シーズン1 ミキの芝生 『DVモラハラ夫の不倫』
シーズン２ 武田さんの芝生
シーズン３ 紀子さんの芝生 『夫の不倫相手は、まさかのあの人。』
シーズン４ 琴美ちゃんの芝生 「お笑い芸人の男。」
シーズン５ 読者さんの芝生 「意見を聞かせてください。」
シーズン６
大地くん・・・シーズン６の主人公。高校2年生の男の子。私が半年だけ楽器を教えていました。これからの出来事を、長男として必死に受け止めてゆく姿を書いてゆきたいと思います。
妹ちゃん・・・大地くんの妹。中学2年生。たまたま見た父親の携帯から、浮気を知る。
みどりさん・・大地くんのお母さん。40代半ば。息子に楽器を教えてくれる人を探しているというみどりさんとは、知り合いの伝手で繋がりました。
お父さん・・・大地くんと妹ちゃんの父。ヒロミからはタケシくんと呼ばれている。ある日娘である妹ちゃんに、携帯にある女性とのやり取りを見られる。本人はまだ知らない。
ヒロミ・・・・お父さんの不倫相手。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
昨日のやりとりのあと
私と大地くんは、
もう少しラリーを続けて
やはりまずは直球ではなく
探りを入れる方法を考えた。
◆
朝の慌ただしい時間。
大地くんは洗面所で歯を磨く
お父さんに話しかけた。
近くにお母さんはいない。
大地くん
「ねぇ、再来週の土日ってさ
お父さん何してる？」
お父さん
「再来週？あー、
なんだったかなぁ。
あ、そうだそうだ。
確か出張だったような・・」
裏を知りながら聞く答えは
なんて滑稽なんだろう。
大地くん
「そっか・・出張って
絶対に日程変えられないんだよね？」
お父さん
「そうだな、流石に仕事だからな。
どうした？
どっか行きたいって言うなら
その前に都合つけるぞ？」
大地くん
「うーん。
今週や来週は僕も予定入ってたから
再来週がよかったなって。
だけどお父さんの仕事ってさ
なんで土日に出張なの？
普段土日休みじゃん。
その分給料高いとか？」
必殺、無邪気なフリ。
大地くんはとにかく
お父さんを質問責めした。
お父さん
「サラリーマンっていうのは
いろんな事情があるんだよ。
先方が土日しかダメってことも
あるわけだしな。」
大地くん
「ふーん。そうなんだ。
それで、その日はどこに行くの？
教えてよ。」
お父さん
「なんだよ、お父さんの仕事先なんて
これまであんまり
興味持ったことなかっただろ。」
大地くん
「そうだけどさ、
急に気になっちゃって。
内緒にする必要もないでしょ？」
お父さん
「あちこちあるから、
どこだったかなぁ。
後でお母さんに話しとくよ。」
大地くん
「なんで覚えてないの（笑）」
きっと
咄嗟に思い浮かばなかったんだろう。
朝はこうしてはぐらかされたまま
父親はさっさと仕事に行ってしまった。
この後大地くんから
私にLINEが入ってきた。
大地くんLINE
「再来週に旅行に行くのは
もう確定ですね。
なんかもう悲しいっていうより
ムカついてきました。
この後お父さんに本気で
パンダさんのアドバイス通り
（ねぇヒロミって誰なの）
って送りたくなってきました。」
そうね、私もそう思う。
だけどさすがに大地くんは
そんなことはしなかった。
出来なかったのだろう。
◆
さらにその日の夜
大地くんはめげずに聞いた。
大地くん
「それで結局、出張先ってどこなの（笑）
もうわかった？会社の人も一緒？
土日なのに、お父さんだけで行くの？」
お父さん
「今日はどうしたんだよ、朝から（笑）
土日だから
お父さんだけで行くんだよ。
行ったら取引先の人はいるけどな。」
大地くん
「ふーん。・・・あ。
それじゃあなんか僕も
ついて行ってみていい？
お父さんの仕事中は
1人でホテルで過ごすからさ。
夜は空いてるわけでしょ。
どっかおいしいところ
連れて行ってよ。」
多少無理のある作戦ではあるが
高校生の大地くんが今できる精一杯。
これが本当にいじらしかった。
ーーーーーーーーーーーーーー