シーズン1 ミキの芝生 『DVモラハラ夫の不倫』

シーズン2 武田さんの芝生 

『妊娠発覚。彼氏と思っていた人は既婚者だった。』

シーズン3 紀子さんの芝生 『夫の不倫相手は、まさかのあの人。』

シーズン4 琴美ちゃんの芝生 「お笑い芸人の男。」

シーズン5 読者さんの芝生 「意見を聞かせてください。」

 

シーズン6

大地くん・・・シーズン6の主人公。高校2年生の男の子。私が半年だけ楽器を教えていました。これからの出来事を、長男として必死に受け止めてゆく姿を書いてゆきたいと思います。

妹ちゃん・・・大地くんの妹。中学2年生。たまたま見た父親の携帯から、浮気を知る。

みどりさん・・大地くんのお母さん。40代半ば。息子に楽器を教えてくれる人を探しているというみどりさんとは、知り合いの伝手で繋がりました。

お父さん・・・大地くんと妹ちゃんの父。ある日娘である妹ちゃんに、携帯にある女性とのやり取りを見られる。本人はまだ知らない。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

電話越しに、大地くんが泣いている。

 

 

妹のために、自分のために、

たった1人でお父さんの携帯を見て

その内容にショックを受けて

 

高校2年生の男の子が

泣いているのだ。

 

 

 

 

大地くん

「妹の・・見間違いかもしれないって

 そう思ってたのに・・

 

 うぅぅ・・それで、、

 

 お父さん、、紛らわしいLINEで

 勘違いさせるなよって

 それで終わりにしたかった・・・」

 

 

 

 

「うん・・そうだよね・・」

 

 

 

 

大地くん

「相手の女の名前も、、

 わかりました、、、

 

 ヒロミっていうらしいです・・」

 

 

 

 

私「うん・・」

 

 

 

どう言えばいいのか

なんて声をかけたらいいのか

全然わからない。

 

泣いている声はまだ幼くて、子供で

一夜でこんなことを背負うなんて

あまりにも辛すぎる。

 

 

大地くんの言葉に相槌を打ちながら

なんて言おうかと必死で考えるが

私から質問できるような

適切な言葉が全然思い浮かばないのだ。

 

 

私はしばらく

大地くんが泣き止むのを待った。

 

 

 

大地くん

「パンダさん・・・

 

 僕、、どうしよう・・」

 

 

 

そうだよね、

そうだよね・・

 

 

 

衝動的に、妹ちゃんやお母さんに

話してしまうこともできた。

 

でも大地くんは言わなかった。

 

誰も傷つけないために。

 

 

その気持ちが伝わってきて

それだけで胸が苦しくなる。

 

 

 

 

「だけどどうして

 お父さんの携帯が見れたの?

 この1週間毎日

 妹ちゃんがどう頑張っても

 見れなかったんでしょ?」

 

 

 

やっとの思いで絞り出した質問は

こんなことだった。

 

 

 

 

大地くん

「夜、ちょっと飲み物取りに

 キッチンに行ったら

 リビングのソファーでお父さんが

 1人でうたた寝してて・・・

 

 その時床に携帯が落ちてたんで

 見てみたら、

 ロックが外れてたんです・・・」

 

 

 

「あぁ、、そうなんだ・・・」

 

 

 

大地くん

「お父さん、一回あそこで寝たら

 なかなか起きないから

 そのまま部屋に持っていって

 急いで読みました。

 

 もしバレたら

 自分の携帯の調子がおかしいから

 ちょっと検索に使いたかったって

 嘘も考えて・・」

 

 

 

私「うんうん・・」

 

 

 

大地くん

「そしたら・・ちょうどお父さん

 その、、ヒロミって人と

 やりとりしてたみたいで・・」

 

 

私「…」

 

 

高校生の男の子が

父親の愛人であろう人の名前を

口にしている。

 

 

 

 

大地くん

「それで、、見たのが、、、

 

 2人で・・

 旅行の計画・・

 立ててましたよ。

 

 楽しみだねって。」

 

  

 

 

「りょ・・・・旅行・・?」

 

 

 

大地くん

「お父さん、時々出張があって

 

 その時は本当に忙しいから

 連絡もあんまり取れないよって

 いつも僕たちに言ってましたけど・・

 

 それも全部、

 嘘だったのかも、、、・・」 

 

 

 

 

「そんな、、、それで・・

 旅行にはいつ行くって?

 

 日程も書いてあった?」

 

 

 

大地くん

「2週間後です。」

 

 

 

2週間後に、、旅行・・・

 

 

 

 

 

「、、、そっか・・・

 そうなんだ、、、

 

 それで・・大地くんは

 どうしたい?」

 

 

 

 

大地くん

「わからないです・・ 

 わからないですけど・・

 

 このままじゃ・・

 お母さんが可愛そうだし・・」

 

 

 

 

 

「可哀想、、?」

 

 

 

大地くん「だって・・・」

 

 

 

大地くんがまた

言葉に詰まってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー