うちは先代からずっと
どこに食事に行っても
その店がつけている値段で
必ずお支払いをするよう決まってます。
それは
その食材、味付け1つ1つ
育てた方、仕入れているお店
それぞれにどれだけの時間と
想いが込められているか。
それを分かっているから
ちゃんと正規のお値段で
お支払いをするの!
そんなことも知らずに
ただ高級なお店に釣られて
ホイホイついて行ってたのは
あなたの方じゃないの!!」
美和
「……」
さすがの美和も
黙り込んでいる。
どこにも、
突っ込む余地などない。
克子
「好き勝手遊べていたお金って
私たちは一郎に、好きに小遣い
あげてるわけじゃないわよ!
こんなバカな息子でも
10年以上修行してきた中で
見習いの時の給料は
お弟子さんと同じよ!
どこかに食事に行った時は、
必ずそのレシピをノートに書いて
夜通し味を再現していることもある。
そしてそれはうちで出さなくても
本人が必ず記録してるわよ。」
一郎
「母さん…」
そう。
九条の料理は、
代々伝わる繊細な味も
今時の大胆なアレンジも
本当に素晴らしいのだ。
それを受け継ぐのは
一郎さんだって
並大抵の努力ではなかったはずだ。
香織は、克子の話を聞きながら
ギュッと唇を噛んでいた。
すると、その香織の心を
察するかのように克子は言った。
克子
「だから、
だからこの子も
頭が悪いのよ!!」
一郎
「……」
克子
「こうしてずっと
努力を重ねてきて、
ご贔屓の方々にも
やっと認められてきたって時に
いい縁談に恵まれて
子供まで授かった時に
こんなバカ女に
引っ掛かったん
ですから。」
あぁ、克子はもしかしたらずっと
これが言いたかったのかもしれない。
バカ女のくだりではなくて、
その前の言葉。
一郎のことは、
ちゃんと認めていた。
よくやっていると思っていた。
だからこそ克子はきっと今
心で、泣いているんだ。
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これまでのシリーズはこちら。
1.ミキの芝生 『DVモラハラ夫の不倫』
2.武田さんの芝生『妊娠発覚。彼氏は既婚者だった。
3.紀子さんの芝生 『夫の不倫相手は、まさかのあの人。』
4.琴美ちゃんの芝生 「お笑い芸人の男。」
5..読者さんの芝生 「意見を聞かせてください。」
6.みどりさん親子の芝生 「父親の不倫を見つけました。」
7.春菜ちゃんの芝生『婚活アプリで結婚相手は見つかるか』
8.青木の芝生 男友達の告白。
9. 紗子さんの芝生 「見て見ぬふりん。」
10. 百合子ちゃんの芝生 「運命の人の本性