奥さんはこれまでの想いを
青木に打ち明けた。
付き合い当初から
奥さんからの深い愛情を
受け取っていたはずの青木。
けれどきっと青木は
そんな奥さんからの愛を
与えてもらうのが当然だと思い
生きてきたのだろう。
青木
「なんで突然今、
離婚したいって言うんだ。
今離婚したい理由とかきっかけが
なんかあるのか？」
この質問の仕方すら私には
イライラしてしまうが。
奥さん
「離婚したいというより
…まず最初は
このままじゃダメだって
思ったんだよね。
その気持ちは何も
今に始まったわけじゃないよ。」
でしょうね。
この奥さんの気持ちに
気づかなかった青木が
どうかしていると思ってしまう。
奥さん
「ちょっと前置きが長くなるけど・・
世の中の何割かは、
浮気しても当然っていうか
それでも許されてきた
みたいな人いるでしょ。
例えば昭和の大御所俳優さんとか
昔なら芸人さんとか役者さんも、
芸の肥やしとか言われて。
そういう人はモテるし
甲斐性もあるし
みている分にはよかった。
それでその人の生き方を
周りや奥さんが許しているなら
それを周りがとやかくいう必要なんて
一つもないって思った。
だから私も、
いくら周りに止められたとしても
それ以上にあなたには
いいところがあるんだと思っていたから
それでも良かった。
周りがなんと言っても
自分だけはあなたの良い部分を
知ってるんだと・・・」
なるほどね。
確かに世間には
そんな人もいるね。
私はそんな人達を見て
奥さんがよっぽどご主人を
愛して受け入れているか
お金や何かしらの事情で
割り切っているのだと思った。
奥さん
「…でもいざ自分がってなると
…やっぱり
うまくは割り切れなくて。
周りの意見に耳を貸さなかった私は
多分少し意地になってたと思う。
それ見たことかって
言われるのが怖かった。
だから誰にも話せない中で
ある日急に不安になったり
虚しくなったりした。」
青木
「…ごめん・・・
ずっとそんな
気持ちにさせてたなんて…」
奥さん
「あなたをもっと責めたり頼ったり
そんなことしないでよって
いえば良かったのかな・・
我慢していたら
いつか変わってくれるって…
そんなこと思ってないで
本音でぶつかれば良かったのかな・・
どうでもいい話は
散々してきたのにね。
夫婦なのに、
いつでも話せると思ったけど
大事なことは話せてなかったと思う。」
青木
「…俺が・・」
奥さん
「私の器がもっと大きければ
いつか年老いた時に
若い頃は
そんなこともあったねって
だけど最後は二人だねって
言い合える未来もあったかもしれない。
だけどそれっていつ？
子供達だって
もう何もわからない年頃じゃない。
今ではあの子達も習い事をはじめて
友達や
外の世界に触れる機会が増えて
いつか親離れをする日がくる。
その時の自分のことを想像したの。
今のままだと私の気持ちは
あなたへのいろんな感情に支配されていて
結局依存しているままでしょ。
もっと精神的に
自立した自分でいたいと思う。」
青木
「そんな・・・これからはもっと
ちゃんと話を聞くから。
俺に頼って欲しい。
俺にさせて欲しい。」
奥さん
「私が自立したいのは何も
お金や時間の話じゃない。
あなたからの
心の自立なんだよ。」
そして奥さんはこの後
さらに自分の心の底にあった気持ちを
青木に打ち明け始めた。
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これまでのシリーズはこちら。
シーズン1 ミキの芝生 『DVモラハラ夫の不倫』
シーズン２ 武田さんの芝生
シーズン３ 紀子さんの芝生 『夫の不倫相手は、まさかのあの人。』
シーズン４ 琴美ちゃんの芝生 「お笑い芸人の男。」
シーズン５ 読者さんの芝生 「意見を聞かせてください。」
シーズン６ みどりさん親子の芝生 「父親の不倫を見つけました。」
