シーズン6
大地くん・・・シーズン6の主人公。高校2年生の男の子。
妹ちゃん(葵)・・・大地くんの妹。中学2年生。たまたま見た父親の携帯から、浮気を知る。
お母さん(みどりさん)・・大地くんのお母さん。40代半ば。
お父さん(タケシ)・・・大地くんと妹ちゃんの父。不倫相手のヒロミには、タケシくんと呼ばれている。
若林ヒロミ・・・・お父さんの不倫相手。大地くんの友達である裕介くんの母。
若林裕介・・・ヒロミの息子。
若林夫・・・ヒロミの夫。
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ヒロミからの
わけのわからないLINEを受けて
タケシはやばいと思ったのか
単に仕事が忙しかったのか
それはわからないが
その後、
タケシからの返信は途絶えた。
するとヒロミからまた
ヒロミ
「あれ?まだ仕事中?
さっきのLINEに返信がないから
不安になるじゃーん。」
それでもタケシはまだ
無視なのかわざとなのか
既読スルーしたまま、
家に帰り
家族と旅行の話をした訳だ。
そんな理由もあって
夜にヒロミからは
山ほど着信があったのだ。
みどりさんは、
複雑な気持ちになった。
ヒロミは家族と離れてでも
タケシと一緒になりたい
きっとそう思っている。
だけどタケシの方はどうやら
ヒロミと一緒になる気などない。
それはヒロミに対して
いい気味だとさえ思う反面
ただただ相手をその気にさせ
家族を騙し続けるタケシにも
やはり腹が立っている。
ホッとしてるし、
ムカついているし
この気持ちの持って行き場が
全くわからなかった。
この後ベランダでタケシとヒロミは
何を話したんだろう・・
また、結局なだめすかして終わりという
無限のループを繰り返したんだろうか。
どちらにしても
このままでいいわけがない。
みどりさんはいつの間にか
携帯を握りしめたまま
疲れて眠りについていた。
◆
翌朝
まだ眠っているタケシを横目に
重たい体を引きずって
みどりさんはキッチンに立った。
こんな時でも自分は
お母さんでいなければいけない。
だけど
なんてしんどいんだろう。
世の中のサレ妻さんたちのことを
心底尊敬すると
みどりさんは思っていた。
葵ちゃん
「あぁ、お母さん。おはよう。」
そこに
パジャマ姿の葵ちゃんが
キッチンにやってきた。
みどりさん
「おはよう。
昨日は早く寝てたのね。」
葵ちゃん
「いや、寝たフリだよ。」
みどりさん
「ん?寝たふり?」
葵ちゃん
「お兄ちゃんから聞いたけど
旅行の話。」
みどりさん
「あぁ、うん。そうそう。
お父さん、張り切っちゃってね。」
葵ちゃん
「私は週末の旅行、
どこに決まっても
行かないからね。」
みどりさん
「え・・どうして・・」
葵ちゃん
「どうしてって
お母さんこそどうして?
逆にお母さんもお兄ちゃんも
どうしてお父さんと一緒に
旅行に行けるわけ?」
葵ちゃんは、怒っていた。
葵ちゃんには大地くんからも
あまり真相を
聞かされていないはずだが
そうか、
葵ちゃんは、
タケシの携帯を見たあの日からずっと
許してなどいなかった。
普段、
普通に過ごしていると思っていたが
葵ちゃんは、
我慢していたのだ。
もっとフォローしてあげるべきは
この子だった。
自分のことばかりに必死だった
近頃の行動を
みどりさんは悔いていた。
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これまでのシリーズはこちら。
シーズン1 ミキの芝生 『DVモラハラ夫の不倫』
シーズン2 武田さんの芝生
シーズン3 紀子さんの芝生 『夫の不倫相手は、まさかのあの人。』
シーズン4 琴美ちゃんの芝生 「お笑い芸人の男。」
シーズン5 読者さんの芝生 「意見を聞かせてください。」