シーズン1 ミキの芝生 『DVモラハラ夫の不倫』

シーズン2 武田さんの芝生 

『妊娠発覚。彼氏と思っていた人は既婚者だった。』

シーズン3 紀子さんの芝生 『夫の不倫相手は、まさかのあの人。』

シーズン4 琴美ちゃんの芝生 「お笑い芸人の男。」

シーズン5 読者さんの芝生 「意見を聞かせてください。」

 

 

シーズン6

主人公 

大地くん・・・高校2年生の男の子。私が半年だけ楽器を教えていました。

みどりさん・・大地くんのお母さん。40代半ば。

息子に楽器を教えてくれる人を探しているというみどりさんとは、

知り合いの伝手で繋がりました。

 

 

 

 

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半年という期間限定で

ある楽器の練習のために

私の教え子となった高校生の大地くん。

 

その時出会ってまだ

1ヶ月が過ぎたばかり。

 

 

知り合いの伝手で決まったので

通常の塾とかみたいに

ぴったり1時間で月謝がいくら

みたいな感じに

していたわけでもなく

 

私の仕事が休みの日に

週に1回会うだけなので

4・5回しか会ってないけれど

 

私は高校生の若者の生態に興味津々で

そんな音楽聞くんだなーとか

学校でのお友達の話とか、

 

ちょうど子供と大人の間にいるような

そんな大地くんには

遠く離れてなかなか会えない

私の大好きな甥っ子を重ねてもいた。

(甥っ子・・私には歳の離れた兄がいて

 その兄の息子です。)

 

 

 

 

そんな大地くんが

 

 

 

大地くん

「昨日妹が急に部屋に来て・・

 

 (お父さんが、浮気してた

  最低だ!)って泣いてて・・」

 

 

 

と話し始めた時には

 

確かに(何でも話を聞くよ)

とは言ったものの

まさかこんな内容だとは

夢にも思わなかった。

 

 

 

 

 

悲しみとか怒りというより

困惑した表情で話している大地くんに

どう答えたらいいんだろう。

 

 

 

私は言葉に迷っていた。

 

 

 

 

 

大地くん

「妹は時々、

 検索したいこととかがあったら

 お父さんの携帯を借りて

 調べたりするときあるんですけど

 

 お父さんがお風呂に入ってる時

 何気なく携帯を手に取ったら

 

 なんかLINEが入ってきて・・

 それをうっかり

 開いちゃったみたいで・・」

 

  

 

「あぁ、、なるほど、、そこで・・

 

 なんか見ちゃったんだね。」

 

 

 

 

大地くん

「まぁ・・そうみたいです・・

 

 

 どのくらい見たのか聞いたら

 

 (なんか心臓がバクバクして

  全然読めなかったけど

 

  女の人の名前が出て

  いつも優しくしてくれてありがとう

 

  とか

 

  大好きとか・・・)

 

 

 ・・・そういうのが・・・」

 

 

 

 

「それは……」

 

 

 

私が黙り込んだので

大地くんもしばらく黙ってしまった。

 

 

 

 

けど

 

 

 

心の中では

 

(あのおっさん!!)

 

 

 

とか、叫んでいた。

 

 

 

 

大地くん

「だから僕も今日の夜、、、

 お父さんが帰ってきて

 お風呂に入ったときか寝た後に

 妹と2人でもう一回

 携帯を見ようと思っていて・・」

 

 

 

「えっ、二人で??それは・・

 もう一回見て

 その後どうするつもりで?」

 

 

 

 

大地くん

「わからないです・・・

 

 わからないから、、

 家族とは違う大人の

 パンダさんに聞いてみようと・・

 

 こんなこと友達には

 恥ずかしくて言えないし

 

 知ってる大人って親戚だから

 そこからもし

 お母さんに知られたら・・・」

 

 

 

 

「そうだよね・・」

 

 

 

お母さんに知られる。

 

 

大地くんは何より1番それを

恐れているようだった。

 

 

 

彼は今

相当なショックを受けているはず。

 

それなのにすでに兄として妹を

そして母親のことを、気にかけていた。

 

 

 

 

 

みどりさん(大地くんのお母さん)は

 

私より10以上年上なのだが

ハツラツとした話し方で

清潔感のある佇まいだなというのが

第一印象の女性だ。

 

 

しばらく専業主婦をしていた時代もあるが

数年前に

お子さんたちも大きくなったからと

ご友人が経営している会社の事務の

お手伝いをしているそうだ。

 

 

そんな中で、息子さんである大地くんが

楽器に興味を持ちはじめ

まずは気軽に習えないかということで

みどりさんが私の友人に声をかけたことで

繋がった。

 


 

みどりさんはご主人の浮気のこと

何も知らないんだろうか・・・

 

 

 

 

なんてことをこの目の前にいる

 

まだ10代の男の子に

聞けるはずなどなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

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