主人公 香織:パンダの中学時代からの友人。
27歳の時、老舗割烹料理屋の次男である次郎と結婚。
その後、香織は不育症と義母の言動に悩まされていたが
それから7年、不育の不安と闘いながらついに第一子が誕生。
九条一郎さん:長男で次郎の兄 35歳
九条 次郎:次男で香織の夫 33歳
九条京子ちゃん:3人兄弟の末っ子。香織ちゃんの理解者でもある。
小田切麗子さん:
長男一郎の婚約者 36歳 地域で有名な病院のご令嬢。
妊娠が発覚したが、その時長男の一郎は…
克子:夫の母、つまり香織にとっては義母。曲者。
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夫の一郎と、
ディナーに行く予定だったその日
妻の麗子さんは予定通り
体調不良で行けないから
誰かと一緒に行ってきて欲しいと
一郎にLINEを送った。
これで、
このまま一郎が帰ってくるとは
麗子さんには
あまり考えられなかった。
それは、
不倫相手がどうこう以前に
やはり一郎は料理人で
フルコースの予約を
当日キャンセルされることの
大変さを知っているので
簡単にキャンセルなど
しないだろうと思った。
しかし
一郎LINE
「いや。
麗子の体調がそんな時に
外で食事していても
心配なだけだから
さすがにキャンセルするよ。
体調が回復したらまた
改めて二人で行こう。
今日は体に優しいものを
僕が作るから
カットが終わったら、
買い出しだけして帰るね。」
私たちの予想は外れたが、
これは麗子さんにとって
少しホッとした瞬間だった。
麗子さんLINE
「だけど…いいの?
せっかく取れた予約なのに。
私には気を遣わなくていいから
もし行ける人がいるなら
一緒に行ってきていいんだよ。」
麗子さんは、
念押しでもう一度そう言った。
一郎LINE
「一応、誰か二人ペアで
行ける人がいないかは聞いてみる。
だけどどちらにしても
僕は行かないから。」
そう言って
それから2時間後、
一郎は本当に
家に帰ってきた。
麗子さん
「おかえりなさい。
あの…予約、どうなったの?」
一郎
「あぁそれなら、
いつも頑張ってくれてる
弟子二人に
領収書切っていいから
勉強のために
行ってきていいよって連絡したら
かなり喜んでたよ。
だから大丈夫。
それより、
横になってなくていいの?
お腹空いたら
すぐに食事にするから
ちょっと休んでおいでよ。」
麗子さん
「うん、わかった。」
麗子さんはそう言って
ひとまず本当に
ベッドに入ることにした。
麗子さん
(……)
そして、
一人きりの寝室。
麗子さん
(うっ…うぅぅ…)
涙が溢れて
止まらなくなった。
あぁ、これが
何も知らない頃の自分なら
どんなに幸せだっただろう。
体調を気遣い
料理をしてくれている夫。
どうして?
どうしてこんなことに?
そう思うと
苦しくて、苦しくて
今すぐ一郎のところに行って
叫び出したかった。
問いただしたかった。
でも…
もしそれで、
今のこの関係性まで
全て壊れてしまったら?
麗子さんはとにかく
それがとても怖かった。
こんな男なのに
愛している。
それが辛くて辛くて、
どうしようもなかった。
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いつも読んで下さってありがとうございます。
これまでのシリーズはこちら。
1.ミキの芝生『DVモラハラ夫の不倫』
2.武田さんの芝生『妊娠発覚。彼氏は既婚者だった。
3.紀子さんの芝生 『夫の不倫相手は、まさかのあの人。』
4.琴美ちゃんの芝生 「お笑い芸人の男。」
5..読者さんの芝生 「意見を聞かせてください。」
6.みどりさん親子の芝生 「父親の不倫を見つけました。」
7.春菜ちゃんの芝生『婚活アプリで結婚相手は見つかるか』
8.青木の芝生 男友達の告白。
9. 紗子さんの芝生 「見て見ぬふりん。」
10. 百合子ちゃんの芝生 「運命の人の本性は。」