主人公…百合子ちゃん 37歳
私が20代の時に知り合った2歳年上の先輩。
高学歴で一流企業に勤める。見た目はとても可愛く歴女。
この度婚活をスタートさせて、素敵な彼氏ができた。
色々あったが、この彼しかいない、と思った矢先…
彼…元くん 37歳 婚活アプリで知り合った。
身長178㎝のイケメン関西人。マメで優しく束縛激しめ。
しかしその実態は、奥さんがいる中で
2年も百合子ちゃんを騙しているとんでもない男だった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
サイコパス男が
百合子ちゃんにお金を返し
あと1ヶ月でこのマンションを
解約すると言ってから
基本的には外で食べて来るが
まっすぐ家に帰る日は
コンビニ弁当を
買ってくるようになった。
アリサかどうかは知らないが
完全に新しく
依存してくれる相手を
見つけたんだろうなと
百合子ちゃんは思った。
帰ってきても会話はなく
寝る部屋も別になり
こうして
お互い次の家が見つかるまで
ただの同居人になった。
これが、
百合子ちゃんの戦い方だった。
これが、
辛くないわけなどない。
彼は脳内で好き勝手に
(こいつのせいで
俺は元嫁と別れた。
俺は全く悪くない。
こんな奴とこの先
一緒に居れるわけがない。)
と思いながら、
外で好き勝手しているのだから。
この日々で、
彼の気持ちがどんどん
百合子ちゃんから
離れていくのもわかった。
こんなこと、
悔しいし、理不尽だ。
けれどこれがこの先
彼が自分に関わってこないための
最善だと思った。
とにかく自分から
興味を無くしてもらうのだ。
ちなみにこの頃は
コロナが拡大し始めて、
最初の緊急事態宣言が
出る直前だった。
世の中そんな風に
自粛ムードが
高まっている時期だというのに、
この男は毎晩
日付が変わるくらいの時間に
帰ってきていた。
休みの日は
朝から晩まで一日外出している。
結婚しているわけでもないのに
それでも必ず家に帰ってくるのは
彼なりの、
防衛反応なのだろうか。
それとも次のターゲットは
実家暮らしなんだろうか。
それは、わからない。
それに、どうでもいい。
ふと、リビングを見渡す。
A先輩に
無理やり買わされた家具。
これをサイコパス男は
引っ越しの際に
持っていくようだが
税金の滞納金額もあって
こんな大きい家具ごと引っ越すなんて
そんな費用、
どこから、誰から捻出するのだろう。
まぁこれも、どうでもいいか。
◆
退去の日が迫ってきていた。
その日もいつも通りに
夜遅く帰ってきた
サイコパス男。
もう会話はない。
けれどうさこはちゃんと
彼のことを認識していた。
玄関の扉が開く音で
ぴょこぴょこ嬉しそうの飛び跳ねて
リビングを通る彼の方を
嬉しそうに見ている。
うさこはこうして毎日ちゃんと
彼を迎えて、
愛情表現をしていた。
さっさと自分の部屋に入った
彼の残像を見ながら
百合子ちゃんは
うさこと自分が一緒に思えた。
急に苦しくなって
うさこをぎゅっと抱きしめた。
ごめんね、ごめんね。
大丈夫だからね。
私はあなたを
絶対に離さないからね。
うさこを一生
大事にするからね
その日百合子ちゃんは
うさこを抱きしめたまま
ワンワン泣いた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
いつも読んで下さってありがとうございます。
これまでのシリーズはこちら。
シーズン1 ミキの芝生 『DVモラハラ夫の不倫』
シーズン2 武田さんの芝生
シーズン3 紀子さんの芝生 『夫の不倫相手は、まさかのあの人。』
シーズン4 琴美ちゃんの芝生 「お笑い芸人の男。」
シーズン5 読者さんの芝生 「意見を聞かせてください。」
シーズン6 みどりさん親子の芝生 「父親の不倫を見つけました。」
シーズン7 春菜ちゃんの芝生『婚活アプリで結婚相手は見つかるか』
シーズン8 青木の芝生 男友達の告白。
シーズン9 紗子さんの芝生 「見て見ぬふりん。」