青木は奥さんに言った。
青木
「今度の土曜日
母さんに子供たちを
見てくれるように頼んだから・・
だから少し2人で
真剣に今後のことを話さないか…
子供たちには聞かれないように
話したいんだ。」
奥さん
「そうね、私もそう思ってた。
二人きりで話した方が
良さそうね。」
それから数日、青木と奥さんは
同じ寝室で寝なかった。
◆
その週の土曜日の午前中
夫婦で子供たちを
お母さんに預けに行った。
青木
「2人とも、夕方には
迎えに行くからね。」
9歳娘
「はーい。
パパとママはどこに行くの？」
移動中の車内。
娘が笑顔で聞いてきた。
娘たちはおばあちゃんが
大好きだった。
奥さん
「ちょっと2人で
お勉強会に行ってくるの。
2人はおばあちゃんが
お買いものに
連れて行ってくれるって。」
7歳娘
「えー、パパとママタイヘーン。
一緒に
お買い物したかったでしょー。」
青木
「したかったなー。
今度は4人で行こうな！」
この青木の言葉が
奥さんにはどう聞こえていたのだろう。
今後一生
4人で行けないかもしれない状況を
作り出した原因は青木なのに。
それから子供たちをお母さんに預け
青木と奥さんは
近くにある喫茶店に入った。
この数日奥さんから
不穏な空気が出ていたわけではなかったが
子供たちの前ではいつも通り
子供たちがいなくなると
一言も話すことはなかった。
奥さんは、
声を荒らげるタイプでもないし
喧嘩になったとしても
青木を罵ったり、強い口調で
言い返すようなタイプではないらしい。
奥さん
「なんか、あなた痩せた？」
青木
「どうなんだろう、
わからないけど…」
奥さん
「そう。
それで…こうして子供を預けて
2人で話す機会はほとんどないから
今日話せることは、ちゃんと話したい。」
青木
「俺もそう思う。
ここ数日色んなことを考えてた。
だけど1人で考えても答えはなくて
奥さん（呼び名も奥さん、と表現します。）にはもう、
全て洗いざらい全部話すよ。」
奥さん
「わかった。」
青木
「…まずは浮気のことだけど・・
うん・・・してました。
いつどこで誰とっていうのは
もし聞きたいっていうことなら
質問にはこのあと全部答える・・
聞きたくないっていうなら
話さない・・
本当にすまない・・
今になってこんなことを言っても
もう信用出来ないって言われるの
わかってるんだけど・・
例え浮気をしても、
奥さんや子供たちのこと以上に
愛している人なんていなくて・・
本当に安易な気持ちで
遊びの感覚で・・していました。」
奥さん
「……」
青木
「こうして言葉にして伝えると
バカなこと言ってるなって
自分でも思う。
自分の娘たちがこんな男に会って
傷つけられたらって
今更ながら思う・・
いつも心のどこかで
奥さんは俺からは絶対に離れない
俺のことは捨てないって思ってた。
だからこの間離婚したいって言われて
それからもう、辛くて・・
身勝手なこと言っててすまない…」
それからまだまだ続いた青木劇場を、
しばらく奥さんは黙って聞いていた。
私なら、何を今更と
途中で突っ込みたくなるが
こうしてこれまでも奥さんは
こういう青木の言い分を全部
受け入れて、許してきたのだろう。
奥さん
「・・・なんか…
話を聞いてるとあなたは
今思い切って、白状しました
みたいな感じになってるけど…
あなたが不倫していたことなんて
もうだいぶ昔からわかってた。
そしてその相手に対しての気持ちが
全部遊びってことも。
結婚前にあなたが浮気した時に
覚悟はしてたの。
あぁ、この人は病気なんだな。
女遊びはやめないなって。
あなたは本気でこれまでの浮気を
隠し通せてるって思ってたの？
女はわかるものよ。
少なくともあなたは
浮気を上手に隠せる人ではないわよ。」
やはり奥さんは
色々わかっていた。
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これまでのシリーズはこちら。
シーズン1 ミキの芝生 『DVモラハラ夫の不倫』
シーズン２ 武田さんの芝生
シーズン３ 紀子さんの芝生 『夫の不倫相手は、まさかのあの人。』
シーズン４ 琴美ちゃんの芝生 「お笑い芸人の男。」
シーズン５ 読者さんの芝生 「意見を聞かせてください。」
シーズン６ みどりさん親子の芝生 「父親の不倫を見つけました。」
