主人公 香織：パンダの中学時代からの友人。
27歳の時、老舗割烹料理屋の次男である次郎と結婚した。
それから5年、香織は不育症と義母の言動に悩まされていた。
さらに1年半後、妊娠発覚し、安定期に入っているが、まだまだ不安。
一郎：長男で次郎の兄 35歳 / 次郎：次男で香織の夫 33歳
京子ちゃん：3人兄弟の末っ子。香織ちゃんの理解者でもある。
小田切麗子さん：長男一郎の婚約者 36歳 地域で有名な病院のご令嬢。
克子：夫の母、つまり香織にとっては義母。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
香織がついに
義母に妊娠を打ち明けた。
すると色々と矢継ぎ早に
質問が飛んできた。
勿論質問していたのは
義母だけ。
次郎くん
「母さん。
一つずつ伝えるから
まずはちゃんと最後まで
話を聞いてよ。」
克子
「何よ、おめでたい話なんだから
色々聞きたいのは
当たり前でしょ。」
次郎くん
「それはありがたいけど
まず今は、
香織の体調面を考慮して
安定期に入るまでは
みんなに話すのはやめようって
僕が言ったんだ。」
言ったのは香織だったが
次郎くんはここで常に
香織を守るように
丁寧に、話をしてくれた。
それが本当に
ありがたかった。
が。
克子にはそんな
繊細な気持ちなど通じない。
克子
「もー、なによー、
次郎なんて
女性の体のことなんか
なんにも
わかっちゃいないんだから
一番最初に私にだけは
打ち明けてくれたら
よかったじゃないのー。」
香織
「すみません…
そうですね。」
克子
「あら？ってことは
一郎たちの結婚式の時は
もうわかってたのよね？
あの時隣の席だったのに、
なんだー、水くさいわねー。」
いやだから、
最後まで聞け。
わかっちゃいないのは
あなただから。
これじゃあ話が
全然前に進まない。
それから次郎くんは
予定日や
まだ性別などは聞いてないこと
体調面を考慮して
実家の手伝いは
最小限にして欲しいことなどを
義母に向かって話した。
克子
「体調体調って言うけど
お仕事は普通に
今も続けてるんでしょ？」
香織
「はい、今はご配慮いただいて
事務処理を中心にですけど
あまり意識し過ぎず
普通に生活してます。」
京子ちゃん
「そっかー、楽しみだね。
なんか手伝えることあったら
私も手伝うからね！！」
香織
「京子ちゃん、ありがとう！」
お義父さんは
その隣で静かに微笑んでいた。
その時
克子
「なによ、仕事もしてるし
もう安定期なら
大丈夫じゃない。
みんな
大袈裟なのよ。
来月親戚の集まりがあるから
その時にはちゃんと
2人とも顔を出しなさいよ。
ご挨拶するわよ。」
香織
「あ、はい、勿論です…」
克子
「妊娠中はね
下手に気を遣いながら過ごすより
普通にやればいいのよ。
私なんて
一郎が生まれる直前まで
おばあちゃんに言われて
散々こき使われたんだから。」
次郎くん
「でも母さん、
俺たち前に言ったよね。
香織の状況は…」
克子
「わかってるわよー。
私はあなたたち
3人産んだのよ？
私が言うんだから
大丈夫に決まってる！
麗子さん
「あの、お母さん。
その際は私が色々と
お手伝いしますんで。」
麗子さんがすかさず
フォローに入ってくれたが
香織はこの場で
涙が溢れそうだった。
安定期だから大丈夫。
この言葉に、
香織は傷ついていた。
自分だってそう
思いたかった。
事情を知らない義母が
手放しで喜ぶのも
無理はないとも思った。
だけど香織にとっては
妊娠そのものが
本当に奇跡で
妊娠してからだって
無事に生まれるまで
当たり前なんかじゃない。
だから
義母の言葉は辛かった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
いつも読んで下さってありがとうございます。
これまでのシリーズはこちら。
シーズン1 ミキの芝生 『DVモラハラ夫の不倫』
シーズン２ 武田さんの芝生
シーズン３ 紀子さんの芝生 『夫の不倫相手は、まさかのあの人。』
シーズン４ 琴美ちゃんの芝生 「お笑い芸人の男。」
シーズン５ 読者さんの芝生 「意見を聞かせてください。」
シーズン６ みどりさん親子の芝生 「父親の不倫を見つけました。」
シーズン７ 春菜ちゃんの芝生『婚活アプリで結婚相手は見つかるか』
シーズン8 青木の芝生 男友達の告白。
シーズン9 紗子さんの芝生 「見て見ぬふりん。」
シーズン10 百合子ちゃんの芝生 「運命の人の本性は。」
