シーズン1 ミキの芝生 『DVモラハラ夫の不倫』

シーズン2 武田さんの芝生 

『妊娠発覚。彼氏と思っていた人は既婚者だった。』

シーズン3 紀子さんの芝生 『夫の不倫相手は、まさかのあの人。』

シーズン4 琴美ちゃんの芝生 「お笑い芸人の男。」

シーズン5 読者さんの芝生 「意見を聞かせてください。」

 

 

シーズン6

大地くん・・・シーズン6の主人公。高校2年生の男の子。私が半年だけ楽器を教えていました。

妹ちゃん・・・大地くんの妹。中学2年生。たまたま見た父親の携帯から、浮気を知る。

みどりさん・・大地くんのお母さん。40代半ば。息子に楽器を教えてくれる人を探しているというみどりさんとは、知り合いの伝手で繋がりました。

お父さん・・・大地くんと妹ちゃんの父。ある日娘である妹ちゃんに、携帯にある女性とのやり取りを見られる。本人はまだ知らない。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

その日、大地くんのお父さんは

本当に早く帰ってきた。

 

 

大地くんに聞いたが

お父さんは子供の行事などがあると

積極的に参加してくれたり、

こうして頼めば

勉強を教えてくれたりもする。




でも、だからこそ

妹ちゃんは許せないのだろう。


きっと妹ちゃんは

パパが大好きだったはずだ。

 

 


 

勉強を教わっている最中

お父さんは

携帯をポケットにいれたまま

出すことはなかった。



タイミングを見計らい

携帯に触れることが出来ても

ロックがかかっていて

中身までは見れない。



見れない以上何もできない。



妹ちゃんにとってはきっと

歯痒い1週間だったに違いない。








大地くんは

何にもできなかった1週間を

残念そうに語っていた。




大地くん

「どうしてあの日だけたまたま

 見れてしまったんでしょうね…


 見つけたりしなければ、

 僕たちは

 こんな気持ちにならなかったし、、





 …見つけなくても


 事実は一緒か…」





「いや、大地くん、、

 二人は悪くないんだから。


 二人で背負わない方がいいよ。」




大地くん

「そうですけど、、、

 一か八かで

 お父さんに聞いてみようかな。」




いや、それはきっと

しらばっくれると思う。



子供に

(ねぇお父さんって不倫してる?)

 

って聞かれてこの環境で、

認める父親はいないだろう。




「それは、一か八か過ぎるというか…」




大地くん

「でもこのままじゃいずれ、

 妹が爆発します…」




あぁ、見て欲しくない。



なんなら、私見ようか?




とか、わけのわからないことを

言いたい。



家族にとって私は赤の他人。

みどりさんのこともあまり知らない。




大地くん

「パンダさんなら…どうしますか?」



…たしかに、

自分が中学生だったとして

大好きな父親に


ねぇ。不倫とかしちゃってる?



なんて聞けない。

聞けるわけもない。




だけど多分私も

解明しないまま無視することなど

出来なかっただろうな…






「大地くん…私から言えるのは


 携帯なんか見たら、、

 きっと後悔したり

 辛い気持ちになると思うんだよ。


 お父さんのこと

 今までみたいな風には

 見られなくなるかもしれない。



 だから、傷ついて欲しくない。



 大地くんは

 何があっても悪くないからね。」




大地くん

「はい…、、でも、そうっすね…

 はい、、僕も妹には

 これ以上傷ついて欲しくないし…


 やっぱり辞めろって言おうかな。」




出来るならそうして欲しいけれど

何を言っても無責任な気がして

私はあまり強く言えなかった。



タイムリミットが来て、大地くんとは

今日はさよならする時間だ。



部屋を出るときに


なんかあったら、

LINEでも電話でもしてねと手を振った。


心からそう思った。






その夜。





LINE電話が鳴った。





あれ、大地くんだ。






まさか。







「…もしもし……


 あれ、もしもし?大地くん?」





電話越しに大地くんが

声を押し殺して

泣いている気配がする。




うそ、もしかして…





「大地くん!大地くん!

 どうしたの!」





大地くん

「パンダさん…


 お父さん…


 お父さん、最低だった!


 あんなやつ!最低だよ!



 こんなこと、妹には話せないよ!




 うぅぅぅ…最低だよ、、」






あぁ…見たんだ…





私…最低だ…


止めてあげるべきだった。







大地くんは

何もないことを、証明したかった。


少しの希望を胸に、だけどそれでももし

父親が黒だったなら

自分一人で背負うつもりで


妹にも内緒でたったひとりで


父親の携帯を見た。





好きだった父親の、最低な裏の顔を。









ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー