登場人物
春菜ちゃん・・34歳
絶賛婚活中で、婚活アプリ初心者です。
スペックの高い方を求めてしまう病で、
自分でもこじらせている自覚ありだそうですが
共感してくださる方がいらっしゃったら幸いです。
春菜ちゃんの婚活は、成功したのでしょうか。
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婚活アプリで出会った男性が
ナンバーワンホストだった。
春菜ちゃんはしばし混乱しながら
新宿駅までの道のりを
ひとり歩いた。
…っていうか、ナンバーワン?
…ってことは、
売上もトップということだろうけど
そんな人が
なんでお店に呼ぶような真似を?
歌舞伎町の街を歩きながら
春菜ちゃんはもう今後も
しばらくこの街に来ることは
なさそうだと思った。
電車に乗ってから
春菜ちゃんはサーファーさんの
源氏名を検索してみた。
『歌舞伎町 インコ(←源氏名)』
すると、今回のことで初めて知ったが
世の中にはホスト専用の掲示板があり
そこではいわゆる2チャンネルのような
名指しで色々と暴露し合うような
そんな内容が
源氏名と店名さえ入れれば
簡単に検索されるようになっていた。
(今もその掲示板があるかどうかはわかりませんが。)
春菜ちゃんは怖いもの見たさで
サーファーさんの源氏名を入れてみる。
『歌舞伎町ではもうかなり歳なのに
続けるには無理があるんでは』
『結婚するする営業』
『私も、結婚しようって言われたなぁ。
付き合ってとは言わないのに。』
『2・3回会ったらすぐに
ホテルに誘われるよ。』
『1人だけ大口のお客さんがいて
その人のおかげで
ナンバーワンになれているけど
その人失ったらもうやばい』
『高学歴を売りにしているけど
話していたら、
その年齢なりの深みがない』
…いい情報が何もない。
そういえば食事をした時に
なぜか大学名も言われて
なんで普通の会話に
いちいち出身大学を言うんだろう。
とは思った。
そしてもう少し読み進めた時に
春菜ちゃんは愕然とした。
『インコは最近
婚活アプリに手を出してますよ。
結婚したくてしょうがない
小金持ちの30代とか40代の女性に
結婚をちらつかせて近寄って
お金引っ張ろうとしてる。』
『それってインコも、
真面目に結婚はしたいってことじゃない?
お店に来るような女は嫌だから
昼職に就いてる子から選びたいんでは。
私お店でインコと話したことあるけど
いつかちゃんと普通に結婚したいって
言ってたよ』
『枕営業しまくってる男が
普通の結婚って、意味がわからん。』
『普通の結婚したいなら
20代でホスト辞めてると思うけどな。』
あぁ、間違いなくこれは
サーファーさんのことなんだ。
掲示板には、サーファーさんについて
もう何百も何千もコメントがあって
それだけ人気があるのだろうけど
とてもじゃないけど全部は読みきれない。
春菜ちゃんはまるで
別世界のことを読んでいるようだった。
電車が最寄駅について
春菜ちゃんが家まで歩いていると
LINEが入った。
サーファーさんだった。
サーファーさん
「春菜ちゃん、今日は急にごめんね。
また会って話したいけど
次は、今日招待できなかった
BARの方で話そうよ。」
これを読んでわかった。
やっぱりサーファーさんは
お店に来させたいんだ。
春菜ちゃん
「ごめんなさい。
私は…そんなにしょっちゅう
仕事の後に新宿まで行けません。
それに、歌舞伎町は慣れなくて…」
サーファーさん
「そうだよね。1人であの通りを
駅まで歩くのは不安だったよね。
大丈夫、帰りにタクシー代は出すから!」
あかん。
結局歌舞伎町に来させようとしてる。
せめて
(じゃあ、春菜ちゃんの
職場の最寄り駅まで行くよ。
そこで食事しよう。)
とでも言われたら
純粋に婚活したい人なんだと思った。
だからって
もう会うつもりはなかったけれど
これで決定的に
あのアプリで客寄せをしている人
ということがわかって
どっと疲れが押し寄せてきた。
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これまでのシリーズはこちら。
シーズン1 ミキの芝生 『DVモラハラ夫の不倫』
シーズン2 武田さんの芝生
シーズン3 紀子さんの芝生 『夫の不倫相手は、まさかのあの人。』
シーズン4 琴美ちゃんの芝生 「お笑い芸人の男。」
シーズン5 読者さんの芝生 「意見を聞かせてください。」
シーズン6 みどりさん親子の芝生 「父親の不倫を見つけました。」