このお話は、登場人物の名前や年齢
関係性や時系列など、
実際とはあえて異なる部分があります。
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紗子さんがここまで
不倫議員の不倫について
リークをするか否かで
悩んでいた理由は
自分の親の生い立ちが
孫である
自分にまで与えた影響から
不倫議員のお子さんが
これから与えられるであろう
精神的被害を
気に病んでいたのだった。
私
「あの、紗子さん
差し支えないようなら
もう少しそのお父さんのこと
話してくださいますか?」
紗子さん
「はい・・・
…でも本当に色々あるので
一体どこから
話せばいいのか…」
私
「そしたら少し、
質問を変えますね。
紗子さんは先ほど
父親は歪んでいた
と表現されていましたが
それは例えば、
どんな部分なんでしょうか。」
紗子さんは少し考え込んで
何かを決意したように
頷いた。
紗子さん
「…でしたら少し
父の生い立ちの部分から
お話させてください。」
私
「…お願いします。」
紗子さん
「うちの父の母
(つまり紗子さんの祖母)は
私が生まれた時には
もう亡くなっていたんですが
元々は京都の芸妓です。
そこで祖父に※水揚げされて
父が生まれたそうです。」
私
「…それはまた…
すごい時代のお話…」
紗子さん
「そうですよね…
それで
父は長男になりますが、
祖父にはすでに
正妻さんがいました。
次男(正妻の子)が次に生まれ、
祖父の会社の
事務員さん(3号さん)の子が
次に生まれたらしいです。
今考えると恐ろしいかな
昭和初期です。」
私
「すでに映画のような
世界観ですね…」
紗子さん
「孫である私でさえ
そう思いますよ…。
まぁそんなふうに
水揚げできるだけの
祖父だったわけですが
それでもやはり
正妻の子と父には
学習資金格差があったようで
父は大学を出ておらず
次男は大卒です。
そのせいで父にはかなり
学歴コンプレックスがありました。」
私
「そうですか…」
って、いや待て。
目の前でこのことを
淡々と話し続ける紗子さん。
私の頭は
ハテナでいっぱいで
質問したいことだらけだった。
私
「紗子さん。
お祖父さんのこの話、
どうして孫の紗子さんが
ここまで知ってるんですか?
いつ頃聞かされたんですか?」
紗子さん
「私が中学の時代に祖父が亡くなって
それはもう醜い
骨肉の争いが始まりましたから
嫌でも耳に入ってきて
ついに両親から
全てを話されました。」
私
「中学生の頃に…?
え、あの、いや、
ってことはつまりこの話
紗子さんが中学生の頃に
水揚げの話から
説明されたんですか??」
紗子さん
「はい、そうなりますね…」
ほら。
いつだって大人の事情に
巻き込まれ
傷つくのは、子供じゃないか。
※水揚げとは(Wikipediaより引用)
江戸時代から売春防止法施行以前の時代に芸妓、遊女が初めて客と寝所にて接することであった。そのとき処女を喪失することになっていた(水揚げと称して複数の客から金銭を稼ぐこともあった)
遊女の場合禿(かむろ)が新造を経て一人前のお披露目をした後初めて客と同衾することであった
この水揚げを通して、遊女は一人前となり事実上お客をとるようになる。芸妓の場合はそれまでの年少芸妓、見習い芸妓の立場から、一人前の芸妓になる通過儀礼的な側面が強かった。それに続いて特定の旦那を持つ、という段階を踏むことが多かった。
水揚げに選ばれる客は、その道に熟達した通人(つうじん)の中から特に財力の豊かな者が、抱主の依頼に応じたり、その承認のもとに自薦したりしてこの任に当たるのが常であった。
現在、芸妓は、初めて旦那を持つ場合が(といっても、現代ではほとんどそのようなことはない)事実上の「水揚げ」とされる場合がある。
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これまでのシリーズはこちら。
シーズン1 ミキの芝生 『DVモラハラ夫の不倫』
シーズン2 武田さんの芝生
シーズン3 紀子さんの芝生 『夫の不倫相手は、まさかのあの人。』
シーズン4 琴美ちゃんの芝生 「お笑い芸人の男。」
シーズン5 読者さんの芝生 「意見を聞かせてください。」
シーズン6 みどりさん親子の芝生 「父親の不倫を見つけました。」