登場人物 春菜ちゃん・・34歳
婚活アプリを始めるものの、なんだか個性的な方ばかり。
4人続けてうまくいかないので、退会しようとした時
昔の知り合いから連絡が。
やっと大好きな人に出会えたと思っていた矢先・・・
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ADさんのお母さんの件で
バタバタしたまま
あっという間に２週間が過ぎた。
都内への転院だったため
春菜ちゃんも
お見舞いに行きたいと思っていたが
日々検査などがあったりして
お母さんの体力面を考えると
自分からは言い出せなかった。
ADさんは毎日連絡をくれて
状況を教えてくれていたが
回復に向かうための
明るいニュースがなかなか無いのだ。
不安なまま
ADさんからある日
病院のことが少し落ち着いたから
面会時間が終わる20時過ぎに
会いたいと連絡があった。
久しぶりに会えることが
嬉しくてたまらない反面
とても複雑な気持ちだったが
きっとこの２週間は
ちゃんと食事をとっていないはずだからと
春菜ちゃんは前日から
夕飯の仕込みをした。
◆
ADさん
「うわー、美味しそう。
まさかこんなことして
待っててくれてるなんて…」
春菜ちゃん
「思ってた通り
やっぱりこの２週間で
ちょっと痩せちゃったね。
ちゃんと食べてるか
心配だったんだよ。」
春菜ちゃんは決して
料理が得意なわけじゃない。
けれどなんとか少しでも力になるような
美味しいものを食べ欲しいと思い
クックパッドを見て
ADさんが好きそうな食材で
前日から一生懸命作った。
ADさん
「ごめんね。付き合って間もないのに
心配ばっかり…」
春菜ちゃん
「やめてよ、病気は
誰のせいでもないよ。
それより・・・
早くお母さんに…
元気になってもらいたいよ・・」
ADさん
「…春菜ちゃん…
すまない……
多分もう、母さんもわかってるんだ。」
春菜ちゃん
「・・何が？」
ADさん
「…それは
…この２週間、家族みんなで
沢山の医師からの見解を聞いた。
本も読んだ。
ネットも調べまくった。
…だけど母さんの病気は
…本当にもう
この先長くない・・・」
ADさんが静かに目を閉じて
涙が溢れていた。
春菜ちゃん
「待ってよ・・
そんな・・・
そんなこと、言わないでよ…」
大丈夫だから。
絶対に治るから。
そう言ってあげたかった。
だけど春菜ちゃんも
わかっていた。
でもいやだ、
こんなこと嫌だ。
ADさん
「・・春菜ちゃん。」
ADさんが涙を拭いて
真剣な表情で
春菜ちゃんを見た。
春菜ちゃん
「え・・・」
すると突然ADさんが春菜ちゃんに
小さな箱を差し出した。
まさか・・・
ADさん
「春菜ちゃん、
結婚してください。」
春菜ちゃん
「……」
箱の中から指輪が見えて
本当に突然過ぎて、
声が出ないほど驚いた。
そして、涙が溢れてきた。
ADさん
「これから春菜ちゃんには
この先も何度も
プロポーズしたいと思っています。
だからまずは１回目の
プロポーズをします。
僕と、結婚してください。
こんな時にって
思われるかもしれないって
すごく悩んだんだ。
指輪も本当は
時間がなかったから
まだちゃんとしたやつじゃなくて・・
だけど、今だから…
今、どうか母に・・
春菜ちゃんの花嫁衣装を・・
うぅ・・・
見せてあげて欲しいです・・・
僕は本当に幸せで
生涯愛する人に出会えたから…
だから
だから安心してくださいって・・
母さんに、言いたいです・・」
ADさんのプロポーズは
春菜ちゃんにとって
家族への愛と
春菜ちゃんへの愛が
沢山詰まっていた。
ADさんの願いはもう
春菜ちゃんの願いでもあった。
（この先も病名は、癌という表現以外
伏せたいと思います。）
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いつも読んで下さってありがとうございます。
これまでのシリーズはこちら。
シーズン1 ミキの芝生 『DVモラハラ夫の不倫』
シーズン２ 武田さんの芝生
シーズン３ 紀子さんの芝生 『夫の不倫相手は、まさかのあの人。』
シーズン４ 琴美ちゃんの芝生 「お笑い芸人の男。」
シーズン５ 読者さんの芝生 「意見を聞かせてください。」
シーズン６ みどりさん親子の芝生 「父親の不倫を見つけました。」
