シーズン6
大地くん・・・シーズン6の主人公。高校2年生の男の子。これからの出来事を、長男として必死に受け止めてゆく姿を書いてゆきたいと思います。
妹ちゃん(葵)・・・大地くんの妹。中学2年生。たまたま見た父親の携帯から、浮気を知る。
お母さん(みどりさん)・・大地くんのお母さん。40代半ば。息子に楽器を教えてくれる人を探しているというみどりさんとは、知り合いの伝手で繋がりました。
お父さん(タケシ)・・・大地くんと妹ちゃんの父。不倫相手のヒロミには、タケシくんと呼ばれている。
若林ヒロミ・・・・お父さんの不倫相手。大地くんの友達である裕介くんの母。
若林裕介・・・ヒロミの息子。
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みどりさんに呼ばれて
大地くんがリビングに来た。
そこでタケシが
にこやかに大地くんに話しかける。
タケシ
「次の土日さ、
お父さんの出張無くなったから
みんなでどこか行かないか?」
出張じゃなかったし
無くなったんじゃないし
なんて白々しい男なんだ。
大地くん
「どこかって、泊まりで?」
タケシ
「せっかくなら、そうだな。」
大地くん
「うーん、泊まりでかぁ。
どこだろう。」
みどりさん
「伊豆とか?」
タケシ
「な、なんで急に伊豆なんだ?」
みどりさん
「だって最近、
伊豆の良さを聞いたばかりだから
それもいいかなーって」
大地くん
「伊豆って、僕たちも
楽しめるんだっけ?」
タケシ
「お前が小さい頃にも
行ったことあるんだぞ。
水族館とか、あと・・えーと」
それからタケシと大地くんが
しばらく話し始めたので
みどりさんはふと
タケシの携帯に目をやった。
タケシの携帯にはカバーがついていて
画面が見えないようになっているが
明らかに携帯が震えていて
カバーからずっと光が漏れていて
ひたすら鳴り続けているのがわかる。
直感で、ヒロミだと思った。
みどりさん
「お母さん、
お手洗い行ってくるね。」
そうしてみどりさんはお手洗いから
私にSOSを出した。
今、タケシの携帯にヒロミから
山のように電話がかかってきている。
だから彼は多分これからまた
ベランダでヒロミと話すかもしれないと。
なんとかしてあげたいのは山々だったが
ただ今回は大地くんに
みどりさんの携帯を
ベランダにセッティングしてもらう隙がない。
みどりさん一人の仕込みでは不安が残るのと
私はまだ職場にいて
会話を聞き出すことが難しい。
どうしたものかな…
その時
みどりさんの自宅の電話が鳴った。
みどりさんは慌てて
叫びながらお手洗いの扉を開けていた。
みどりさん
「それ私が出るから!」
リビングのすぐ隣にある
お手洗いから出ると
大地くんが立ち上がっていた
みどりさん
「その電話、お母さんにだと思うから!!」
みどりさんは慌てて
その電話にでた。
ヒロミだと思った。
でも、相手は親戚からだった。
話しながら、
タケシと大地に目をやると
タケシはこちらのことなど
全く気にも止めてなかった。
なんだか涙が溢れそうだった。
どうしてこんなにも
辛い思いをしなければならないのか。
なんて
その日、
辛い思いをしていたのは
みどりさんだけではなかった。
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これまでのシリーズはこちら。
シーズン1 ミキの芝生 『DVモラハラ夫の不倫』
シーズン2 武田さんの芝生
シーズン3 紀子さんの芝生 『夫の不倫相手は、まさかのあの人。』
シーズン4 琴美ちゃんの芝生 「お笑い芸人の男。」
シーズン5 読者さんの芝生 「意見を聞かせてください。」