主人公 

香織 ・・パンダの中学時代からの友人。

27歳の時、老舗割烹料理屋の次男坊と結婚した。

それから5年後の33歳の時、実は不育症で

悩んでいたと告げられた。

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大阪で行われた、

香織の盛大な結婚式から5年。

 

 

その間にも里帰りの時など

顔は合わせていたし

たわいもないことで

メールしたりすることも多かったし

 

香織が不育症で

悩んでいたことなど知らなかった。

 

 

 

香織

「パンダにもちゃんと

 知らせたかったんだけど

 

 なんかあったらきっと

 気を遣ってしまうのわかってたから

 あえて言わなかったんだ。

 

 だけど諦めてないからね。

 

 ちゃんと治療してるから、

 心の中で

 応援しててくれたら嬉しい。」

 

 

 

「そっか…

 うん、わかった。

 

 話してくれてありがとう。」

 

 

 

香織

「うん!」

 

 

 

「それはそうと。

 

 

(お義母さんが

 ややこしいから)

 

 とは、どういうこと?」

 

 

 

 

香織

「あー、うん、あー。」

 

 

 

 

なんだか急に

歯切れの悪い香織。

 

 

 

 

「嫁姑問題的な??」

 

 

 

香織

「まぁ、そんな感じ。」

 

 

 

 

「そんな感じって…

 

 

 だって次郎くんって

 次男でしょ。

 

 確か妹さんもいたんだっけ?

 

 一緒に住んでないわけだし

 香織とお義母さんって

 そんなに関わりあるの?」

 

 

 

次郎くんとは、

香織のご主人のことである。

 

 

 

香織

「それがさ、

 

 家業は一郎さんが

 継ぐことになってるんだけど、

 一郎さんに全く

 結婚する気配がなくって…。

 

 

 それで、何故かこっちに

 子供産んでくれみたいな

 圧がすごいの…」

 

 

 

一郎さんとは、

長男のことである。

 

 

 

 

「なるほど…

 それは今の状況で

 かなり辛いね…」

 

 

 

香織

「そうなの…。」

 

 

 

「だけど結婚する気がないって、

 一郎さんっておいくつ?」

 

 

 

香織

「35歳。」

 

 

 

「なんだ。

 

 

 そのくらいなら

 別にこれからまだまだ

 結婚するチャンスは

 いくらでもありそうな気がするけどな。」

 

 

 

 

香織

「そうなんだけどさ‥

 

 昔気質の義両親としたら

 35歳で結婚してないって

 心配で仕方ないらしくて…

 

 

 あっ!」

 

 

 

「えっ!」

 

 

 

香織

「もうこうなったらパンダが

 一郎さんのお嫁さんになって

 私たち、

 義理の姉妹になるってどう?

 

 それなら私、

 なんか頑張れる!!」

 

 

 

「あっ、そっか

 私がいけばいいのか!!!

 

 

 

 

 って。いや、こら。

 

 

 

 …。

 

 

 

 それで…

 

 

 

 

 イケメンなん?

 (おい。真面目に考えるのやめい。)

 

 

 

 

香織ちゃん

「結婚式で見たじゃん。」

 

 

とか言われても

あまり記憶にはない。

 

 

 

 

って言うか、

その気になっている場合でもない。

 

 

 

 

「そんなことより

 一郎さんに彼女はいるの?」

 

 

 

香織

「うーん、それがどうも

 わからないんだけど…

 

 次郎くんが言うには 

  

 長男の嫁になったら

 しきたりとか家の手伝いとか

 色々大変だから

 

 今時の子は全然

 嫁に来てくれないんだって。」

 

 

 

 

「…そんなに

 しきたりの多い家なの?」

 

 

 

 

香織

「うん。多いよ。」

 

 

 

 

それから香織の話は

結婚2年目の

年末あたりに遡る。

 

 

 

 

香織

「次郎くんの実家ね

 年末になると毎年

 

 親戚がみんな集まって、

 餅つきをするの。」

 

 

 

 

 

 

 

 

その日は親戚だけではなく

近所の人も集まっていた。

 

 

 

義母の克子は

朝から張り切っていて

 

嫁いで2回目の

年末を迎える香織ちゃんは

エプロンをして

お手伝いの準備を整えていた。

 

 

 

義母克子

「今日は近所の方も

 皆さん集まって下さるから

 

 香織さんは嫁として

 若いんだから頑張って

 体動かしてもらわないとね。」

 

 

 

香織ちゃん

「はい。」

 

 

 

義母克子

「もう、

 今年は孫にも会えなかったし

 

 このくらい

 手伝ってもらわないと。」

 

 

 

 

この時、1度目の流産から

まだ4ヶ月くらいしか経っておらず

 

心も体も酷く傷ついていた香織に

 

 

義母の克子は

ものすごくあっさりと

そう言い放った。

 

 

 

 

 

 

 

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Oisix始めました。

 

 

これまでのシリーズはこちら。

シーズン1 ミキの芝生 『DVモラハラ夫の不倫』

シーズン2 武田さんの芝生 

『妊娠発覚。彼氏と思っていた人は既婚者だった。』

シーズン3 紀子さんの芝生 『夫の不倫相手は、まさかのあの人。』

シーズン4 琴美ちゃんの芝生 「お笑い芸人の男。」

シーズン5 読者さんの芝生 「意見を聞かせてください。」

シーズン6 みどりさん親子の芝生 「父親の不倫を見つけました。」

シーズン7 春菜ちゃんの芝生『婚活アプリで結婚相手は見つかるか』

シーズン8  青木の芝生  男友達の告白。

シーズン9  紗子さんの芝生 「見て見ぬふりん。」

シーズン10 百合子ちゃんの芝生 「運命の人の本性は。」