制作協力した【NHK】2020応援ソング「パプリカ」 Foorin楽団が“みんなのうた”に登場!

みなさんこんにちは、
明るく楽しい横浜市『福田音楽教室』ピアノ講師・音楽療法士の福田りえです。

今年のピアノ発表会では、「みんなでうたおう!みんなでおどろう!」と題した演目を用意しました。文字通り、ゲストやスタッフも含めて、みんなで歌って踊るコーナーです。

題材として取り上げた曲は、NHKの2020応援ソング『パプリカ』

2019年は『パプリカ』の年といってもいいくらい、子どもたちの間では『パプリカ』が大流行。学校でもやってた影響か、みんな歌だけでなくダンスの振り付けまで完コピしているレベルでした。

作詞・作曲は米津玄師さんですが、5人の子どもたちによる音楽ユニット「Foorin(フーリン)」が歌うミュージックビデオは、YouTube上で1.5億回(12/29現在)も再生されていますから、凄いですよね。

「Foorin」はこの曲で2度目の紅白出場するのですから、まさに『パプリカ』の年だったといっても過言じゃないわけです。

さて、その『パプリカ』の別バージョンのミュージックビデオが、12月1日から公開されたのをご存知ですか?(現時点でEテレ「みんなのうた」とYouTubeで公開中)

▲Foorin楽団バージョンの『パプリカ』ミュージックビデオ | YouTube

[注]

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この新しいバージョンで歌って踊って、そして演奏までやっているのは「Foorin楽団」という、さらにスケールアップした子どもたちによる音楽ユニットです。

そして驚くべきことに、私のピアノ教室の生徒さんもひとり、その「Foorin楽団」に参加しているのです(動画内キーボードの男の子!)。

書いてて改めてビックリです。^^;

はじまりの電話 - 心打たれるFoorin楽団への道!

ことの発端は今年7月、春畑セロリ先生からかかってきた1本の電話。

NHKの人が、企画に参加してくれる子どもを探しているというお話でした。それも発達障害のお子さんを、というものです。

セロリ先生のオフィスに伺い、NHKのディレクターさんからお聞きした企画は……

病気や障がいを持つ子と定型発達の子が一緒になって、インクルーシブなミュージックビデオを作り、世の中へ発信したい。それもFoorinの『パプリカ』をさらにスケールアップさせて。

またその過程を追っていくドキュメンタリー番組も、同時に撮影する。

……という内容でした。

Foorinのメンバー5人がそれぞれ、いろんな病気や障がいを抱える子といっしょに、交流を重ね、同じパートを担当し、ひとつのミュージックビデオへと結実させるという、とても心打たれるプロジェクトです。

私の普段のレッスンや発表会のコンセプトにも通じるものを感じ、(半ば勢いで)ぜひ協力させてくださいと、ふたつ返事でお応えしました。

誰なら最後までやり遂げられるだろう?

お応えしたのはいいものの「じゃあ、誰を?」となると、制作上の条件がいろいろあって、なかなか難しい問題でした。

発達障害といっても様々な特徴や傾向がありますし、年齢的にも10歳前後という指定と、プロジェクトを円滑に進めるためにある程度の知的能力、協調性や我慢強さも必要となってきます。

何より本人のやる気と親御さんの了承が欠かせません。テレビや動画に出るというリスクをどう考えるか、という課題もあります。

誰にしようか? どの子だったら最後までやり遂げられるだろう? 私も時間をかけて悩みました。場合によっては、途中で頓挫してしまう可能性だってあるのです。

アレやコレや散々悩みに悩んだ結果、「こうせい」さんにこの話をしてみたところ、幸い本人もやる気を見せてくれ、親御さんのご承諾もいただきました。

椅子に座って何かに答えているこうせいさん

▲抱負を語ってる風のこうせいさん

これでやっと前に進みはじめたのです。

交流と信頼を重ねながらスタートした撮影

それからというもの、何度もNHKのディレクターさんやスタッフの方がこうせいさんに会いに来てくださり、レッスンを見学したり、会話を重ねたりして、お互いの距離を縮めていくことに注力されました。

また、こうせいさんが出た「AMAピアノと歌と管弦のコンクール」にも応援に来てくださり、着実に信頼を積み重ねていかれました。

その甲斐もあって、こうせいさんはディレクターさんに心を開き、とても親しい間柄になっていったのです。

テレビの制作ですから忙しいはずなのに、時間を割いて、足繁く会いに来てくださるその姿勢は、「インクルーシブなミュージックビデオを制作する信念」を強く感じました。

新しいディレクターさんに名刺を渡すこうせいさん

▲新しいディレクターさんに(学校で作った)名刺を渡すこうせいさん

実は途中でディレクターさんが別の方に交代され、どうなるか不安があったのですが、その丁寧な姿勢は変わらず、こうせいさんとの信頼関係も1ミリも揺らがなかったのです。

こうせいさんとスタッフの方々の信頼が深まっていく過程で、さりげなくドキュメンタリーの撮影も進んでいきました。

カメラとスタッフに囲まれ、ソファーに座ってインタビューに答えているこうせいさん

▲インタビューを受けるこうせいさん

Foorin「ちせ」さんとの顔合わせ - 山のような課題

実際に撮影がはじまると、いろんな課題が山のように出てきました。

Foorin楽団としての音楽上の課題や、障がいを持つ子への配慮についての課題、楽団に参加するほかの子との関わりについての課題など。

ミュージックビデオで使用した絵を描いている様子

▲ミュージックビデオで使用した絵

特に障がいの特性については、ディレクターさんやカメラさんなど、スタッフの方々に詳しく説明させていただきました。

例えば、時間に融通が利かない特性を持つ彼に対して、どのようにその日のスケジュールを伝えるとわかりやすいかなど、現場が混乱しないようにたくさんの話し合いが必要となったのです。

