シーズン６
大地くん・・・シーズン６の主人公。高校2年生の男の子。私が半年だけ楽器を教えていました。これからの出来事を、長男として必死に受け止めてゆく姿を書いてゆきたいと思います。
妹ちゃん・・・大地くんの妹。中学2年生。たまたま見た父親の携帯から、浮気を知る。
みどりさん・・大地くんのお母さん。40代半ば。息子に楽器を教えてくれる人を探しているというみどりさんとは、知り合いの伝手で繋がりました。
お父さん・・・大地くんと妹ちゃんの父。ヒロミからはタケシくんと呼ばれている。ある日娘である妹ちゃんに、携帯にある女性とのやり取りを見られる。本人はまだ知らない。
ヒロミ・・・・お父さんの不倫相手。
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大地くんは
質問をはぐらかそうとする父親に
彼なりに一生懸命攻め込んでいた。
本来ならただただ
学校や友人や勉強のことで
若き頭を悩ませるこの時代に
どうしてこんなことを
しなければならないのか。
大地くん
「僕もついて行っていい？」
出張についてゆきたいと
そう提案した息子に
不倫男は答えた。
お父さん
「せっかくだけど日中は仕事だし
夜は取引先の人と飲むから
来てくれても構ってやれないんだよ。
観光に行くわけじゃないからさ。
会社と仕事先の往復だしな。」
大切な息子の心に
嘘を積み重ねてゆく父親。
大地くん
「へぇ・・そうなんだ・・。」
お父さん
「お父さんも本当なら
家族旅行として行きたいけどなー
今度絶対みんなで行こうな。」
大地くん
「・・だから、どこに？」
お父さん
「あ、そうだ。これから一件
電話しないといけない用事が
あったんだった。」
こうして父親は、逃げるように
自分の部屋に戻ったそうだ。
はぁ、情けない。
父親として情けなすぎる。
それにしても・・
これからどうしよう。
２週間後に旅行に行くと知った以上
このままにしてはおけない。
これが大人なら、
あえて旅行に行ったところを
写真に撮ったりして
証拠を残す人もいるかもしれないが
今度はそうもいかない。
私はまた、LINEの返信に困っていた。
大地くんLINE
「…パンダさん。
尾行なんて、ダメですよね。」
私の次の返事を待たず、
大地くんから先に質問が届いた。
尾行なんて言葉・・・
知ってるのか。
まぁ、高校生だって
そのくらいは知ってるか・・・
私LINE
「ダメっていうか・・
それは絶対に難しいと思う。
まずは交通機関が
何なのわからないでしょ。
車で待ち合わせだったり
タクシーに乗った場合
きっとすぐに見失うよ。」
それに、お金だってかかるし
周りも見えなくなるし
危険すぎる提案だった。
大地くんLINE
「そうですよね・・」
だから、お母さんに話してみては…
また何度かその言葉が
喉まで上がってきていた。
それにしても、あぁどうしよう。
次に大地くんのお宅にお邪魔した時
みどりさんが私に
（なんかうちの旦那
不倫してるみたいなんですよね）
とかいって、相談してくれないかな。
そしたらみどりさんとならどれだけでも
次の１手を話し合えるのに。
さて、そんなこんなで
ちょっと存在は隅にやられていたが
妹ちゃんはまだ諦めていなかった。
その日も大地くんの部屋に来て
（お兄ちゃん、今日もまた
お父さんの携帯見れなかった。）
そう言いながらふてくされているのだ。
大地くんは
どうかお父さんの携帯が
妹ちゃんの前でだけは
ロックがかかっていますようにと
祈っていた。
けれど。
例えずっとロックがかかっていても
妹ちゃんにとっては
この間たまたま見てしまった
あのほんの少しのやりとりだけが
どうやったって頭の中から
消えてはくれない辛い日々。
翌日、みどりさんがお風呂に入り
リビングでお父さんと大地くんと
妹ちゃんの３人になった時
テレビを見ていたはずの妹ちゃんが
隣でくつろいでいるお父さんに
話しかけた。
妹ちゃん
「ねぇお父さん、
検索したいことがあるから、
携帯貸して。」
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これまでのシリーズはこちら。
シーズン1 ミキの芝生 『DVモラハラ夫の不倫』
シーズン２ 武田さんの芝生
シーズン３ 紀子さんの芝生 『夫の不倫相手は、まさかのあの人。』
シーズン４ 琴美ちゃんの芝生 「お笑い芸人の男。」
シーズン５ 読者さんの芝生 「意見を聞かせてください。」