登場人物 春菜ちゃん・・34歳
絶賛婚活中で、婚活アプリ初心者です。
スペックの高い方を求めてしまう病で、
自分でもこじらせている自覚ありだそうですが
共感してくださる方がいらっしゃったら幸いです。
春菜ちゃんの婚活は、成功したのでしょうか。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
自分の父親の肩書を話しながら
東大くんの表情が暗く曇った。
東大くん
「仕事はすごいと思いますけど
……家庭人としては、
…全然尊敬してないんです。」
春菜ちゃん
「家庭人としては…ってことは、
お父様はあまり家には
いらっしゃらなかったんですか?」
東大さん
「はい、バブルの時代を
そのまま引きずったような人で
遊んでばかりでしたね。
母は僕には優しかったですが
淋しく耐えていたような
そんな気がします。」
春菜ちゃん
「そうですか…」
東大さん
「だから反面教師で
自分は奥さんや家族を
絶対に大切にしたいなって
そう思ってるんですよ。」
春菜ちゃん
「そうなんですね…」
って。
多分これが春菜ちゃんにとって
最初のアプリでの出会い経験なら
さらにここから話を聞きすぎて
思い入れたっぷりで
気持ちが引きずられてしまうのだろうけど
さすがに春菜ちゃんは学んだ。
今ここで、
これ以上聞きすぎてはいけないと。
だって。
なんかさっきより
距離が近いんだもの。
もうなんならこのまま
腰に手とか回されそうな勢いで。
やっぱりこの席
この薄暗さ、なんかおかしい。
もし東大くんの話が本当でも
こんな状況で話されても
頭になんて入らないし
色々と引っかかることだらけ。
最初に引っ掛かりがある人は
この後もきっとあるはず。
春菜ちゃん
「ちなみに話は変わるのですが」
こんなに深刻に
身の上話をした東大さんの前で
あっさりと話を変えてみた。
東大さん
「あぁ、はい・・」
春菜ちゃん
「東大さんは初対面の女性でも普段から
こんなにパーソナルスペースが
近い方なんですか?」
東大さん
「えっ、いやそれは
春菜さんだから・・・」
春菜ちゃん
「だって今日私たちが会うのは
初めてですよね。
それなのにこの席を選ぶということは
もう最初から距離が近くなるのは
わかっていたと思うのですが・・」
東大さん
「嫌でしたか?」
春菜ちゃん
「いえ、あの・・まぁでもただ
驚いてはいます・・
私は向かい合うより
この席の方が恥ずかしいし
どうせなら最初はお顔を見ながら
話したかったなって思います・・
東大さん
「すみません。僕の方はもう
お会いする前から春菜さんのこと
好きになっていたので・・」
春菜ちゃん
「それは、
ありがとうございます。
でも私には・・・
流石にちょっと急すぎました・・」
東大さん
「…そう、ですよね。
僕、あんまり女心がわからなくて・・
自分の気持ちばかり焦って
・・・だからこれまであまり
うまくいかなかったんですよね。」
春菜ちゃん
「もっと自信を持ってください。
東大さんは、頭もいいですし
優しいんですから。」
なんて励ましてしまっているが
春菜ちゃんはここでもう
この先東大さんに
会うことはないだろうなと思った。
悪い人ではないのはわかったが
どうもこれから
お付き合いする人としては
やっていける気がしなかったのだ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
これまでのシリーズはこちら。
シーズン1 ミキの芝生 『DVモラハラ夫の不倫』
シーズン2 武田さんの芝生
シーズン3 紀子さんの芝生 『夫の不倫相手は、まさかのあの人。』
シーズン4 琴美ちゃんの芝生 「お笑い芸人の男。」
シーズン5 読者さんの芝生 「意見を聞かせてください。」
シーズン6 みどりさん親子の芝生 「父親の不倫を見つけました。」