奥さんは、これまでずっと

胸の内に留めていた想いを

青木に話し始めた。

 

 

 

奥さん

「私が自立したいのは何も

 お金や時間の話じゃない。

 

 あなたからの

 心の自立なんだよ。」

 

 

浮気三昧だった青木は

奥さんから離婚を突きつけられ

本当に焦っていた。

 

 

 

青木

「俺と離婚して…

 

 その後のことはもう、

 考えてるのか?」

 

 

 

奥さん

「それはもう、ずっと考えてた。

 

 一番心配なのはお金のこと。

 

 今まではあなたが働いてくれて

 何不自由なくさせてくれたけど

 これから働きながら

 自分だけで、1人で育てられるかなって。」

 

 

 

いや、もし離婚したら

青木が金銭的なバックアップするのは

当たり前だからね。

 

奥さん、そこは請求して

いいんだからね。

 

 

 

 

青木

「そんなに前から考えてたのか?」

 

 

 

奥さん

「そうだね。

 

 毎日じゃないけど、時々ふと

 夜に子供たちが寝静まった後

 1人で布団に入りながら考えてた。

 

 お金があって、心が虚しいのって

 すごく寂しい生き方だなって。

 

 あなたは朝帰りになっても

 決して泊まってくることはなかったけど

 

 夜遅くや明け方にお酒の匂いをさせて

 帰ってきたあなたの気配を

 無感情で受け止められるほど

 私は強くはなかった。

 

 あなたは私が責めたり

 何も言わないから

 何も感じてないと思った?」

 

 

 

青木

「…何も感じてないとは

 思ってないけど…

 

 許されてるんだとは…

 思っていたかもしれない。

 

 …甘えていたのかもしれない…」

 

 

 

 

奥さん

「許す…許せていたことなんか

 あったのかな…私はあなたを

 

 受け止めるしかない

 慣れるしかない

 

 そう思い込ませて

 やってきた感じだったけどな。」

 

 

 

 

青木

「…そう…だよな。

 普通、許されない・・よな…」

 

 

 

 

奥さん

「それで・・自分の将来を考えた。

 

 子供たちがいつか手を離れた時

 あなたと2人の老後を

 どう向き合っていくんだろうって

 

 将来子供たちが旅立つのは

 寂しいかもしれないけど

 未来に向かっているわけだから

 前向きな気持ちになれる。

 

 同じ【人を想う】気持ちでも

 

 あなたを想って

 悩み苦しんだ気持ちとは違う。」

 

 

 

 

青木

「…そんなに…

 

 想ってくれてたんだな…」

 

 

 

 

奥さん

「ほんと、なんで私って……

 こんな……

 

 あなたは私の友達からも

 反対されるような

 そんな人なのに…それなのに私は

 

 

 あなた以上に

 好きになれた人は

 いなかった。

 

  

 

 だけど、

 

 

あなた以上に私を

傷つける人もいなかった。

 

 

 

 

青木はこの言葉を

一生忘れないと思った。

 

一番好きでいてくれた人

一番大切にしないといけなかった人を

 

一番傷付けたのは自分。

 

 

 

奥さんは

寂しさも、痛みも、

青木が好きだから耐えた。

 

 

だけどこんな悲しみ

青木と一緒にいなければ

感じることもないと、

ようやくわかった。

 

 

 

 

青木

「もし・・

 もしチャンスをもらえるなら

 数ヶ月、いや1ヶ月でいい。

 

 絶対に変わるから、

 見ていてくれないか?!」

 

 

 

奥さん

「…そんなこと言われて

 信じられると思う?

 

 例えあなたが1ヶ月や数ヶ月の間

 変わることが出来たとして

 数年後にあなたがまた

 今までと同じ生活になった時

 

 私は今よりもっと歳を重ねていて

 再就職も大変になるんだよ。」

 

 

 

青木

「絶対そんなことにはならない!」

 

 

 

 

奥さん

「ごめん、もう信じられないの。」

 

 

 

 

 

青木

「お願いだ、お願いします!」

 

 

 

 

私はこの場面を見ていないけれど

きっと青木はここで

頭を下げるか、土下座でもしただろう。

 

 

けれどそんなことで

奥さんが10年以上抱えてきた猜疑心が

簡単に晴れることなどない。

 

 

 

だから、奥さんは言った。

 

 

 

 

 

奥さん

「ごめん、もう

 

 あなたへの気持ちから

 解放されたいの。」

 

 

 

 

青木

「……それは……

 

 もう他に、

 好きな人でもいるのか?」

 

 

 

 

青木の質問を聞いて

奥さんは表情1つ変えず言った。

 

 

 

 

 

奥さん

「その件なら、 

 正直に言います。」

 

 

 

 

※続きは夜にまた更新します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

100万年遅いですが、3日前から
Twitter始めました。

 

改めてブログに書くには気合がいることも

Twitterならさらっと呟けますね。

基本はリンクを貼り付けている日々ですが

過去のシーズンに出てきた方の今を呟いたりもしています。

 

 

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これまでのシリーズはこちら。

シーズン1 ミキの芝生 『DVモラハラ夫の不倫』

シーズン2 武田さんの芝生 

『妊娠発覚。彼氏と思っていた人は既婚者だった。』

シーズン3 紀子さんの芝生 『夫の不倫相手は、まさかのあの人。』

シーズン4 琴美ちゃんの芝生 「お笑い芸人の男。」

シーズン5 読者さんの芝生 「意見を聞かせてください。」

シーズン6 みどりさん親子の芝生 「父親の不倫を見つけました。」