登場人物 春菜ちゃん・・34歳
婚活アプリを始めるものの、なんだか個性的な方ばかり。
4人続けてうまくいかないので、退会しようとした時
昔の知り合いから連絡が…
この後、春菜ちゃんの婚活は、成功したのでしょうか。
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ADさん
「さっき父親から聞いたんだけど…
……母さんが
・・・・
母さんが・・・癌だって。
余命は・・３ヶ月。
長くて半年って言われた。」
嘘だ、と言いたかった。
けれどADさんの顔つきを見て
これは現実なんだと
思わずにはいられなかった。
つい数週間前にご挨拶に伺って
笑顔で出迎えてくれた
ADさんのお母さん。
大好きな人の母親が
余命３ヶ月と聞かされて
春菜ちゃんは呆然としていた。
春菜ちゃん
「お父さんから聞いたって…
お父さんは、
お父さんは、大丈夫なの？」
ADさん
「実は、
全然大丈夫じゃない・・・
父さんは子供の俺たちより
母さんのために
生きてきたような人だから・・」
春菜ちゃん
「そう・・・だよね・・
それで、お母さんは？」
ADさん
「それが・・
なんかもうほんと
自分のことより
家族のことばっかり言ってるって。
男たちばっかり残して
家事とか細かいこととか心配すぎて
このままみんなを
残しておけないって。
涙ひとつ見せてないって。
もうそれが、
母さんらしいっていうか・・」
すごい人だ。
もし自分が余命を宣告されて
家族のことばかり
心配できるのだろうか。
それが、母という
存在なのだろうか。
一体・・私は何をしたら・・・
そもそも
何かしてあげられることなんて
あるんだろうか・・
春菜ちゃんは
ADさんにどう声をかけたらいいか
わからなかった。
ADさん
「とにかく明日休めそうだったから
兄貴と病院に行ってくる。
本当は他の病院にも連れて行って
他に治療方法はないか
聞いたり調べたりしたいから・・
だから今日はこれで
一旦帰って、明日始発で出るよ。」
春菜ちゃん
「うん・・
あの・・
私に出来ること、あるかな・・
他に病院調べたり
知り合いの人に聞くとか
お節介じゃなければ
私もなんだって手伝うから。」
ADさん
「ありがとう。
今はどんな情報も嬉しいから
もしこの病気に詳しい人がいるなら
教えて欲しい。
母さんに会ってもらったばっかりなのに
それでこんな話・・
本当に申し訳ないと思うんだけど
春菜ちゃんには自分で直接
顔を見て話したかった・・」
春菜ちゃん
「もちろんだよ。ありがとう。
教えてくれて。」
そう伝えると
ADさんはゆっくり立ち上がり
春菜ちゃんを思い切り抱きしめた。
ADさん
「じゃあ、行ってくるからね。」
春菜ちゃん
「うん。」
ADさんは春菜ちゃんの背中を
優しくさすってくれた。
そうしてADさんは
30分もしないうちに
春菜ちゃんの家を出た。
扉が閉まって、
ADさんの気配が消えた時
春菜ちゃん
「う・・うぅぅぅ・・」
抑えていた涙が
一気に溢れてきた。
さっき泣きたかったのは
ADさんの方だ。
お母さんだ。
だからADさんの前で
泣くわけにはいかなかった。
どうか、どうかこの診断が
嘘であって欲しいと願いながら
春菜ちゃんは1人
玄関の前で泣いた。
（この先も病名は、癌という表現以外
伏せたいと思います。）
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いつも読んで下さってありがとうございます。
これまでのシリーズはこちら。
シーズン1 ミキの芝生 『DVモラハラ夫の不倫』
シーズン２ 武田さんの芝生
シーズン３ 紀子さんの芝生 『夫の不倫相手は、まさかのあの人。』
シーズン４ 琴美ちゃんの芝生 「お笑い芸人の男。」
シーズン５ 読者さんの芝生 「意見を聞かせてください。」
シーズン６ みどりさん親子の芝生 「父親の不倫を見つけました。」