登場人物 春菜ちゃん・・34歳
婚活アプリを始めるものの、なんだか個性的な方ばかり。
4人続けてうまくいかないので、退会しようとした時
昔の知り合いから連絡が。
やっと大好きな人に出会えたと思っていた矢先
大好きな人のお母さんが余命宣告を受けました。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ADさんのお母さん
「春菜ちゃん、
私の夢を叶えてくれてありがとう。
私に可愛い娘が出来た。」
そう笑いながら泣いたお母さんは
それから在宅治療で
緩和ケアを受けることになった。
大好きなお父さんと
1日でも多く、
自宅で過ごしたいという
お母さんの希望だった。
結婚式後春菜ちゃんは毎週、
ADさんと
お母さんに会いに行っていた。
余命宣告されているなんて
やっぱり嘘だ、
と思ったり
それでもみるみる痩せていく姿に
不安で押しつぶされそうになったり。
ADさんのお母さん
「春菜ちゃんは普段
どこで買い物してるの？
その洋服可愛いわね^_^」
お母さんの会話は
未来を一つも諦めてなかった。
これから先のことを
たくさん話した。
けれど時々話す過去の話題の中で
春菜ちゃんが好きだったのは
お母さんが話す
お父さんとのエピソードだった。
ADさんのお母さん
「お父さんってね
普段あまり口数が多い方じゃないけど
なんでもない日に花をくれたり
あの洋服が可愛いって
街中で口にした言葉を
ふと覚えてくれて
突然プレゼントしてくれるところなのよ。」
春菜ちゃん
「それ！！
ADさんもです＾＾」
ADさんのお母さん
「そうね、あの子も小学生の頃から
口数は少ないなりに
帰り道に咲いている
小さなお花を摘んで
（お母さんに！！）って
言ってくれる子だったの。
その時靴が泥だらけで
どこ歩いてきたのー！
って言いたいところだったけど
あまりにも無邪気な顔して
ニコニコ渡してくれるもんだから
こっちもつい笑ってしまってね。
色々とお父さんに似たのね。」
春菜ちゃん
「お父さんに似たなら
これから先も私
ずっと幸せですね＾＾」
ADさんのお母さん
「そうね＾＾
でも、頼りないところも多いから
心配なところもあるんだけど
春菜ちゃんがしっかりしてるから
安心してるの。」
そう言って
クスクス笑っていた。
◆
それから１ヶ月後
お母さんは、
家族全員に見守られて
静かに息を引き取った。
お父さんが泣いて泣いて、
しばらくは
立ち上がれないほどに
落ち込んでいたけれど
お通夜の時に
お母さんの机の引き出しから
家族宛の手紙を見つけた。
そこには直筆でそれぞれに
びっしりと
感謝の言葉が埋め尽くされていた。
春菜ちゃんへ
（最後にあなたと家族になれて
娘が出来て幸せでした。
息子を選んでくれて
ありがとう。
どうか息子をよろしくね。）
ADさんとお兄さんには
（沢山の幸福をありがとう。
生まれてきてくれてありがとう。
あなた達は私の誇り。
最愛の宝物。
あなた達を信じてる。
だからこれからも好きなように、
思うように生きなさい。）
そしてお父さんには
（私の人生は、
お父さんに出会えたことで
彩り豊かな生涯でした。
楽しかった。
ずっと、愛しています。
お父さん、またね。）
最後にみんなに
（どうか泣かないで。
前を向いてね。
特にお父さん＾＾
だって私は
幸せだったんだから。）
お母さんらしい
最高にハッピーな言葉達が
これからの家族を支えてくれる。
春菜ちゃん達は決めた。
残されるものとして
悲しみを背負うのではなく
生きていくものとして
笑顔で歩いて行こうと。
だってそれが
お母さんの願いなのだから。
----------------------------------------
いつも読んで下さってありがとうございます。
これまでのシリーズはこちら。
シーズン1 ミキの芝生 『DVモラハラ夫の不倫』
シーズン２ 武田さんの芝生
シーズン３ 紀子さんの芝生 『夫の不倫相手は、まさかのあの人。』
シーズン４ 琴美ちゃんの芝生 「お笑い芸人の男。」
シーズン５ 読者さんの芝生 「意見を聞かせてください。」
シーズン６ みどりさん親子の芝生 「父親の不倫を見つけました。」