シーズン1 ミキの芝生 『DVモラハラ夫の不倫』

シーズン2 武田さんの芝生 

『妊娠発覚。彼氏と思っていた人は既婚者だった。』

シーズン3 紀子さんの芝生 『夫の不倫相手は、まさかのあの人。』

シーズン4 琴美ちゃんの芝生 「お笑い芸人の男。」

シーズン5 読者さんの芝生 「意見を聞かせてください。」

 

 

シーズン6

主人公 

大地くん・・・高校2年生の男の子。私が半年だけ楽器を教えていました。

妹ちゃん・・・大地くんの妹。中学2年生。

みどりさん・・大地くんのお母さん。40代半ば。

       息子に楽器を教えてくれる人を探しているというみどりさんとは、

       知り合いの伝手で繋がりました。

お父さん・・・大地くんと妹ちゃんの父。ある日娘である妹ちゃんに、

       携帯にある女性とのやり取りを見られる。本人はまだ知らない。

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高校生の大地くんから

お父さんに

浮気の疑いがあるという話を聞いて

言葉に詰まっていた私。

 

 

大地くんのお父さんとは

この家に来ると顔を合わせるので

会話したこともある。

 

 

その時は特に

なんの仕事をしているとか

根掘り葉掘り聞くことはなかったが

 

実際にご自宅にお邪魔している身としては

ある程度ご主人に稼ぎがないと

都内でこのマンションに住むことは

難しいだろうな、という

立派な間取りと立地だった。

 

 

私はレッスンの後

リビングでお茶をいただいていたので

その時に私がいると

自分の部屋に引っ込んだりしないで

私が話す息子さんの様子を

とても楽しそうに聞いてくれていた。

 

 

 

自らたくさん話す印象ではないが

側にいる中学生のお嬢さんが

何か話し始めたら

それをニコニコ聞いていたり

 

みどりさんとの会話も、仲の良い

いやむしろ、よく話す夫婦という印象で

側から見ていると

問題があるような家庭には

全く見えなかった。

 

 

すでに(あのおっさん)

とは突っ込んだけど。

 

 

 

だからこそ急に

大地くんからそんな話を聞いて

なんだか私もショックなのだ。

 

 

 

ほんっとうに人は

見かけだけではわからない。

 

明らかに仲の悪い夫婦の浮気話より

こんな風に

当たり前の日常を過ごせる家族の

そしてお子さんの

悲しい話など、聞きたくない。

 

 

 

 

けれど聞いた以上

あらそう、とスルーも出来ないのが

私の性分。

 

 

 

 

 

大地くん

「すみません、こんな話・・」

 

 

 

 

「いや、そんなことないよ・・

 

 それより、

 妹ちゃんの気持ちも心配だし

 夜に携帯なんてまた見ちゃったら

 大地くんだって・・」

 

 

 

 

メンタル大丈夫?と思う。

 

 

 

 

 

大地くん

「でもなんかもう特に妹は、

 実際にLINEを見ちゃった以上

 このまま無視できないって言ってて

 止められないっていうか・・

 

 いきなり問いただしても

 嘘つかれたら困るから

 ちゃんと証拠を撮りたいって。」

 

 

 

「えぇ、、そんなことまで・・・?

 証拠取りたいって・・

 中学生の子が言うの?」

 

 

 

 

そんなこと、、、

 

思いつくのか、、今の中学生は。

 

 

 

 

 

大地くん

「昨日はショックで

 あんなに泣いてたのに

 

 ・・なんか今朝はすごい怒ってて

 朝はお父さんのこと無視して

 学校に行きました。」

 

 

 

 

「そりゃあ、、相当ショックは

 大きいだろうし…」

 

 

 

大地

「そうですね・・でも、

 

 あいつまだ携帯持ってないから

 お兄ちゃんの携帯のカメラで

 写真撮ってって・・

 冷静といえば冷静で・・・」

 

 

 

私は頭をぐるぐる回転させながら

自分の中学生時代を思い出していた。

 

 

・・自分の中学生時代・・

 

 

ダメだ、随分前すぎて思い出せない。

 

 

 

いやぁ、、中学生か・・その頃

恋だのなんだの言って、多分普通に、

ませてはいたと思うけれど

自分だったらどうしたんだろうか。

 

 

 

どちらにしても私は大地くんに

(そんなことやめなよ)

とは言えなかった。

 

 

 

 

「その勢いだと・・

 止められそうにはないね。」

 

 

 

 

大地

「そうですね。お母さんには、

 言えないですけどね…

 

 

 妹とも話したんです。

 しばらくお母さんには

 言わないでおこうって。

 

 証拠を見つけたら

 お父さんにだけ2人で話しに行って

 その女の人と

 ちゃんと別れてもらおうって。」

 

 

 

 

 

 

あぁ。

 

 

 

 

泣きそうだ。

 

 

 

10代の子供たち2人が

すでにもう傷ついているのに

お母さんのためにと

2人でその痛みを胸に秘めたまま

 

 

父親には

「出ていけ」と言うのではなく

「その女と別れて」と

言おうとしているんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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