シーズン6
大地くん・・・シーズン6の主人公。高校2年生の男の子。
妹ちゃん(葵)・・・大地くんの妹。中学2年生。たまたま見た父親の携帯から、浮気を知る。
お母さん(みどりさん)・・大地くんのお母さん。40代半ば。
お父さん(タケシ)・・・大地くんと妹ちゃんの父。不倫相手のヒロミには、タケシくんと呼ばれている。
若林ヒロミ・・・・お父さんの不倫相手。大地くんの友達である裕介くんの母。
若林裕介・・・ヒロミの息子。
若林夫・・・ヒロミの夫。
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大地くんのレッスンの日。
その日私は、大地くんが少し
上の空なのがわかった。
練習もしていないし、笑顔も少ない。
この子の笑顔を奪ったのは
間違いなくタケシとヒロミ。
もう、許せなかった。
私
「ねぇ大地くん。
今日はもう、やめようか。」
大地くん
「え・・」
私
「こういう時は、無理して練習しても
多分身にならないからさ
ちょっと世間話でもしないかい?」
大地くん
「そうです・・ね・・・
あ、じゃあちょっとお母さんに
パンダさんのお茶を・・」
私
「いやいやいやいや、いいから。
大地くんが気を遣わなくて。」
この子はどうしてこうも
人のことばかり考えるてくれるんだろう。
だからこそ、傷つきやすいのに。
私
「それで・・最近どうなの?」
大地くん
「…お父さんとお母さんが
どうなってるか、
全然わからないんです・・」
私
「大地くんは、話して欲しい?
それとも、何もないならそのまま
いつものようになっていけばいい?」
大地くん
「何もないなら・・
っていう風には・・
思えなくて・・
特に葵が言うんです。
最近お母さんの様子が変だとか
お母さんが元気ないとか・・
だから葵はお父さんが
許せなくなってるっていうか・・
本当はお母さんに
いろいろ聞きたいですけどね、
聞いてお母さんが悲しんだらまた・・」
そっか、そうね。
隠し切れていると思っているのは
大人たちだけで
子供はちゃんと見てるんだよね。
あぁやっぱりこの子たちにだけは
不倫相手など絶対に
知られてはいけない。
でもこのままではヒロミが
何かしでかすかもしれない。
もう、ゆっくり調べている暇など
ないのかもしれない。
私
「大地くん、今から私
お母さんと話してきていいかな。」
大地くん
「もちろんです。
お願いします。」
わずか15歳の男の子が
私に頭を下げたので、
私は涙を見せないように
すぐにその場を後にした。
◆
みどりさん
「あぁ、パンダさん、
今お茶を持って行こうと・・」
リビングに行くと
ちょうどみどりさんが
お盆にお茶屋お菓子を乗せていた。
私
「いえ、もう今日のレッスンは
終わりにしました。」
みどりさん
「え・・」
私
「みどりさん・・」
言いながら、涙が溢れてきた。
私
「もう、ダメですよ。
みどりさんもそうだとは思うんですが
子供たちが、限界です。
あんな悲しい顔とか・・ダメですよ・・
今日、タケシさんと話すんですよね。
それならもう、
お子さんたちが知っていることも
全部伝えるべきかもしれません。」
なんで私が先に泣くんだ。
そう思ったが、止まらなくて。
そしたらみどりさんも
私にティッシュを差し出しながら
一緒に泣いて。
ごめんなさい、ごめんなさいと
何度も謝っていた。
謝る必要なんて
1%もないはずの人が。
あぁもう、
タケシもヒロミも
許さない。
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※昨日の地震、時間も長くて、怖かったですよね。
東北地方に住んでいらっしゃる方たち、大丈夫でしたでしょうか。
どうか皆様の日々が、安全でありますように。
これまでのシリーズはこちら。
シーズン1 ミキの芝生 『DVモラハラ夫の不倫』
シーズン2 武田さんの芝生
シーズン3 紀子さんの芝生 『夫の不倫相手は、まさかのあの人。』
シーズン4 琴美ちゃんの芝生 「お笑い芸人の男。」
シーズン5 読者さんの芝生 「意見を聞かせてください。」