シーズン6
大地くん・・・シーズン6の主人公。高校2年生の男の子。私が半年だけ楽器を教えていました。これからの出来事を、長男として必死に受け止めてゆく姿を書いてゆきたいと思います。
妹ちゃん(葵)・・・大地くんの妹。中学2年生。たまたま見た父親の携帯から、浮気を知る。
みどりさん・・大地くんのお母さん。40代半ば。息子に楽器を教えてくれる人を探しているというみどりさんとは、知り合いの伝手で繋がりました。
お父さん・・・大地くんと妹ちゃんの父。ある日娘である妹ちゃんに、携帯にある女性とのやり取りを見られる。本人はまだ知らない。
ヒロミ・・・・お父さんの不倫相手。
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なんなの・・これ・・
このまま大地くんの家にゆき
タケシを叩き起こしたい。
悲しくて、悔しくて
不甲斐なくて、本当に辛かった。
とはいえこの状況で勝手に私から
好き勝手自由に話す事はできないが
それでも私は、
一か八かにかけることにした。
◆
その日は大地くんのレッスンの日。
私は事前にみどりさんに
連絡を入れていた。
レッスンの前の30分だけ
会ってお話をしたいと。
勿論口実はある。
それは大地くんの
習い事の進み具合について。
その時にみどりさんから何か
引き出せないかとも考える。
何も引き出せないかもしれない。
だけどもう子供たちだけでは
限界がある。
私だって今は無力だ。
だから今日、ここへ来た。
みどりさん
「今日はわざわざ
パンダさんの方からご連絡いただいて
嬉しかったです!」
みどりさんは嬉しそうに
おいしい紅茶を出してくれた。
それから私はまずは本当に
大地くんのことについて色々と報告した。
みどりさんは楽しそうに
そして時折真剣な顔つきで
私の言葉に耳を傾けていた。
私
「大地くんは真面目ですよね。
練習もしっかりやっているし
表現に人柄が出てると思います。」
すると、みどりさんが言う。
みどりさん
「そう言ってもらえて
本当に嬉しいです。
大地は・・そうなんです。
真面目なんです・・
優しいんです・・」
一瞬だけ表情が曇ったように見えたが
またすぐに笑顔に戻る。
私
「…?みどりさん、
なんかありましたか?」
私は、この言葉を言いたかったのだ。
急にお会いして
何かあったかなんて聞かれても
何も話すわけなどない。
けれど今この瞬間の空気は、
スムーズにこの言葉が聞けた。
みどりさん
「いえ・・いやあの
最近の大地、、、、
前と変わりありませんか?
パンダさんになんか
話してたりとか、、してません・・?」
私
「…それって、
、、なんか気がかりなことが
あるって事ですか?」
みどりさん
「・・わからないんですけど
最近急に、心ここにあらずというか・・
ちゃんと練習出来てるんなら
いいんですけど・・」
私
「心ここにあらず・・
それって、みどりさんの中に
何か心当たりはあるんですか?」
みどり
「大地がパンダさんに
何か話していませんか?」
なんだかお互い
質問返し大会みたいになっている。
だけど私よ、もうここしか
チャンスはないかもしれない。
頑張れ私。
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これまでのシリーズはこちら。
シーズン1 ミキの芝生 『DVモラハラ夫の不倫』
シーズン2 武田さんの芝生
シーズン3 紀子さんの芝生 『夫の不倫相手は、まさかのあの人。』
シーズン4 琴美ちゃんの芝生 「お笑い芸人の男。」
シーズン5 読者さんの芝生 「意見を聞かせてください。」
一体、次の一手はなんだろう。