主人公…百合子ちゃん 37歳
私が20代の時に知り合った2歳年上の先輩。
高学歴で一流企業に勤める。見た目はとても可愛く歴女。
この度婚活をスタートさせて、素敵な彼氏ができた。
色々あったが、この彼しかいない、と思った矢先…
彼…元くん 37歳 婚活アプリで知り合った。
身長178㎝のイケメン関西人。マメで優しく束縛激しめ。
しかしその実態は、奥さんがいる中で
2年も百合子ちゃんを騙しているとんでもない男だった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
サイコパス男が
部屋に戻って行ったあと、
百合子ちゃんは包丁やハサミなど
凶器になりそうな物は全て
隠しておいた。
体の暴力だけは
一度も受けたことはないが
さっきのあの凄み方から
少し恐怖を感じた。
(ひとまず今は
家を出たらいいのに。)
客観的には安易に
そんな発想がよぎるが
これまでこの手のことで
何人かの女性を見てきた限り
誰1人、自力で
外に出られた女性はいなかった。
彼らは彼女たちを
どんなに責めて蔑んでも
自分が悪いと思っていないので
途中でコロッと態度が変わり
優しい男に戻る。
そのことで彼女たちは、
あれ、やっぱりこの人は
本当は優しくて、
私が悪いだけだったのかもしれない。
不器用だけど、だからこそ
私しかわかってあげられないのかも
親の愛が足りなかったから
私が愛をあげなければ
なんて、思ってしまうようだ。
だからむしろ百合子ちゃんが
この短期間で出ようと思えたのは
やはり籍を入れていないことが
大きかったのだと思う。
それから百合子ちゃんと彼は
ほとんど話をしなかった。
一時期は、
彼が百合子ちゃんに依存して
離れてくれないのではないかとか
ストーカーになるのではと
心配していたが
百合子ちゃんが、
会社の社長に話すと言ったことは
かなりのパワーワードになったようだ。
確かに彼は、A先輩にすら
あの態度だった。
社長ともなると
もっと頭が上がらないのかもしれないし
当時この男には浮気相手もいたし
気がそちらに
向かっていたのかもしれない。
◆
一週間後、
サイコパス男元くん
「ほら」
封筒に入った20万円を
ポンと投げるように
渡された。
サイコパス男元くん
「この金はな、
俺がいろんな友達に
頭下げて回ったんや。
お前のせいで
俺の人間関係はめちゃくちゃや!
全部お前のせいや!」
なんでやねん。
と、
反論する気にもなれなかった。
友達なんていない。
そう言い続けていた彼。
これまでのことを振り返れば
借りたのは金融機関か
浮気相手だろう。
なんて、そこはもう
どうでもいい。
百合子ちゃんはそう思った。
サイコパス男元くん
「とにかく金も返したしな!
もうお前とは終わりや!
マンションも
1ヶ月後に解約したからな。
家具は全部俺が持ってくから。
お前はうさこを持ってってくれ。
俺は無理やから。」
どこまでも主張がめちゃくちゃで
全てが人のせい。
目が覚めた今なら
この男がいかに
横暴なことを言っているかわかる。
だけど
1ヶ月後に解約。
つまりはこれが正式な
決別の合図。
相手から言い出してくれたことで
かなりの揉め事が
回避できる。
あ。
それじゃあ、
少し動き出しても
いいですか。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
いつも読んで下さってありがとうございます。
これまでのシリーズはこちら。
シーズン1 ミキの芝生 『DVモラハラ夫の不倫』
シーズン2 武田さんの芝生
シーズン3 紀子さんの芝生 『夫の不倫相手は、まさかのあの人。』
シーズン4 琴美ちゃんの芝生 「お笑い芸人の男。」
シーズン5 読者さんの芝生 「意見を聞かせてください。」
シーズン6 みどりさん親子の芝生 「父親の不倫を見つけました。」
シーズン7 春菜ちゃんの芝生『婚活アプリで結婚相手は見つかるか』
シーズン8 青木の芝生 男友達の告白。
シーズン9 紗子さんの芝生 「見て見ぬふりん。」