そんな中、ペアになるFoorinの「ちせ」さんとの顔合わせが行われ、担当するピアノやキーボード、連弾アレンジについての合わせも進めていくのですが、二人の演奏技術の差や理解力も含め、課題・課題、課題の嵐。^^;

楽譜も二人のレベルに合わせて編曲し、イベント会場やミュージックビデオの撮影での見せ方なども想定した上で、身体的アクションをつけた奏法の考案や、弾く鍵盤がすぐ見つかるような配慮など、ひとつずつ課題をクリアしていく作業の繰り返しです。

(途中こうせいさんは、鉛筆が縦に刺さり、足に1.5cmもの穴があく大ケガというアクシデントも発生)

最終的には総勢15名という人数で演奏するわけですから、こうせいさんにいろんな物事を理解させ、練習方法を編み出したりと、常に頭の中がぐるぐるとフル回転の状態が続きます。

サキタハヂメさんと一緒にピアノに向かって座るこうさいさんと、それを撮影しているスタッフ

▲アレンジャーのサキタハヂメさんと

教室でのドキュメント撮影とは別に、本編であるFoorin楽団『パプリカ』のミュージックビデオの練習がNHKで行われるため、こうせいさん家族は何度も渋谷まで通われ、さらに千葉にある幼稚園まで撮影に行ったりと、なかなかのハードさです。

発達障害の子にとって慣れない場所に出向いたり、知らない人と協力して何かをするというのは大変なことなんですが、こうせいさんは本当に頑張ったなぁ~と、感慨深いものがあります(撮影現場では、いろいろあったとは思いますが)。

これらの過程のあれこれは、12月23日~27日にドキュメント番組として公開され、年末年始での再放送も決まりました。

▲Foorin楽団バージョンの紹介動画 | YouTube

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Foorin楽団のお披露目は衝撃のクライマックス!

教室の発表会も直前に迫った11月8日。NHK内のスタジオで開催されたイベント「日本賞 授賞式」。

(日本賞は今年で48回目を迎えた教育コンテンツの国際コンクールです)

秋篠宮文仁親王妃 紀子様もご出席されるというこの大イベントで、Foorin楽団が初お披露目となりました。もちろん、こうせいさんも楽団の一員としてステージに立ちます。

私も当日会場へと赴き、リハから立ち会って、本番の舞台をこの目に焼き付けることになるのです。緊張するなという方が無理。胸の高鳴りが止まりません。ドキドキ

果たして結果は……

いたく感動された紀子様が、Foorin楽団メンバー全員にハイタッチ!

凄い光景を目撃することができました。こんなシーン、もう二度と見れないのではないかと思うくらい、胸に迫る光景だったのです。

(残念ながら撮影不可)

Foorin楽団プロジェクトの、最高のクライマックスでした。

日本賞と書かれた看板の前でガッツポーズを決めているこうせんさんとご家族、ディレクターさん、福田りえ

▲日本賞当日(左は最初のディレクターさん)

この第46回「日本賞 授賞式」の模様は、受賞作品とともに年末 Eテレで12/28放送されました。

人は成長するんだなぁという当たり前のことを再確認

日本賞の授賞式が終わったあとは、NHK内でFoorin楽団の打ち上げが行われ、他のメンバーの子や親御さん方とも交流する中で、あー遂に終わったんだなぁ~って実感しました。

たくさんの食事が並んでいる大きなテーブルと、多くの関係者が集まっている打ち上げ会場の様子

▲Foorin楽団の打ち上げ会場

  • 目が見えない視覚障害(「盲」もう)の子
  • 耳が聞こえない聴覚障害(「聾」ろう)の子
  • 肢体不自由の子
  • 病気の子
  • 発達障害の子
  • そしてFoorinのメンバーたち

いろんな子が参加して完成した、Foorin楽団バージョンの『パプリカ』。

音楽を作っていくのは楽しい作業ではありますが、今回は多くの不安も同時にありました。

しかし情報が解禁された今、ピアノ指導という立場ではありますが、長かったようでいて、あっという間! いろいろありましたが、お互いよく乗り越えられたなぁ、という思いでいっぱいです。

なにより、Foorin楽団のメンバーとして参加し、非日常的な経験をたくさんしたこうせいさんが、なんだか一回り大きく成長したように見えて、とても眩しく、そして嬉しく思っています。

最初のころ、ディレクターさんに「この話、いいっていうまで、誰にもいっちゃダメだよ」と念押しされ、「ええ~!ボクだいじょうぶかなぁ!」って口を押さえ、お母さんにしがみついていたこうせいさん。

それが今では、こうやって堂々とリコーダーを吹いているのですから、人って成長するものですね。

ピアノ発表会のステージで堂々とリコーダーを奏でているこうせいさんの姿

▲発表会でリコーダーを吹くこうせいさんの勇姿

今日も明るく楽しいピアノライフを♪
FUKUON 福田音楽教室 福田りえ