登場人物 春菜ちゃん・・34歳
婚活アプリを始めるものの、なんだか個性的な方ばかり。
4人続けてうまくいかないので、退会しようとした時
昔の知り合いから連絡が…
この後、春菜ちゃんの婚活は、成功したのでしょうか。
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春菜ちゃんが
ADさんのご家族にお会いした日
とても穏やかな時間が流れた。
付き合ってまだ間もない
こんなに早い段階で
ご両親にお会い出来ることになるとは
春菜ちゃんは全く
予想もしていなかった。
ADさんのお母さん
「春菜さんとお付き合いされてから
息子が頻繁に
連絡をくれるようになったのよ。
話すことは春菜さんのことだけど
それでも嬉しいの。」
ADさんのお父さん
「ほんとに、
自分から彼女のことを話すなんて
息子はよっぽど春菜さんのことが
好きなんですね^^」
お父さんはADさんと同じように
穏やかで口数は多くない。
反対にお母さんとお兄さんは
明るく話し上手な人だった。
それはそうと、
このご両親と一緒に過ごしている間
お父さんのお母さんを見る目が
ずーっと暖かくて
ADさんがいつも
(うちの父親は、母親のことが
大好きなんだよね)
と話してくれることは
本当なのだとわかった。
ご両親にお会いした後
ADさんは以前よりいっそう、
自分の子供の頃のことや
家族のことを話してくれるようになって
彼は自分にとっていつか本当に
結婚する相手なのかもしれない。
春菜ちゃんはそう思っていた。
◆
ある日の夜。
春菜ちゃんが仕事終わりに
電車に乗ろうと
会社から駅まで歩いていると
携帯が鳴った。
(あれ、ADさん。
いつもならLINEなのに
電話って一体・・・)
春菜ちゃん
「はい、どうしたの??
急に電話なんて。」
ADさん
「春菜ちゃん…
仕事終わった?…」
それは
今まで聞いたことがないような
今にも泣きそうな声だった。
春菜ちゃん
「…うん、ちょうど今
駅まで歩いてたところ…」
ADさん
「それなら今から
うちに行ってもいいかな
どうしても
話したいことがあって…」
春菜ちゃん
「うん、勿論だよ。
うちでいいの?
…うちの方がいい?」
ADさん
「…家の方がいい・・かな。
ごめんね、
仕事終わったばっかりで…
あ、お腹空いてるよね。
なんか買ってから向かうよ。」
春菜ちゃん
「大丈夫!
ある程度材料はあるし
作るから、一緒に食べよう。」
ADさん
「・・ありがとう、わかった…」
電話を切って家に帰るまでの間
春菜ちゃんが想像したのは
ADさんが仕事で大失敗したとか
首になったとか、そういった
仕事関係の報告だと思っていた。
もしそうならちょっと大袈裟に笑って
一緒に頑張ろう
なんとかなるよって
励ましてあげようと思っていた。
だからコンビニで
デザートなんて買ってしまった。
家に着くと一足先に
マンションの入り口で
ADさんが待っていた。
春菜ちゃん
「ごめんね!待たせたかな。」
ADさん
「大丈夫…
こっちこそ急でごめん・・・」
そう言うとADさんは
春菜ちゃんの手を握った。
いつもより力が入っていて
春菜ちゃんは不安になった。
部屋に入り、
本当は先に夕飯の支度
と思っていたが
いてもたってもいられなかった。
春菜ちゃん
「ねぇ、どうしたの?
何かあったの?」
玄関からリビングまでの
短い距離の間に
ついつい聞いてしまった。
ADさん
「・・・・」
春菜ちゃん
「…どうしたの?」
するとADさんは
ソファーにゆっくり座り
絞り出すような声で言った。
ADさん
「さっき父親から聞いたんだけど…」
春菜ちゃん
「うん・・」
ADさん
「……母さんが
・・・・
母さんが・・・癌だって。」
春菜ちゃん
「……え?」
ADさん
「…」
春菜ちゃん
「それって、、でもってことは
これから入院して
抗がん剤の治療とか
そういうのが、始まるってこと・・・」
ADさん
「いや・・・
余命は・・3ヶ月。
長くて半年って言われた。」
目の前が、
真っ暗になった。
(この先も病名は、癌という表現以外
伏せたいと思います。)
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いつも読んで下さってありがとうございます。
これまでのシリーズはこちら。
シーズン1 ミキの芝生 『DVモラハラ夫の不倫』
シーズン2 武田さんの芝生
シーズン3 紀子さんの芝生 『夫の不倫相手は、まさかのあの人。』
シーズン4 琴美ちゃんの芝生 「お笑い芸人の男。」
シーズン5 読者さんの芝生 「意見を聞かせてください。」
シーズン6 みどりさん親子の芝生 「父親の不倫を見つけました。」