主人公…百合子ちゃん 37歳
私が２０代の時に知り合った2歳年上の先輩。
高学歴で一流企業に勤める。見た目はとても可愛く歴女。
この度婚活をスタートさせて、素敵な彼氏ができた。
色々あったが、この彼しかいない、と思った矢先…
彼…元くん 37歳 婚活アプリで知り合った。
身長178㎝のイケメン関西人。マメで優しく束縛激しめ。
しかしその実態は、奥さんがいる中で
2年も百合子ちゃんを騙しているとんでもない男だった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
サイコパス男は、
百合子ちゃんからの
浴衣のプレゼントに
泣いて喜んだというのに
その後その浴衣は
会社の倉庫に置きっぱなす始末。
嘘も涙も、
ポロポロ平気で溢れてくる。
◆
百合子ちゃんが
家を出る日の前日。
すでに引越し先が
決まっていた百合子ちゃんは
彼より早く出ることが
決まっていた。
これが最後の夜だ。
サイコパス男は、
いつもより早く帰ってきた。
別れを決めてから
今日の今日まで
出歩いていたこの男。
普段そういえば
帰宅姿をあまり見ていなかったが
ふと見たその時の顔には
マスクがなかった。
つけていた様子がないのだ。
ちなみにマスクについては
百合子ちゃんのお母さんが
送ってくれていた。
別れを知っているとはいえ
その事情を知らないお母さん。
どんな事情があれ
こんな時だからと、
都内のマスク不足を心配して
この男の分まで、
わざわざ郵送で送ってくれていた。
別れてもなお、
彼の身体を心配してくれる
そんな人の優しさも無碍にし
自分が予防しなければ
人に感染させてしまうという
そんなリスクも考えられない
その神経を、
疑わずにいられなかった。
この男は
そんな状態で一体、
どこで誰と会っていたのか。
濃厚接触をしてるのではないか、、
そんなんで感染させられたら
本当に怖い。
話もせずに過ごしていたけど、
この時期にちゃんと
別れが決まっていてよかった。
夜中になり、
サイコパス男が
リビングにやってきた。
無視をする
百合子ちゃんをよそ目に
彼はうさこの前にゆき
サイコパス男元くん
「ごめんな、うさこ。
ごめんな。幸せになってな。」
と小さな声で呟き、
そして泣いた。
百合子ちゃんは
（これまで
世話なんてしたことないし
俺は飼うのなんて無理やから
連れて行けよ！
って言い放ったのは
自分なのに…）
と、冷めた気持ちで
その声を聞いていた。
泣くのはこの男の
常套手段だ。
もう、同情なんてしない。
思い出話などもない。
だけど胸には
言ってやりたいことは
山ほどある。
罵りたい言葉も、
泣きながらぶつけたい言葉も、
元奥さんから
聞いたことをぶちまけて
お前の言ってること
全部嘘じゃないか！！！
とも
いろんな言葉と感情が
頭と胸を渦巻いた。
しかし、
百合子ちゃんは堪えた。
そう。
百合子ちゃんは、
金輪際もう彼と
関わらないことを
選んだ。
翌朝早く、
休みをとっていた百合子ちゃんは
うさこちゃんを専用のバックに入れ
部屋を後にした。
マンションの敷地を出て、
呼んでいたタクシーに乗る。
これで本当に、
終わった…。
遠ざかる、
その景色を見つめながら
百合子ちゃんはただただ、
涙が止まらなかった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
いつも読んで下さってありがとうございます。
これまでのシリーズはこちら。
シーズン1 ミキの芝生 『DVモラハラ夫の不倫』
シーズン２ 武田さんの芝生
シーズン３ 紀子さんの芝生 『夫の不倫相手は、まさかのあの人。』
シーズン４ 琴美ちゃんの芝生 「お笑い芸人の男。」
シーズン５ 読者さんの芝生 「意見を聞かせてください。」
シーズン６ みどりさん親子の芝生 「父親の不倫を見つけました。」
シーズン７ 春菜ちゃんの芝生『婚活アプリで結婚相手は見つかるか』
シーズン8 青木の芝生 男友達の告白。
シーズン9 紗子さんの芝生 「見て見ぬふりん。」